不況に勝つ ファーストリテイリングの経営戦略 大東文化大学 5班 田中 涼 これから、5班の発表をします。発表者は左から~、そして私~です。よろしくお願いします。 私達は、「ファーストリテイリングの経営戦略」について研究しました。★ 田上 文彦 田辺 大志 土渕 義幸
発表の流れ 1.はじめに 2.企業概要 3.アパレル業界の現状 4.ファーストリテイリングの形態 5.国内ユニクロ事業 ①基盤となる独自の経営戦略 ②好調な要因 6.国内関連事業 7.結論 8.展望 9.参考文献 本日の発表は、まず、はじめに、企業概要、アパレル業界の現状、ファーストリテイリングの形態を説明します。そしてその後、ファーストリテイリングの代名詞ともいえる国内ユニクロ事業、最近話題となっている国内関連事業の経営戦略を述べ、最後に、結論、展望、という流れで発表していきたいと思います。★
1.はじめに ・ファーストリテイリングが不況の中、売り上げを伸ば していることに驚いた ・どのような戦略を取り、好調を維持しているのか 興味を持った 私達は、100年に1度の経済不況と言われている時代の中で、ファーストリテイリングが不況にも関わらず売上を伸ばしていることに驚きました。 そこで、現在も好調が続いているファーストリテイリングがどのような戦略を取ってきたか興味を持ち、調べてみようと思いました。 ★
2.企業概要 会 社 名:株式会社 ファーストリテイリング 設 立:1963年5月1日 会 社 名:株式会社 ファーストリテイリング 設 立:1963年5月1日 売 上 高:単体 約4600億円、連結 約5900億円 営業利益 :単体 約860億円、連結 約870億円 従業員数 :単体 約1700名、連結 約8000名 事業内容 :株式又は持分の所有によるグループ事業全 体の事業活動の支配・管理、製造小売業等 (2008年8月当時) 会社名、株式会社ファーストリテイリング。 売上高は単体(国内ユニクロ)が約4600億円、連結が約5900億円です。 従業員数は、単体が約1700名、連結が約8000名です。 事業内容は、グループ事業全体の事業活動の支配・管理、製造小売業です。★
3.アパレル業界の現状 予想売上高 6600億円 こちらは、アパレル業界の現状です。 こちらは、アパレル業界の現状です。 衣料品の売上高は、バブル時期が最も高くバブル崩壊後は下降線を辿っています。その低迷は未だ続き、現在に至っては不況による打撃も加わり更に厳しい状態が続いています。 しかし、そんな中でもファーストリテイリングは独自の経営戦略をとり、好調に業績を上げて来ました。★2009年8月期には過去最高の売上高である6600億円を達成する見込みです。★
4.ファーストリテイリングの形態 海外ユニクロ 管理 ファーストリテイリング 国内ユニクロ 海外ユニクロ 国内関連 グローバルブランド 英国 ファーストリテイリングの形態です。 ファーストリテイリングには、★柱となっている4つの事業があります。それは、国内ユニクロ事業、海外ユニクロ事業、国内関連事業、グローバルブランド事業です。★ 英国 中国・香港 韓国 米国 フランス 日本
4.ファーストリテイリングの形態 約8割 293億円 437億円 494億円 4,623億円 ファーストリテイリングの売上高の比率です。 ファーストリテイリングの売上高の比率です。 売上高の比率は、★国内ユニクロ事業が全体の約八割を占めており、残りの約二割はその他三つの事業を合わせたものになっています。 この比率で、国内ユニクロ事業はファーストリテイリングの売上高の大半を占めており、基盤となる事業であるということが分かります。★
4.ファーストリテイリングの形態 海外ユニクロ ファーストリテイリング 国内ユニクロ 海外ユニクロ 国内関連 グローバルブランド 英国 ここでは、各事業の事業内容について説明します。 まず、★国内ユニクロ事業はかの有名なユニクロを運営している事業で、衣料品の製造・販売をしています。現在、ファーストリテイリングの基盤となっている事業です。★ 海外ユニクロ事業は、その名の通り海外展開を行っている事業です。2001 年9 月、英国・ロンドンの初出店から始まり、現在では中国、韓国、香港、米国の5ヵ国まで展開しており、特にアジア地区に力を入れています。