2.9 混合物の低温時のクリープおよび破壊挙動における改質バインダの影響

Slides:



Advertisements
Similar presentations
第2章 機械の強度と材料 機械の必要条件 ★壊れない ★安全である ★正しく機能する そのためには・・・ ★適切な材料を使う
Advertisements

No.2 実用部材の疲労強度           に関する研究 鹿島 巌 酒井 徹.
蒸気養生を行なった高炉セメントコンクリートのスケーリング評価に関する検討
土木学会 舗装工学委員会 舗装材料小委員会 アスファルト分科会 報告書目次 【担当】 1. バインダの種類と性状
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
現場における 熱貫流率簡易測定法の開発  五十嵐 幹郎   木村 芳也 
RC構造の破壊形態 コンクリート工学研究室 岩城 一郎 このサイバーキャンパスをご覧の皆さん,こんにちは.
せん断力を受ける 鉄筋コンクリート部材 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
混合物の低温時クリープおよび破壊挙動への影響
硬化コンクリートの性質 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
構造材料学の 開講にあたって コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
建築構造演習 座屈実験(第3回) 鋼構造研究室.
コンクリート構造物のひび割れ コンクリート工学研究室 岩城一郎.
土木学会 舗装工学委員会 舗装材料小委員会 アスファルト分科会 調査報告 永久変形 (進捗状況報告) 担当:千原,村山.
セラミックス 第9回 6月18日(水) セラミックスの物性.
R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center
配合とは?配合設計とは? コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
コンクリートと鉄筋の性質 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
コンクリートの強度 (構造材料学の復習も兼ねて)
① (a) 早強 (b) 低熱 (c) 中庸熱 (d) 耐硫酸塩 ② (a) 早強 (b) 耐硫酸塩 (c) 低熱 (d) 中庸熱
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
使用限界状態 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
塑性加工の有限要素シミュレーション 豊橋技術科学大学  森 謙一郎 有限要素法の基礎 鍛造,押出し,深絞り加工への応用.
コンクリートの強度 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
鉄筋コンクリート構造の材料(1) ・図解「建築の構造と構法」     91~93ページ ・必携「建築資料」   材料:78~79ページ.
第7章 複合材料.
硬化コンクリートの性質 弾性係数,収縮・クリープ
バインダの評価方法 改質アスファルトの材料分離について.
ひび割れ面の摩擦接触を考慮した損傷モデル
建築構造演習 座屈実験(第3回) 鋼構造研究室.
塑性加工 第1回 今日のテーマ 塑性変形とは(塑性変形した後どうなる?) (応力(圧力)とひずみ(伸び)、弾性変形) 金属組織と変形
モルタルの化学反応による 劣化メカニズムと数値解析
応力-ひずみ関係 断面積A,長さLの物体に,(軸)力Pが作用した際,ΔLだけ伸びた(あるいは縮んだ).
4章:曲げモーメントを受ける部材 キーワード:非線形挙動、断面解析、終局耐力、 等価応力ブロックによる塑性解析、
構造材料学の開講にあたって コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
硬化コンクリートの性質 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
22章以降 化学反応の速度 本章 ◎ 反応速度の定義とその測定方法の概観 ◎ 測定結果 ⇒ 反応速度は速度式という微分方程式で表現
