1 安全保障貿易管理(総論) 2006年4月 経済産業省 貿易管理部.

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1 安全保障貿易管理(総論) 2006年4月 経済産業省 貿易管理部

目次 1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷 2 目次 1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷 (1)安全保障貿易管理の必要性 (2)安全保障貿易管理の枠組 (3)安全保障貿易管理の変遷 2.我が国の安全保障貿易管理制度   (1)安全保障貿易管理制度の仕組   (2)違反に対する罰則 3.安全保障貿易管理を巡る最近の動向 (1)キャッチ・オール規制 (2)取締の強化

1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷 3 1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷

(1)安全保障貿易管理の必要性 先 進 国 4 安全保障貿易管理は、個人・企業の利益に優先し、考慮すべき課題 です。国際情勢の不安定化は、我が国の継続的経済発展を妨げる ばかりか、我々の生活を直接脅かす可能性があります! 核兵器等の開発 等を行っている国 先 進 国 輸出管理が厳 格に実施され ていない国 輸出・技術提供 国 際 情 勢 の 不 安 定 化 輸出管理の必要性大 輸出・技術提供

(2)安全保障貿易管理の枠組 5 我が国の枠組 国際的枠組 武器三原則 外国為替及び 外国貿易法 武器輸出を 原則禁止 条約 大量破壊兵器関連 通常兵器関連 条約 核兵器関係 生物・化学兵器関連 ミサイル関連 通常兵器関連 核兵器、生物・化学 兵器そのものを規制 武器三原則 NPT BWC CWC 核不拡散条約 生物兵器 禁止条約 化学兵器 禁止条約 武器輸出を 原則禁止 Nuclear Non-proliferation Treaty Biological Weapons Convention Chemical Weapons Convention ・70年発効 ・189カ国締結 (03年12月現在) ・75年発効 ・151カ国批准 (04年6月現在) ・97年発効 ・164カ国批准 (04年7月現在) 国際輸出管 理レジーム NSG AG MTCR WA 原子力供 給国会合 オーストラリア ・グループ ミサイル関連 機材・技術輸 出規制 ワッセナー・ アレンジメント 外国為替及び 外国貿易法 通常兵器、ミサイル等 大量破壊兵器等の開 発に用いられる汎用 品等を貿易管理 Nuclear Suppliers Group Missile Technology Control Regime The Wassenaar Arrangement Australia Group ・輸出貿易管理令  (貨物) ・外国為替令  (役務) ・77年発足 ・45カ国参加 (05年7月現在) ・85年発足 ・39カ国参加 (05年7月現在) ・87年発足 ・34カ国参加 (05年7月現在)  ・96年発足 ・39カ国参加 (05年7月現在)

(3)安全保障貿易管理の変遷 6 世 界 情 勢 大量破壊兵器 通常兵器 1970~ 1980~ 1990~ 2000~ 冷戦 89年 米・ソ マルタ 宣言 90年 東西ドイツ 統一 冷戦 01年9月 米国同時多発テロ事件 80~84年 イラン・イラク 戦争 第2次世界大戦 45年 74年 世 界 情 勢 90~91年 湾岸戦争 01年 10月 03年 3月 米・原爆投下 印・原爆実験 84年 後日、イラクの 核開発計画が 明らかに ソ連(49)、英、(52) 仏(60)、中(64)が 原爆実験成功 イラク化学 兵器使用 米国アフガニ スタン攻撃 米国イラク 攻撃 90年代以降のアジア情勢 インド・ パキスタン 北朝鮮 ・93年    ノドン発射 ・93~94年   核開発疑惑と米朝   枠組合意 ・98年    テポドン発射 ・02年~   核開発問題再び   表面化 ・98年   両国が核実験 ・02年   両国がミサイル   発射実験 77年 原子力供給国会合(NSG)発足・・・核兵器 大量破壊兵器 85年 オーストラリアグループ(AG)発足・・・生物・化学兵器 87年 ミサイル関連機材技術輸出規制(MTCR)開始  91年に米が、95年にEUが          キャッチ・オール規制導入                 02年 我が国キャッチ・ オール規制本格導入 通常兵器 経過措置 49年 ココム設立 94年3月 ココム終了 96年7月 ワッセナー・アレンジメント設立

7 2.我が国の安全保障貿易管理制度

(1)安全保障貿易管理制度の仕組(その1) 8 貿易管理の範囲 対象品(役務) 規制対象地域等 ・「武器」または、 ・「主要供給国間で合意した軍事用途にも転用可能な高度技術汎用品」 ・全地域向けが対象 ・スペックで該当するものは必ず許可が必要(用途、需要者によらない) リスト規制? 貨物の輸出? 規制対象の違い 規制方法の違い 役務の提供? ・食料品や木材等の一部を除く全てのもの  (リスト規制品を除く) ・全地域向けが対象    米、加、EU諸国等の輸出管理を厳格に実施している26ヶ国は除外 ・用途、需要者により、許可申請の要否が決まる ※ キャッチオール 規制? ※ 役務 = ソフトウェアや技術の提供