現段階では、全体の売上高の一割にも満たない状態ですが、今後ファーストリテイリングはグローバル化を目指すということもあり、更なる成長が期待できる事業です。★ 国内関連事業は、第2、第3のユニクロを作ることを目的とし、積極的にM&Aを行っている事業です。獲得した企業の中には、婦人服のキャビン、低価格衣料のジーユー、靴のフットパーク、婦人靴のビューカンパニー等があります。その獲得した企業に対して、ユニクロは、独自の経営ノウハウを身に付けさせるよう日々教えています。★ グローバルブランド事業は、ファーストリテイリングをグローバル化していくために、国内関連事業と同様に積極的にM&Aを行っている事業です。2006 年には、フランスのコントワー・デ・コトニエ、同じくフランスでランジェリーブランドを展開するプティ ヴィクルを子会社化しました。★ このようにファーストリテイリングは4つの事業をもち、グループ会社として成り立っています。ここで私たちは、この4つの事業の中でも、売上高の大半を占め基盤の事業となっている★「国内ユニクロ事業」と、私達の身近に存在し、また、ここ最近話題となっている事業がある★「国内関連事業」を主に調べていくことにしました。 次は、その「国内ユニクロ事業」を説明していきたいと思います。★ 英国 中国・香港 韓国 米国 フランス 日本
5.国内ユニクロ事業 「①基盤となる経営戦略」 「②好調な要因」 長年アパレル業界に君臨し続ける要因 過去最高益を出した要因 国内ユニクロ事業は、衣料品の製造・小売をしており、社会的に圧倒的な存在感を持っています。 ここでは、★ そのユニクロが長年アパレル業界に君臨し続けられる要因と、★ 不況にも関わらず過去最高益を出した要因について述べたいと思います。★ 前者を「基盤となる経営戦略」、★ 後者を「好調な要因」として説明していきます。★ 「②好調な要因」
5.国内ユニクロ事業 ①基盤となる経営戦略 幅広いターゲット設定 SPA(アパレル製造小売) 独自の製造方法 まず初めに、「基盤となる経営戦略です」 長年アパレル業界の低迷が続く中、ユニクロは日を追う毎に進化し続け、確固たる地位を築き 挙げました。そのユニクロの強みは、独自の経営戦略にあります。ここでは、その中でも最も代表的 な三つの戦略を挙げたいと思います。 1つ目は、★「幅広いターゲット設定」 2つ目は、★「SPA(アパレル製造小売)」 3つ目は、★「独自の製造方法」です。★ 次からその三つの戦略について説明していきます。★ 独自の製造方法
5.国内ユニクロ事業 独自の位置づけの確立 ①基盤となる経営戦略 <幅広いターゲット設定> ユニクロ FOERVER21 ベーシックな商品が欲しい 流行の商品 が欲しい 現代のアパレル業 ターゲットを絞り込み、そこに経営資源を集中させることが主流 独自の位置づけの確立 ユニクロ 男女問わず、幅広い年齢層にターゲットを設定 まず1つ目が、幅広いターゲット設定です。 ★ 現代のアパレル業界では、 ★ 自社の強みを活かせるターゲットを絞り込み、そこに経営資源を集中させる戦略が主流とされています。今話題のH&MやFOREVER21等は、20代~30代の女性にターゲットを絞り込んでいます。 しかし、 ★ ユニクロはその常識を覆し、★ 男女問わず、幅広い年齢層にターゲットを設定しました。 ★ それにより、 ★ 未開拓のマス(多数)の市場を獲得することができ、それがユニクロの成長に大きく繋がりました。あらゆる層から支持を獲得し、ユニクロの販売力となりました。★ また、どの世代にも受け入れてもらえるように、ベーシックなデザイン、高品質且つ低価格の商品設定を行いました。この商品設定により、★ 例えばインナーや、下着、ジーンズ等のベーシックな商品は★ ユニクロで、★ トレンドを押さえた流行の商品は★ FOERVER21でという、消費者の商品の位置づけに繋がりました。このことで、★ 海外アパレルメーカーとは異なるユニクロ 独自の位置づけを作り上げることができました。★ よって・・・ ユニクロ FOERVER21 未開拓のマス(多数)市場の獲得
