当院におけるエボカルセトの使用経験について

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1. ご高齢の糖尿病患者さんと 若い人との違いはなに? 2. ご高齢の糖尿病患者さんの 治療上の注意点 3.
Advertisements

保存期腎不全患者の病識の現状把握と看護介入の今後の課題
当院健診施設における脂肪肝と糖尿病リスクの統計学的な検討
LDL-C代謝機構の 新たなパスウェイ PCSK9 野原 淳 先生 監修: 金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科 脂質研究講座 特任准教授
背景 CABGを必要とする虚血性冠動脈疾患の背景には動脈硬化の影響があり、プラークの退縮効果が明らかにされているスタチンを投与することで予後を改善する効果が期待される CABGを行った患者に対しスタチンを投与することで予後を改善する効果を検証することが本研究の目的である 2015/2/17 第45回日本心臓血管外科学会.
体重減少 ◎食欲があるのに体重が減る ⇒糖尿病、甲状腺機能亢進症、吸収不良症候群などを疑う ◎食欲がなくて体重が減る ⇒その他の疾患を疑う
CHA2DS2-VAScスコア別 RE-LY®サブグループ解析結果の考察 小川 久雄 熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器病態学
体重増加 短期間で 急に太った いつもと同じ食生活をしているのに… 定期的に運動をしているのに…
全身倦怠感 全身倦怠感はさまざまな病気にみられます 疲れやすい… だるい…
Yokohama City Save Hospital ☆Emergency and Critical Care Medicine☆
動悸にはこんな種類があります 心臓の動きが 考えられる病気 動悸とは、心臓の動き(心拍)がいつもと違って不快に感じることをいいます。
MICS21®の使用経験 ― ルーチン業務の観点から ―
磁気治療機器が、線維筋痛症患者の痛みを抑制 できるかどうかを検討する。 同時に機器の安全性を検討する。
高感度CRPの新たな有用性 ~H.pyloriにおける検討~
4.「血液透析看護共通転院サマリーVer.2」 の説明
糖尿病とは インスリン作用不足による 慢性の高血糖状態を主徴とする 代謝疾患群 まず糖尿病とはどんな病気か知ってしますか?
2型糖尿病患者におけるナテグリニドと メトホルミン併用療法の有効性と安全性の検討
透析患者に対する 大動脈弁置換術後遠隔期の出血性合併症
一般住民の大腿骨近位部骨折発症率で 認められる地域差は、 血液透析患者でも認められる
CHA2DS2-VAScスコア別 RE-LY®サブグループ解析結果の考察 小川 久雄 熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器病態学
かゆみが血液透析患者のQOLに与える影響の検討 ~SF-36v2を使用して~
高血圧 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 二次性高血圧を除外 合併症 臓器障害 を評価 危険因子 生活習慣の改善
1. 糖尿病による腎臓の病気 =糖尿病腎症 2. 腎症が進むと、生命維持のために 透析療法が必要になります 3. 糖尿病腎症の予防法・治療法
当院における透析間体重管理指導方法についての検討
糖質摂取が及ぼす運動中の 反応時間への影響
膵癌早期診断プロジェクト ~病診連携フローチャート~
ヒトインスリン混合製剤30から 二相性インスリン アスパルト30/70への 切り替え時における食後高血糖および 動脈硬化の改善
透析患者さんの 骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD) P・Ca
スギ花粉とダニの重複抗原例の 舌下免疫療法について-副作用の検討- はじめに 対象と方法 シダトレン®、 ミティキュア®重複投与例
聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 救命    古澤 彩美.
高齢透析患者における口腔機能と栄養について
~認知症患者の透析拒否への関わりを通して~
