決議23-34  の 杞憂 小船井PDGから貴重な時間を20分割いていただきましたので、ここで今話題の中心になっている決議23-34についてお話をいたします。 決議23-34に対する国際ロータリー理事会の対応について諸説が飛び交っています。廃止されると心配される方もいるようですが、このドキュメントは国際大会における決議なので、規定審議会の議を経なければRI理事会が勝手に廃止するわけにはいきません。しかし、RI理事会がこのドキュメントをロータリーの公的文書に記載しないと決めることは自由なので、かつての「道徳

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決議23-34  の 杞憂 小船井PDGから貴重な時間を20分割いていただきましたので、ここで今話題の中心になっている決議23-34についてお話をいたします。 決議23-34に対する国際ロータリー理事会の対応について諸説が飛び交っています。廃止されると心配される方もいるようですが、このドキュメントは国際大会における決議なので、規定審議会の議を経なければRI理事会が勝手に廃止するわけにはいきません。しかし、RI理事会がこのドキュメントをロータリーの公的文書に記載しないと決めることは自由なので、かつての「道徳律」のように歴史的文献という枠に閉じ込めて、ロータリアンの目に触れないようにすることは可能です。 決議23-34を社会奉仕に関する方針だと解釈している人も多いようですが、この原文が「綱領に基づく諸活動に関するロータリーの方針」であることから、単に社会奉仕の留まらず、ロータリーのすべての活動の指針です。従って、これを失うことはロータリーのすべての活動の指針を失うことを意味するので、これを失うことだけは何としてでも避けたいものです。 さて、RI理事会におけるこの問題に関する議論の顛末を幾つかのソースを経て入手し、その内容を客観的に分析してみましたので、これを公開して皆様のご批判を仰ぎたいと思います。

ビル・サージャント元RI副会長とエド・フタ RI事務総長の2007年11月開催のRI理事会に対する提案 ロータリー章典や手続要覧の改訂版からこの声明を削除する 元RI副会長ビル・サージァントとエド・フタ事務総長は、決議23-34の多くの部分が現在のロータリーの社会奉仕原則と合致しないという理由で、2007年11月に開催された理事会に次の提案をしました。 1.社会奉仕に関する1923年の声明が、社会奉仕の理念や国際ロータリーやクラブの方針を必ずしも正確に説明していないように思われる。 2.ロータリー章典と手続要覧の改訂版からこの声明を削除するよう事務総長に要望する。

具体的理由 アメリカに限定して、小規模な商売人で構成されていた時代に作られた組織なので現代にそぐわない 現在のクラブの社会奉仕活動とは合致しない。これを遵守すれば何もできなくなってしまう 決議23-34に敢えて違反したので、ポリオや3-Hが可能になった 決議23-34が現在の社会奉仕の理念や国際ロータリーやクラブの方針と合致しない理由として次のように述べています。 決議23-34はロータリーがアメリカ中心の組織であり、かつロータリアンの大多数が小規模な商売人で構成されていた1923年に作られたものなので、現在の状況には必ずしも適応するものではありません。決議23-34は、明らかに現在のロータリークラブにおける社会奉仕活動とは合致しませんし、これを厳守しようとすれば、私たちは何もできなくなってしまうでしょう。現に、私たちは決議23-34の原則を破ってきたからこそ、3-Hやポリオ・プラスの活動ができたのです。 決議23-34は、この原文が「綱領に基づく諸活動に関するロータリーの方針」であることからも判るように、単に社会奉仕だけではなく、ロータリーのすべての奉仕活動の指針となるものです。従って、これを失うことはロータリーのすべての活動の指針を失うことを意味します。

