南魚沼市民病院 リハビリテーション科 大西康史

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介護支援サービス(ケアマネジメント) 要援護者やその家族がもつ複数のニーズと社会資源 を結びつけること。 要援護者の生活の質を高めること。 保健,医療,福祉,住宅等の各種公的サービスだけ でなく,家族、ボランティア,近隣等の支援とも調整 し,在宅生活を支えていくもの.
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予防版 MDS-HC を用い た 介護予防マネジメント. 手順 ①予防版 MDS-HC によりアセスメントを する ② CAP を選定する CAP 選定表による CAP 選定 利用者の意向を反映した選定 ③詳細検討 CAP ガイドラインを用いて、 CAP 検討用 紙に整理 ④支援計画の作成.
特別養護老人ホームさくら園 副施設長 金谷 龍太郎
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装具完成までの期間の検討 葛西循環器脳神経外科病院 リハビリテーション室1) 同脳神経外科2) 早川義肢製作所3)
脳血管障害 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 緊急処置 一般検査 画像検査 治療 診断
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関西リハビリ病院におけるCI療法 方法 治療期間 訓練内容 非麻痺側上肢をミトンで固定 麻痺側上肢のみで集中的な運動を実施
老健の作業療法における作業療法士 の問題関心 -日本作業療法学会誌抄録を手がかりとして-
2007年10月14日 精神腫瘍学都道府県指導者研修会 家族ケア・遺族ケア 埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 大西秀樹.
ゆめ・みらい百人会議 福祉・健康・教育・文化分科会.
第2回 福祉の現在・現在 厚生労働省(2018) 障害者白書 厚生労働省(2016) これからの精神保健福祉のあり方に          関する検討会資料.
第9回(第12回) 女性・中高年・障害者とスポーツ
リハビリ×福祉用具スタッフが伝える 『在宅での移動』
学習目標 1.急性期の意識障害患者の生命危機を回避するための看護がわかる. 2.慢性期の意識障害患者の回復に向けた看護がわかる. 3.片麻痺患者のADL獲得に向けた看護がわかる. 4.失行・失認の患者が生活に適応するための看護がわかる. 5.失語症の患者のコミュニケーション方法の確立に向けた看護がわかる.
緩和ケアチームの立ち上げ ー緩和ケア医の立場からー
日本社会福祉士会方式 ケアマネジメント実践記録様式
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現場で起こるQ&A 訪問依頼がありました 地域医療委員会 濵田 充.
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地域課題!? ニーズと社会資源の対応関係 利用者のニーズ 社会資源 ごみ出しが出来ない 訪問介護 すべり症 圧迫骨折 リハビリテーション
予後因子(入院時年齢・FIM・発症後日数)の階層化による回復期リハの成果測定法の提唱
経過のまとめ 家族歴、基礎疾患のない14歳女性 筋力低下、嚥下障害を主訴としてDM発症 DMは、皮膚症状と筋生検にて確定診断
各論1A【症例1】 訪問看護 1 訪問看護師が注目する問題 繰り返される誤嚥性肺炎 →嚥下機能低下に合わせた食事形態になっていない
地域リハビリテーション -訪問リハビリテーションを中心に-
4.「血液透析看護共通転院サマリーVer.2」
第20回福祉用具国民会議 在宅生活で福祉用具がどう使われているか?
高齢慢性血液透析患者の 主観的幸福感について
院内の回復期リハ病棟間の成果比較  -予後因子(入院時年齢・FIM・発症後日数)の階層化による測定法を用いて-
2011/9/29 おもてなしマイスター制度 研 修 「観光とADL」 理学療法士  川本 淳一.
今後めざすべき基本目標 ―「ケアの流れ」を変える―
やまゆり居宅介護支援事業所 管理者 中束 奈津紀
     【症例2:91歳女性】  認知症、胆管がん 20XX年 1月(90歳): ・アルツハイマー型認知症の疑い、骨粗鬆症、変形性膝関節症で近医にて加療 ・黄疸のため近隣の病院にて入院加療。胆管ステント留置し退院 ⇒加療が奏功し、全身状態は比較的安定 ・サービス付き高齢者向け住宅に入所し療養 ・廃用により体幹・下肢筋力低下。ほぼベッド上での生活。移動はストレッチャ型車いす.
第39回岡山ももネット運用会議 平成27年6月23日 於;岡山病院医療センター.
模擬退院カンファレンス 退院後の療養計画立案を目指した模擬退院カンファレスを行いました。
訪問リハビリと地域連携 ~利用者様の夢の実現~
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
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第29回 東北作業療法学会 事例報告セッション ポスター作成用 見本 2P 6P 3P 7P 4P 8P 5P 9P
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南魚沼市民病院 リハビリテーション科 大西康史 訪問リハビリテーションについて 南魚沼市民病院 リハビリテーション科 大西康史

