「我が国や郷土の伝統文化を尊重 する児童の育成」~体験活動を充実した教育課程を通して~

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1.情報教育について 2 情報教育. 情報教育とは 児童生徒が自ら考え、 主体的に判断・表現・行動 児童生徒は主体的に学ぶ 「情報活用能力」を育成する教育.
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三笠市の 特色ある教育の主な内容. 人口 10,355 人 学校の状況(平成 23 年 4 月) 小学校 2 校・中学校 2 校 児 童 304 人・ 22 学級 生 徒 189 人・ 10 学級.
生 活 科 (小) 福島県教育委員会 平成20年度小・中学校教育課程研究協議 会. Ⅰ 改訂の要点 1 学年の目標の改善 (1) 目標 (3) を加え、四つに増やした。 (2) 文言を加え、一人一人の児童に育 つことを期待する認識を明確にした。 ① 目標 (1) 「地域のよさに気付き」 ② 目標 (2)
平成21年度小学校外国語活動中核教員研修 小学校外国語活動基本理念 ~新学習指導要領等について~
平成19年度 「長崎県国語力向上プラン」 地区別研修会
平成19年度長崎県国語力向上プラン地区別研修会
5 情報モラル教育 4.道徳や各教科等における  情報モラル.
平成23年度 新通小学校 学校説明会 今年度 ここに力を入れていきます.
徹底活用するための校内研修パッケージ これから、「子どもの学びを支えるヒント集2」を活用した校内研修を始めます。
総合的な学習の時間     はじめるにあたって….
総 合 的 な 学 習 の 時 間 ふるさと教育が生きる時間に! 本校の特色ある活動 子供たちが楽し 「チャレンジ・タイム」
大分県教育庁佐伯教育事務所 学校改革担当指導主事 有田千香
富山大学教育学部 附属教育実践総合センター 助教授 小川 亮
「道徳の時間」の進め方について 球磨教育事務所  .
7.幼稚園教育要領と領域「環境」 瀧川 光治.
学校家庭クラブ活動と ホームプロジェクト.
身近なエコ活動と地域資源を 活かした環境教育
第1回 英語教育推進委員会 資料 平成24年5月30日 福井県国際交流会館 1.
平成26年度 鶴ヶ島市立新町小学校グランドデザイン めざす学校像 一人ひとりが輝き、確かな学力が獲得できる学校
さかえ小卒業までに、子どもたちに、身につけさせたいこと
平成26・27年度 立川市教育委員会研究協力校 研究主題 「自他を尊重する人権感覚を育む教育活動」 ~自尊感情や自己肯定感、思いやりの心を 育てるための教育活動の工夫~ 立川第六中学校では、平成26.27年度 立川市教育委員会研究協力校として、研究主題「自他を尊重する人権感覚を育む教育活動」~自尊感情や自己肯定感、思いやりの心を育てるための教育活動の工夫~として、この1年間取り組んできました。
総合学科における インターンシップの取り組み
子どもたちが発達段階に応じて獲得することが望ましい事柄
やまなしの教育振興プラン 山梨県教育委員会.
大分県立宇佐支援学校 グランドデザイン (平成28年度版)
第24回東北地区小学校特別活動研究協議会 秋田大会
絆を深め、さわやかな笑顔が、 いつもあふれる学校 学校教育目標 平成28年度 加須市立騎西小学校グランドデザイン 明るく すばやく
知・徳・体・地域連携 伏見中学校 教育目標 心豊かに共に生きよう 生き生きした生徒が集う学校 特に今年度取り組んだ点は 知の部分
教育とは 未来に向けて方向を示し 挑戦する勇気を育み、 めげそうになった心を励まし 支えていくこと
平成26年度 ドミニカ共和国派遣団 ~成果発表~
小学校社会科6年 1 単元名 「長く続いた戦争とアジアの人々」 -くらしは戦争一色へ- (第○次第○時) 2 授業概要 3 本時の目標
基礎・基本と活用する力を確かに育む学校の組織的な取組
スポーツ経営学 第4回目 スポーツ経営学の特徴.
人間性豊かな人材の養成を通じて、科学技術と人間社会の調和的発展に寄与する
<校訓> つよく・あかるく・たくましく 【目指す宇佐支援学校の児童生徒像】