今日の学習の目標 ① 荷重ー変形量線図を理解しよう。 ② 応力ーひずみ線図を理解しよう。 ③ 比例限度・弾性限度・降伏点・引張り強さ・
材料強度学の目的 機械とは… 材料強度学 外部から力を加えて、人に有益な仕事をするシステム 環境 力 材料 材料の破壊までを考える。
H30.2.5破壊実験フィンクトラスの改良点 初代フィンクトラス 改良型フィンクトラス.
大阪府立大工 発表者:米田 典宏 松浦寛人、中田真吾、道本圭司、沼野正溥
プレストレストコンクリートに関するまとめ
LEXAN PC 141R 我公司受厂家委托销售高性能塑料原粒 GE LEXAN 141R-111 141R >>> 一般射出成型用 中粘度
信頼性設計法を用いた構造物の 崩壊確率の計算
舗装材料小委員会 資料  改質バインダの混合温度および締固め温度 (出典) NCHRP REPORT 459
応力(stress, s, t ) 自由物体図(free-body diagram)において、外力として負荷荷重P が作用したとき、任意の切断面で力の釣り合いを考慮すると、面における単位面積あたりの内力が存在する、それを応力といい、単位は、Pa(N/m2) で表す。面に垂直に働く垂直応力、s と平行に働くせん断応力、
連続体とは 連続体(continuum) 密度*が連続関数として定義できる場合
プレストレストコンクリートに関する復習 プレストレストコンクリート(prestressed concrete:PC)構造とは?
5.建築材料の力学的性質(2) 強度と破壊 理論強度 実強度 理想的な無欠陥状態での強度 材料は原子の集合体、原子を引き離せば壊れる
サーマルプローブを用いたイオン温度計測の新しいアプローチ
4章:曲げモーメントを受ける部材 キーワード:非線形挙動、断面解析、終局耐力、 等価応力ブロックによる塑性解析、
資料: 報道発表資料 気象庁マグニチュード算出方法の改訂について。
配合設計 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
鉄筋コンクリートとは? 鉄筋とコンクリートという異なる2種類の材料が双方の短所を補うことにより,一体となって外力に抵抗するもの.
曲げを受ける鉄筋コンクリート部材 (状態III)
対象:せん断補強筋があるRCはり(約75万要素)
3.建築材料の密度 密度の支配因子 原子量 原子の配列状態 一般的に原子量(原子番号)が大きいほど、密度は大きい
鉄筋コンクリート構造の材料(1) ・図解「建築の構造と構法」     91~93ページ ・必携「建築資料」   材料:78~79ページ.
建築構造演習 座屈実験(第3回) 鋼構造研究室.
高靭性コンクリートを用いた新しい耐震補強技術
問14(第1回):鉄筋コンクリートに関する次の記述のうち、正しいものの数を数字で答えよ. a
6章:せん断力を受ける部材     キーワード: せん断破壊(shear fa****)、 斜めひび割れ、 急激な破壊 設計:せん断耐力>曲げ耐力.
鉄筋コンクリートはりの 曲げ耐力の算出 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
高性能コンクリート (講義ノート) コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
塑性加工 第2回 今日のテーマ ・応力ーひずみ線図の正しい見方 (ヤング率はなぜ異なるのか?) (引張と圧縮は同じ?)
コンクリート構造物の 力学を学ぶために コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
問題14(11.曲げモーメントを受ける部材):  次の図は,曲げモーメントを受ける鉄筋コンクリート断面(単鉄筋長方形断面)の仮定を示したものである.この図の記述について,間違っているものを解答群から一つ選べ. a. 図中のうち,Ⅰ:弾性解析(全断面有効)では,ひび割れ前の純弾性状態に対して,用いられる断面仮定であり, 
エンジニアリングデザイン教育 コンクリート製体重計の作製 愛知工業大学 都市環境学科.
問14(第1回):鉄筋コンクリートに関する次の記述のうち、正しいものの数を数字で答えよ. a
RCはりをU字型補強した連続繊維シートによる
Presentation transcript:

