中央情勢報告 全国手をつなぐ育成会連合会 会長 久保 厚子 1
障害者支援はどう変わる 措置⇒ 支援費 (2003年) ⇒ 障害者自立支援法(2006年) ⇒ 障害者総合支援法(2012年) 措置⇒ 支援費 (2003年) ⇒ 障害者自立支援法(2006年) ⇒ 障害者総合支援法(2012年) 《国連障害者権利条約の批准》 本人主体 ・行政処分の対象 ⇒ 契約の当事者 ・家族や入所施設 での保護の対象 ⇒ 権利の主体 ・福祉の対象 ⇒ 就労の主体 ・給付の対象 ⇒ 納税者 2
変わったこと ①予算の増加 ②利用者の増加 ③支援者の変化 ④事業の変化(授産→産業) ⑤社会的役割の変化 ⑥障害者像の変化(権利の主体へ) ①予算の増加 ②利用者の増加 ③支援者の変化 ④事業の変化(授産→産業) ⑤社会的役割の変化 ⑥障害者像の変化(権利の主体へ) 3
変わったこと① 障害者福祉予算 4
変わったこと② -利用者増 ・精神障害、発達障害、難病へ利用者拡大 ・発達障害の社会増と自然増 ・医療的ケアの必要な人、行動障害の人が地域で暮 らすように ・親たちを介護・介助から解放~親の会の衰退 5
変わったこと③-新時代の事業者 ・予算/利用者の増加に伴い、事業が飛躍的に拡張 ・若い世代の起業 ・福祉以外の分野からシニア層の参入/転職組の増加 ・株式会社の参入 ※理念・思想 → ビジネス 6
これからの障害者福祉 膨張(バブル) → 成熟・選別 ・予算増の限界 ・サービスの飽和 ・権利意識の高まり ・地域社会からの要請 7
これからの障害者福祉-選択と淘汰 限られた「福祉資源」をどこに投入するか ○重度障害者(行動障害、医療ケア、高齢化) ○複合困窮(貧困、子ども、高齢者、孤立) ○地域興し、産業化、雇用創出 ×手のかからない利用者→ 福祉から解放 囲い込みは短期的利益になっても、職員育たない、 行政や家族の信頼失う ×スキル低い職員の雇用でコスト下げる ×制度の悪用 (放デイ、就労A……) 8
これからの障害者福祉-福祉現場の問題 人手不足と非効率をどうするか ・請求事務に時間と人手をかけすぎる ・朝礼で2時間しゃべる施設長 ・連絡帳を書くのに時間かかる、かつ稚拙 ・ケース会議をだらだらやる ・送迎の非効率 ・掃除など直接支援以外に時間かけ過ぎ 9
これからの障害者福祉 -支援のイノベーション 支援者のアイデンティティーとは ・より難しく高度な支援ができるようにする 経験、カン、コツ、根性、優しさ → 科学的根拠 に基づいた支援 ・福祉の役割の限定化、公的財源の傾斜 ・職員の専門性を高め、社会的立場や待遇の向上 を図る ・利用者の満足度、職員のやりがい、社会からの 信頼 10
支援者のアイデンティティーを変える かわいそうな人を預かってあげる できない人を支援してあげる 《保護・庇護》 単純労働者、3K職場からの脱却 《 仕事の煮詰》 「保護者の疲れ切った表情」「職員の生気のない瞳」「障害者は 不幸を作る」(相模原事件の容疑者) 不幸な個人体験 ↓ 生きにくさを理解し、適切な環境や支援によって障害者の幸せを創出する 障害者の豊かな地域生活を支援し、社会に多様性をもたらす ↓ 個の尊重 クリエイター、科学的専門性、ディーセントワーク 11
これからの障害者福祉-地域で支える 「我が事・丸ごと」の地域共生型福祉 地域包括ケアの深化 高齢・障害・児童の縦割りから「丸ごと」へ 「我が事・丸ごと」の地域共生型福祉 地域包括ケアの深化 高齢・障害・児童の縦割りから「丸ごと」へ 支える側と支えられる側の融合 一つの福祉事業所が高齢者から障害者、子どもまで福祉サービスを提供できるように規制緩和する。 障害者支援の事業所が高齢者向けのヘルパー派遣や通所施設などの運営ができるようになる。 専門職不足も深刻なことから、保育士、介護士、社会福祉士などの国家資格を取るためのカリキュラムの一部を統合し、限られた人材を複数の分野で有効活用できるようにする。 12
