2.9 混合物の低温時のクリープおよび破壊挙動における改質バインダの影響 2.9 混合物の低温時のクリープおよび破壊挙動における改質バインダの影響 報告者: 丸山(記) 1.検討内容 改質バインダーや骨材が混合物の低温時におけるクリープおよび破壊特性に与える影響を実験により検討 バインダー:PGグレード(数種類), 改質種類(SBS,酸化,蒸気,エチレンポリマーなど) 骨材: 粒度(細粒度と粗粒度), 種類(石灰石と礫)
2.検討手法と評価指標 2.1 検討手法 骨材やアス種類を変えた混合物に対する間接引張試験(AASHTO TP9,クリープ試験と破壊試験の両方)の結果とバインダーに対するBBR試験(曲げクリープ試験)やDTT試験(直接引張破壊試験)の結果を対比して評価 AASHTO TP9 :Test Method for Determining the Creep Compliance and Strength of Hot Mix Asphalt (HMA) Using the Indirect Tensile Test Device.
図2.48 3つの各温度における1000秒の間接引張試験結果の一例 2.2 評価指標 a)クリープ特性に関する評価指標 ・間接引張クリープ試験から得られたクリープコンプライアンスマスターカーブの傾きで定義されるmeなる指標。混合物の温度応力緩和程度を表す指標と意味づけられており、高い値ほど応力緩和性能が高いことを意味する指標。 この曲線の傾きがme 図2.48 3つの各温度における1000秒の間接引張試験結果の一例
混合物コンプライアンスとバインダーコンプライアンスの関係(石灰石骨材,粗粒度) ・混合物に対する間接引張試験と、バインダーに対するBBR試験機で測定されたクリープのデータを用いて、同じ温度、載荷時間における混合物のコンプライアンス(Dmix)をバインダーのコンプライアンス(Dbinder)の関数としてプロットし、その傾きAと切片指標Bを評価指標にしている。 混合物コンプライアンスとバインダーコンプライアンスの関係(石灰石骨材,粗粒度)
混合物とバインダーの破壊特性(破壊ひずみ)の関係 2.2 評価指標 b) 破壊特性に関する評価指標 混合物に対する間接引張強度試験と,バインダーに対するDTTで測定された破壊応力と破壊ひずみを比較している. 混合物とバインダーの破壊特性(破壊ひずみ)の関係
図2.49 改質のタイプと骨材特性が異なる混合物のクリープコンプライアンス傾きme ・混合物の低温時クリープ特性は改質の種類に影響を受ける. ・骨材の種類(石灰石か礫か)もクリープ特性に影響を与える。 図2.49 改質のタイプと骨材特性が異なる混合物のクリープコンプライアンス傾きme
混合物コンプライアンスとバインダーコンプライアンスの関係 3.検討結果 その2(クリープ特性:A,B指標) ・改質バインダーの種類によってもクリープ特性が影響される. ・礫の方が傾きAが大きく、バインダの特性が混合物に反映されやすい. 図2.50 石灰石骨材に対する試験結果 図2.51 礫骨材に対する試験結果 混合物コンプライアンスとバインダーコンプライアンスの関係
・混合物の破壊ひずみのレンジはバインダーの破壊ひずみのレンジに比べて10分の1であり,敏感に影響を与えるものではない 3.検討結果 その3(破壊時特性) ・破壊強度や破壊ひずみが大きいバインダは大きい強度と破壊ひずみの混合物を生じるがバインダーの改質と混合物破壊挙動の間に明確な関係を決定するのは難しい ・混合物の破壊ひずみのレンジはバインダーの破壊ひずみのレンジに比べて10分の1であり,敏感に影響を与えるものではない 図2.52 混合物とバインダーの破壊特性の関係
4.まとめ クリープ特性について ・バインダーの低温時クリープ特性は混合物のクリープ特性に反映され,改質の種類による影響を受ける。 ・骨材の種類(石灰石か礫か)もクリープ特性に影響を与える。 破壊特性について ・バインダーの低温時破壊特性は混合物の低温時破壊特性に敏感に影響を与えるものではなく,バインダーの改質と混合物破壊挙動の間に明確な関係を決定するのは難しい ・混合物の破壊ひずみのレンジはバインダーの破壊ひずみのレンジに比べて10分の1である
低温力学特性を説明する際に必要な基礎事項 ・マスターカーブ作成に関する基礎事項 ・温度―時間換算則に関する基礎事項 ・低温ひび割れ用の試験手法 ・AASHTO TP9試験手法