2011 行動分析学特論(4) 「思い」と「事実」の違い 強化、罰、の いったいどれを? 2011 行動分析学特論(4) 「思い」と「事実」の違い 強化、罰、の いったいどれを? HP:「望月昭のホームページ」 http://www.ritsumei.ac.jp/kic/~mochi/ ブログ: 「対人援助学のすすめ」 http://d.hatena.ne.jp/marumo55/
行動とは? ★「行動随伴性」という枠組みで行動を捉える 行動 行動 先行状況 行動 先行状況 結果状況 3点セットで「行動」をとらえる 行動することで、環境変化が生じ行動に影響
本日のコンテンツ 応用行動分析の金科玉条; 正の強化で維持される行動の選択肢の拡大 1)強化と罰:「思い」と「効果」の違い 2)罰、負の強化で統制され続けると・・
対人援助全般の作業における 行動分析的表現による一般的な目標設定 「正の強化」で維持される行動の機会を持ち、その機会が拡大していくように援助すること [正の強化]:本人にとって、“好ましい”結果事象を随伴させることによって、行動が成立・維持させる操作 [負の強化]:嫌悪的な刺激事象がなくなるという随伴性によって行動を成立・維持させる操作(いやいや行わせる)
行動の増大(維持)/減少をひきおこす二つの随伴性の手続き(強化/罰) 行動への効果で区別:「好ましい」はずなのに・・ 反応増大(維持) 反応減少 刺激の出現 正の強化 正の罰* 刺激の除去 負の強化* 負の罰 *罰の効果:「天罰」しか効かない(?) **負の強化:逃避(escape)/回避(avoidance) それまで行動を維持していた強化を中止することで行動が減少していくこと・・・ 消去
「意図」と「事実(効果)」の違い ・「ごほうび」を与える ・「体罰」を与える 一見、ややこしい分類をする意味 ・「ごほうび」を与える ・「体罰」を与える 与える側が「正の強化」と意図していても 効果は逆のことがある 「正の罰」と意図していても強化になる 場合もある
正の強化なら常にOK? ●応用行動分析の金科玉条を確認! テレビゲームばっかりやっている。 → 正の強化だからかまわない(?) テレビゲームばっかりやっている。 → 正の強化だからかまわない(?) 自傷行為が叱っても止まらない → 正の強化だからかまわない(?) 「体罰」が「正の強化」になっている → 正の強化だから、かまわない(?) ●応用行動分析の金科玉条を確認!
罰や負の強化で行動が 維持されると? 多くの社会的課題や問題行動の原因の 殆どはこのネガティブな行動の統制によるものと考えられる ●罰は一時的 ●「負の強化」で支えられている行動は、 嫌悪的刺激がなくなれば消失 ●逃れられない場合は・・・・
負の強化:嫌悪的な事態からの逃避・回避によって維持された行動の結果 「事例でわかる ヒューマンファクター」(西日本旅客鉄道株式会社安全研究所)平成19年度 誉める・叱る?
東日本震災・原発 人災の意味:「起こってはならぬ事」→事故は起こらない→対策を論じる(講じる)事も罰→対策なし
失敗を論うマスコミ JR西日本の事故報道 ・ 原発: ミス(失敗)を隠蔽する行動の維持
なぜヒトは「罰」を使ってしまうのか スキナー「罰なき社会」 「正の強化」でも「負の強化」であっても、 ヒトは即時的な強化に弱い (行動的コミュニティ心理学で実例を紹介) 「問題行動」と言われるものがなぜ維持されてしまうのか?
★ 即時的行動随伴性と社会的相互作用 「抱き癖」行動随伴性 赤ん坊の「泣く」行動 先行状況 抱かれていない 行動 泣く 後続状況 抱かれる 行動 泣く 後続状況 抱かれる 母親は、子どもの「泣く」行動を維持している 随伴性に気づいているかも知れない。 しかし維持している自分の行動を止めることができない
母親の「抱く」行動 先行状況 泣声あり 行動 抱く 後続状況 泣き声なし 一時的だが即時的環境変化 行動は、遅延する環境変化よりも、即時的な環境変化に影響を受けやすい
★社会的悪循環 「やめさせたい」と思っているのに、かえってやまらなくなってしまう相互的行動随伴性の状況 抱く 即時性が絡む 泣きやむ 泣く 抱く 即時性が絡む 泣きやむ 泣く ベッドに寝かせる
「問題行動」 いやしくも「慢性的」になっているので問題視されている。 慢性的とは、当該行動が周囲との行動随伴性関係において「社会的悪循環」になっている場合が多い。 →つまり、「やめさせたい」という思いが強いがゆえに「やめさせられない」場合がある。 →あるいは、(実際には効果のない)「やめさせる行動」自体が他から強化されて、維持している場合もあるかも知れない。
問題行動への対処 悪循環から抜けるには・・・・・ (ここで、下手にもがくとさらに捕まる) 問題行動に注目するのではなく、 今、「できること」を発展させる姿勢 (プロアクティブ) 「今」を認めるという姿勢
今,できる行動を認める(○) この図をまず思い出して下さい 反応キー(オペラントの対象) 4)キーをペック(反応) したら強化 えさ呈示装置 4)キーをペック(反応) したら強化 3)さらに上で強化 2)少し上で強化 1)餌呈示装置の近くで類似の反応を強化(えさ呈示) えさ呈示機から食べる 今,できる行動を認める(○)