地震規模と断層規模の一致 大塚道男著 地震の大きさについて考える 岩波「科学」Vol. 57, No.8, pp

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地震規模と断層規模の一致 大塚道男著 地震の大きさについて考える 岩波「科学」Vol. 57, No.8, pp. 503-506. を参考にする ただかなり取捨選択,追加。

Gutenberg-Richterの関係1 ある地域で起こった地震のうちでマグニチュードがM付近のものの頻度をNとすると,  log 10N= A-BM 式(1)   という関係がある。これをGutenberg-Richterの関係という  ただし,左図は日本全体のデータに基づく。

Gutenberg-Richterの関係2式の解説 log10N = A-BMでは,Bはおよそ1と考えて良い 対数関数log10X=Zは,指数関数10Z=Xと同じ log XY = log X+log Y, log10 = 1だから もしMが1多いと,log NM+1 = A-(M+1) = (A-M)-1 = log N(M) -1 = log NM - log10 = log (NM /10)となる つまり,この式の始めと終わりを比較してlogを外すとNM+1= NM /10となるから,地震頻度は10分の1となる。

断層パターンをつくる グラフィック画面一杯に枠を書く その中に任意の一点を指定 その点に何も書いていなければその点から任意の方向を決めて,何も書いていない所まで線を延ばしつづける その結果,2次元画面に次々と断層が発生する。その結果を次のページに示す。

200回の試行の後の図 この図と濃尾地震の地震断層付近と類似する。

模擬断層の頻度分布の成長 模擬断層の描画数を増やすほど,直線になり,Gutenberg-Richterの関係に近づいたように見えるが。 最終結果から求められた直線の式は, log10N = A -2 log10L 式(2) この式で,断層数をN,断層の長さをLとする。

断層の長さとマグニチュード log10N = A -2 log10L 式(2) log10N = A-BM 式(1) 両式を比較すると,  両式を比較すると, M = 2 log10L +定数 式(3) という関係があれば両式が一致することになる なお,式(3)は別途およそ確かめられている。

地震のエネルギーの観点から 地震のマグニチュード(M)とエネルギー(E)の間の関係は, log10 E = 定数 + 1.5M 式(4) と書ける。地震時に解放されるエネルギーは岩石に蓄えられた歪みの解放と考えると,断層の長さLから単純に E ∝ L3 となって,  log10 E = 3 log10 L + 定数 式(5) となる そして式(4)と(5)からlog10 E を消すと,式(3)が成立することがわかる。 以 上