第2回 商法Ⅰ 2007/04/24
商法Ⅰ 2007年度版シラバス 75ページ 単位数2単位(全17回) 火曜日2講目 10:40– 12:10
受講心得 人に迷惑をかけない テキスト・六法を持参 私語などの迷惑行為は厳禁! 新聞の経済欄に目を通す習慣を
単位認定の方法と基準 努力した学生を評価 出席状況を重視し、期末試験・課題提出(加点)・確認テスト(加点)を総合して評価
授業日程 1 ガイダンス 15 まとめ 2007/07/31 16 まとめ 2007/09/04 17 定期試験
使用テキスト 日本一やさしい新会社法の学校 ナツメ社 ポケット六法 有斐閣
商法のための民法入門 1 公法と私法 国家 vs 国民 縦の関係 税金徴収 刑事責任 国民から税金を取り立てたり 1 公法と私法 国家 vs 国民 縦の関係 税金徴収 刑事責任 国民から税金を取り立てたり 犯罪を犯した者に刑罰を科したり 国対国民という縦の関係が公法の領域
商法のための民法入門 1 公法と私法 国家 vs 国民 刑事責任の追及 タクシーの運転手 タクシーの客 1 公法と私法 国家 vs 国民 刑事責任の追及 個人タクシーの運転手が不注意な運転で事故を起こして客に怪我をさせた 運転手 業務上過失致傷罪(刑法211条)に問われ、国家から刑罰を科されます このように犯罪を犯したとして国家から問われる責任が刑事責任 タクシーの運転手 タクシーの客
商法のための民法入門 1 公法と私法 私人 vs 私人 対等な者同士の横の関係 権利・義務の形で規律 1 公法と私法 私人 vs 私人 対等な者同士の横の関係 普通の人同士、つまり「私人対私人」の横の関係を規律するのが私法の領域 特徴 私人間の各種生活関係(取引・事件・事故・夫婦関係・親子関係・相続)を権利と義務の形に規律 権利・義務の形で規律
商法のための民法入門 1 公法と私法 私人 vs 私人 タクシーの運転手 タクシーの客 横の関係 権利義務の形で規律 加害者 被害者 1 公法と私法 私人 vs 私人 タクシーの運転手 タクシーの客 個人タクシーの運転手が不注意な運転で事故を起こして客に怪我をさせた場合 不公平な状態を解消するために、加害者は被害者に与えた損害を金銭で賠償する責任を負うべきです この責任が民法の規定する「不法行為責任」(民法709条) 故意(わざと)または過失(不注意)で他人の権利を侵害すること 加害者は被害者に対して損害賠償の義務を負い 被害者は加害者に対して損害賠償を請求できる権利を取得します このケースでは通行人ではなく客に怪我をさせています。通行人に怪我をさせた場合は不法行為責任のみが問題 客に怪我をさせた場合 加害者である運転手と被害者である客の間には契約関係があるので、契約上の責任も問題となります タクシーの運転所と客との間には旅客運送契約が成立しており、客は料金を支払う義務を負い、運転手は安全に目的地まで客を運送する責務を負っています 不注意で事故を起こして客に怪我を負わせた運転手は、安全に目的地まで客を運送する責務を履行できなかったのですから 債務不履行による責任を負います 客には債務不履行によって発生した損害を金銭で賠償することを請求できる権利が発生し、運転手はそれに対応する義務を負うことになります 横の関係 権利義務の形で規律 加害者 被害者
商法のための民法入門 2 基本的ルールブックとしての民法 私人 vs 私人 要件 効果 権利義務の変動 2 基本的ルールブックとしての民法 私人 vs 私人 要件 私人間の領域というのは、対等な者同士が参加して、権利と義務を道具として行う スポーツ競技のようなもの このスポーツ競技の基本的なルールを定めているのが民法 普通の競技はアマチュア選手主体で行われます 効果 権利義務の変動
商法のための民法入門 3 特別ルールとしての商法 商法 企業に関する特別ルール 民法 基本的ルールブック 3 特別ルールとしての商法 商法 企業に関する特別ルール 儲けることを至上命題とするプロ選手である企業が、この競技に参加してくると、競技の性格が変わってきます 大量の取引を集団的に迅速に行い、できる限りたくさんの利益を獲得しようというプロ選手の活動に対しては、のんびりした基本ルールブックである民法ではうまく対処できない部分が出てきます そこで民法でうまく対処できない部分について、企業に関する特別ルールとして作成されたのが商法です 商法に特別ルールを設ける必要がない部分については、企業についても民法が適用されます ですから、商法の理解のためにも民法の理解が必要 民法 基本的ルールブック
商法・会社法のイメージって 会社法のイメージ 難解 テーマ:会社法をいかに身近に感じるか 会社法のイメージ 難解 学生は株式会社に就職するのに? 学生は社会・実務経験がなく、会社のイメージがないことや民法などの基礎力不足が原因 テーマ:会社法をいかに身近に感じるか
ライブドアとフジテレビ どんな視点で見たか? ライブドアとフジテレビによる ニッポン放送をめぐる買収合戦 ライブドア 全面的な勝者? ニッポン放送をめぐる買収合戦 ライブドア 全面的な勝者? ライブドアとフジテレビ 2005年3月から4月にかけて、ライブドアとフジテレビによる、ニッポン放送をめぐる買収合戦がありました。 二ヶ月以上にわたる攻防の末、最後は、ライブドアが大量に買い集めたニッポン放送株を、フジテレビが買い取るかたちで和解にいたりました。 この買収合戦の結果、フジテレビが(実質的な子会社であったニッポン放送の株式の)当初の公開買い付け価格よりも高い価格でライブドアから買い取らざるをえなかったことから最終的な敗者ということになるでしょう。 これに対して、ライブドアは金銭的では明らかな勝者です。最終的には440億円もの資金を手に入れることができたからです。 そのライブドアも、全面的な勝者とは言えません。ニッポン放送の買収を通じて、さらにその親会社であるフジテレビの支配権を握り、フジテレビがこれまで蓄積してきたメディア関連の知的資産をインターネット事業に活用するという買収目的が達成されなかったからです。 この買収合戦の幕切れは、あまり後味の良いものではありませんでした。ただ、この買収合戦によって、「いったい会社はだれのものか」という会社に関する本質的な問題提起が、たんに学者の間だけではなく、テレビや新聞や雑誌といった、多くの人々が日常的に接するメディアにおいても取り上げられ、お茶の間や居酒屋で熱っぽく議論するようになったのは、初めてのことでした。 いったい会社って誰のものか?