これからの障害者福祉-地域で支える 対象者の拡大 ・生活困窮者自立支援事業との連携 ・「我がこと・丸ごと」の地域共生型福祉 地域包括ケアの深化 高齢・障害・児童の縦割りから 「丸ごと」へ支える側と支えられる側の融合 重度障害者への焦点化が地域共生型福祉では 重要 13
直面する当面の課題 ・地域生活支援拠点 ・総合支援法3年後の見直し ・意思決定支援の推進 ・成年後見制度の利用促進 ・障害者虐待防止法の見直し ・障害者差別解消法の地域展開 ・全国の「キャラバン隊」活動の活性化(啓発) ・わかりやすい版冊子の活用 (啓蒙) ・報酬改定 ・障害福祉サービス等報酬改定検討チームについて ・相模原市の障害者支援施設における事件を踏まえて
総合支援法3年後の見直し検討内容 (6月26日現在) 総合支援法3年後の見直し検討内容 (6月26日現在) 15
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地域生活を支援する新たなサービス(自立生活援助)の創設 ○ 障害者が安心して地域で生活することができるよう、グループホーム等地域生活を支援する仕組みの見直しが求められているが、集団生活ではなく賃貸住宅等における一人暮らしを希望する障害者の中には、知的障害や精神障害により理解力や生活力等が十分ではないために一人暮らしを選択できない者がいる。 ○ このため、障害者支援施設やグループホーム等から一人暮らしへの移行を希望する知的障害者や精神障害者などについて、本人の意思を尊重した地域生活を支援するため、一定の期間にわたり、定期的な巡回訪問や随時の対応により、障害者の理解力、生活力等を補う観点から、適時のタイミングで適切な支援を行うサービスを新たに創設する(「自立生活援助」)。 対象者 ○ 障害者支援施設やグループホーム等を利用していた障害者で一人暮らしを希望する者等 施設 GH 病院 等 一人暮らしを希望する障害者が移行 支援内容 ○ 定期的に利用者の居宅を訪問し、 ・ 食事、洗濯、掃除などに課題はないか ・ 公共料金や家賃に滞納はないか ・ 体調に変化はないか、通院しているか ・ 地域住民との関係は良好か などについて確認を行い、必要な助言や医療機関等との連絡調整を行う。 ○ 定期的な訪問だけではなく、利用者からの相談・要請があった際は、訪問、電話、メール等による随時の対応も行う。 居宅 居宅 居宅 居宅 居宅 随時対応 (訪問、電話、メール等) 相談 要請 定期的な巡回訪問 (例:週1~2回) 自立生活援助 事業所 1818 18
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補装具費の支給範囲の拡大(貸与の追加) ○ 補装具費については、身体障害者の身体機能を補完・代替する補装具の「購入」に対して支給されているが、成長に伴って短期間での交換が必要となる障害児など、「購入」より「貸与」の方が利用者の便宜を図ることが可能な場合がある。 ○ このため、「購入」を基本とする原則は維持した上で、障害者の利便に照らして「貸与」が適切と考えられる場合に限り、新たに補装具費の支給の対象とする。 具体的内容 補装具の購入希望 ・ 成長に合わせた作り 替えが必要 ・ 適切な補装具の選定 が必要 ・ 早期に不適合が予想 されない ・ 必要な補装具が明確 貸与の活用 購入(製作) 貸与の継続 ○成長に伴って短期間での交換が必要となる 障害児 ○障害の進行により、短期間の利用が想定さ れるもの ○仮合わせ前の試用 貸与が適切と考えられる場合(例) ※ 上記のような場合が想定されるが、今後、 関係者の意見も踏まえて検討。 ※ 身体への適合を図るための製作が必要なも の等については、貸与になじまないものと考 えられる。 <貸与の活用があり得る種目(例)> 【歩行器】 【座位保持椅子】 歩行機能を補うため、 移動時に体重を支える器具 姿勢を保持することが困難な障害児が日常生活の中で使用 ※対象種目については、 今後検討。 34
