自然言語処理2008 平成20年12月22日.

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自然言語処理2008 平成20年12月22日

心のモデルと それに基づく感情・意図推測方法 東京工科大学 亀田弘之・小澤朋之・難波創 2006年10月20日

はじめに(1/5) 社会の高度化・複雑化 いじめ 引きこもり 心の問題 「癒し」を切実に求めている

はじめに(2/5) 癒し 心理的効果 人を元気づけることや動機づける 生理的効果 ストレスを低減し血圧や脈拍を正常にさせる 現代社会に必要とされている

人との共存を目的として開発されているロボット はじめに(3/5) 人との共存を目的として開発されているロボット PaPeRo ifbot 人に安らぎや癒しを与えることができる

はじめに(4/5) 癒される~ ふれあい 円滑で自然な意思疎通が必要不可欠

はじめに(5/5) コミュニケーションによる癒しの実現 人とふれあう癒し系ロボット PDDIN PDDINです よろしく~♪

心のモデルに関するさまざまな提案がされている 従来の心・感情モデル(1/5) 心のモデル “人の心”という概念を扱う場合に,まさに その心自体を記述・表現するためのものである 心のモデルに関するさまざまな提案がされている

従来の心・感情モデル(2/5) 効果器 外界 図1:心の計算機モデル(岡田直之)

従来の心・感情モデル(3/5) 図2:意識の外にある無意識の自律分散計算結果に ボトムアップに注意を払う受動的な意識を仮定する心のモデル(前野隆司)

図3:感情の立体モデル(P.Plutchik) 従来の心・感情モデル(4/5) 図3:感情の立体モデル(P.Plutchik)

The Theory of Mind(心の理論) Premack & Wooddruff(1978) Baron-Cohen(1995)

The Theory of Mind ID (Intentionality Detector) 意図検出器 EDD (Eye-Direction Detector) 視線方向検出器 SAM (Shared Attention Mechanism) 共有注意の機構 ToMM (Theory of Mind Mechanism) 心の理論の機構

従来の心・感情モデル(5/5) 従来のモデルの問題点 1.処理のためのデータ構造やアルゴリズムが明確に示してはいない 2.工学的に応用するまでに至っていない 人とふれあう癒し系ロボットPDDINの 研究・開発による心のモデルの考案

PDDIN 研究内容 1.感情モデルの提案 2.感情モデルをもちいた,感情システムの構築 3.対話処理システムの構築 4.ロボット本体の作製 2002年度から開発されている 研究内容 1.感情モデルの提案 2.感情モデルをもちいた,感情システムの構築 3.対話処理システムの構築 4.ロボット本体の作製

PDDIN2005 デモムービー このページにムービーを挿入

考察 モデルの意義の一つは 「システムの設計図」である。 従来の心・感情のモデルは設計図としては不十分。 というのも…

ソフトウェア工学の分野では、 「大規模化・複雑化した情報システム」 に対して、様々な観点から分析・記述・設計 人間の心(脳)も同様ではないのか?

ソフトウェア工学で使用する図(UML) ユースケース図 クラス図 オブジェクト図 シーケンス図 ステートマシン図 (ステートチャート図) アクティビティ図 コンポーネント図 コミュニケーション図(コラボレーション図) 配置図 コンポジット図 タイミング図 相互作用概念図 こんなにたくさんある!

UMLでの各種ビュー こんなにたくさんの視点がある! 論理ビュー ユースケースビュー クラス図 オブジェクト図 シーケンス図 ユースケース図 アクティビティ図 ステートマシン図 (ステートチャート) コミュニケーション図 (コラボレーション図) コンポーネント図 配置図 コンポーネントビュー 並行性ビュー こんなにたくさんの視点がある! 配置ビュー

人間の心(脳)に対しても、UMLを参考にしてモデルを記述するべきであろう。 (今後の方針)

心のモデル 計算論的なモデルが必要 (今回の基本的主張)

記憶のモデル(従来のモデルの例) 銘記 保持 想起 感覚 貯蔵庫 短期記憶 長期記憶

心のモデル データ構造+アルゴリズム 知識表現+プログラム (オブジェクト指向)

心のモデルの知識表現

心のモデルのプログラム

心のモデルのプログラム 理解と生成 生成はシステム設計者依存 理解は相手がある->この解決方法は?

心のモデルのプログラム 理解と生成 生成:生成関数Fを利用 理解:生成関数Fの逆関数で推定 逆関数の存在は? 逆関数の同定(作成)方法は? 逆関数の計算は? 解決すべき問題はたくさんある! どうすればいいのか!?

刺激A 反応B

心のメカニズムは共通 図6.心のモデルの共通仮説 D:心の状態 A:発話+仕草 F: D → A D:心の状態 A:発話+仕草 同一視 心のメカニズムは共通 D:心の状態 A:発話+仕草 F: D → A D:心の状態 A:発話+仕草 F: D → A 図6.心のモデルの共通仮説

生成関数Fの定義 刺激X 心の状態Y 反応F(X,Y) α A F1 B F2 β F3 F4 γ F5 F6

まとめ 癒しを実現するためには心のモデルが重要 計算論的心のモデルが必要 計算論的とは、 知識表現+プログラム 心のモデルの提案 他者理解の方法 (IbS: Inference by Synthesis)

The Theory of Mind ID (Intentionality Detector) 意図検出器 EDD (Eye-Direction Detector) 視線方向検出器 SAM (Shared Attention Mechanism) 共有注意の機構 ToMM (Theory of Mind Mechanism) 心の理論の機構