山形大学と 「NPO法人小さな天文学者の会」の 連携事業 ~NPO連携モデルのすすめ~

Slides:



Advertisements
Similar presentations
高校野球選手における 練習意識に ついて ~監督の役割~ 高校野球選手における 練習意識に ついて ~監督の役割~ 保健体育専攻 指導教官:落合 優 指導教官:落合 優0451130武井 友史.
Advertisements

就業意識向上プログラムのご案内 ~第三回プロアクティブキャリアデザイン in 東京~ 東京青年会議所 港地区 平成 20 年 3 月 14 日.
入学センター入学課 佐藤 友信. 目 次 1. 提案の背景 2. 改善内容及び期待できる効果 3. まとめ 4. 今後の展望.
15秒のプレゼンテーション CMを研究しよう!
市民スポーツボランティア SV2004を紹介します
子ども達への科学実験教室の運営方法論 -環境NGO「サイエンスEネット」の活動事例をとおして- 川村 康文
≪研究テーマ≫ 氷や雪を使った商品で お金儲けできないだろうか
笑顔のコーチング in 山梨県甲府市 2012年11月17日(土) 13:30〜15:30 《笑顔のコーチングとは・・・》
国立天文台 定例観望会 2007年4月13日(金) 担当 高梨 直紘
国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
NPO法人小さな天文学者の会紹介スライド
柴田 晋平 NPO法人小さな天文学者の会 (山形大学理学部)
市民とともに学ぶ色素増感太陽電池 川村康文,田山朋子,兒玉明典 Journal of the Japan Institute of Energy(2012) 東京理科大学 川村研究室 石黒 貴裕.
星空案内人資格認定講座 星空案内の実際 小さな天文学者の会 柴田 晋平.
柏市立中原小学校 西田 光昭 教育におけるタブレット活用の             課題と展望 柏市立中原小学校 西田  光昭
スポーツGOMI拾い 久恒ゼミ.
経済学でかなえる夢 一橋大学経済学研究科長 田近 栄治.
日食直前講習会 ~太陽と月のコラボレーション~ 携帯電話のカメラで撮った月(ここの屋上の望遠鏡にて) 安全に、楽しく日食を見るために
患者を活かし、医療を変える 国際医療福祉大学 公開講座 2013年11月13日 患医ねっと 代表 NPO法人患者スピーカーバンク 理事長
【コーチング体験セミナー】 自分が変われば、相手も変わる! 人間関係・コミュニケーションが劇的に変わり、
背景について 国立天文台 天文情報センター.
ディジタル環境情報の自由で自律的な 生成/流通/加工/共有に向けて
楽しい磁石星たちの物語 第一章 地球を飛びだそう! 第二章 太陽系を飛び出そう ! 柴田 晋平(しばた しんぺい) 山形大学理学部
「大阪府南部と和歌山市の中学校・高等学校の地学(天文分野)に関する意識調査、 およびその考察」
Ⅲ.サービス開発の方法.
地域との連携は、これまでの枠を飛び越えた 科学普及手法を生み出す可能性にあふれている!
指導者養成機能を持ったNPO連携アウトリーチモデル
東大・理・天文 平松 正顕 ○東大・理・天文 高梨 直紘
スポーツ経営学 第4回目 スポーツ経営学の特徴.
天プラネット作成 平成26年度 子どもゆめ基金 子ども向け教材開発・普及活動 宇宙のすべてを俯瞰する 宇宙図@オンライン ヒアリング資料.
案内人になってから(3段ロケット) ~星空案内人®制度シンポジウムの報告~
仮説実験授業 板倉聖宣氏が1963年に提唱した授業方法. 教師が質問(こんな実験をしたらどうなるか?) 主題の明確化. ↓
夏のコンピューター学習会 WEBコンテンツ デジタル教科書 活用講座.
NPO法人 小さな天文学者の会の活動と今後の課題
研究者 市民 タイトル: 星のソムリエ資格制度の全国普及モデルの開発
WhereAmIFrom? Ver.13 もくじ ♪ NPO紹介(4分) ♪予告および4次元案内案内 前説用ポーズ
気持ちの温度を高められたり、成幸に向けてやる気スイッチを押すことができる人や相手の自発的な行動をつくり出せる人のこと!
山形発の資格制度「星のソムリエ」 と NPO法人小さな天文学者の会の活動 今後推進したい項目 #
柴田 晋平 NPO法人小さな天文学者の会 (山形大学理学部)
星の声を聞こう 千葉市科学館プラネタリウム 毎月第4日曜日午後1時~2時 プラネタリウム企画・イベント番組 NPO法人 ちばサイエンスの会.
平成十六年十一月 京都大学 小山勝二 このたび私儀、紫綬褒章受章の折には身に余るお祝い のお言葉を賜り、まことに有難うございました。
世界天文年2009事業企画書 自然科学研究機構 国立天文台
わたがし を食べちゃった 早坂キャスター ベテルギウス 三ツ星 宇宙に浮かぶ雲 オリオン座の東側の写真(学芸大学、土橋先生提供)
山形大学と 「NPO法人小さな天文学者の会」の 連携事業 ~NPO連携モデルのすすめ~
宇宙船カッシーニの土星探検 通信用アンテナ 望遠カメラ コンピュータ メインロケットエンジン 土星探査機カッシーニは1997年の10月に
都会で星を楽しむ 六本木天文クラブの活動 東京大学 生産技術研究所/EMP 天プラ プロジェクト代表 高 梨 直 紘.
愛川町 まちづくり講演会 まちや商店街を楽しみの場にする方法
マスターズ甲子園 ボランティアを楽しんでもらうには
NPO法人 シニアボランティア経験を活かす会
この絵はがきの収益は天体観望会をはじめとする
国立天文台研究会 『高精度アストロメトリ観測の時代を迎えた21世紀の天文学』 議論 世話人代表 郷田直輝
柴田 晋平 山形大学理学部 With 早坂 由美子 NHK山形 キャスター
学修する科目やプログラムの内容 名門ボーディングスクールプログラム in Lawrenceville
平成26年度 子ども虐待防止オレンジリボン 共催イベント募集&資金支援要項
NPO法人小さな天文学者の会紹介スライド
東大・理・天文 平松 正顕 東大・理・天文 高梨 直紘
望遠鏡を作って、観る 事前講習会 happy happy happy happy 柴田 神秘絵 NPO法人小さな天文学者の会
ホップ!ステップ!ワーク!2017 一般社団法人 宇治青年会議所.
宇宙から帰還した 「はやぶさ」の展示会を 山形で!
星空案内人資格認定講座 NPO法人小さな天文学者の会 (山形大学理学部) 柴田 晋平
研究紹介:山形大学物理学科 宇宙物理研究グループ 柴田研究室
学生と科学系教育施設の協力による 天文学普及活動の報告
科学館(仮称)基本構想中間報告書(案)概要
全国に広がる 「星空案内人(星のソムリエ®)」 資格認定制度 と 「やまがた天文台」における 地域貢献事業
出雲農林高校 地域との協働によるカリキュラム開発の研究
研究者情報発信活動推進モデル事業 (科学技術振興機構) 星空案内のガイドさんの資格制度がスタートします
星のソムリエTM資格制度の全国普及モデルの開発
映像を用いた 「からだ気づき」実習教材の開発
「信州環境カレッジ」カリキュラムコースの開設について
宇宙を見て、感じて、楽しもう 会報(宇宙を楽しみ。会の活動を知る窓口) やまがた天文台 参加料 無料 4次元宇宙シアターも200円引き
Presentation transcript:

山形大学と 「NPO法人小さな天文学者の会」の 連携事業 ~NPO連携モデルのすすめ~ 天文教育フォーラム「大学と地域連携による天文教育普及」 日本天文学会2006年春季年会@和歌山大学 2006年3月27日 山形大学と 「NPO法人小さな天文学者の会」の 連携事業 ~NPO連携モデルのすすめ~ 柴田 晋平 山形大学理学部 NPO法人小さな天文学者の会 山形大学理学部 地域貢献委員会 NPO法人 小さな天文学者の会

はじめに; 危機的な状況 強力な手段として、NPO連携モデルを紹介します。 はじめに; 危機的な状況 科学する心をなくしたら、そりゃ、この世は終わりでしょう。サイエンスの楽しみ方、実験・解析・検証の方法、ロジカルに考える癖、これらは若いうちに身につけてほしい。しかし、次世代を担う子供たちは理科に興味を失ってゆく。プロジェクトに大きな予算がついても、意欲ある若者が集まるだろうか? いわゆる理科離れの問題 市民の科学への関心のレベルも低い。結果として日本の技術力は危機にあり、技術がもたらす危険への社会的な抵抗力も乏しい。科学技術でなく科学が単独で価値として理解され支援される風土を創りたいがどうだろう? 強力な手段として、NPO連携モデルを紹介します。

何はともあれ活動内容を紹介をいたします。 大学(宇宙物理研究者4名)とNPO法人小さな天文学者の会(市民団体:会員数約100名)との共同による活動です。 1998年発足、2003年法人化 方針: ○宇宙を見て、感じて、楽しもう ○自然科学を市民の手に NPOメンバーの構成 天文台等最先端設備は活動のための必要条件ではありません。研究者が一人でもできます。 サイエンスにある程度のモチベーションのある高校生などを対象に研究的なものに触れさせるといった類の活動とは一線を隔する活動です。 正会員(年会費2000円)約100名 +家族会員

ガイドツアー方式 19:15~ 19:45~ 20:15~ 参加費 200円 グループによる特別公開あり やまがた 天文台 4次元宇宙 シアター 出前教室 街角で星 最先端 講演会 その他の イベント 宇宙講座 毎週土曜日一般公開 (年間利用者約1500人) ガイドツアー方式 19:15~ 19:45~ 20:15~ 参加費 200円 グループによる特別公開あり 星空案内人のおねえさん

