建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <換気設備> 自然換気の仕組みと基礎 [Last Update 2015/04/30] 建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <換気設備> 自然換気の仕組みと基礎 自然換気の仕組みと基礎
自然換気 風力換気 外部風を利用する 温度差(重力)換気 事務所 空気の浮力を利用する 事務所 アトリウム ホール
自然換気(温度差+風力換気) 中間期の自然換気を促進 春秋分: 9:00 ハイサイド窓開け 緑化外構で効果的な涼房が可能 南面窓開け 3
温度差による空気の流れ 空気は温度が高いほど密度が小さく軽い 内外および上下温度差による空気の密度 差から換気の駆動力が生まれる 暖房時 外気 (冷たく重い) 流入 室内空気 (暖かく軽い) 流出 圧力高い 圧力低い 上昇流 P:圧力 [Pa], T:空気温度[℃] 暖房時 4 4
自然換気(温度差換気の状況) 空気が室内で滞留する 温度差換気で通風促進される ハイサイド窓閉じ ハイサイド窓開け movie movie 5
ベルヌーイの定理 断面1,2間で損失がないとした場合、エネルギー保存則から、以下の等式が成り立つ。 断面1 断面2 運動エネルギー 位置エネルギー 断面1 断面2 断面1,2でv=0、h=0、抵抗によるエネルギー損失が運動エネルギーに比例し、比例定数をζとすると。
1/√ζは流量係数α(開口部形状により決まる) 通風換気量と流量係数 速度に断面積Aを乗じると換気量となる 名 称 形 状 流量係数α 通常の窓 0.65~0.7 ベルマウス 0.97~099 鎧 戸 0.70 0.58 0.42 0.23 小さくなる 空気 大きさは 変わらない 空気 1/√ζは流量係数α(開口部形状により決まる) β 90° 70° 50° 30° 空気 β
圧力について 圧 力 : 単位面積あたりの力の大きさ 単位: 国際単位系(SI単位) [Pa] 圧 力 : 単位面積あたりの力の大きさ 単位: 国際単位系(SI単位) [Pa] 1[Pa] は1[m2]あたり1[N(ニュートン)]の力が かかった圧力。よって Pa は N/m2 と表記できる。 力とは質量と加速度の積、1[N]は1[kg]の物体 に1[m/s2]の加速度を与える力である。 重力加速度が 9.8[m/s2]であれば 1[N]=m[kg]×9.8 このとき m=0.102[kg] すなわち、1[N]は0.102[kg]の重さ相当で、1[Pa] は1[m2]に0.102[kg]の重さがかかった圧力といえる。
総合実効面積(並列) ここに、各実効面積の和を総合実効面積:αA[m2]と呼ぶ αとAの積=実効面積 風量はどこでも等しい。全て=V とおく
総合実効面積(直列) 右辺・左辺を全て加算 ここに、各実効面積の和を総合実効面積:αA[m2]と呼ぶ
P:圧力 [Pa], T:空気温度[℃] , Q:換気量[m3/h] , g:重力加速度[m/s2] 温度差による換気量 総合実効面積:αA[m2] は直列結合で求める [m3/h] 圧力高い 圧力低い 中性帯 上部の内外圧力差 上昇流 下部の内外圧力差 上下圧力差 開口部 高さh [m] P:圧力 [Pa], T:空気温度[℃] , Q:換気量[m3/h] , g:重力加速度[m/s2] 11 11
P:圧力 [Pa], T:空気温度[℃] , Q:換気量[m3/h] , g:重力加速度[m/s2] 温度差による換気量 総合実効面積:αA[m2] は直列結合で求める [m3/h] 中性帯 P:圧力 [Pa], T:空気温度[℃] , Q:換気量[m3/h] , g:重力加速度[m/s2] h1 高低差 小 圧力差 大 h2 開口 中性帯が上部へ移動 (下部で大きな空気流入) Qh1 < Qh2 12 12
通風換気による空気の流れ A B C D E F 13 13
外部風による空気の流れ 建物周辺の気流分布(断面方向) 最も圧力が高くなる + - 通風経路 風向 14 14
Q:換気量[m3/h], C:風圧係数, v:風速[m/s] Pw:風圧力[Pa], ρ:空気の密度[kg/m3] 通風による換気量 風圧係数は風圧力と動圧の比例定数 [m3/h] Q:換気量[m3/h], C:風圧係数, v:風速[m/s] Pw:風圧力[Pa], ρ:空気の密度[kg/m3] 風圧係数の例 負圧 v [m/s] 負圧 正圧 風向 圧力差⊿p 総合実効面積:αA[m2]は直列結合で求める 15 15
発 行 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 田中 英紀 発 行 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 (SHASE: The Society of Heating, Air Conditioning and Sanitary Engineers of Japan) 田中 英紀