第3章 テンダーロイン・コミュニティー・スクール -NPOが支援する学校- 総合政策学部4年 山中 司 環境情報学部2年 外山理沙子
サンフランシスコの最貧地区 テンダーロイン地区 「シティー・ホール」と「ケーブルカーの出発点」の間 移民専用アパート、マッサージ店、パーラー、酒屋、売春宿、エスニック・マーケット、薬物販売所・・・ 18歳以下の人口は3,500人、全体の15%(サンフランシスコ全体では3%) 市内最低の家賃、礼金・敷金なしという条件が貧しい移民や難民をひきつける closed, isolated, unattached, ignored… 「公立校ができたらいいだろうなぁ。街が一変するだろう」
BA WCC “Bay Area Women’s and Children’s Center” 衣服の無料提供 履歴書の代筆 求職情報の提供 専門医の紹介 奨学金 アーツ・プログラム プレイグラウンドの運営 いろいろなリソース・ガイドの出版 ベーシック・ヒューマン・ニーズから、人間的で文化的な生活までをサポートする意思が伺える。
「無駄な努力」と揶揄された学校づくり 時流に逆らったネイバーフッド・スクールの申請 虐げられた者としての不満の鬱積 公教育政策上、人種バランスを保つために「派遣される貴重な資源」 住民投票による9500万ドルの教育公債の発行 「トーマス・A・エジソン・エリメンタリー・スクール」と共にエジソン・プロジェクトにコンバートせよとの学区オフィスの圧力 びっくりするより呆れてしまう(メンバーのジム・レドモン)
コミュニティー・センターとしての小学校 貧困と犯罪に苦しむ地区全体にとっても新しいスタート 新校長ジェイン・フェイ 「この学校が中心となりコミュニティーがまとまっていくこと」 総額2150万ドルの鮮やかな赤色と黄色に塗られた校舎(建築家ジョー・エシュリックの努力) テンダーロイン・ファミリーセンター 1階; ファミリールーム 2階; ローザス・キッチン 3階; フィリス・ガーデン メディカル・クリニック、デンタル・クリニック、カウンセリング・センター、成人教育センター
テンダーロイン・コミュニティー・スクールの意義① チャータースクールではない、コミュニティ・スクールへの執着 エジソン・プロジェクト社の長短の徹底的調査 運営校の財政難、教員の経験不足、特に若手教員の低い定着率 模範となる公立校へのこだわり (コミュニティーの現状を的確に把握し、適切な教育を施そうとする責任感) ギャップ社のドナルド・フィッシャーからの130万ドルの寄付の辞退。バイアスをかけず、現状に相応しい教育の模索
テンダーロイン・コミュニティー・スクールの意義② 一律ではとらえられないコミュニティーのニーズとバックグラウンド 生活そのものに苦労し、言語を含め、教育どころではないコミュニティー・バックグラウンド (他の地域の教育や父母の状況からとの明白な違い) 地元に残された人たちに信頼され、喜ばれるネイバーフッド・スクール 子どもたちの教育、住民のプライド、安定性、士気など、コミュニティーのニーズを満たす、地域に根ざした新しい地域活性化のモデル
テンダーロイン・コミュニティー・スクールの意義③ 安易なチャータースクールへのコンバージョンへの警鐘 「教育」に求めるもの、期待するものの本質的な違い 最貧層によって構成されるコミュニティーのニーズが、必ずしもチャータースクールの理念とマッチングするとは限らない (最貧層がいつも救われない) 経済的理由があまりにも先行しすぎて、教育者としての資質や理念が二の次になってはいないか