PT試薬はどのようにして製られるか? 2016年7月12日 株式会社 レイデックス 米村 勝 Radix.

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PT試薬はどのようにして製られるか? 2016年7月12日 株式会社 レイデックス 米村 勝 Radix

1.おさらい PT測定 3.2%クエン酸ナトリウム加血漿:0.1mL + PT試薬:0.2mL 時間(秒数) 散 乱 光 量 △H 凝固時間

血栓 Fibrinの構造 △H △H 凝固時間 凝固時間 E E D E D D E D E D E D E D E D *検体に含まれるFbg量   によって上下する ・赤血球 ・血小板 ・白血球 ・フィブリン繊維 ・各種たんぱく質 時間(秒数) 散 乱 光 量 *攪拌によって  シフトする △H 凝固時間 凝固時間 *混合し安定した散乱光を得るために最低でも8秒間を確保する必要がある。 血栓 フィブリノペプタイドA D E D E *光学的検出は約7個以上のFnが重合したとき。 約90nm×7=630nm ←660nm D E フィブリノペプタイドB D E D E D E D E 300A D E 900A = 90nm Fibrinの構造 フィブリン繊維(クロマチン構造)

これまでの凝固カスケード これまでの凝固カスケード FDP フィビリン PC PS TM Plasmin 第XII因子 第XI因子 接触因子 これまでの凝固カスケード これまでの凝固カスケード 第XII因子 Ca++ 組織トロンボプラスチン 第XI因子 第IX因子 第VII因子 第VIII因子 + Ca++ 第X因子 第V因子 + Ca++ PC PS 図1.Morawitzの古典的凝血学説 第II因子 (プロトロンビン) AT-Ⅲ TM 活性化第II因子 (トロンビン) 第I因子 (フィビリノーゲン) フィビリン 安定化フィビリン Plg プラスミノーゲン Plasmin FDP t-PA

TF-Mp(Micro Particle) 2.凝固の理解 FⅡa TF FⅡ 1 2 FⅤ FⅩ TF FⅦa Ca Ca Ca Ca TF-Mp(Micro Particle) = Figure 5. Conceptual scheme of Mp and TF Complex Phospholides are restructured to the Micro-particle (Mp) which composited the Tissue Factor (TF). Coagulation Factor VII and X are bind to on Mp surface using Ca ion bridges. Coagulation Factor V is adsorbed to high polarity part on the Mp. When these TF and coagulation factors are formed to the complex (TFC), Brown motion is reduced. Low speed Brown motion TFC is up the collision probability to High speed prothrombin. In this state, Thrombin introduce more quickly. PT試薬

Ⅱ因子測定 Ⅴ因子測定 Ⅶ因子測定 Ⅹ因子測定 血液(溶液)中に浮遊しているFⅡが、MpCの場で反応するので、因子感受性試験では異なる試薬特性を持つものでも同様の結果を示す。 Mp上で複合体を形成するので、因子感受性試験を実施すると同じようなパターンを示す。 Ⅶ因子測定 Ⅹ因子測定

Ⅴ因子測定 Ⅱ因子測定 Ⅶ因子測定 Ⅹ因子測定 血液(溶液)中に浮遊しているFⅡが、MpCの場で反応するので、因子感受性試験では異なる試薬特性を持つものでも同様の結果を示す。 Mp上で複合体を形成するので、因子感受性試験を実施すると同じようなパターンを示す。 Ⅶ因子測定 Ⅹ因子測定

Ⅴ因子測定 Ⅶ因子測定 Ⅹ因子測定 Ⅱ因子測定 血液(溶液)中に浮遊しているFⅡが、MpCの場で反応するので、因子感受性試験では異なる試薬特性を持つものでも同様の結果を示す。 Ⅹ因子測定 Ⅱ因子測定 Mp上で複合体を形成するので、因子感受性試験を実施すると同じようなパターンを示す。

CiTrol 1 12.67 12.57 12.80 12.83 22.37 25.63 21.10 Rabi PT N  Lot Y0075 CiTrol 2 35.77 35.23 36.63 36.37 58.50 69.13 44.20 CiTrol 3 58.23 59.60 62.70 61.53 106.83 130.00 77.27 4℃ 30℃ 40℃ 50℃ 60℃ 70℃ 80℃ * PT試薬を各温度に水槽にて1時間浸漬し、   その後室温放置(約3時間)して冷却。 * 管理血漿 を各3回測定。上記はその平均値。  CiTrol Leverl 1 (Lot 528166B Exp.2017-03-23) CiTrol Leverl 2 (Lot 548248C Exp.2017-06-15) CiTrol Leverl 3 (Lot 548439 Exp.2017-01-28) 温度 37℃ 日数 1 2 3 4 5 7 14 21 28 35 Thrombrel S 10.56 10.94 11.18 12.96 13.78 17.24 NG Rabi PT N Lot Y0065 11.26 11.28 11.32 11.12 11.30 11.38 * 水槽にて加温&静置。   測定毎に水槽より取り出して測定。 * 測定後はフタをして、再度水槽   にて加温。 * CiTrol Leverl 1 (Lot 528166B)   を5回測定した平均値 * NGは測定不良。