アスッペンくん 奈良市立飛鳥中学校.
基礎看護の授業を通して思考力,判断力,表現力,技能を育成する指導方法の工夫改善についての研究
ワークシート 高校生向け Q1 Q2 Q3 Q4 Q5 自然・環境 サンゴは海の中でどんな役割を担っていますか?
地域・社会貢献をするために人として必要な資質
杉戸町立高野台小学校 児童数 287名 学級数12(普通11.特殊1) 教職員数 19名 平成19年10月27日(土)
小中連携を進めるために! 外国語教育における 三つのステップと大切にしたいこと 岐阜県教育委員会 学校支援課
 小学校外国語活動で    大切にしたいこと(指導の重点編) 岐阜県教育委員会 学校支援課.
第70回全国連合小学校長会 研究協議会北海道大会 第61回北海道小学校長会 教育研究函館大会
これからの音楽教育に       求められるもの 義務教育課 秋山 哲夫.
平成19年度地域教育フォーラムin京都   第5分科会 「学力向上アクションプラン」     ~洛西方式Ⅱ~  京都市立洛西中学校 2007,7,31.
徹底活用するための校内研修パッケージ これから、「子どもの学びを支えるヒント集2」を活用した校内研修を始めます。
(相互に利益を得、円満な関係で良い結果を得る)の関係です。
第60回 北海道小学校長会教育研究 宗谷・稚内大会
事業名 6月例会 第10回小学生ウルトラクイズ㏌京丹後 ~歩こうや!ロマンあるまち京丹後! 教科書にのっていない歴史がここにある!~
課題研究ルーブリック評価の 活用マニュアル 平成30年1月10日 愛媛大学高大接続推進委員会 「課題研究」評価ワーキンググループ
学びの出発 学びの再思考 学びの獲得と新たな学びの創出
多文化共生社会への取り組み: 多文化共生教育の現状 2
平成29年度 埼玉県立熊谷特別支援学校グランドデザイン
平成15・16・17年度 田辺市教育委員会指定研究校 『情報化社会を生きる児童の育成』
福岡県教育センター ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 研修担当の先生へ ※ ※ ※ ※ ※ ※
(中学校)学習指導要領前文 これからの学校は 子どもたちの育成 教育課程を通して =「社会に開かれた教育課程」の実現
平成30年度グランドデザイン 学校の教育目標 生きる力 佐伯市立宇目緑豊小学校 ふるさとを愛し、 豊かな心と自ら学ぶ意欲をもち、
ワークシート 中学生向け Q1 Q2 Q3 Q4 Q5 自然・環境 サンゴは海の中でどんな役割を担っていますか?
教育目標 重点目標 取組の柱 学習意欲・学力向上 人間関係作り 体づくり 特色ある取組の充実と発展 チーム安塚
生きる力を育む国語教育 説明的文章の読解を通して 鹿沼市立南摩中学校                 坂井清貴.
小学校プログラミング教育  校内研修<ステップ1> これから小学校プログラミング教育に関する〈ステップ1〉の校内研修を始めます。
出雲農林高校 地域との協働によるカリキュラム開発の研究
学校の教育活動を通じて 家庭で共に 保幼小中との連携 地域で育てる 忍耐力 意欲 やり抜く 自制心 社会性 協調性
自分の思いや考えをもち、 進んで取り組む子
学びの出発 学びの再思考 学びの獲得と新たな学びの創出
2019年度 すべての教職員のための授業改善研修 本研修の背景とねらい
小学校プログラミング教育の 展開のポイント
学校における教育の情報化の推進と校内研修の企画運営
平成20・21年度 国立教育政策研究所・教育課程研究センター指定
学習指導要領の改訂 全国連合小学校長会 会長 大橋 明.
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「我が国や郷土の伝統文化を尊重 する児童の育成」~体験活動を充実した教育課程を通して~ 平成27年度国立教育政策研究所教育課程研究センター 関係指定事業研究協議会発表「小学校・伝統文化教育」 「我が国や郷土の伝統文化を尊重  する児童の育成」~体験活動を充実した教育課程を通して~               こうのたに 高知県・いの町立神谷小学校 校長  黒瀬 忠行

