追加資料① 岸本 祐二
Contents (1) 古典的コンプトン法を利用したら (2) REPに対する感度 (付録1) 各観測対象のFlux (付録2) ベッセルを2層化した場合に伴う シンチレーションカメラの隙間がなくなる効果
(1) 古典的コンプトン法を利用したら
古典的コンプトン法での検出効率 低エネルギーの検出効率を上げるために、古典的コンプトン法を利用してみた。具体的な変更点は以下の通り。 ①コンプトン点をトラック座標の平均値から求めるようにした ②Nhitカット、αカット、エネルギーとトラック長でのカットをなくした コンプトン確率 反跳電子がガス中に全てのエネルギーを落とす 散乱γがシンチに全てのエネルギーを落とす 1本のPMTに全てのエネルギーを落としている コンプトン点がfiducial volume(28×28×28cm3)中にある se Energy cut後 (式は※2) PSF cut後 (※3)
古典的コンプトン法でのPSF 古典的コンプトン法を利用した場合のPSFを求めた。愚弟的には再構成リングを重ねた2次元イメージ(X,Y)をX軸方向にプロジェクションし、Lorentzianでフィットして求めた。 FWHM
Kirunaでの感度予測 高度40km 南中を跨ぐ24時間×10日間観測(高度40km、BG5倍) Cygnus X-1 南中を跨ぐ24時間×10日間観測(高度40km、BG5倍) 2108 [photons], Bg : 1005510 [photons] → S/sqrt(S+2B) = 1.49, S/sqrt(S+B) = 2.10 Crab Nebula 南中を跨ぐ21時間×10日間観測(高度40km、BG5倍) 1252 [photons], Bg : 576889 [photons] → S/sqrt(S+2B) = 1.17, S/sqrt(S+B) = 1.65
古典的コンプトン法を使った場合の改良の効果 古典的コンプトン法を使った場合は下記の<D>の効果が望めなくなる。 <A> ガスを1.5気圧にする ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ → Ref.高橋修論 <B> ベッセルの2層化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ → Ref.P40 <C> 姿勢を制御し天体追尾 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ → Ref.P42 <D> αカットの代わりにDeltaカット ・・・・・・・・・・・・・・・・ → Ref.P36 <E> PSFカットの最適化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ → Ref.P31 Significanceが何倍になるか <A>~<E>全部やると ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ×3.2 1.57σ以上の観測条件ならば改良を施した場合に5σを達成できる 次ページのSignificanceは、検出器の改良の効果が上記の通りであるとして計算する
古典的コンプトン法を利用した場合の選択肢 シミュレーションの結果から実現可能と判断できる選択肢は以下の通りである ① 2013年キルナでCygnusX-1を11日間観測 (観測条件) 40km、11日間 (検出器に必要な条件) 高橋ガス1.5気圧、TPC容器2層化、姿勢制御(詳しくは前ページ) → 4.98σ ② 2013年キルナでCrabを18日間観測 (観測条件) 40km、18日間 → 5.00σ ③ 天体観測以外の目標を探す ※高橋ガス → Ar : CF4 : iC4H10= 54 : 40 : 6(分圧比) ※検出器に必要な条件は前ページの改良の効果を考慮して見積もっている。セレクションの改良効果も計算に入っている キルナでのフライトの前には、検出器以外の装置(特に電源周り)の試験を行うべき (α) 2012年大樹町で検出器以外の装置の試験 (β) 2012年キルナで検出器以外の装置の試験 上記の①~③と(α)、(β)いずれかの組み合わせが現実的
(参考)400keV以下のみ古典的コンプトン法を利用した場合の感度予測 高度40km、キルナ Cygnus X-1 南中を跨ぐ24時間×10日間観測(高度40km、BG5倍) 2098 [photons], Bg : 994421 [photons] → S/sqrt(S+2B) = 1.49, S/sqrt(S+B) = 2.10 Crab Nebula 南中を跨ぐ21時間×10日間観測(高度40km、BG5倍) 1228 [photons], Bg : 570390 [photons] → S/sqrt(S+2B) = 1.15, S/sqrt(S+B) = 1.62 ほとんど変わらない
(2) REPに対する感度
REPに対する感度予測 高度40km、キルナ Significance REPのFlux 2.71*102*E-1.6 (100keV ≦ E ≦ 350keV) [photons/(cm2 sec keV)] 3.47*105*E-2.8 (350keV ≦ E ≦1100keV) [photons/(cm2 sec keV)] ref: J. E. Foat et al. Geophysical Research Letters 25 (1998) 4109-4112 (論文中のFig2をフィットして求めた) Frep(E) = ※継続時間で平均したフラックス(継続時間~10分) Significance 仰角50度の方向で継続時間10分のREPを 捉えた場合(高度40km、BG5倍) 90.9 [photons], Bg : 7.31 [photons] → S/sqrt(S+2B) = 8.85, S/sqrt(S+B) = 9.17 Preliminary
REPに対する感度の仰角依存性 高度40km、キルナ、継続時間10分 Preliminary REPは見れそう
(付録1) 各観測対象のFlux
各観測対象のflux ・Crab ・Cygnus X-1 ・REP REP Crab Cygnus X-1 観測対象のflux Fneb(E) = 37.5*10-5(E/100keV)-2.18 [photons/(cm2 sec keV)] Fpul(E) = 7.6*10-5(E/100keV)-2.04 [photons/(cm2 sec keV)] FCrab(E)=Fneb(E)+Fpul(E) ref: L.M.Bartlett et al. AIP conf. Proc. 304 (1994) 67 Fcyg(E) = 0.533*E-1.39 *exp(-E/158) [photons/(cm2 sec keV)] ref: B. F. Philips et al. APJ 465 (1996) 907-914 ・REP 2.71*102*E-1.6 (100keV ≦ E ≦ 350keV) [photons/(cm2 sec keV)] 3.47*105*E-2.8 (350keV ≦ E ≦1100keV) [photons/(cm2 sec keV)] ref: J. E. Foat et al. Geophysical Research Letters 25 (1998) 4109-4112 (論文中のFig2をフィットして求めた) Frep(E) = ※継続時間で平均したフラックス(継続時間~10分) Extended Ling model 大気深さ 2.9 g/cm2 REP LingのBgモデルをpower law で100keVまで延ばしたもの ref: 高田さんがApJに投稿中の論文 Crab Cygnus X-1 ※これは三陸での値。高田さん計算 から、キルナでは5倍にして使用している 観測対象のflux Bg(Cosmic+Atmospheric)のflux
(付録2) ベッセルを2層化した場合に伴う シンチレーションカメラの隙間がなくなる効果
シンチレーションカメラの隙間がなくなる効果 ベッセル2層化に伴い、シンチレーションカメラの隙間がなくなる効果を調べた。検出効率の向上率を示した図が以下の通り。 シンチレーションカメラの隙間がなくなる効果は2~3割程度
まとめ ・ 検出器に全ての改良を加え、古典的コンプトン法を用いた場合、キルナでCygnus X-1を11日間観測すれば5σの有為性で検出できる ・ 検出器に改良を加えなくても、エレベーションが30度以上のREPであれば5σ以上の有為度で検出できる