電磁気学C Electromagnetics C 4/24講義分 電磁場のエネルギー 山田 博仁.

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電磁気学C Electromagnetics C 4/24講義分 電磁場のエネルギー 山田 博仁

Maxwellの方程式 物質中の電磁場を規定する基本法則 ファラデーの電磁誘導則 アンペール・マクスウェルの法則 電場に関するガウスの法則 磁場に関するガウスの法則 E(x, t): 電場 (V/m) SI国際単位系 H(x, t): 磁場 (A/m) D(x, t): 電束密度 (C/m2) 変位電流 B(x, t): 磁束密度(磁場) (Wb/m2) ie(x, t): 伝導電流密度 (A/m2) re(x, t): 真電荷密度 (C/m3)

静電場 静電場の基本方程式 何故なら、ベクトル恒等式より、 第(1)式より、以下の静電ポテンシャルf(x)が定義できる 第(3)式の関係を用いて、上式を第(2)式に代入すると、以下のポアソン方程式を得る (局所的な電荷密度分布とその周りの電位を関係付ける) 上記ポアソン方程式の無限遠方でゼロとなる解は、 教科書 P20、式(2.34) 上式を(4)式に代入することにより、電場E(x)が求まる 教科書 P8、式(2.4)

静電場 微分形式でのガウスの法則 (局所的な電荷密度分布とその周りの電束密度の発散を関係付けている) 両辺をある体積 V について積分する dS V S n D(x) re(x) Gaussの定理 積分形のガウスの法則

静磁場 静磁場の基本方程式 何故なら、ベクトル恒等式より、 第(2)式のガウスの法則から、磁場B(x)はベクトル・ポテンシャルA(x)を用いて と書ける 第(3)式の関係を用いて、上式を第(1)式に代入し、ベクトル公式を用いると以下の式を 得る A(x) B(x) 上記式の解は、 V ie(x’)d3x’ 教科書 P107、式(7.46) 上式を(4)式に代入することにより、磁場B(x)が求まる 教科書 P93、式(7.7) Biot-Savartの法則

静磁場 微分形式でのアンペールの法則 (局所的な電流密度分布とその周りの磁場の回転を関係付けている) dS ie(x) S dr C n(x) H(x) 両辺をある面 S について積分する Stokesの定理 Ie H(x) 積分形式でのアンペールの法則

ベクトル・ポテンシャルは実在か? ベクトルポテンシャル A は何者? (両辺の rotation をとってみる) E と B がベクトルポテンシャル A を通して互いに関係付けられている A の空間分布に渦があると B が生じ、A が時間的に変化すると E が生じる A の時間変化は、単位電荷を持つ粒子に働く力に等しい つまり A は、Newton力学における運動量 P に対応 従って、Maxwellは A を「電磁気的運動量」と呼んでいた (ただし、後で習う電磁波の運動量とは違うので要注意) 単位電荷を持つ粒子がその位置にやってきたときに粒子が得る運動量のこと 電磁波の運動量とは違う !!

ローレンツ力と相対運動 Fy’ = q v×Bz x y z K E Bz x’ y’ z’ K’ v q Fy’ -v A -Fy’ ベクトルポテンシャル x’ y’ z’ K’ -Fy’ v + q Fy’ 磁場Bが有るのなら、必ずそれを作っているベクトルポテンシャルAが有るはず Fy’ = q v×Bz -v 座標系K’の観測者から見ると、ベクトルポテンシャルが時間的に変化しており、 電場Eとして見える。このEによって受ける力が -Fy’となるため、点電荷は動かない

ベクトル・ポテンシャルは実在か? ローレンツ力では、Eや B は単位電荷の粒子に働く「力」として定義された E、Bの代りに静電ポテンシャル(電位)f とベクトルポテンシャルAを使うこともできる 単位電荷を有する粒子は、電場 E で加速されると電位差 f 分だけのエネルギーを得る また、磁場 B の中を通ると、ベクトルポテンシャル A 分だけの運動量を得る つまり、 E と B は、荷電粒子に力を及ぼす電磁気現象 f と A は、荷電粒子のエネルギーや運動量に変化をもたらす電磁気現象

アハラノフ・ボーム(AB)効果 ローレンツ力 の関係より、 A B 電場 E も磁場 B も存在しなければ、荷電粒子 q に電磁的な力は及ばない 右の実験では、電場Eは存在せず、ソレノイドコイルが十分に長ければ、その外に磁場Bも存在しない 従って、コイルの外側を飛行する電子に電磁的な力は及ばないはず ところが、アハラノフとボームは、コイルの外側を飛行する2本の電子線の間には次式で与えられる位相差Dfが生じることを予言した つまり、ソレノイドコイルの中の磁束に比例した位相差が生じるという