3. PT試薬の製造方法 【従来法】 【レイデックスの方法】 ・液体化処置 ・凝固時間の合わせこみ処置 ・感度(ISI値)の合わせこみ処置 臓器(ウサギ脳、ヒト胎盤、etc.) ↓ アセトンパウダーの作製 乾燥 再溶解(洗浄) 抽出処理 (+ホモジナイズ) 分注 凍結乾燥 包装 ・液体化処置   ①液体化処置   ②液体の安定性処置   ③安定性を保持する処置(ストッパー) ・凝固時間の合わせこみ処置 ・感度(ISI値)の合わせこみ処置 ・不用   →設備&規模の簡略化+少ない投資 厚生省の製造認可(適用事業所として審査済み) 品質保証システム(ISO9001の取得)

TF-Mp(Micro Particle) ・凝固時間の合わせこみ処置 2つの方法 ①凝固時間を短くする方法 ②凝固時間を延長させる方法 FⅨa FⅪ FⅧa FⅤ FⅩ FⅡ 1 2 Ca TF-Mp(Micro Particle) ・感度(ISI値)の合わせこみ処置 Ⅹ Ⅶ Ⅶ Ⅹ Ⅶ Ⅹ TF-MP Complex Ⅶ Ⅹ Ⅹ Ⅶ Ⅶ TF-MP Complex Ⅶ Ⅹ Ⅹ Ⅶ    Mpが少ない場合    Mpが多い場合    Mpが少ない場合 = ISI値は高値になる    Mpが多い場合 = ISI値は1.0に近くなる

添加量 3 4 9 CiTrol 1 11.40 12.75 13.05 14.70 CiTrol 2 31.30 38.55 41.35 52.65 CiTrol 3 55.05 69.65 73.85 104.80 ISI 1.000 0.926 0.904 0.800

相関性試験結果

調製ロット Ⅶ因子測定 Lot Y0075 Y0085 Y0095 Y0105 Y0115 Y0106 Y0116 Y0126 CiTrol 1 12.27 12.27 12.40 12.50 11.85 12.02 10.98 10.60 CiTrol 2 31.95 34.54 32.33 34.08 36.09 33.86 32.74 32.04 CiTrol 3 57.32 62.64 54.53 53.80 65.94 58.44 58.06 58.28 ISI 1.02 1.03 1.00 1.01 Ⅶ因子測定

NOAC感受性 検体別相関(秒) ラビ PT N Y=0.8902X+4.5987 R2=0.9216 トロンボレル S ●ワルファリン:20 ●リバーロキサバン:6 ●アピキサバン:5 ●肝機能低下:5 ●アルガトロバン:10 ●健常人:23 *1 凝固第Ⅹ因子阻害剤   イグザレルト(リバロキサバン)バイエル薬品株:2012年1月18日   エリキュース(アピキサバン)ファイザー株:2013年2月   リクシアナ(エドキサバン)第一三共:2014年12月8日 *2 凝固第Ⅱ因子阻害剤   プラザキサ(ダビガトラン)日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社:2010年10月 *3 抗トロンビン剤   ヘパリン   硫酸プロタミン(ポリブレン)   アルガトロバン  

4.まとめ (1) 新たな知見により、液状化PT試薬を作製しました。 (2) 新試薬は溶解の手間がなく、安定性に優れています。 (3) 新試薬では、凝固時間とISI値がコントロールされます。 37℃ 日数 1 2 3 4 5 7 14 21 28 35 Thrombrel S 10.56 10.94 11.18 12.96 13.78 17.24 NG Rabi PT N Lot Y0065 11.26 11.28 11.32 11.12 11.30 11.38 * 水槽にて加温&静置。   測定毎に水槽より取り出して測定。 * 測定後はフタをして、再度水槽   にて加温。 * CiTrol Leverl 1 (Lot 528166B)   を5回測定した平均値 * NGは測定不良。 (4) 結果、ヒト由来TFと同等の性能を有します。 Lot Y0075 Y0085 Y0095 Y0105 Y0115 Y0106 Y0116 Y0126 CiTrol 1 12.27 12.27 12.40 12.50 11.85 12.02 10.98 10.60 CiTrol 2 31.95 34.54 32.33 34.08 36.09 33.86 32.74 32.04 CiTrol 3 57.32 62.64 54.53 53.80 65.94 58.44 58.06 58.28 ISI 1.02 1.03 1.00 1.01 (5) 国内生産により安定した供給が保証されます。 (6) 課題   標準血漿がありません。   (正常ヒト血漿で検定する必要があります)   近々、表示値の付けた血漿を供給する予定です。

ご清聴有難うございました。 株式会社レイデックス 米村 ご清聴有難うございました。       株式会社レイデックス 米村 Radix