SCS研修「高等教育における障害者支援(2)」 国際的な障害者の権利保障と教育

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SCS研修「高等教育における障害者支援(2)」 国際的な障害者の権利保障と教育 2003年11月27日(木) 長瀬修・特任助教授 東京大学先端科学技術研究センター http://www.bfp.rcast.u-tokyo.ac.jp/nagase/

障害・障害者観の転換 「障害者を変える」から「社会、環境、文化を変える」への転換 医学モデルから自立生活・社会モデルへ 変化の担い手となってきた障害者自身、障害者組織の役割、

国連での障害に関する取り組み 1980年代(1) 1976年 国際障害者年を宣言する決議 1981年 国際障害者年「完全参加と平等」 1976年 国際障害者年を宣言する決議 1981年 国際障害者年「完全参加と平等」 1983年ー1992年「国連障害者の10年」 「障害者に関する世界行動計画」(118段落)  加盟各国は、障害者が他の人々と均等な機会をもつ権利を認める施策をとるべきである。障害者の教育はできる限り一般の学校制度の中で行われるべきである。

国連での障害に関する取り組み 1980年代(2) 1987年の「障害者の10年」の中間年 ストックホルムでの中間年専門家会議 ストックホルムでの中間年専門家会議    初の障害者が過半数の国連専門家会議   障害者差別撤廃条約の提案   国連総会でのイタリア政府提案   「反対多数」 (国内問題、社会福祉の問題、   かえってマイナス)

国連での障害に関する取り組み 1980年代ー1990年代 1989年のスウェーデン政府の権利条約提案  条約としては失敗するが、1993年の「障害者の機会均等化に関する基準規則」として結実 ・条約ではなく、ガイドラインである「基準規則」 の実現

機会均等基準(1993年) 規則6:教育  政府は障害を持つ児童・青年・成人の統合された環境での初等・中等・高等教育機会均等の原則を認識すべきである。政府は障害を持つ人の教育が教育体系の核心であることを保障すべきである。

機会均等基準(1993年) 規則6-2、普通学校での教育は通訳者や他の適切な支援サービスを前提とする。多様な障害を持つ人のニーズを満たすためのアクセシビリティと支援サービスが提供されるべきである。

機会均等基準(1993年) 規則6-9、ろう者と盲ろう者はその特別なコミュニケーション・ニーズにより、ろう者と盲ろう者用の学校もしくは普通学校内の特別学級・班での教育が一層適切であるかもしれない。特に当初の段階では、ろう者もしくは盲ろう者の効果的コミュニケーションと最大限の自立をもたらす、文化に配慮した教育に特別の注意を寄せる必要がある。

国連での障害者の権利条約策定の動き 2001年の国連総会でメキシコ政府が提案した「障害者の権利条約」決議(56/168)が採択され、国連総会は「障害者の権利条約を検討するための特別委員会」を設置。 第1回特別委員会 2002年7・8月   条約は必要か?なぜ必要か? 第2回特別委員会 2003年6月   条約は必要である。どのような条約が必要か?

2004年の動き 1月 条約案起草のための作業部会     政府代表27名     NGO代表12名     国内人権機関1名 6月 第3回特別委員会

国連アジア太平洋地域ワークショップ 2003年10月14日ー17日 バンコクドラフト 第27条第6項  障害者は、他の人々との平等な基礎のもとに、高等教育、職業訓練、成人教育への平等なアクセスの権利を持つ。また、効果的なアクセスを保障するための、金銭的もしくは代替的な支援への権利を持つ。

日本政府の姿勢の変化 70年代、80年代、90年代を通して日本政府は障害分野の基準策定には消極的 2001年以降の国連総会、特別委員会では、NGO参加、条約実現に積極的な姿勢  (2003年9月川口外相国連一般演説「障害者の権利の保護と促進を進めていくことも重要です。今年6月に障害者権利条約案の起草作業を行う作業部会の設置が決定されたことを歓迎し、その策定に向けて 積極的に取り組んでいきます」)

権利条約と差別禁止法 5年をめどに障害者の権利条約策定 障害者基本法の改正(3年もしくは、5年の見直し規定) 世界での権利条約の動きと、国内での差別禁止法の動き=高等教育への影響

関連サイト 国連事務局 http://www.un.org/esa/socdev/enable/rights/adhoccom.htm 全日本ろうあ連盟 http://www.jfd.or.jp/int/unconv/index.html 長瀬修 http://www.bfp.rcast.u-tokyo.ac.jp/nagase/