本校が進める伝統文化教育

伝統文化教育に取り組む理由 神谷地域は土佐和紙発祥の地 和紙作りの文化財・道具が残されている 神谷地域は土佐和紙発祥の地    和紙作りの文化財・道具が残されている 今年度からコミュニティ・スクールに指定    地域の協力を得やすい クラブ活動として伝統文化に取り組んできた    これまでの取組の成果を生かす 伝統文化教育を尊重する児童の育成を図りたい

取組にあたって 本校の伝統文化教育の目標  国際社会で活躍・貢献する人材を育成するため,我が国や郷土の伝統や文化についての理解を深め,尊重する態度を育てる。 ダブルスタンダード  各教科等の目標を主目標としつつも,伝統文化教育の目標を副目標として捉え,ダブルスタンダードを意識して授業を進める。

取組内容 郷土の伝統文化  郷土の伝統文化として「手漉き和紙」を取り上げ,各教科等の内容と関連(追加資料を参照)させながら,これを柱とした伝統文化教育を行う教育課程を編成した。 我が国の伝統文化  長年,本校独自の取組として実践してきた全校クラブを,我が国の伝統文化について学習する場として再定義し,教育課程を編成した。

郷土の伝統文化

生活科(1・2年)  豊かな自然が身近にあることに気付かせることが伝統文化教育の出発点であると考え,地域に出掛け,地域から発見する学習を行った。 和紙作りには,きれいな水が必要である 和紙の原料(楮や三椏)が山で栽培されている 神谷地域には,紙作りに関連した人が多い 土佐和紙は,地域の自慢の1つである

「こうの谷のすてきをみつけよう!」 ※追加資料P2~ 単元目標 教科等の目標  自分たちの生活や地域の出来事を自分なりにまとめ伝え合う活動を通して,身近な人と関わることの楽しさを知り,互いに交流することの良さに気付く。 伝統文化教育の目標  神谷地区の様々な物や人と出会うことで,住んでいる地域への親しみと愛着を深める。

子どもの変容 昔から神谷では紙づくりが盛んに行われていたことを知ることができた   学校のすぐ近くに紙すき小屋があったんだ   きれいな水があるから紙づくりができるんだ    神谷のことをもっと知りたいという気持ちが高まった   紙づくりのことをもっと知りたいな   神谷の宝物をもっとみんなに教えたいな   

総合的な学習(3・4年) 道具を通して手漉き和紙の作り方を学び,和紙作りの体験を通してその素晴らしさに気付く学習を行った。  道具を通して手漉き和紙の作り方を学び,和紙作りの体験を通してその素晴らしさに気付く学習を行った。 神谷地域では,紙作りが盛んに行われてきたことを学ぶ 和紙作りに必要な道具を知り,作り方を学ぶ 道具の素晴らしさを感じ,先人の知恵を知る 伝統を大切にしていきたいとする思いを持つ

「発見!神谷」 ※追加資料P13~ 単元目標 教科等の目標  自分たちの住む地域について関心を持ち,自分で調べたり地域の人に聞いたりして自慢を見つけ,発信しようとすることができる。 伝統文化教育の目標  神谷地域の伝統産業である「手漉き和紙」に誇りを持つことができる。

