惑星探査にむけた パラフォイルEDLシステムに関する研究 火星パラフォイル リスタート会合 風洞内部でのPPG機の自由飛行試験の試み 火星パラフォイル リスタート会合 惑星探査にむけた パラフォイルEDLシステムに関する研究 風洞内部でのPPG機の自由飛行試験の試み 翼幅2mの密閉型パラフォイル機の 風洞試験の様子
これまでの経緯 2009年: MELOS計画の中で、空力系の工学ミッションとして枠が確保された。 (当時は2010年MDRで、2017/2018年に打ち上げるとの話。。。) 火星航空機WGのもとで、柔軟翼型(パラフォイル機)の検討を開始することに 2010~2011年: 安部、平木、東野、山田をコアメンバーとしてパラフォイル機の検討を開始。 →概念検討において一定の成果をあげた。 (密閉型パラフォイルの提案、画像航法の必要性など) ----MELOSの工学ミッション検討のゴールが見えない状況が続く------ 2012年2月: 火星探査工学ミッション提案のコンペティションを実施 柔軟シェル+パラフォイルでミッション提案を行った。 (宇宙研の工学委員会メンバーから一定の評価を得たが、魅力不足との指摘→要再検討) 2012年4月: 戦略(工学)予算の申請が不採択 (柔軟エアロシェルとの関係性を誤解された感) ----MELOSの工学ミッション検討は進んでいない------ 2012年11月: 戦略(工学)の追加予算で、申請が認められた → 新しい火星探査ミッションの提案を期待されている。
これまでに進めた研究課題とその成果 (傘体)翼幅2mの密閉型パラフォイルの製作とその性能評価 1)パラフォイル傘体:火星特有の環境に適していると考えられる密閉型のパラフォイルの採用 →密閉型パラフォイルの性能評価,揚抗比測定の試験方法の確立 2)推進器:コンパクトに収納できる折り畳みプロペラの性能把握 →折りたたみ翼(N型)の試作,試作品の性能評価 3)航法:GPSのない環境での航法の確立 →画像を利用した位置同定方法の確立,UAVで実際に取得した画像での検証 (傘体)翼幅2mの密閉型パラフォイルの製作とその性能評価 車による曳航試験,小型模型(翼幅1m)での風洞試験を踏まえて,JAXA調布の大型低速風洞で風洞試験を実施 JAXA調布6.5m×5.5m低速風洞で空力性能取得試験を実施 不安定 1m 翼幅2mの密閉型パラフォイル 揚抗比が倍に @JAXA相模原惑星環境風洞 比較用のラムエア型 車による曳航試験では,パラフォイルの安定性に問題があり,風洞試験で詳細に調べる必要ありとの判断. 小型模型(翼幅1m)による風洞試験により,試験方法の確立,ライザーのセッティングと安定性の関係を理解した. 風洞内で,パラフォイルを安定状態にすることができ,揚抗比の測定を精度よく行うことができた.そして,密閉型パラフォイルでは,揚抗比が4~5程度を実現できることが確認できた(比較用のラムエア型では2~2.5程度).