2.9 混合物の低温時のクリープおよび破壊挙動における改質バインダの影響 2.9 混合物の低温時のクリープおよび破壊挙動における改質バインダの影響                   報告者: 丸山(記) 1.検討内容 改質バインダーや骨材が混合物の低温時におけるクリープおよび破壊特性に与える影響を実験により検討  バインダー:PGグレード(数種類),         改質種類(SBS,酸化,蒸気,エチレンポリマーなど)  骨材: 粒度(細粒度と粗粒度),       種類(石灰石と礫)

2.検討手法と評価指標 2.1 検討手法 骨材やアス種類を変えた混合物に対する間接引張試験(AASHTO TP9,クリープ試験と破壊試験の両方)の結果とバインダーに対するBBR試験(曲げクリープ試験)やDTT試験(直接引張破壊試験)の結果を対比して評価   AASHTO TP9 :Test Method for Determining the Creep Compliance               and Strength of Hot Mix Asphalt (HMA) Using the               Indirect Tensile Test Device.

図2.48 3つの各温度における1000秒の間接引張試験結果の一例 2.2 評価指標 a)クリープ特性に関する評価指標 ・間接引張クリープ試験から得られたクリープコンプライアンスマスターカーブの傾きで定義されるmeなる指標。混合物の温度応力緩和程度を表す指標と意味づけられており、高い値ほど応力緩和性能が高いことを意味する指標。 この曲線の傾きがme 図2.48 3つの各温度における1000秒の間接引張試験結果の一例

混合物コンプライアンスとバインダーコンプライアンスの関係(石灰石骨材,粗粒度) ・混合物に対する間接引張試験と、バインダーに対するBBR試験機で測定されたクリープのデータを用いて、同じ温度、載荷時間における混合物のコンプライアンス(Dmix)をバインダーのコンプライアンス(Dbinder)の関数としてプロットし、その傾きAと切片指標Bを評価指標にしている。 混合物コンプライアンスとバインダーコンプライアンスの関係(石灰石骨材,粗粒度)

混合物とバインダーの破壊特性(破壊ひずみ)の関係 2.2 評価指標 b) 破壊特性に関する評価指標 混合物に対する間接引張強度試験と,バインダーに対するDTTで測定された破壊応力と破壊ひずみを比較している. 混合物とバインダーの破壊特性(破壊ひずみ)の関係

図2.49 改質のタイプと骨材特性が異なる混合物のクリープコンプライアンス傾きme ・混合物の低温時クリープ特性は改質の種類に影響を受ける. ・骨材の種類(石灰石か礫か)もクリープ特性に影響を与える。 図2.49 改質のタイプと骨材特性が異なる混合物のクリープコンプライアンス傾きme

混合物コンプライアンスとバインダーコンプライアンスの関係 3.検討結果 その2(クリープ特性:A,B指標) ・改質バインダーの種類によってもクリープ特性が影響される. ・礫の方が傾きAが大きく、バインダの特性が混合物に反映されやすい. 図2.50 石灰石骨材に対する試験結果 図2.51 礫骨材に対する試験結果 混合物コンプライアンスとバインダーコンプライアンスの関係

・混合物の破壊ひずみのレンジはバインダーの破壊ひずみのレンジに比べて10分の1であり,敏感に影響を与えるものではない 3.検討結果 その3(破壊時特性) ・破壊強度や破壊ひずみが大きいバインダは大きい強度と破壊ひずみの混合物を生じるがバインダーの改質と混合物破壊挙動の間に明確な関係を決定するのは難しい ・混合物の破壊ひずみのレンジはバインダーの破壊ひずみのレンジに比べて10分の1であり,敏感に影響を与えるものではない 図2.52 混合物とバインダーの破壊特性の関係

4.まとめ クリープ特性について ・バインダーの低温時クリープ特性は混合物のクリープ特性に反映され,改質の種類による影響を受ける。 ・骨材の種類(石灰石か礫か)もクリープ特性に影響を与える。 破壊特性について ・バインダーの低温時破壊特性は混合物の低温時破壊特性に敏感に影響を与えるものではなく,バインダーの改質と混合物破壊挙動の間に明確な関係を決定するのは難しい ・混合物の破壊ひずみのレンジはバインダーの破壊ひずみのレンジに比べて10分の1である

低温力学特性を説明する際に必要な基礎事項  ・マスターカーブ作成に関する基礎事項  ・温度―時間換算則に関する基礎事項  ・低温ひび割れ用の試験手法  ・AASHTO TP9試験手法