子どもの変容 先人の知恵や工夫に気付くことができた うまく紙すきができるように工夫されているなあ 昔の人の技はすごいなあ 先人の知恵や工夫に気付くことができた   うまく紙すきができるように工夫されているなあ   昔の人の技はすごいなあ    地域の伝統産業に誇りを持つことができた   きれいな紙すきができるようになりたいなあ   神谷では紙すきが盛んだったんだなあ   紙すきは神谷の自慢の1つなんだなあ   

総合的な学習(5・6年)  紙職人との触れ合いを通して,手漉き和紙への熱い思いを知り,伝統文化を受け継いでいこうとする気持ちを育む学習を行った。 偉人の活躍から,土佐和紙の歴史を知る 伝統を伝えようとしている人々の思いを知る 伝統を受け継いでいこうとする思いを持つ 土佐和紙の新たな可能性を感じる

単元目標 教科等の目標 自ら課題をみつけ,自ら学び,主体的に判断し,問題を解決する資質や能力を育てる。 「人とふれあい 人から学び つなごう心を」 ※追加資料P22~ 単元目標 教科等の目標  自ら課題をみつけ,自ら学び,主体的に判断し,問題を解決する資質や能力を育てる。 伝統文化教育の目標  地域の伝統産業の良さに目を向けるととともに,紙漉きに関わる地元の人々の偉業を知り,ふるさとを誇りに思う心を育てる。

子どもの変容 地元の人々の偉業を知り,ふるさとを誇りに思うことができた   世界に輸出していたなんてすごいなあ   人間国宝が地元にいるなんて知らなかった    土佐和紙の魅力を大切にしていきたいとする思いを持つことができた   若い人たちが頑張っているんだね   土佐和紙の魅力がもっと伝わるといいな  

取組を振り返って 地域の伝統を意識し,ふるさとを誇りに思う心を育てることができた。 昔から受け継いでいるものを大切にしたいという気持ちが高まった。 土佐和紙の学習を今後も継続して欲しい,という地域の声が挙がっている。

我が国の伝統文化

全校クラブ活動 異年齢集団で5つの伝統文化に触れる 落語,日本舞踊,箏,剣道,太鼓に取り組んだ ※追加資料P31 全校クラブ活動 異年齢集団で5つの伝統文化に触れる   落語,日本舞踊,箏,剣道,太鼓に取り組んだ 伝統文化の歴史や礼儀作法を学ぶ   伝統文化を受け継ぐ思いを持つことができた 学習成果を披露する場として,発表会を行う   達成感や充実感を味わうことができた 各種出演要請があり,地域貢献の側面もある

取組を振り返って 体験を通して,日本の伝統文化の良さを感じることができた。 活動の中で学んだ礼儀・作法は,日常生活での社会的態度の醸成につながった。 達成感・充実感を味わったことで,児童の自尊感情が高まった。

研究の成果と課題

成果 伝統文化教育という視点で,全校的な総合的な学習の方向性と全校クラブ活動の価値を見いだすことができた。 ※アンケート結果等は追加資料P33~ 成果 伝統文化教育という視点で,全校的な総合的な学習の方向性と全校クラブ活動の価値を見いだすことができた。 「手漉き和紙」という新たな地域教材・教育資源を発見することができた。 伝統文化の継承に尽力している人々の活躍を知ることで,郷土の良さを再発見し,郷土を誇りに思う郷土愛を育てることができた。

課題 小中一貫校の特長を生かし,小学校の実践を中学校にどう発展させていけばよいか。 学校と地域をつなぐコーディネーターの役割を誰が担い,どう位置付ければよいか。 複式学級で取り組むために,複数年度の計画をどのように進めていけばよいか。 今後も継続して,伝統文化教育に取り組みたい。

「我が国や郷土の伝統文化を尊重 する児童の育成」~体験活動を充実した教育課程を通して~ 平成27年度国立教育政策研究所教育課程研究センター 関係指定事業研究協議会発表「小学校・伝統文化教育」 「我が国や郷土の伝統文化を尊重  する児童の育成」~体験活動を充実した教育課程を通して~               こうのたに 高知県・いの町立神谷小学校 校長  黒瀬 忠行