CKD患者に対する食事記録が 食事療法に及ぼす効果の検討
全自動コンソールTR-3000MA®の感染面からの評価 ―ルミノール試験を用いて―
I-HDF施行前後における透析中の血圧変化率の評価
Lカルニチン治療の血液透析患者の腎性貧血への効果
一般住民と比較した米国透析患者の標準化自殺率比(SIR) 表.一般住民と透析患者の年齢階級別死亡者数
リサーチカンファ 29 Aug, 2017.
Diabetes & Incretin Seminar in 福井
PDGF-Bのretention motifを欠損させると、 pericyteが血管内皮へ誘引されにくくなる
小児に特異的な疾患における 一酸化窒素代謝産物の測定 東京慈恵会医科大学小児科学講座 浦島 崇 埼玉県立小児医療センター 小川 潔、鬼本博文.
健診におけるLDLコレステロールと HDLコレステロールの測定意義について~高感度CRP値との関係からの再考察~
血液透析患者の足病変がQOLに与える影響の調査 ~SF-36v2を使用して~
医療法人社団 高山泌尿器科 臨床工学部門 斎藤 寿 友西 寛 工藤 和歌子 佐藤 友紀
医療法人社団 高山泌尿器科 臨床工学部門 斎藤 寿
福島県立医科大学 医学部4年 実習●班 〇〇、〇〇、〇〇、〇〇、〇〇、〇〇
血液透析患者における運動と身体測定値、QOLの関係性
穿刺時疼痛に対する エムラクリーム®の有用性
V型ダイアライザーPinnafine® -180Xの性能評価
研究内容紹介 1. 海洋産物由来の漢方薬の糖尿病への応用
Nature De’Pain for Animals
日機装社製 PN-180Xの性能評価 ○平賀敦司(ひらがあつし)1)  亀田康範1)  寺尾佳介1) 川口真弥1) 中村寛子1)  福富愛 1)  永易由香1)     藤井恵子1) 2) 坂田良子1)  平林晃 1)  高杉啓一郎2) 高杉敬久2) 賴岡德在3) 1)医療法人社団スマイル 広島ベイクリニック.
医療法人社団スマイル 広島ベイクリニック1)
目的 オメガ3脂肪酸エチルは,エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を含む魚由来の製剤で,中性脂肪低下作用を持ち,抗動脈硬化作用を持つとされている. 現在までに心血管系イベントの抑制効果についての報告がなされているが,慢性腎臓病(CKD)に対する効果ははっきりしない. このため,当院でのCKD患者にオメガ3脂肪酸エチルを投与した結果について,各種疾患やCKDステージとの関連を含めて検討した.
St. Marianna University, School of Medicine Department of Urology 薄場 渉
単独CABGにおける長期成績からみたLADへのGraft戦略 -RITA-LADはLITA-LADと同等か?-
UFT服薬に関しての注意事項 ☆ 患者さんには「UFT服用のてびき」をお渡し下さい。.
ノニの血圧上昇抑制のメカニズムに関する研究
医療法人社団 スマイル博愛クリニック ○沖永鉄治,荒水裕,松下剛史,平賀敦司,玉置貴志 山平満浩,松見勉,田邊恒則,有田和恵 ,高杉敬久
院長コラム~グレープフルーツと薬物の相互作用~
血液透析患者の震災に対する備え(第二報) ~緊急離脱訓練を通して~
*講演会終了後、情報交換会を予定しております。
我が国の自殺死亡の推移 率を実数で見ると: 出典:警察庁「自殺の概要」
血液透析患者の骨粗鬆症に対する デノスマブ治療の検討
N-tert-ブチル-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(Cas No
1. 糖尿病による腎臓の病気 =糖尿病腎症 2. 腎症が進むと、生命維持のために 透析療法が必要になります 3. 糖尿病腎症の予防法・治療法
事前指示書作成における当院血液透析患者の現状意思調査
透析周辺機器の入れ替えに伴う透析液水質と患者臨床データの変化
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆に関する研究 テンプレート:A0 ページ設定※ 幅 84.1cm 高さ 118.9cm
疫学概論 §C. スクリーニングのバイアスと 要件
Presentation transcript:

当院におけるエボカルセトの使用経験について スマイルグループ 博愛クリニック1),クレア焼山クリニック2) 〇倉脇 壮1) 高杉 啓一郎1) ,下田 大紀1) ,金井 亮1) ,山田 有美1) , 藤井 恵子1) ,沖永 鉄二1) 桐林 慶2) よろしくお願いいたします。博愛クリニックの倉脇です。当院におけるエボカルセトの使用経験について発表させていただきます。

背景 血液透析(HD)患者のコントロールにおいて, 骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)は重要である. CKD-MBD治療の選択肢としてCa感知受容体(CaSR)作動薬があるが, 内服薬としての選択肢は,今までシナカルセトのみであった. しかし, 2018年5月シナカルセトに代わるCaSR作動内服薬として, 新たにエボカルセトが使用可能となった. 背景です。血液透析患者のコントロールにおいて骨ミネラル代謝異常、CKD-MBDは重要な合併症で、治療選択肢として最近Ca感知受容体作動薬、今後CaSR作動薬と略させていただきます。がありますが、2018年5月に内服薬としての選択肢がシナカルセトのみからエボカルセトが追加となりました。

2次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)における エボカルセトの臨床的な有用性を検討する. 目的 2次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)における エボカルセトの臨床的な有用性を検討する. 目的は二次性副甲状腺機能亢進症、今後SHPTと略させていただきます。におけるエボカルセトの臨床的な有用性を検討することです。

デザイン 2次性副甲状腺機能亢進症合併透析患者を次のように分けた. ①CaSR作動薬を内服していない群 ②シナカルセト 25 mg/day内服中の群 ③シナカルセト 12.5 mg/day内服中の群 ①に対してエボカルセト 1 mg/dayを開始用量として投与し, 血清iPTH濃度,血清Ca濃度,血清iP濃度の推移を観察した. ②に対してエボカルセト 1 mg/dayへの切り替えを行い, ③に対してエボカルセト 1 mg/dayへの切り替えを行い, 研究デザインです。SHPT患者をそれぞれ①CaSR作動薬を内服していない群、②シナカルセト 25mgを内服中の群、③シナカルセト 12.5mg内服中の群で分け、 ①に対してはエボカルセト 1mg/dayを新規内服、②③に対してはそれぞれ1 mg/dayに切り替えを行い、血清iPTH、Ca濃度、P濃度の推移を観察しました。

デザイン 上記の患者群で臨床データの推移の比較検討を行った. 1群での有意差検討はStudent’s t-testを用いて行った. 群間での有意差検討はMann-Whitney’s u-testを用いて行った.

①新規患者群 男/女(人) 年齢(才) 透析期間(年) 観察期間 :7/6 :68.9±9.6 :12.3±7.6 :12週 i-PTH(pg/ml) 血清補正Ca(mg/dl) 血清iP(mg/dl) :364.3±121.5 :9.8±0.6 :5.3±1.1 新規患者群のデータです。右上に患者背景をお示ししています。左から順にiPTH値、血清補正Ca値、血清P値をお示ししています。 p<0.01 p<0.05 p値 vs 0 週 Mean±S.D.

総合評価①新規患者群 ❶iPTH 4 週後に有意に低下した(p<0.01). また,8 週後と12 週後の間で再度有意に低下した(p<0.05). ❷血清補正Ca 4 週後に低下傾向を示した(p<0.05)が, その後低下傾向はなかった. ❸血清iP その後は低下傾向はなかった. ご覧いただいたように、iPTH値は4週後に有意に低下し、4-8週後ではそれほど変化はございませんでしたが、12週後に再度低下しておりました。 補正Ca値は4週後に低下いたしましたが、その後それ以上の低下は認めませんでした。 血清P値は4週後に低下傾向を示しましたが、その後は元の水準となりました。

②シナカルセト25㎎切替群 男/女(人) 年齢(才) 透析期間(年) 観察期間 :3/9 :64.8±15.1 :15.4±8.9 :8週 i-PTH(pg/ml) 血清補正Ca(mg/dl) 血清iP(mg/dl) :135.6±77.8 :9.4±0.47 :5.6±0.96 次にシナカルセト25mgからの切り替え群についてお示しします。 当院で行った切り替えが2019年の3月下旬から4月での切替例が多く、8週までの観察期間として提示させていただいております。 p値 vs 0 週 Mean±S.D.