当時の仕立屋や靴屋にはこの問題があったとしても、現在利己と利他との調和に悩む人はほとんど存在しない RIはプロジェクトの提案だけではなく指示をすべきである 他の組織が全くそれをしない場合だけ奉仕活動を実施するのならば、何もできない 決議23-34は、他人のために奉仕したいという義務と利益との間に常に存在する矛盾を和らげようという哲学を引用しています。当時の仕立屋や靴屋の経営者にはこの問題があったとしても、今日、この矛盾が存在するのは僅かな人に過ぎません。 決議23-34は、国際ロータリーが役立つ提案をするのはかまわないが、プロジェクトを指示してはならないと定めていますが、ポリオ・プラスはこれに違反することで大きな成果をあげました。 決議23-34は、他の組織が全くそれをしない場合だけ、ロータリークラブが社会奉仕プロジェクトに従事すべきであると定めていますが、この条文が好きで何もしないクラブが多く見られます。現に1947年当時私のクラブがそうでした。 と述べています。 第1条に記載されている「ロータリーは、基本的には、一つの人生哲学であり、それは利己的な欲求と義務およびこれに伴う他人のために奉仕したいという感情とのあいだに常に存在する矛盾を和らげようとするものである。この哲学は奉仕-超我の奉仕-の哲学であり、-最もよく奉仕する者、最も多く報いられる-という実践理論の原理に基づくものである。」という文章はロータリーの奉仕理念すなわち奉仕哲学を定義した極めて重要な文章です。 ビル・スチュワートが述べたように、もしも現在のアメリカに利己と利他との調和に悩む人など存在しないのならば、エクソンの事件など起こる道理がありません。アメリカ人の利己と利他の心が調和しているとは笑止千万な話であり、僅か400年の文明しか持たない新興国の人に哲学を語らせることの危険性を感じます。

決議23-34は、社会奉仕の理念やRIやクラブの方針を必ずしも正確に説明していないように思われる 2008年1月の理事会に報告するために、手続要覧とロータリー章典の改訂版に歴史的文献を保存するための新しい形式を提案するよう事務総長に要請する これに対してRI常任委員会はRI理事会に対して次のように勧告しました 決議23-34は、社会奉仕の理念や国際ロータリーやクラブの方針を必ずしも正確に説明していないように思われる。従って2008年1月の理事会において、手続要覧とロータリー章典の将来の版に歴史的なドキュメントを保存するための新しい形式を提案するよう事務総長に要望する

決議23-34は、社会奉仕の理念やRIやクラブの方針を必ずしも正確に説明していないように思われる 2008年1月の理事会決定 決議23-34は、社会奉仕の理念やRIやクラブの方針を必ずしも正確に説明していないように思われる 今後の手続要覧の改訂版に、決議23-34を歴史的文書として保存すること 1923年の声明が歴史的な価値を有するものとして、手続要覧に記載されていることを言及する文をロータリー章典に含めること これを受けて、2008年1月に開催された国際ロータリー理事会は次の案件を決定しました。 ロータリー章典を下記のように修正する 現在の方針や手続きに加えて、ロータリアンにとって歴史的な価値を持つ過去のRI理事会や国際大会の決定や声明がある。このような決定や声明は、現在のRIの方針を表すものではないが、歴史的な意味合いからロータリアンやロータリークラブによって参考になるものである。事務総長は、ロータリアンにとって歴史的な価値があると思われる、すべての過去の方針、手続き、および声明のリストを保存するように努力しなければならない。 今後の手続要覧の改訂版に、社会奉仕に関する1923年の声明を歴史的文書として保存すること 1923年の声明が歴史的な価値を有するものとして、手続要覧に記載されていることを言及する文をロータリー章典に含めること を決定しました。 すなわち歴史的文書として保存することを定めたものの、決議23-34の全文が手続要覧やロータリー章典に掲載されるか否かは、この決定からは明らかではありません。

2008年6月 ロータリー章典 決議23-34の本文抹消 歴史的文書としての記載なし 2008年6月 ロータリー章典 決議23-34の本文抹消 歴史的文書としての記載なし 008年6月の発表されたロータリー章典からは決議23-34は完全に抹消されており、歴史的に貴重なドキュメントとして別途収録するという決定も守られていません