アハラノフ・ボーム(AB)効果の観測 これを1980年頃に実験的に確かめたのが、日立製作所の外村 彰氏 四角いドーナツ状の微小なパーマロイ薄膜のサンプルを作り、ホログラフィー電子顕微鏡で観察した 外村 彰氏 このことは、磁場Bが無くても、ベクトルポテンシャルAが存在すれば、電子の波動関数に影響が及ぶことを示唆 リングの中と外で、干渉縞に位相差が現れている つまり、AB効果は確かに存在することを裏付けている より詳しく知りたい方は、 以下の電子情報通信学会のWebページをご参照 観測した電子線ホログラフィーによる干渉縞 ホログラフィー電子顕微鏡 http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-1.html

AB効果の検証実験から分かったこと ・ 磁場Bが無くても、ベクトルポテンシャルAが存在すれば、電子の運動に影響を及ぼす ということは、 ・ 磁場Bよりも、ベクトルポテンシャルAの方が本質的な量である ?

静電エネルギー 電荷 Q を与えた半径 a の孤立導体球の静電エネルギーを求める dq ∞遠方 dW fq 太田昭男 新しい電磁気学 p.33 電荷 Q を与えた半径 a の孤立導体球の静電エネルギーを求める dq ∞遠方 dW fq 導体上に既に電荷 q が分布している場合、導体の電位 fq は、 a q この状態から、さらに微小電荷 dq を無限遠方から導体上に運ぶために必要な仕事 dW は、 従って、導体上に電荷を少しずつ運び最終的に Q とするために要する仕事 W は、 従って、導体球は上記の静電エネルギー W を有すると考えられる(遠隔作用の観点)

帯電した導体球の周りの電場のエネルギー 帯電した導体球の周りには電場 E(r) が存在する。 dr 電場の静電エネルギー密度 ue は、教科書 p69 式(5.41)に依れば以下の式で与えられる。 a Q E(r) 従って、導体球の周りの空間に存在する電場の全エネルギーは、 近接作用の観点では、電場のエネルギーは空間に蓄積されていると考える

電磁場のエネルギー 磁場の磁気エネルギー密度 um は、教科書 p152 式(9.51)に依れば以下の式で与えられる。 勿論、ある空間 V 内の電磁場のエネルギーは、それをその空間内で体積積分したもので、 物質中(真空中)に時間的に変動しない電磁場が存在する場合、空間に蓄えられる電磁場のエネルギー密度

時間的に変動する電磁場のエネルギー 次に、時間的に変動する電磁場のエネルギーを表す式を導出してみる 以下のベクトル解析の公式(教科書 p228の一番上の式)からスタート 上式にMaxwellの方程式を代入

時間的に変動する電磁場のエネルギー(続き) 従って、 電磁場に関するエネルギー保存則 上式を、ある領域 V で積分すると、 Gaussの定理 Poynting ベクトル S = E×H を、 u 電磁場のエネルギー密度 ジュール熱によるエネルギー損失 領域 V を囲む閉曲面 S から単位時間に外部に流出するエネルギー dS S=E×H V S n U E・ie S = E×H Poynting ベクトル は、 電磁場のエネルギーの流れを現す E S H ※ Poyntingベクトルがあるからと言って、   必ずしもエネルギーの流れがある訳   ではない

時間的に変動する電磁場のエネルギー(続き) S S 電磁場のエネルギー保存則 U E・ie 電磁場エネルギーの時間的減少 熱になって損失するエネルギー 単位時間に外部に流出するエネルギー = + u と S の関係は? 単位体積当たりの 電磁場のエネルギー 単位時間に単位面積を通過する電磁場のエネルギー u S = E×H c 電磁波は、単位時間に光速度 c だけ進む

ベクトル解析の復習 重要なベクトル恒等式 ラプラシアン ダランベルシアン ガウスの定理 ストークスの定理 dS F V S n dS F S dr C n

ベクトル解析の復習 演算子∇(ナブラ)と D(ラプラシアン)の意味 勾配(gradient) 発散(divergence) ナブラ∇と E(x)のスカラー積 スカラー積(内積)

ベクトル解析の復習 回転(rotation) ナブラ∇と E(x)のベクトル積 ベクトル積(外積)