外為法 (1)安全保障貿易管理制度の仕組(その2) 貨物 役務 輸出貿易管理令 外国為替令 9 リスト規制 キャッチ・オール規制 48条 ポイントとなる法律や政省令は、貨物の輸出/役務の提供やリスト規制/キャッチ・オール規制の              区分によって異なります。 下の図は法令の概要を大まかに表した図です。 リスト規制 キャッチ・オール規制 関係する法令等 貨物 別表第1       16項 別表第11~15項 輸出貿易管理令 48条 輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令 etc. 外為法 輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令 (おそれ省令) 25条 別表       16項 役務 外国為替令 別表   1~15項 貿易関係貿易外取引等に関する省令第9条第1項第四号イの規定に基づき、経済産業大臣が告示で定める提供しようとする技術が核兵器等の開発等のために利用されるおそれがある場合を定める件 etc. (おそれ告示) 他にも関連する省令や通達等が存在しますが、ここでは省略します。          詳しくは、本資料の参考資料若しくは安全保障貿易管理HP等を参考にして下さい

10 輸出許可の種類 一般包括許可 個別輸出許可 特定包括輸出許可 特別返品等包括輸出許可 原則、国際輸出管理レジーム参加国を仕向地 として行う当該レジームで規制された貨物・技術 (機微品目を除く)の取引を一括して許可 一般包括許可 一般包括許可の適用対象外地域及び貨物・技術を対象として許可 個別輸出許可 継続的な取引関係を有する同一の相手方 への特定貨物・技術の取引について一括 して許可 特定包括輸出許可 複数回の許可 取得実績 本邦において使用するために輸入された 貨物であって、不具合による返品、修理 または異品のためのみに輸出する輸出令 別表第1の1項または外為令別表の1項に 該当する貨物(武器)または貨物に内蔵 された技術について一括して許可 特別返品等包括輸出許可 注)上記はあくまで大まかな整理です。詳細については、安全保障貿易管理ホームページ   http://www.meti.go.jp/policy/anpo/index.htmlをご覧下さい。

(2)違反に対する罰則(その1) 特定の貨物の輸出・技術提供は規制の対象 違反した場合には、 11 (2)違反に対する罰則(その1) 「輸出管理を知らなかった」「輸出管理は自分とは関係がないと思っていた」では済みません!! 特定の貨物の輸出・技術提供は規制の対象 経済産業大臣の許可が必要です。 注意 ・皆さんに比較的身近な民生用品であっても規制対象となります。 ・海外の現地子会社、日系企業向けも対象です。 違反した場合には、 1.法律に基づき、刑事罰(罰金、懲役)や行政制裁(貨物の輸出・技術の提供   の禁止)が科される場合もあります。 2.実際に懸念用途(ミサイルや核製造機器の部品等)に用いられていた場合   には、企業のみならず日本に対するダメージははかり知れません。

(2)違反に対する罰則(その2) 刑事罰 公 表 行政制裁 経済産業省からの違反企業に対する警告 ・ 対象貨物/役務価格の5倍以下の罰金 12    刑事罰 ・ 対象貨物/役務価格の5倍以下の罰金 (2)違反に対する罰則(その2) 代表2人に有罪判決 A国へ武器部品不正輸出    (価格が40万円以下でも最高200万円の罰金) 公 表 ・ 5年以下の懲役    行政制裁 ・3年以内の、貨物輸出・技術提供の禁止  経済産業省からの違反企業に対する警告 ・企業イメージの悪化 ・社会的制裁 ・株主代表訴訟  等

行政制裁 (1985年~2004年6月末迄:17件) 2000年5月 → 04年6月18日~10月17日迄の間、全貨物の輸出禁止 13 我が国における行政制裁の事例 行政制裁 (1985年~2004年6月末迄:17件)    2000年5月     S社      対戦車ロケット砲「RPG-7部分品」をイラン向けに無許可輸出        →  00年5月22日~01年5月21日迄の間、全貨物の輸出禁止      2004年3月     M社       核兵器の開発に転用可能な直流安定化電源を北朝鮮向けに     無許可迂回輸出        → 04年4月5日~7月4日迄の間、全貨物の輸出禁止    2004年6月     A社      核兵器の開発に転用可能な周波数変換器を北朝鮮向けに無許     可迂回輸出       → 04年6月18日~10月17日迄の間、全貨物の輸出禁止

