大気圧コロナ放電によるVOC分解 Decomposition of VOC using a corona discharge at atmospheric pressure 畑 康介* 佐藤 孝紀 伊藤 秀範 (室蘭工業大学) はじめに 実験装置および実験条件 実験装置 背景 放電リアクタ (アクリル製,

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大気圧コロナ放電によるVOC分解 Decomposition of VOC using a corona discharge at atmospheric pressure 畑 康介* 佐藤 孝紀 伊藤 秀範 (室蘭工業大学) はじめに 実験装置および実験条件 実験装置 背景 放電リアクタ (アクリル製, 円筒) 揮発性有機化合物(VOCs : volatile organic compounds ) 外径:φ100mm,内径:f 80mm 長さ :210mm 浮遊粒子状物質(SPM)や光化学オキシダントの前駆物質 土壌汚染や人体に対する健康被害       複数針電極 針電極支持板(真鍮製) :55mm×150mm×3mm  :f 1.65mm×416穴 針(ステンレス製)   :f 1.5mm×16.3mm 大気汚染防止法の改正(1) 濃度規制 これまで対象外だったメタノールおよびアセトンなども規制対象となった 濃度規制+総量規制 (塗料,接着剤,化学製品,ゴム製品など多分野で使用) 試験用変圧器 スライダック 入力電圧 :100V 出力電圧 :50kV 周波数  :50Hz 入力電圧 :100V, 50Hz 出力電圧 :1kVA, 0~130V 従来の処理法に加えて効果的で低濃度まで処理できる方法の確立が必要 酸素   :純度 99.5% 窒素 :純度 99.999% メタノール :純度99.8%以上 アセトン:純度99.5%以上 VOC排出量の上位物質(平成17年度)(3)   実験条件 メタノール アセトン 1. トルエン 2. キシレン 3. 酢酸エチル 4. メタノール 5. エチルアルコール 6. エチルベンゼン 7. イソプロピルアルコール 8. メチルエチルケトン 9. ジクロロメタン 10. 酢酸ブチル 11.  n-へキサン 12. トリクロロエチレン 13. メチルイソブチルケトン 14. アセトン 15. シクロヘキサン 16. テトラクロロエチレン 17. N,N-ジメチルホルムアミド 18. プロピレングリコールモノメチルエーテル 19. エチレングリコールモノブチルエーテル 20. エチレングリコール 印加電圧[kV]       AC 8.6~12.5 窒素:酸素混合比[%]    80:20 ギャップ長[mm]        15 印加電圧[kV]         AC 9.3~12.6 窒素:酸素混合比[%]         80:20 ギャップ長[mm]             15 メタノール濃度[ppm]                 70,100,150,200,300,500 ガス流量 [slm]        2 アセトン濃度 [ppm]       150,300,500 ガス流量 [slm]            2  各排ガス処理法の有効適用範囲(2) 目的 メタノール濃度 [ppm]            300 ガス流量 [slm]              2,5,10         アセトン濃度 [ppm]      300 ガス流量 [slm]       2,5,10 窒素-酸素混合ガスにメタノールまたはアセトンを混合した模擬排ガスをコロナ放電によって分解し,その特性を調査した 実験結果および考察 (3) 作用エネルギー密度に対するメタノールおよびアセトンの分解率 (1) 放電電流-印加電圧特性  メタノール  アセトン  メタノール  アセトン 初期メタノール濃度が高くなるに従って放電電流値は減少し,濃度が500ppmのときに放電電流値が最小となった 初期メタノール濃度の増加とともに放電が火花放電に進展しやすい傾向を示したが,流量の変化は放電状態にはほとんど影響しなかった アセトンの分解において,ガス流量が大きくなるに従って放電電流値が増加し,流量が10slmのときに放電電流値が最大となった 初期アセトン濃度の変化は放電状態にはほとんど影響しなかった 作用エネルギー密度(5) 作用エネルギー密度 [W/(ppm・slm)] 1ppm,1slmあたりの被分解物に注入されるエネルギー 注入電力 [W] = 被分解物の初期濃度 [ppm] × ガス流量 [slm] 作用エネルギー密度の増加に伴い分解率が上昇している 交流では,正となる位相ではグローコロナを経てストリーマコロナへと放電が進展するが,負となる位相ではグローコロナのみが発生し,ストリーマへの移行がない 直流コロナ放電のほうが分解率が高い 作用エネルギー密度 > 0.02 W/(ppm・slm) 作用エネルギー密度 > 0.015 W/(ppm・slm)   (2) 赤外吸光度スペクトル測定による分解生成物の特定  メタノール 作用エネルギー密度 < 0.02 W/(ppm・slm) 作用エネルギー密度<0.015 W/(ppm・slm)   交流コロナ放電と直流コロナ放電による分解 率の差はない 交流コロナ放電のほうが分解率が高い  アセトン 交流では目視でストリーマコロナを確認することができたが,直流では目視でストリーマコロナをほとんど確認することができなかった メタノールおよびアセトンはストリーマコロナの形成によって効果的に分解されると考えられる 交流コロナ放電におけるメタノールおよびアセトンの分解生成物;CO2 ,CO ,N2O ,O3 メタノールの分解において,交流コロナ放電と直流コロナ放電の分解生成物(4)に違いはない 汚染ガス 直流コロナ放電 交流コロナ放電 まとめ 窒素-酸素混合ガスにメタノールまたはアセトンを添加した模擬排ガスをコロナ放電によって分解し,初期濃度およびガス流量を変化させた時の特性を調査した メタノールおよびアセトンの分解生成物は,CO2,CO,N2OおよびO3である メタノールおよびアセトンの分解率は,作用エネルギー密度の増加に伴い増加する メタノールの分解において,作用エネルギー密度が0.02 W/(ppm・slm)以下の時,交流コロナ放電のほうが分解率が高い アセトンの分解において,作用エネルギー密度が0.015 W/(ppm・slm)以下の時,直流コロナ放電と交流コロナ放電による分解率の差はない メタノールおよびアセトンは,ストリーマの形成により効果的に分解されると考えられる (1)環境省: “大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行について”, (2005) (2)Jen-Shin chang:”大気汚染物質の環境対策技術の現状と課題 ”,応用物理,69巻,3号,pp.268-277(2000) (3)環境省: “VOC排出イベントリ”, (2007) (4)菊池将臣・松田修政・佐藤孝紀・伊藤秀範 : “弱電離気体プラズマの解析(LXVⅢ) 分散配置クラスタ型 針電極を用いたコロナ放電リアクタによるメタノール分解”,電気・情報関係学会北海道支部連合大会講演論文集,54,(2006) (5)後藤直彦・栗本英人・工藤聡・渡辺良男: “微量の酸素を含む窒素ガス中でのバリア放電によるベンゼン分解”,電学論A, 123, No.9, (2003) 900