1948年福井地震レポート 00t3032j   荒瀬 公三.

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 軟弱な地盤では、地盤が徐々に沈下し、その上の建物が地盤に追随して傾き外壁にヒビや亀裂が生じたり、ドアの開閉がスムーズでなくなったり、雨漏りが発生したりなど、いろいろな障害が現れます。この様な現象を不同沈下といいます。  実際、住宅に関するトラブルの7割近くが地盤に関係していると言われ、不同沈下が原因と見られる深刻な被害報告は跡を絶ちません。
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1948年福井地震レポート 00t3032j   荒瀬 公三

この地震は福井平野の中~東部を震源域として発生した陸域の浅い地震で、福井市で震度6が観測された。(図1) 福井地震 (1948年6月28日、M7.1)  この地震は福井平野の中~東部を震源域として発生した陸域の浅い地震で、福井市で震度6が観測された。(図1)

福井地震の震度分布 (図1) [気象庁(1968)による]

軟弱な地盤の広がる福井平野の集落では家屋の全壊率が100%に達するところも多かった。(図2)  軟弱な地盤の広がる福井平野の集落では家屋の全壊率が100%に達するところも多かった。(図2) 福井地震の家屋全壊率分布 (図2) 沖積層での家屋全壊率が高い。 [河角(1949)、地理調査所(1949)から作成]

 被害は、全体で死者3,769名、家屋全壊36,000以上に及んだが、その発生地域は福井平野およびその付近に限られる。その他、列車の脱線転覆もあり、また土木構造物への被害も大きく、鉄道・道路・河川などに関係する構造物に被害が生じた。さらに、福井市など福井平野の各地で火災が発生して焼失家屋数は3,800以上に達した。(図3)

福井地震の被害写真(大和百貨店の大破壊 )(図3) [片山成一氏 撮影]

 一方、鉄筋コンクリート造りの高層建築では、大和百貨店の大破壊があるだけであり、その他は壁が壊れるものはあっても倒壊はなかった。  大和百貨店は震災で焼けた経歴があり鉄筋が弱くなっていたことや地盤が埋立地であったことおよび基礎が貧弱であったことが明らかにされています。この百貨店の崩壊の主原因は不同沈下で、昔の堀を埋めた跡の基礎が70cmも不同沈下した(大崎順彦 地震と建築)らしい。  問題のある大和百貨店を除けば、それに隣接する福井信託銀行の例のように、鉄筋コンクリート造りの耐震性が確かめられた地震であるともいえる。

大和百貨店に隣接した福井信託銀行で目立った被害はない(上図)  大和百貨店に隣接した福井信託銀行で目立った被害はない(上図)

この地震では、福井平野の中央部など震源域に近い地域では震度6であったが、家屋の倒壊等の被害が極めて大きかったため、この地震を契機にして、気象庁震度階級に震度7(家屋の倒壊が30%以上におよび山くずれ、地割れ、断層などを生じる程度)が追加された。

 福井平野の中・北部では、ほとんどの地域において住家全壊率が30%以上になっているため、ここでは震度7相当であったと見られる。福井地震は、軟弱な地盤上に広がる近代的な市街地のほぼ直下で起きた地震であり、このような地震は比較的限られた地域に甚大な被害を及ぼすことを広く認識させた。この地震では地表に目に見えるずれは生じなかったが、周辺での測地測量の結果、北北西-南南東方向の断層によるずれが福井平野の東で確認された。これは左ずれで、東側が相対的に最高約70cm降起し、西側が南に最大約2m近くずれた。

気象庁によって報告された余震回数を示した。  この地震の有感、無感の余震回数は、図4のように減衰した。また、最大の余震は、本震の直後(6分後)に発生し、その大きさはM5.8であった。 福井地震の日別余震回数 (図4)  気象庁によって報告された余震回数を示した。 [岡野・中村(1948)から作成]