(傘体)ガス供給式パラフォイルの翼内外差圧の影響 (航法)無人機によって取得した画像データの 解析による位置・速度同定 (航法)無人機によって取得した画像データの 解析による位置・速度同定 実験条件 ・SIFT (Scale Invariant Feature Transformation) を基本同定法とした特徴抽出・マッチング Re数 1×105 風速 7.5m/s 動圧 34.4Pa 翼弦長 200mm 翼幅 450mm フレーム1 比較・初期位置同定 火星飛行中,高度変化により,大気圧が最大300Pa変化する インレット有り (予測値) 比較 フレーム2 時刻 比較 差圧を高めるほど揚抗比が改善される傾向が見られる.インレットの存在による抗力増加は差圧変化による影響よりも大きく,ガス供給式にすることで揚抗比向上のみならず,高度変化にも問題なく対応できる. 撮影画像 フレーム3 データベース画像 ・初期位置同定 データベース画像とのマッチングにより初期位置を同定. 処理時間と画像解像度の違いによる誤同定削減が課題. ・初期位置以降の位置・速度同定 直前フレームとのマッチングにより位置・高度・速度を同定. 数値微分に伴うノイズ低減のためのフィルタリング処理, および機体の姿勢変化に伴う画像位置変動の補正が必要. (推進器)推進用プロペラの気流内推力測定 火星用に設計したプロペラを通常の風洞内に設置し推力を測定 Re数:3~13×104 風速:6.4m/s 展開 <GPSデータと画像解析による高度と位置の比較例> 43mm 250mm 地球上大気圧下における推力予測値とよい一致が見られる.火星条件下に合わせたアスペクト比の小さな特殊な形状のプロペラであってもAdkinsとLiebeckの理論を用いて設計が可能である. 高度 水平位置
火星探査ミッションの提案の例 MELOSの枠組みの中でのEDLシステム(着陸システム)という形で提案したもの 周回機には 複数の突入機を搭載 姿勢,減速度を微調整し 大気突入準備をととのえる. (軌道離脱から突入まで6時間) 大気突入直前に SMを分離 逆噴射で軌道離脱 SMで姿勢を制御し スピンアップ カバーを開放,ガス注入し 柔軟エアロシェルを展開 周回軌道上で 突入機+SMを分離 大気圏突入 亜音速まで減速した後にエアロシェルを使ってパラフォイルを引き出す (頭部HSも分離) 滑空状態で目標地点へ誘導. 併せて上空からの撮像,観測 (飛行時間は30分~1時間) 着陸後は太陽電池を 開いて地上で観測. エアバッグとフレア操作で軟着陸
今後の計画 *リスタートに伴って、目標とするミッションを再検討し、魅力的なものにする。 *パラフォイル(+柔軟エアロシェル)の可能性を追求する。 *そして、まず、工学的に面白いミッションはという観点にたって案を出してみる。 高高度観測、巡航による広範囲の観測、複数分散観測、ピイポイント着陸観測など。 →それのミッションにマッチするサイエンスペイロードを探すという方向で進めてはどうか? *パラフォイル開発に関する技術課題 1)風洞試験を実施し、パラフォイルという飛翔体を空気力学的に理解する. 柔軟展開翼で高揚抗比を実現したい 制御時の空力特性(風洞試験と実フライトの関係を明らかに) 2)パラフォイルの展開挙動を理解し、信頼性の高い展開手法を確立する。 ガス注入による能動的な展開手法が有効か? 3)惑星探査機等に適用できる推進器を開発する. プロペラ側の場合→低密度での性能、収納性、電力確保 4)フライト試験に供することができる堅牢かつ柔軟性の高い航法&制御システムを構築する. ソフト、ハード、アクチュエータを含めた総合的な開発を行う。 耐低温、耐衝撃、耐真空性能を考慮。 5)フライト試験を段階的に実施していき,パラフォイル開発の道筋を確立する. 柔軟飛翔体の開発にはフライト試験は必須。 ラジコン機、小型気球、セスナ、ヘリ、大気球、観測ロケットなどの方法から 費用対効果を考え、開発までの道筋を立てて、実際に実施する。(3年計画くらい?)
年次計画案 2012年度(予算120万円) 準備 2013年度 (柔軟エアロシェルと統合して、柔軟飛翔体による惑星探査検討のWGを立ち上げる?) (パラフォイルの実用(惑星探査、観測ロケット、気球など)という観点のWGを立ち上げる?) 風洞試験等による実験室レベルの研究開発とフライトモデルの製作 2014年度 小規模フライト試験(ラジコン、小型気球、ヘリ、セスナ)の実施 (風洞試験との関連を明らかにする) (実フライトでの揚抗比の計測) (展開手法、着陸手法の確立) (航法システム(ソフト)の実証) 2015年度 大気球による高高度(低密度)の飛翔(巡航)実証