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「意思決定支援ガイドライン」の概要 総論 各 論 36 ◆ 意思決定支援の定義 ◆ 意思決定支援を構成する要素 ◆ 意思決定支援の定義 ◆ 意思決定支援を構成する要素 障害者の態様/意思決定の内容(領域)/人的・物的環境等 ◆ 意思決定支援の基本的原則 ◆ 意思決定支援における合理的配慮 ◆ 意思決定支援における留意点 総論 ◆ 障害福祉サービス事業所等における意思決定支援 ◆ 意思決定支援の仕組みの構築 意思決定支援責任者の配置/意思決定支援会議の開催/意思決定支援会議の開催 ◆ 意思決定支援における連携等 相談支援事業所との連携/学校との連携/医療機関等との連携 自立支援協議会との連携/成年後見人との連携/当事者団体等の連携 等 ◆ 意思決定支援における危機管理 各 論 36
地域における成年後見制度利用促進体制の構築(イメージ) ①制度の広報 権利擁護支援の地域連携ネットワーク ④後見人等の支援 協議会(専門職団体による支援) 自治体と福祉・医療・司法等の専門職等が連携・協働し、各地域において ①広報、②相談、③制度利用促進、④後見人等の支援等を実施 →どの地域に住んでいても、必要な人が後見制度(特に保佐・補助)を 利用でき、かつ、本人の意思を尊重した柔軟な後見等を実現 地域における各種相談機関 ②必要な 権利擁護支援策の相談 中核機関(コーディネート) 後見 ・ 保佐 補助 の開始 家庭裁判所 チーム対応により 本人・後見人等を 継続的に支援 ※権利擁護支援の必要な人を早期に発見し支援につなげる ※市町村設置が望ましい 37 ③成年後見制度の 利用促進(マッチング) 意思決定支援・ 身上保護も重視した後見の実施 高齢者・ 障害者 等 本人・家族等を 支える チームの編成 ※不正防止効果も期待 親族後見人・市民後見人 専門職後見人 法人後見 ※本人の意思・身上に配慮し 適切に後見を行える候補者を検討 地域における権利擁護支援活動 (意思決定支援・日常的な見守り(日常生活自立支援事業等)) ケアマネージャー・障害者相談支援専門員等 各種福祉サービス(介護サービス、障害者サービス等) 37
社会福祉法人等による法人後見の取組 法人後見の実施体制 38 後見監督人の選任 参加 財産管理 身上配慮 後見監督人 家庭裁判所 監督 成年後見制度利用促進基本計画(案) ○ 若年期からの制度利用が想定され、その特性も多様である障害者の場合、継続性や専門性の観点から、法人後見の活用が有用である場合もあり、後見監督等による利益相反等への対応を含めた透明性の確保を前提に、その活用を図っていくことが考えられる。 ○ 社会福祉法人においては、地域の様々なニーズを把握し、これらのニーズに対応していく中で、地域における公益的な取組の一つとして、低所得の高齢者・障害者に対して自ら成年後見を実施することも含め、その普及に向けた取組を実施することが期待される。 後見監督人 後見等開始の審判 の申立て ・本人 ・配偶者 ・四親等以内の親族 ・市区町村長 利益相反行為(民法) 第八百六十条 第八百二十六条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。 (下線は「利益相反行為」を指す) 後見監督人の選任 ※申立人等の請求又は裁判所の職権で必要に応じて選任 家庭裁判所 監督 法人後見の実施体制 成年後見人等 (法人後見)の選任 補助・保佐・後見開始の審判 法人後見チーム ※継続性・専門性 参加 ○透明性の確保の例 法人外部の専門職の参加 (助言・チェック等) (例) ・法律関係者 ・医療関係者 ・会計関係者 ・福祉関係者 等 法人のサービス利用者 及び、それ以外の障害者等 財産管理 身上配慮 38