首都直下地震の姿と防災対策 日本地震学会 東京大学地震研究所 平田直 Workshop 14:40~16:30(110分間)

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小学校5年生 自然災害を防ぐ 第2時 自然災害がおきやすい国土 板書・スライド用教材 大分川 七瀬川 大野川 日本文教出版株式会社
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首都直下地震の姿と防災対策 日本地震学会 東京大学地震研究所 平田直 Workshop 14:40~16:30(110分間) 「東京圏の大地震にどう備えるか」 首都直下地震の姿と防災対策 日本地震学会 東京大学地震研究所 平田直 日 時: 平成28年8月28日(日) 主催:防災学術連携体(52学会)     日本学術会議 防災減災・災害復興に関する学術連携委員会 場所:東京大学本郷キャンパス 山上会館 2階 大会議室 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

目次 都市は揺れる 地震活動 揺れと被害の予測 対策 まとめ 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

確率論的地震動予測地図 今後30 年間 に 震度6 弱以上 の揺れに見舞われる確率:2016年版 ( 平均ケース・全地震 ) 1.都市は揺れる 確率論的地震動予測地図 今後30 年間 に 震度6 弱以上 の揺れに見舞われる確率:2016年版 ( 平均ケース・全地震 ) 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 参考:(30年以内に) 交通事故で負傷 24% 火災で罹災   1.9% 地震の起きやすさ + 地盤の揺れやすさ http://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/ 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

地震調査研究推進本部 地震調査委員会(平成26年4月25日) 2.相模トラフ周辺のプレート境界 地震調査研究推進本部 地震調査委員会(平成26年4月25日) http://www.jishin.go.jp/main/chousa/14apr_sagami/index.htm 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

関東の下の地震の分布と プレート境界の位置 フィリピン海プレート 太平洋プレート 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

関東地方で発生する地震の模式図 http://www.jishin.go.jp/main/chousa/14apr_sagami/sagami2_shubun.pdf ① : 活断層等で発生する浅い地震(深さ0 ~ 20km) ② : 陸のプレートとフィリピン海プレートとの境界付近で発生する地震 (深さ20 ~ 50km) ③ :フィリピン海プレートの内部で発生する地震(深さ20 ~ 50km) ④:フィリピン海プレートと太平洋プレートとの境界付近で発生する地震 (深さ50 ~ 100km) ⑤:太平洋プレートの内部で発生する地震(深さ50 ~ 100km) 地震の発生する場所と大きさを模式的に示す。また、深さの目安も示す。 ① : 活断層等で発生する浅い地震(深さ0 ~ 20km) ② : 陸のプレートとフィリピン海プレートとの境界付近で発生する地震 (深さ20 ~ 50km) ③ :フィリピン海プレートの内部で発生する地震(深さ20 ~ 50km) ④:フィリピン海プレートと太平洋プレートとの境界付近で発生する地震 (深さ50 ~ 100km) ⑤:太平洋プレートの内部で発生する地震(深さ50 ~ 100km) 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

相模トラフからのフィリピン海プレートの沈み込みに伴うM7程度の地震  首都圏でこれまで起きた大地震と震災 平成26年4月25日公表 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 相模トラフからのフィリピン海プレートの沈み込みに伴うM7程度の地震 相模トラフ沿いの M8クラス: ほぼ0から5% 1703 大正地震 1703元禄地震 死者1万人 1855安政地震 死者7千人 1923大正地震 死者10.5万人 1923 大正地震 死者1万人 1703年から現在までに9回 (大正関東地震の余震を除く) 1703年から1923年(220年間)に8回 → 平均発生間隔 27.3年 30年以内に発生する確率 → 70% 程度 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

3 揺れと被害の予測 震源断層の想定 可能性のある場所 19の断層を「仮定」 内閣府が検討対象とした「首都直下地震」の断層 3 揺れと被害の予測 内閣府が検討対象とした「首都直下地震」の断層 可能性のある場所 19の断層を「仮定」 震源断層の想定 都心南部直下地震(Mw7.3) 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

「首都直下地震」が起きたら、何が起きるか 震度分布(都心南部直下地震) 震度6弱以上の面積 約 4,500平方キロ (一都三県の約3割) 首都直下地震対策検討ワーキンググループ最終報告(平成25年:内閣府・中央防災会議) 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

都心南部直下地震 (冬・夕)による被害 負傷者:最大 約123,000 人 経済的被害 95.3兆円 避難者:発災2週間後に最大で720万人 都心南部直下地震 (冬・夕)による被害 負傷者:最大 約123,000 人 避難者:発災2週間後に最大で720万人 経済的被害 95.3兆円 死者は (全体)最大2万3千人  都内:8千9百から1万3千人  約7割が火災による  (全体)61万棟:東京都内では、計33万棟が全壊・焼失する  揺れによる全壊棟数は17万5千棟 火災による全焼失41万棟 ライフライン:上水道、電力、通信の5割が断水、停電、普通。1周間以上不安定な状況 逃げ惑い 全壊・全焼失61万棟 内閣府中央防災会議(平成25年) 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

全壊・焼失棟数 (都心南部直下地震、冬夕、風速8m/s) 内閣府中央防災会議(平成25年) 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

震災時に特に甚大な被害が想定される木密地域  ・整備地域(「東京都 防災都市づくり推進計画」による)    面積7,000ha (区部面積の11%) ・居住人口約180万人(区部人口の20%) (木密地域全体は16,000ha 整備地域のうち重点整備地域は2,400ha ) 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか

4.防災・減災対策 4.2出火防止対策の強化 4.1建物の耐震性の強化 都心南部直下地震(冬深夜) 現状 耐震化率 耐震化率 8割 10割 電気関係の出火防止 電気関係の出火防止+初期消火 耐震化率 8割 耐震化率 10割 首都直下地震対策検討ワーキンググループ最終報告(平成25年12月19日公表) 都心南部直下地震(冬深夜) 2016/6/29 日本記者クラブ

まとめ 「首都圏」で大地震は「必ず」起きる 首都直下地震が起きたら、甚大な被害 になる 災害を軽減するためには、都市の強靭 化と社会の回復力の強化 自助・共助の重要性:防災教育が重要 2016/8/25 東京圏の大地震にどう備えるか