CPU冷却用素子の開発 理工学研究科環境制御工学専攻 長谷川 靖洋

Slides:



Advertisements
Similar presentations
磁歪素子を用いた3軸球面モータの 駆動原理と特性評価
Advertisements

内燃機関と外燃機関.
ヒートナイフの開発 埼玉大学 大学院理工学研究科 長谷川 靖洋
北海道大学 理学院 宇宙理学専攻 惑星物理学研究室 M 2 齊藤 大晶
発表内容 研究背景 Txリークの概念 測定・シミュレーションの方法 測定結果・誤差解析 Txリークの主な原因を特定 まとめ
新コンセプト 熱伝導グリース このグリースにTera-5シートを添付します。 其れをグリース使用前に面に敷き絶縁スペース確保と 熱伝導率向上を狙います。
機器利用講習会 「超微細光学素子を作る」 大阪府立産業技術総合研究所 フォトニクス開発支援センター (1日目)
STJ meeting takuya okudaira.
CRL 高周波磁界検出用MOインディケーターの合成と評価 1. Introduction 3. Results and Discussion
第15回セラミックス放談会 1998年6月6日 千葉大工学部 西山伸
磁歪式振動発電の 高出力化と発電床への応用
レーザー励起Csガスセル型原子発振器による測地VLBI実験
TTF骨格を配位子に用いた 分子性磁性体の開発 分子科学研究所 西條 純一.
3.8 m望遠鏡主鏡エッジセンサ 開発進捗 京都大学 理学研究科 M2 河端 洋人.
パソコンの歴史 ~1970年 1970年代 1980年代 1990年~ ▲1946 ENIAC(世界最初の計算機、1,900加算/秒, 18,000素子) ▲1947 UNIVACⅠ(最初の商用計算機) ▲1964 IBM System/360(5.1MHz, 1MB, 2億円) ▲1974 インテル8080(8.
Yutaka Yasuda, 2004 spring term
Ti/Au 二層薄膜を用いた TES-ETF X線マイクロカロリメータの研究開発
MPIによる行列積計算 情報論理工学研究室 渡邉伊織 情報論理工学研究室 渡邉伊織です。
埼玉大学 長谷川 靖洋 磁場効果を利用した マイクロワイヤーアレイ構造 エネルギー変換素子の開発 埼玉大学 長谷川 靖洋
早稲田大学理工学部 コンピュータネットワーク工学科 山崎研B4 大野遙平
機械創造工学課程 08104288 鈴木翔 担当教員 小林泰秀 准教授
メモリとHDD.
CPUの仕組み 1E16M002-5 阿部知也 1E16M007-3 伊藤達哉 1E16M026-9 小島祥太郎 1E16M069-8 峰晴晃優 1E16M070-0 宮路暁久 1E14M070-5 南元喜.
熱伝導グリース このグリースにRad-1シートを添付します。 其れをグリース使用前に面に敷き絶縁スペース確保と 熱伝導率向上を狙います。
25 ロバスト制御に基づく柔軟ベルト駆動二慣性系の外乱抑制制御 機械創造工学課程 西村光博 担当教員 小林泰秀 准教授
1.コンピュータと情報処理 p.18 第1章第1節 2.コンピュータの動作のしくみ CPUと論理回路
アクティブフィルタによるW-CDMA受信機の歪抑制に関する検討
2段式ADR冷却サイクル に関する研究 宇宙物理実験研究室 浅野 健太朗
佐藤勝昭研究室 OB会2003年11月22日  磁性MOD班.
「プラズマエッチングによるレジストパターン転写実習」
#6 性能向上、ブレイクスルー、集中と分散 Yutaka Yasuda.
コンピュータの歴史 〜計算速度の進歩〜 1E15M009-3 伊藤佳樹 1E15M035-2 柴田将馬 1E15M061-1 花岡沙紀
Fig. Crystal structure of Nd2Fe14B
蒸気タービンの流体設計の基礎 火原協大学講座 妹尾 茂樹 2018/5/19
コンピュータの基本構成について 1E16M001-1 秋田梨紗 1E16M010-2 梅山桃香 1E16M013-3 大津智紗子
一つのテーマの全体を通して遂行するには様々な力が必要
小田原高校物理部 1年 田島 弘暉 高橋 青樹 遠藤 航平 種生 あま音 飯塚 大智
空洞型ビーム軌道傾きモニターの設計 東北大学 M1 岡本 大典 .
シリカガラスの熱的性質 I 粘度,特性温度,熱膨張,比熱,熱伝導 福井大学工学部 葛生 伸.
最新 IT トレンド ARM.
連続体とは 連続体(continuum) 密度*が連続関数として定義できる場合
M-HEXA マイクロ気液熱交換器 東京大学工学系研究科 鹿園研究室 株式会社イワモト 有限会社カンドリ工業 有限会社和氣製作所.
The 20th Symposium of MRS-J, December 2010 in Yokohama
30 両端単純支持梁に対する外乱抑制制御系の製作 機械創造工学課程 11307489 古澤大輔 担当教員 小林泰秀 准教授
N型Si基板を用いたMOSFETの自己冷却効果
適応的近傍を持つ シミュレーテッドアニーリングの性能
遮熱性塗料の断熱性能評価実験  柏原 雅史.
SciFi を用いたΣ+p散乱実験での (ほろ苦い)思い出
マイクロリアクターグループ マイクロリアクター 期待効果 の特長 ◆迅速かつ精密な温度制御 ◆反応器容積が極小 ◆不均一反応効率の向上
建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <換気設備> 自然換気の仕組みと基礎
Pr1-xSrxFeO3 (0.1≦x≦0.9) の p 及び n 型熱電特性と磁性
13族-遷移金属間化合物の熱電材料としての応用
Bi置換したCaMnO3の結晶構造と熱電特性
基本情報技術概論(第13回) 埼玉大学 理工学研究科 堀山 貴史
34 PICマイコンを用いた能動騒音制御系の製作
電子システム専攻2年 遠藤圭斗 指導教官 木下祥次 教授
4/17(金) 第三回 先端プラズマ技術研究会(金三会) 2015 於 名古屋大学 工学部3号館332号室
過熱水蒸気技術について トクデン株式会社 東京営業所 浦井 弘充 第一高周波工業株式会社 機器事業部 機器開発部 吉村 拓郎 1.
外部共振器型半導体レーザー装置の製作 物理工学専攻 小菅 洋介 (M1) 〔指導教員: 熊倉 光孝〕
熱放射層による 熱源の放射冷却について.
設計工学 内容 目的 ★もの作りのための設計 ★実際の現場で役立つ設計 ★機械設計や機械作りの楽しさを知る。 ★工学的な理屈を考える。
ガスセンサーの製作 [応用物理研究室] [藤井新太郎]
Au蒸着による酸化物熱電変換素子の内部抵抗低減化効果
ARM 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
リサイクル工学特論 ~imai/recycle/recycle.html
フィルター利用 対象物は何か? 細胞をフィルターにかけるという従来技術は? どういった点で勝てそうか?夢ある応用は?
PRISM-FFAG電磁石の開発 大阪大学 久野研究室 中丘末広.
横国大理工 ○中津川博、木村優太朗、勢山峻平
熱伝導方程式の導出 熱伝導:物質の移動を伴わずに高温側から低温側へ熱が伝わる現象 対流、輻射 フーリエの法則Fourier’s law:
Presentation transcript:

