目的 成人喫煙率は、男性喫煙率が30%台となるなど、全体に減少傾向にはあるが、若い女性や未成年者の喫煙対策が問題となっている。特に、妊婦の喫煙は、胎児や乳児に深刻な影響を与え、有効な対策が急務である。 本日は洲本市における妊婦喫煙率や喫煙の害についての知識、受動喫煙の状況、それらに対する対策と効果を報告する。
洲本市 淡路市 洲本市 南あわじ市 洲本市健康福祉館 (健康福祉部や診療所がある)
方法1 平成13年4月より、洲本市に妊娠届を提出した全ての妊婦に対し、喫煙状況と喫煙の害に関する知識についての調査を、自己記入式で実施した。調査対象数は平成13年4月~平成20年3月の7年間、2,571名であった。 有効回答数 2,494(97%)
方法2 さらに、平成14年6月より、乳児健診(3,4か月児対象)で受診したすべての母親に喫煙状況と喫煙の害に関する知識についての調査を、自己記入式で実施した。
妊娠初期(最終月経以後妊娠判明まで)喫煙率 20.3% 妊娠届出時喫煙率 5.5% 結果 妊婦喫煙率 妊娠初期(最終月経時)喫煙率と妊娠届出時喫煙率 妊娠初期(最終月経以後妊娠判明まで)喫煙率 20.3% 妊娠届出時喫煙率 5.5%
同居喫煙者がいる割合 同居者に喫煙者がいる割合は減少が続いているが、男性喫煙率の減少によるものであろう (同居喫煙者のうち89.5%は夫である)
同居喫煙者の喫煙方法/場所 妊婦の同居喫煙者の4人に1人がどこでも吸っている。調査開始4年目以降は減少が止まっている。一方、家の外で吸う割合も増加が止まっている。換気扇や空気清浄機もまだ使用されている。受動喫煙に無頓着な喫煙者が禁煙しないで残った結果かもしれない。
喫煙妊婦は何を知らなかったか(平成13年度) n.s. n.s. ** * * * P<0.05, ** P<0.01 妊娠後に禁煙した妊婦と喫煙を続けた妊婦の間には、早産・流産や・体重児についての有知識率に差はなく、SIDS、先天異常、知能低下について有意の差があった。
妊婦喫煙啓発のパンフレット 平成15年1月から3大有害知識(SIDS、先天異常、知能低下)についてのパンフレットの全妊婦への配布を開始した。
3大有害知識啓発効果(SIDS) パンフ配布開始 調査開始
3大有害知識啓発効果(先天異常) パンフ配布開始 調査開始 先天異常は、調査開始直後は変化ないが、喫煙妊婦の有知識率はパンフによる啓発後に増加し、他の妊婦と同レベルになった。
3大有害知識啓発効果(知能低下) パンフ配布開始 調査開始 知能低下は、先天異常と同様に、調査開始直後は変化ないが、喫煙妊婦の有知識率はパンフによる啓発後に増加した。
全体には右肩上がりであるが、知識率の低い喫煙妊婦への啓発効果が寄与していると思われる。 妊婦喫煙の害に関する知識の推移(全妊婦) 全体には右肩上がりであるが、知識率の低い喫煙妊婦への啓発効果が寄与していると思われる。
考察 洲本市健康福祉館 ● 急増している妊婦喫煙を減らすためには、すでに喫煙妊婦の有知識率が9割程度ある「早産・流産」「低体重児」よりも、有知識率が低い「SIDS」「先天異常」「知能低下」の啓発を行うことの方が有効であることが示唆された。 ● 妊婦の同居煙者は男性喫煙率の低下に伴って減少しているが、どこでも吸ったり、空気清浄機を使うなど間違った対応もなされており、引き続き啓発が必要である。 ● 調査自体やパンフレットによる啓発効果は期待できる。妊婦喫煙は減少傾向にあるが、妊婦の禁煙支援、再喫煙防止の有効な方策も探っていきたい。 参考 : 洲本市禁煙専門外来&禁煙支援センターホームページ http://www1.sumoto.gr.jp/shinryou/kituen/