講義の目的とねらい 企業を巡る法律関係を規定する商法および会社法、その関連法規について、基本となる知識を修得することを目的とし、商法とは何か、会社法とは何か、会社とは何かを考察する 会社とは何か? 会社 企業 法人
会社と企業って 「会社」:法人企業 複数の者が出資する共同企業 「企業」:利益を求める経済活動 八百屋 トヨタ自動車 複数の者が出資する共同企業 「企業」:利益を求める経済活動 会社の定義にはいろいろありますが、基本的には会社とは「法人企業」の別名です。よく日常会話でも新聞・雑誌でも、「会社」という言葉と「企業」という言葉がごちゃまぜに使われていることが多いのですが、ここで重要なことは、「会社」とたんなる「企業」とをきっちりと区別することです。「会社」とはたんなる「企業」ではありません。それは「法人企業」、つまり「法人化された企業」のことなのです。一見すると些末な区別のように思われるでしょうが、その間には根源的な違いがあります。 個人企業ではなく、共同企業 メリットは資本の結合と危険の分散 企業:営利を目的として継続的に活動する取引の主体 「企業」という言葉は、利益を求める経済活動という意味で、街角の八百屋さんも世界に冠たるトヨタ自動車もともに経済活動を行っています。 「法人企業」、「法人」とは?一言で言うと、「本来ヒトでないモノなのに、法律上、ヒトとして扱われているモノ」のことです。法律を学んだ人には当たり前の定義。 八百屋 トヨタ自動車
会社と企業って 「法人」 本来ヒトでないモノなのに、法律上、ヒトとして扱われるモノ トヨタ自動車 会社の定義にはいろいろありますが、基本的には会社とは「法人企業」の別名です。よく日常会話でも新聞・雑誌でも、「会社」という言葉と「企業」という言葉がごちゃまぜに使われていることが多いのですが、ここで重要なことは、「会社」とたんなる「企業」とをきっちりと区別することです。「会社」とはたんなる「企業」ではありません。それは「法人企業」、つまり「法人化された企業」のことなのです。一見すると些末な区別のように思われるでしょうが、その間には根源的な違いがあります。 「企業」という言葉は、利益を求める経済活動という意味で、街角の八百屋さんも世界に冠たるトヨタ自動車もともに経済活動を行っています。 「法人企業」、「法人」とは?一言で言うと、「本来ヒトでないモノなのに、法律上、ヒトとして扱われているモノ」のことです。法律を学んだ人には当たり前の定義。
会社の経済的機能 物事を多角的に! なぜ? 個人的視点 一般人 商品・サービスの提供者 学生 就職・アルバイト 会社員 労力の提供⇒賃金 一般人 商品・サービスの提供者 学生 就職・アルバイト 会社員 労力の提供⇒賃金 経営者 社会的視点
個人的視点:会社 企業家は利益の獲得を目的:資本と労力 より大きな利益を得るには、多数の者の資本・労力を結合して、共同企業を形成し、企業規模拡大することが必要 会社はこのような資本・労力の結合を実現
個人的視点:会社 企業者は、損失を被る場合には、その負担ができるだけ小さいことを望む 損失が生じた場合、企業の規模が大きければ多数の者が損失を分担 一人当たりの被害が小さい 会社のもつ短所 企業者は利益の獲得を目的とするあまり、自己の利益のみの追求し、他人の利益を犠牲 企業者は企業に投下した資本の額を超えては危険を負担しないという制度
社会的視点:会社 今日、規模の大きい企業のほとんどは会社形態で営まれており、社会の繁栄は会社のあり方に大きく依存している 内部での関係:労働の場 外部での関係:商品・サービスを提供 国との関係 :国家経済の根幹を支えている 会社は、企業者の意図・目的を離れ、その目的を超えた社会的機能・使命、さらには公共的性格を有している