CPU冷却用素子の開発 理工学研究科環境制御工学専攻 長谷川 靖洋 hasegawa@kan.env.gse.saitama-u.ac.jp 長谷川 靖洋 hasegawa@kan.env.gse.saitama-u.ac.jp http://kan.engjm.saitama-u.ac.jp/hasegawa/ Tel&Fax:048-858-3757

CPU冷却としての背景 その処理速度はMooreの 法則に従い進歩を見せている 現在、代表的なCPUのクロック周波数は約3GHz 2/8 世界最大の半導体メーカーIntel社の創設者の一人であるGordon Moore博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18〜24ヶ月で倍増する」という法則。 現在、代表的なCPUのクロック周波数は約3GHz

118mm2(厚さほぼ50μm) 熱除去をどうするか? 実状その1 2GHzのコンピュータの実状(130nm技術) 90mm 140mm 3/8 熱除去をどうするか? 実状その1 2GHzのコンピュータの実状(130nm技術) 90mm ファン 140mm ヒートシンク (アルミ製) CPUからの熱を熱伝導によって逃がす.ただし、非常に大きい 150mm OSでCPU温度を管理し、必要に応じて回転数を上げる 約10mm角 その一方、CPU一つあたりの大きさは 118mm2(厚さほぼ50μm)

熱除去をどうするか? 実状その2 おおよその目安として、現在、発熱量は20〜30W/GHzとなる。 単位面積あたりの熱量, 4/8 熱除去をどうするか? 実状その2 おおよその目安として、現在、発熱量は20〜30W/GHzとなる。 今後、集積化によって、CPUの面積が小さくなり、クロック周波数が上がり、発熱量が大きくなる 単位面積あたりの熱量, すなわち熱流束が大きくなる

熱除去をどうするか? 実状その3 目安 10000[kW/m2]:核融合 1000[kW/m2]:ロケットエンジン 5/8 熱除去をどうするか? 実状その3 熱流束の計算 クロック周波数2GHz,発熱量40W CPU断面積118mm2 つまり、40[W]÷118mm2 =0.339[W/mm2]=339[kW/m2] 目安 10000[kW/m2]:核融合  1000[kW/m2]:ロケットエンジン 100[kW/m2]:原子炉 シートシンクで除去できる熱流束の限界に来ている 事実、水冷パソコンも市販され始めた 将来、コンピュータ技術が進化し続けるためには、既に半導体技術の問題ではなく、熱除去がすべてを決めることになる

熱除去の方法 その1 ファンとヒートシンクを組み合わせた従来の方法に、ペルチェ素子を組み合わせた方式がとられる可能性が高い 問題点 6/8 熱除去の方法 その1 ファンとヒートシンクを組み合わせた従来の方法に、ペルチェ素子を組み合わせた方式がとられる可能性が高い 問題点 使用されるであろう材料が、バルクのBiTe系であるため、毒性の高いTeが廃棄されたときの社会的な責任がとれない 材料的な問題から、BiTe系のペルチェ素子の採用は困難

熱除去の方法 その2 バルクではなく、薄膜系のペルチェ素子を作製して、 CPUのホットスポットを局所的に冷却する方法を採用する 7/8 熱除去の方法 その2 バルクではなく、薄膜系のペルチェ素子を作製して、  CPUのホットスポットを局所的に冷却する方法を採用する 要求される材料 ・環境負荷が少ない ・化学的に安定 ・ゼーベック係数が大きい System on Chip

研究の方法 埼玉県産業技術総合センターに設置されているイオンプレーティング装置を用いて、酸化物系のペルチェ薄膜を作製し、性能を評価する 8/8 研究の方法 埼玉県産業技術総合センターに設置されているイオンプレーティング装置を用いて、酸化物系のペルチェ薄膜を作製し、性能を評価する