14 3.安全保障貿易管理を巡る最近の動向

(1)キャッチ・オール規制 15 定着しつつあるキャッチ・オール規制 対象 < 懸念の強い貨物例40品目 > 要許可申請 ・仕向国-我が国と同様の不拡散政策を執る26カ国を除外 ・対象貨物-食料品、木材等を除く、原則全品目を対象 対象 < 懸念の強い貨物例40品目 > 輸出者による判断=客観要件 ①用途要件(使用目的)  <ⅰ)核兵器等の開発等 又は ⅱ)別表行為に用いられるか> ②需要者要件(顧客)  <ⅰ)核兵器等の開発等を行う(行った) 又は ⅱ)外国ユーザーリストに該当するか> 要許可申請 明らかガイドラインに該当する場合(輸出貨物等が大量破壊兵器の開発等以外 に用いられることが明らか)を除く。 経済産業省による判断=インフォーム要件 税関等との情報共有 (注)  は経済産業省による情報提供

・数値制御工作機械 ・凍結乾燥機 ・電子天秤 ・TIG溶接用機材 ・直流安定化電源 ・引っ張り試験機 ・周波数変換器 16 インフォームについて インフォーム貨物の例(参考) ・数値制御工作機械 ・凍結乾燥機 ・電子天秤 ・TIG溶接用機材 ・直流安定化電源 ・引っ張り試験機 ・周波数変換器 ・ガスボンベ(10万本) ・フェロボロン ・誘導炉用炉材 ・ステッピングモーター ・大型トラクター ・クレーン車 インフォーム件数: 43件(H18年3月末現在)

17 キャッチ・オール規制の事前相談制度の運用実績

(2)取締の強化 18 A社 B社 C社 時期 H15 H16 内容 キャッチ・オール規制 リスト規制 11月 東京地裁判決2/23: 同社社長に対し懲役1年、 執行猶予3年、 同社に対し罰金200万円 核兵器の開発に転用可能な 直流安定化電源をタイ経由 で北朝鮮に違法輸出しよう とした容疑により同社社長が 書類送検される。 A社 キャッチ・オール規制 横浜地裁判決5/10: 同社社長に対し懲役1年、 執行猶予3年、共犯者 に対し、懲役10ヶ月、 執行猶予3年 1月 核兵器開発に転用可能 な大型のインバータを北朝鮮 向けに不正輸出した容疑 で同社社長以下関係者 2名が逮捕される。 B社 6月 リスト規制 ミサイル推進薬の製造に 使用可能な機器をイラン 向けに違法輸出しようと した容疑で同社社長以下 関係者5名が逮捕される。 C社

カーン博士(主な経歴) 19 Abdul Qadeer Khan 1936年 ・ボパール(Bhopal:当時英領インド)にて出生 1960年代 ・ドイツの技術系大学に留学 1963年-67年 ・オランダのデルフト工科大学で冶金学を専攻 1972年     ・ベルギーのルーベンにあるカトリック大学で博士号取得          ・オランダのFDO(Physics Dynamic Research Laboratory)社に就職          ・英仏蘭のウラン濃縮合弁会社URENCO社の遠心分離機用特殊冶金開発に従事 1974年    ・インドが核実験を実施 1975年    ・オランダ経済省がカーンを遠心分離機関係以外の部門に移すよう           FDO社に要請(同年、FDO社を退職) 1976年    ・パキスタンでERL設立(ERL:ウラン濃縮技術確立が目的) 1981年    ・ERL、A・Q・カーン博士研究所(KRL)と名称変更 2001年    ・ カーンの核拡散活動を懸念した米国からの圧力によるムシャラフ大統領の命令で退職            Abdul Qadeer Khan 出典:Global Security社のHP等を基に経済産業省作成

リビア リビアによる核関連物資の調達 国際的なネットワーク パキスタン 南アフリカ スペイン イタリア タヒル 他 ドバイ 20 濃縮技術 遠心分離器用製造機械 6フッ化ウラン 遠心分離器 リビア 出典:マレーシア警察のHP等を基に経済産業省作成

SCOPE (マレーシア) リビア ドバイ イタリア リビアによる遠心分離器の調達 国際的なネットワーク B.S.A.Tahir 21 Urs F. Tinner 最終用途 (虚偽) 石油・ガス関連機材 の製造 技術支援 SCOPE (マレーシア) 自動車部品、精密機械製造 最終用途 遠心分離器関連機材 の製造  ドバイ 最終需要者 (虚偽) 2003年10月 “BBC China”号 イタリア 最終需要者 拿捕 リビア