2回上映 19:15~ & 20:15 国立天文台4D2Uの提供をうけている。 やまがた 天文台 4次元宇宙 シアター 出前教室 街角で星 最先端 講演会 その他の イベント 宇宙講座 4次元宇宙シアター 毎月最終土曜日 2回上映 19:15~ & 20:15 国立天文台4D2Uの提供をうけている。 参加費:500円 グループ上映も随時受け付け 劇団4次元による番組作りと上映。 山形の数値シミュレーションも3D映画化予定

宇宙講座 (高いニーズ) 週一回 全8回の講座を春・秋2期開催 やまがた 天文台 4次元宇宙 シアター 出前教室 街角で星 最先端 講演会 その他の イベント 宇宙講座 星空案内人資格認定制度と リンクしている 資格をとりいろいろな場面で自信をもってボランティア活動していただく。 宇宙講座 (高いニーズ) 週一回 全8回の講座を春・秋2期開催 星空入門 望遠鏡と双眼鏡 宇宙はどんな世界 15cm屈折望遠鏡望遠鏡実習 星座観察(実習) 20cm反射望遠鏡実習 星座神話 星空案内人の実際

「望遠鏡を作って、観る」はもっとも人気のあるイベント やまがた 天文台 4次元宇宙 シアター 出前教室 街角で星 最先端 講演会 その他の イベント 宇宙講座 出前教室 「望遠鏡を作って、観る」はもっとも人気のあるイベント 小学校や科学館へ出前 Happy^2法則 がもっとも顕著に現れる事業。 ○実像の立体視、○原理の理解、 ○望遠鏡製作、○月や惑星の観察(ガリレオ体験) 街角で月を: 繁華街に出向いて無理やり望遠鏡を見せる: 普段、空をみることがない 人に感動を

最先端の宇宙研究を伝える市民講座を年間1回開催 やまがた 天文台 4次元宇宙 シアター 出前教室 街角で星 最先端 講演会 その他の イベント 宇宙講座 最先端宇宙講演会 最先端の宇宙研究を伝える市民講座を年間1回開催 講師は研究最前線のトップランナーであり、かつ、市民にわかりやすく伝えるスキルを磨いていらっしゃる方にお願いする。 たっぷりある質問時間が自慢です。 同時開催の天体写真展

火星観望会、七夕観望会、星の写真展、プラネタリアンの講演、天文台講話、教育学部学生の模擬授業、、、、、 やまがた 天文台 4次元宇宙 シアター 出前教室 街角で星 最先端 講演会 その他の イベント 宇宙講座 随時開催の各種イベント: 火星観望会、七夕観望会、星の写真展、プラネタリアンの講演、天文台講話、教育学部学生の模擬授業、、、、、 NHK山形の自然(宇宙) 毎月第二木曜日 18:30 レギュラー番組で天文台でロケ 4年目に突入

わかったこと1 NPO連携のメリットは想像をはるかに上回るものだった。 教材・運営に市民の目線の補正が加わり普及度が高くなる; 参加者にやさしい運営、やさしい教材。 研究者・大学が持つ資源(資金、マンパワー、知恵)でできる事業のほぼ2倍の事業規模になる。  Eg. 運営費60万円+60万円 他分野との連携が生まれる。Eg. 福祉、環境関係のNPOとの連携。多角経営しなくてよい。

わかったこと2 うまく行くメカニズムがある。 Happy 2乗 の法則。素材の面白さが生み出す喜び。喜びを与える素材を提供できる喜び。サイエンスすることのよろこびと、豊かな社会をつくる喜び。 夢+夢+の法則。 自分の興味ある宇宙をたよりに、自分の夢を実現する場を提供している。基本的に自由な活動なんだけど、企画がわいて出てきて実現する。 良い教材が提供されていることがポイントだろう。宇宙という素材自身がよいが、良い教材を提供できていることが重要。これが種となって、Happy2乗の法則が働けば自然に発展してゆくと思われる。 逆に、メカニズムが働かないと事業は失敗する

わかったこと3 サイエンスをサポートしてくれる広い支持基盤が社会につくることができる。(未証明) 毎日の活動で肌で感じることは、科学が浸透してゆく雰囲気だ。独立法人化で基礎科学がゆくゆく衰退するのでないかと心配する会員もいる; 子供や孫を天文台や宇宙講座に連れてくる会員、科学者を目指したいという子供、、、そういった宇宙・天文の、そして広くサイエンスのサポータグループが形成されてきた。サッカーや野球と同じ雰囲気でお茶の間でサイエンスの話題が語られる風土が育っているのではないか?(ちょっと自画自賛的な評価なので慎みたいが、NPO連携モデルは推奨できる活動である。)

将来へ向けて 天文学の知識をある程度持ったリーダーになってくれる方がわれわれの組織としては不足している。星空案内人養成講座やNPO指導者養成講座に期待する。星空案内人ライセンス制度をもうすこし広めたい: 一緒にやりませんか? 指導者養成 定常性 ますます大学の財政は厳しくなっている。とくに地方大学はひどい。そんななかで、次世代のサイエンスを支えるという使命を果たすための資金をどのようにして確保するのか?

ご清聴 ありがとうございました