2008年11月 ロータリー章典 決議23-34の本文抹消 歴史的文書としての記載なし 1923年の社会奉仕に関する声明 2008年11月 ロータリー章典 決議23-34の本文抹消 歴史的文書としての記載なし 1923年の社会奉仕に関する声明  理事会は、歴史的な価値を考慮して 手続要覧の将来版の発行に当たって社会奉仕に関する1923年の声明を含めることを事務総長に要請した。 つい先日「ロータリー章典11月」が発表されましたが、決議23-34の本文は抹消されたままで、歴史的文書としての別途記載もありません。 その代わりに「8.040.2. 1923年の社会奉仕に関する声明」という項目が新設されて、「理事会は、歴史的な価値を考慮して手続要覧の将来版の発行に当たって社会奉仕に関する1923年の声明を含めることを事務総長に要請した。(2008年6月RI理事会)」という記載が加わっています。 現在のロータリー章典には「1923年の社会奉仕に関する声明」という言葉だけが残ったものの決議23-34の本文は完全に姿を消してしまい、現時点では歴史的に貴重な文献という項目は、RIの諸規約、公式文献、ウエブサイトのどこを見ても見当たりません。 かつて道徳律が公式文献が排除され、なんとか道徳律という言葉だけが国際ロータリー細則16条に残ったものの、やがて道徳律という言葉そのものも消えていったことを思い出し、決議23-34も同様な経緯をたどりはしないかと心配しています。 「手続要覧に1923年の声明を含めることを事務総長に要請する。」という表現も引っ掛かります。RIにおける最高の意思決定機関であるRI理事会が、事務職員の長に過ぎない事務総長に要請するのはいささか筋違いで、これは指示ないしは命令すべきでしょう。ボランティアとして奉仕しているロータリアンと給料をもらって働いている事務総長とは、立場の違いを明確にする必要があります。さらにこの決議23-34を削除しようという提案をだした張本人の一人が事務総長ですから、理事会からの要請を無視する可能性は否定できないと考えるのは果たして杞憂に過ぎないのでしょうか。

ロータリーの奉仕理念 He profits most who serves best 変えてはならないもの ロータリー哲学 ロータリーの奉仕理念 He profits most who serves best Service above self 変えてはならないものと、変えなければならないものがあります。変えてはならないものは哲学すなわちロータリーの奉仕理念です。これを変えればロータリーとは異なった組織になってしまいます。従って「この哲学はService above Self の奉仕の哲学であり、He profits most who serves vest という実践倫理に基づくものである」と定義している決議23-34第1条を変えることは許されません。

変えなければならないもの RI・地区、クラブの管理運営 奉仕活動の実践 変えてはならないものがある一方で、変えなければならないものがあります。組織の管理運営を長年変更せずに放置しておくと、必ず制度疲労を起こして、その組織は衰退の道を辿ります。すなわち第2条、第3条は現状にマッチするように変える必要があります。さらに奉仕活動の実践は社会のニーズに従って実践する必要があります。ロータリアンの思いつきで奉仕活動の選択をすべきではありません。そのためには、第4条、第5条、第6条は社会のニーズに沿った内容に変える必要があります。

新しい声明の策定 ロータリーの理念とすべての奉仕活動の実践の指針 ロータリー哲学の再確認 RIとクラブとロータリアンの役割を明確に規定する 現在の人道的奉仕活動のニーズに適った指針 決議23-34の内容に現代にそぐわなくなっている個所があることも事実です。いたずらに決議23-34にしがみつくのではなく、ロータリーの理念とすべての奉仕活動の指針となる新しいドキュメントを至急策定すべきです。 哲学としてのロータリーの奉仕理念を再確認し、現状に沿うようにRIとロータリークラブの組織の管理運営を改革し、ロータリアンの役割を明記し、現在の地域社会や国際社会のニーズにかなった奉仕活動の指針を新たに策定したドキュメントを早急に策定して、それに基づいてロータリーの諸活動を実践すべきだと思います。