いずれの観察期間においても有意差は認められなかった. 総合評価②シナカルセト25㎎切替群 ❶iPTH  いずれの観察期間においても有意差は認められなかった. ❷血清補正Ca ❸血清iP いずれの観察期間においても、iPTH、補正Ca値、血清P値すべて有意な差は認められませんでした。

③シナカルセト12.5㎎切替群 男/女(人) 年齢(才) 透析期間(年) 観察期間 :2/1 :68.5±3.8 :14.5±11.2 :12週 i-PTH(pg/ml) 血清補正Ca(mg/dl) 血清iP(mg/dl) :185.1±88.3 :8.6±0.14 :4.8±0.40 次に12.5mgからの切り替え群のデータを提示します。 p値 vs 0 週 Mean±S.D.

8 週後に若干低下傾向はあったが,有意差は認められなかった. ❷血清補正Ca 4 週後に低下傾向を示した(p<0.05). 総合評価③シナカルセト12.5㎎切替群 ❶iPTH   8 週後に若干低下傾向はあったが,有意差は認められなかった. ❷血清補正Ca  4 週後に低下傾向を示した(p<0.05).  しかし12 週後において元の水準まで改善していた. ❸血清iP  いずれの観察期間においても有意差は認められなかった. iPTHは8週後に若干の低下傾向はありましたが、概ね同水準で経過いたしました。 補正Ca値は4週後に低下傾向を示しましたが、12週後には元の水準となっておりました。 P値は観察期間において有意差はありませんでした。

群間比較 ①新規投与群と②シナカルセト25㎎切替群 群間比較 ①新規投与群と②シナカルセト25㎎切替群 次に新規投与群と25mgからの切り替え群の群間比較をお示しいたします。 Mean±S.D.

総合評価 ①新規投与群と②シナカルセト25㎎切替群の群間比較 総合評価 ①新規投与群と②シナカルセト25㎎切替群の群間比較 ❶iPTH 開始時及び4週後において ①群は②群に対して有意に高値を示していた(p<0.01)が, 8 週後にその有意差は消失していた。 ❷血清補正Ca いずれの観察期間においても有意差は認められなかった。 ❸血清iP iPTH値は開始時及びに4週後において、1群は2群に対して高値でしたが、8週後には有意差は消失しておりました。 その他のデータにおいては有意差は認められませんでした。

群間比較①新規投与群と③シナカルセト12.5㎎切替群 次に新規投与群と12.5mgからの切り替え群の群間比較です。 Mean±S.D.

総合評価①新規投与群と③シナカルセト12.5㎎切替群の群間比較 ❶iPTH  開始時に①群は③群に対して高値傾向を示していた(p=0.07)が, 4 週後より有意差は消失していた. ❷血清補正Ca  開始時に①群は③群に対して高値傾向を示していた(p<0.01)が, ❸血清iP  いずれの観察期間においても有意差は認められなかった。 iPTHは開始時には1群は2群に対して高値傾向でしたが、4週後に有意差は消失しました。 血清Ca値に関しても同様の傾向が認められました。 血清P値は有意差は認められませんでした。