SPA 5.国内ユニクロ事業 ①基盤となる経営戦略 <SPA(アパレル製造小売)> 「高品質」「低価格」商品の実現 素材調達 企画 開発 物流 販売 SPA 2つ目は、SPA(アパレル製造小売)です。SPAとは、★素材調達、★企画、★開発、★製造、★物流、★販売、のすべての★工程を一貫として捉えて制御する製造小売業のことです。 このことは、ユニクロが率先してとった戦略で、今では有名になりましたが、これがユニクロの販売力の強さの基盤となりました。このSPAの戦略を★とることによって、★あらゆる層から支持を受ける“高品質”且つ“低価格”の商品を実現することが可能になります。★ 「高品質」「低価格」商品の実現
5.国内ユニクロ事業 ①基盤となる経営戦略 <独自の製造方法> 単価を下げ、コストカットが可能 各工程を一貫することで、効率が上がる 大量生産 単価を下げ、コストカットが可能 各工程を一貫することで、効率が上がる 一貫生産体制 大量生産 一貫生産体制 匠プロジェクト 3つ目は、独自の製造方法です。今、この製造業の強さがユニクロの成長に大きく関わっています。この製造の強さには、★ 「大量生産」、★ 「一貫生産体制」、★ 「匠プロジェクト」という3つの戦略があります。 まず1つ目の★ 「大量生産」は、委託メーカーへの発注枚数を増やすことで、★ 1つあたりの単価を下げることができコストカットが可能になります。ユニクロは圧倒的な販売力でこの大量生産を最大限に活かし、低価格を実現させています。 2つ目の★ 「一貫生産体制」とは、 生地製造、染色、プリント、縫製までの各工程を同会社の中で完結することを言います。★ この体制が在庫、物流などで最大限の効率を発揮し、効率と質を両立することができます。 3つ目の★ 「匠プロジェクト」とは、★ 週に数回、各工程のスペシャリストである「匠」と呼ばれる技術担当者が現地の工場を訪れ指導して回るというものです。そのことにより、“高品質”の上、むらのない同品質の製品を大量に生産することが可能になります。 以上の大きな3点がユニクロが成長し続け、現在の確固たる地位を築いた基盤となる戦略です。 次は、ユニクロがこの不況の中過去最高益を実現することができた好調の要因を述べたいと思います。 ★ 技術担当者が指導をし、高品質を保持 匠プロジェクト
5.国内ユニクロ事業 好調の要因 ②好調の要因 ヒット商品の強化 絶え間ない改良 機能の向上 時代を切り開く商品 フリース デニム ヒートテック 次に好調の要因です。 ユニクロは、不況の煽りを受けることなく今期過去最高益を出しました。そのユニクロの業績が好調な要因は二つあります。 まず1つ目は、★ヒット商品の強化です。ユニクロは★フリースやデニム、ヒートテック等数々のヒット商品を生み出してきました。時代を切り開くヒット商品はユニクロの強みでもありまた業績にも大きく影響しています。★ヒット商品を作り出すこともすごいですが、そのヒット商品に満足することなくユニクロは★更なる機能の向上を目指しました。そこに、ユニクロの成長の要因があります。 ★まず、一躍ヒットした★フリースは、カラーバリエーションを豊富にしました。★定番商品となったデニムは、販売当初よりさらに細身にし、ストレッチ機能を加えはきやすく改良しました。また、★保湿性の高い高品質下着のヒートテックは、東レとの共同開発で生まれた商品で、2005年に保湿性の高い硬化油である「スクワラン」を利用し肌触りの良い商品に改良し、さらに2007年にはミルクプロテインを配合することで柔軟性、保湿性能を半永久的に損なわれないように改良しました。★ ヒートテックは、特に力を入れて改良した商品で、その結果、ユニクロの“代名詞”とも言われていたフリース年間販売量2600万枚を超え、★2008年には2800万枚以上の売り上げを達成し、ユニクロのナンバーワン商品となりました。★このようにユニクロはヒットしただけでは満足せず、★絶え間ない改良を重ねることによって、また新たなヒットを生み出してきました。★ このようなヒット商品の強化が★近年の好調な理由の1つに挙げられます。★ 好調の要因 種類の向上 ストレッチ機能の向上 保湿性能の向上