訪問リハの指示は難しい? PT、OT、STの 仕事内容がよく わからない 実際に何を やってくれるのかな? おまかせで いいか・・・

※訪問リハの現場では、互いの職域を超えて活動を行うことが多い 理学療法士(PT) 言語聴覚士(ST) 言葉の訓練や 嚥下の訓練を 主に担当します 作業療法士(OT) 立ち上がりや 歩行など 下肢の訓練を 主に担当します 上肢の訓練や ADL訓練を 主に担当します 病院でのリハは、PT、OT、STはそれぞれの職域の境界を意識して、治療がオーバーラップしないように役割分担する。 しかし訪問リハでは、患者さんを中心とする多職種チームに、3つの職種が共にいることはない。つまり、それぞれの職域とされる以外の内容も請け負ってアプローチする必要がある。 つまり訪問リハに携わるセラピストは、リハ全般の幅広い知識と、問題を解決するための柔軟な思考を要すると言える。 ※訪問リハの現場では、互いの職域を超えて活動を行うことが多い

国際生活機能分類(ICF)について 健康状態 心身機能・構造 活動 参加 環境因子 個人因子 麻痺・筋力低下 嚥下障害など ADL 家事・仕事など 健康状態 心身機能・構造 活動 参加 住環境 福祉用具 在宅サービス ICFの定義 心身機能とは、身体系の生理的機能(心理的機能を含む)である。 身体構造とは、器官・肢体とその構成部分などの,身体の解剖学的部分である。 機能障害(構造障害を含む)とは、著しい変異や喪失などといった、心身機能または身体構造上の問題である。 活動とは、課題や行為の個人による遂行のことである。 参加とは、生活・人生場面への関わりのことである。 環境因子とは、人々が生活し、人生を送っている物的な環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境を構成する因子のことである。 個人因子とは、個人の人生や生活の特別な背景であり、健康状態や健康状況以外のその人の特徴からなる。 本人の「希望」 環境因子 個人因子

入院(急性期・回復期)でのリハの目標 狭義の「障害」をよくする 病棟でのADLの 自立度アップ 健康状態 心身機能・構造 活動 参加 入院でのリハは、「心身機能・構造」の問題を重視する。 具体的には筋力低下や麻痺といった運動機能、失語症や構音障害といった言語機能、食事のむせといった嚥下機能など、いわゆる狭義の「障害」の改善を目指すものである。 また、急性期治療後の回復期リハビリテーション病棟では、病棟でのADLの自立を大きな目標としている。 環境因子 個人因子

退院後自宅でのリハ⇒訪問リハ 自宅でのADLを改善! 家事・仕事復帰 外出の機会確保 健康状態 心身機能・構造 活動 参加 自宅のADLや 環境へのアプローチ に主眼を置く 自宅でのADLを改善! 家事・仕事復帰 外出の機会確保 健康状態 心身機能・構造 活動 参加 手すり設置などの住宅改修 適切な福祉用具の提案 心理面への アプローチ 退院後の自宅でのリハ、すなわち訪問リハは、入院でのリハとは異なり、自宅でのADLの改善が大きな目標となる。 すなわち、自宅内での歩行や階段昇降や排泄など、実際の生活の場面で介入できることに意義がある。 さらに、家事や趣味活動などができるよう支援したり、外出のアプローチなども訪問リハの役割である。 また、手すり設置や福祉用具の提案など、環境因子への働きかけも重要である。 環境因子 個人因子

【症例1】の場合・・・ 二週間の入院⇒ 筋力低下 誤嚥性肺炎⇒嚥下障害 認知機能低下 歩行困難で車いす使用 妻の介助方法は? ADL低下(排泄は?) 健康状態 心身機能・構造 活動 参加 車いす使用が可能な住環境? 段差解消などどうか? 訪問リハの指示を行う場合、ICFの分類をみて、それぞれのどこに問題があるのか、アセスメントすることがポイントである。 問題点の把握がある程度であってもできれば、それらの解決に向けたアプローチを訪問リハに指示したい。 環境因子 個人因子

自宅でのADLに着目して指示 歩行が困難と なって 車いす利用 移乗動作 (トランスファー) の反復訓練 妻への介助指導 在宅生活が 本人、家族ともに より快適になることを 目指します 適切な車いすの選定 リクライニング型か普通型か 自走型か介助型か 訪問リハの一番のポイントは、自宅でのADLに着目することである。 そのために、①利用者本人へのアプローチ、②介助者へのアプローチ、③環境へのアプローチ を考えることになる。