考察 CKD-MBDは血管石灰化を介して生命予後にも深刻な影響を及ぼす1). 近年様々な新薬の登場と共にCKD-MBD治療は大きな前進を遂げている. CaSR作動薬はCaSRの細胞外Ca2+濃度に対する感度を上昇させ,PTHの産生・分 泌を減少させる. 更に腎不全モデルにおいて,副甲状腺ビタミンD受容体(VDR)及びCaSRの発現が増 加することが示され,腫大副甲状腺のVD製剤(VDRA)に対する治療抵抗性を是正す る報告もある2). VDRAもCaSR,VDR発現を増加させることが示されており,CaSR作動薬及びVDRAは 相乗効果が期待でき,近年SHPT,CKD-MBD治療の中心的役割となりつつある. しかしながらCaSR作動薬シナカルセトは,特徴的な副作用として消化管障害を持 ち,内服コンプライアンスに問題を抱えていた. 考察です。CKD-MBDは血管石灰化を介して生命予後にも深刻な影響を及ぼすため、その治療は重要で、近年様々な新薬の登場しています。 CaSR作動薬はCaSRの細胞外Caイオン濃度に対する感度を上昇させ、PTHの産生・分泌を減少させます。 腎不全モデルにおいて、副甲状腺ビタミンD受容体、今後VDRと略させていただきますが、VDR及びCaSRの発現の増加や、腫大副甲状腺のVD製剤に対する治療抵抗性を是正する報告もあります。 また、VDRAもCaSR、VDR発現を増加させるため、CaSR作動薬とVDRAは相乗効果によってSHPT、CKD-MBD治療の中心となりつつあります。 しかしシナカルセトは消化管障害のため内服コンプライアンスが悪いことも多く、今回新たに発売されたエボカルセトが臨床的に新規投与時の有効性とシナカルセトからの切り替え時の非劣性を確認できたことで、今後治療の幅が広がることを期待しています。 1)Block GA, et al: Mineral metabolism, mortality, and morbidity in maintenance hemodialysis. J Am Soc Nephrol 15:2208,2004. 2)Mizobuchi M,et al: Calcimimetic compound upregulates decreased calcium-sensing receptor expression level in parathyroid glands of rats with chronic renal insufficiency. J Am Soc Nephrol 15:2579-2587. 2004.

考察 今回エボカルセトの臨床的な効果を検討し,8~12週までの新規投与時の有効性と シナカルセトからの切り替え時の非劣性を確認した. シナカルセトからの切り替えに関しては,観察期間内で言えば,シナカルセト25 mgと エボカルセト1 mgを同等の効果として,切り替えが可能かと思われる. シナカルセト12.5 mgからの切り替え群においてもiPTHは変化しなかったが,症例数 が少なく,有意なデータではなかった可能性がある. 新規投与時は,特に投与開始4 週後までに血清Caが低下しやすく,十分な観察と対 応が必要である. 考察です。CKD-MBDは血管石灰化を介して生命予後にも深刻な影響を及ぼすため、その治療は重要で、近年様々な新薬の登場しています。 CaSR作動薬はCaSRの細胞外Caイオン濃度に対する感度を上昇させ、PTHの産生・分泌を減少させます。 腎不全モデルにおいて、副甲状腺ビタミンD受容体、今後VDRと略させていただきますが、VDR及びCaSRの発現の増加や、腫大副甲状腺のVD製剤に対する治療抵抗性を是正する報告もあります。 また、VDRAもCaSR、VDR発現を増加させるため、CaSR作動薬とVDRAは相乗効果によってSHPT、CKD-MBD治療の中心となりつつあります。 しかしシナカルセトは消化管障害のため内服コンプライアンスが悪いことも多く、今回新たに発売されたエボカルセトが臨床的に新規投与時の有効性とシナカルセトからの切り替え時の非劣性を確認できたことで、今後治療の幅が広がることを期待しています。

Limitation ・当該試験では副作用の比較は行っていないため,安全に切り替えが可能かどうかは追加の検討を要す. ・他の薬剤や生活習慣などのバイアスは除外できていない. ・12 週以降の長期観察期間においての比較検討が必要である. 今回の検討から言えば、シナカルセト25mgとエボカルセト1mgを同等の効果として切替が可能かと思われます。ただ12.5mgからの切替例でもiPTHは変化なく推移しておりましたので、Ca低下が12.5mgからの切り替えでは認められ、25mgからの切り替えでは認められなかったことなどを考慮すると、実際には12.5mgと25mgの間に適正な切替用量があるのかもしれません。 今後は症例数の増加や12週以降の観察期間の増加が必要かと思われます。 ただ新規投与時には

結語 エボカルセト新規内服で有効なSHPT抑制効果を期待できる. シナカルセト25 mgからエボカルセト1 mgへの切替えに おいて,12週目までは同等のSHPT抑制効果を期待できる.

日本透析医学会 COI 開示 筆頭発表者名: 倉脇 壮 日本透析医学会 COI 開示   筆頭発表者名: 倉脇 壮 演題発表に関連し,開示すべきCOI関係にある企 業などはありません.