5.国内ユニクロ事業 消費者が買いやすい環境 集客効果が高まる ②好調の要因 メディア販売促進 認知度の高い芸能人 ヒートテック ボトムス ブラトップ 消費者が買いやすい環境 集客効果が高まる 2つ目は、★メディア販売促進です。メディア販売促進では、CMや広告などで有名人の起用を積極的に行っています。2007年秋冬シーズンに★ ヒートテックでは麻生久美子さん、★ 新美脚ボトムスに藤原紀香さん、★ ブラトップに栗山千明さんなどを起用しました。★ 認知度の高い芸能人を起用することで購買意欲を促進し、集客効果を高めています。 また、芸能人の認知度やイメージがそのまま商品の認知度へと繋がり、関心や信頼度が生まれ、★ 消費者が買いやすい環境を作っています。このように、メディア促進を★ 強化することで集客効果を高めることができ、それが近年の好調な売り上げに大きく貢献しました。 (間をおいて) 次は、ファーストリテイリングの4つの事業の一つである「国内関連事業」についてです。★
6.国内関連事業 M&A ユニクロのさらなる幅を実現 超低価格を実現 最新の流行に対応 ファーストリテイリングは、先ほど述べた国内ユニクロ事業の強化に加え、今後のさらなる発展を見すえ、近年、国内関連事業にも力を注いでいます。事業内容は他社との経営統合で、★具体的にはキャビン、ジーユー、フットパーク、ワンゾーンなどといった、★企業(事業)と統合をしています。★ これらの企業と統合を行うことにより、ユニクロだけでは成しえなかった、★売上規模や収益性を伸ばすことが可能となります。★ 近年話題となっている、ジーユーでは★チュニックワンピース、★カシミヤタッチケープ、★カラータイツ、レギンス等の商品が有名です。★ そして、ユニクロでは、品質を維持したままさらに価格を安くすることができなかったことが、★ジーユーでは少し品質を落とすことで超低価格の実現が可能となりました。さらに、単品を大量発注するユニクロでは最近の流行を追いづらいということから、ジーユーでは多種多様に商品を少量発注することで、最近の流行に対応することができるようになりました。 これらのことから、今まで成し得ることができなかったことをできるようになり、★ユニクロはさらなる幅の実現をすることができました。★ M&A
7.結論 ・国内ユニクロの独自の経営戦略の成功により、不況 でも収益を上げている ・事業全体の深い連携により、グループ企業として強く でも収益を上げている ・事業全体の深い連携により、グループ企業として強く 存在している 代表取締役会長兼社長 柳井 正 以上のことで、ファーストリテイリングが不況であるにも関わらず収益を上げている要因は、経営基盤である国内ユニクロの独自の経営戦略の成功にある、ということが分かりました。不況の煽りを受けても動じない、確固たる独自の経営戦略がそこにはありました。 またユニクロだけではなく色々な特徴をもつ関連事業があり、事業全体としての連携を深く持つことで、ファーストリテイリングがグループ企業として強く存在している、ということも分かりました。 ★
8.展望 ・国内ユニクロ事業以外の3つの事業の経営水準を向上 させ、グループ化を強化する ・グローバル化の強化 させ、グループ化を強化する ・グローバル化の強化 ファーストリテイリングの売上高の8割は国内ユニクロ事業が占めており、2割はその他の3つの事業、という現状があります。これからは、国内ユニクロ事業以外の3つの事業の経営水準を向上させ、更にグループ化を強化することが大切になってきます。それぞれの事業が実績を上げ、グループ全体の基盤を確立することで更なる成長が遂げられると考えました。 ユニクロは2001年から海外展開を行ってきましたが、思うように成長しませんでした。その理由として、現地法人の組織作り、現地でのブランド認識、無作為な出店による失敗などが挙げられます。今後、グローバル展開を強化したいユニクロは、過去の失敗を改善し、更なる海外展開の強化にあたるでしょう。海外のユニクロのブランドイメージを、国内のユニクロのイメージと同様にすること、つまりマクドナルドのように、グローバルブランドとしてのイメージを確立させることが、今後のグローバル強化に大きく繋がると考えました。 私たちは、ユニクロを世界に通用するブランドにすることが、今後のファーストリテイリングの成長の鍵になる、と考えます。★
9.参考文献 ・日経ビジネス6月1日号 ・ファーストリテイリングホームページ (http://www.fastretailing.com/jp/) ・川嶋幸太郎「なぜユニクロだけが売れるのか」 ぱる出版 参考文献はこちらになります。 以上で、大東文化大学5班の報告を終わります。 ご清聴有難う御座いました。