JHS部門における改善活動の進め方~未然防止型QCストーリーを中心にして~

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Presentation transcript:

JHS部門における改善活動の進め方~未然防止型QCストーリーを中心にして~ 第6176回 QCサークル静岡地区 秋桜大会  2019年10月25日  JHS部門における改善活動の進め方~未然防止型QCストーリーを中心にして~ 中央大学理工学部  経営システム工学科     中條 武志 E-mail: nakajo@indsys.chuo-u.ac.jp

講演の内容 1.小集団改善活動とJHS部門 2.JHS部門における改善活動の進め方 -未然防止型QCストーリーを中心にして-   -未然防止型QCストーリーを中心にして- 3.JHS部門における小集団改善活動の推進

1.小集団改善活動と   JHS部門

持続的成功のためには 利益=売上-コスト 顧客・社会のニーズと自組織のシーズを 結びつけ顧客価値を創造する 売 上: 顧客・社会のニーズに合った 製品・サービスの提供 コスト: 自組織のシーズ(技術や人など)     の活用・革新 顧客・社会のニーズと自組織のシーズを 結びつけ顧客価値を創造する

顧客価値を創造するための効果的・効率的なマネジメント TQM(総合的品質マネジメント)とは TQMとは: 顧客の満足する品質を備えた品物やサービスを適時に 適切な価格で提供できるように、全組織を効果的・効率的に運営し、 組織目的の達成に貢献する体系的活動                「デミング賞のしおり」 より 組織の使命・ビジョン・価値観 変化 経営目標・戦略とその展開 顧客価値を創造するための効果的・効率的なマネジメント 提供プロセス  (提供者) 顧客 社会 顧客・社会のニーズ   自組織のシーズ(技術・人) 製品・サービス 品質/質 科学的方法 PDCA 顧客指向 全員参加 TQM=変化に対応できる、変化できる組織能力を獲得する方法論

TQMの原則、活動要素、手法 活動 要素 活動要素 手法 原則 ※吹き出し部分を少し広げさせて頂きました 活動要素を 効果的・効率的      原則 活動要素 活動 要素 手法 活動要素を 効果的・効率的 に進めるための支援技法・ツール 特定の目的・ねらい をもったひとまとまり の組織としての行動 一人ひとりの行動の基本となる考え方

TQMの原則(行動原則) 顧客指向 後工程はお客様 品質第一 リーダーシップ 全員参加 人間性尊重 教育・訓練の重視 プロセス重視 標準化 顧客指向    後工程はお客様 品質第一 リーダーシップ 全員参加 人間性尊重 教育・訓練の重視 プロセス重視 標準化 源流管理 PDCAのサイクル 再発防止 未然防止 潜在トラブルの顕在化 目的指向 重点 志向 事実に基づく管理 目 的 手 段 組織の運営

顧客指向(マーケットイン) 目的 顧客の中に入って、顧客のニーズを把握し、これらを満たす製品・サービスを開発・製造・提供していく。 品質:製品・サービス、プロセス、システム、経営、 文化・風土など、関心の対象となるものが明示された、 暗黙の、または潜在したニーズを満たす程度 製品・サービス 活動 組織 明示されたニーズ 暗黙のニーズ 潜在したニーズ 品質/質 満足、信頼、効果的、効率的、・・・ 満足、信頼、効果的、効率的、・・・

プロセス重視(プロセスアプローチ) 手段 結果のみを追うのでなく、結果を生み出すプロセス(仕事のしくみ・やり方)に着目し、これを管理し、向上させる。

PDCAサイクル 手段 プロセス 結果 計画 (Plan) (2)目標を達成するプロセスを定める (1)結果に対する目標を決める 実施 (Do)   (3)定めたプロセスを教育・訓練する (4)定めたプロセスに従って実施する (5)結果を計測する チェック (Check)    (7)差異を生じたプロセスの    悪さを解析する (6)結果が目標と一致しているか どうか判定する 処置(Act)      (9)プロセスに対する恒久処置を取る (10)恒久処置の結果を再チェックする (8)目標通りでない結果に対する 応急処置を取る

2種類のPDCA-改善と管理- 改善:目標を現状より高い水準に設定して,問題又は課題を 特定し,問題解決又は課題達成を繰り返す活動。 管理:目標を現状又はその延長線上に設定し,目標からずれ ないように,ずれた場合にはすぐに元に戻せるように,さらには 現状よりも良い結果が得られるようにする活動

全員参加 人間性尊重 運営 全階層が、全部門が、全員参加して品質管理を行うことが必要である。 人間らしさを尊び、重んじ、一人一人が人間として特性を十分に発揮できるようにする Maslowの欲求5段階 自己実現のサイクル

TQMの活動要素 品質保証 価値創造 改 善 ・ 革 新 維 持 向 上 ・ 安 定 化

小集団改善活動の原点-QCサークル 職場第一線で働く人々が継続的に製品・サービスや仕事などの質の改善・管理を行う小グループ。 【目指すもの】 ①メンバーの能力向上と自己実現 ②明るく活力に満ちた生きがいのある職場づくり ③お客様満足の向上および社会への貢献 経営者・管理者は、この活動を企業の体質改善・発展に寄与させるために人材育成・職場活性化の重要な活動として位置づけ、全員参加を目指した指導・支援を行う。

要件1 問題・課題の存在 問題:設定してある目標と現実との、対策して克服する必要のあるギャップ 要件1 問題・課題の存在 問題:設定してある目標と現実との、対策して克服する必要のあるギャップ 課題:設定しようとする目標と現実との、対策を必要とするギャップ 目標(将来) 課題 目標(現在) 問題 現実 15

要件2 小集団の形成 組織 小集団 個人 役割認識 能力発揮 知共有 組織 小集団 個人 Plan Do Act Check 役割認識 要件2 小集団の形成 個人の成長 小集団の成長 組織の成長 小集団 個人 組織 役割認識 知共有 能力発揮 Plan Do Act Check 小集団 個人 役割認識 知共有 能力発揮 Plan Do Act Check 組織 組織 小集団 Plan Do Act Check 役割認識 個人 能力発揮 知共有 16

要件3 問題解決の手順や手法の活用 1.テーマ(問題・課題)の選定 2.現状の把握と目標の設定 3.活動計画の策定 4.要因の解析 要件3 問題解決の手順や手法の活用 1 親和図法、パレート図、 テーマ選定マトリックス 2 グラフ、プロセスフロー図 3 ガントチャート、 プロジェクト計画書 4 チェックシート、ヒストグラム、管理図、層別、 特性要因図、連関図、 散布図、統計的検定・推定、 実験計画法 5 系統図、発想チェックリスト、 対策選定マトリックス 6 グラフ 7 標準書、エラープルーフ スキル評価マトリックス、 プロセスフロー図、管理図 8 反省書 1.テーマ(問題・課題)の選定 2.現状の把握と目標の設定 3.活動計画の策定 4.要因の解析 5.対策の検討と実施 6.効果の確認 7.標準化と管理の定着 8.反省と今後の計画

小集団改善活動の効果 3つの流れの絡み合い ※段落を調整させて頂いた部分が御座います 小集団改善活動 ・価値観  の共有 ・科学的な  アプローチ ・新たな  気づき ・学び合い 問題・課題 の存在 小集団の形成 問題解決の手順や 手法の活用 ・合理的なものの見方、科学的な手法、問題・課題解決能力が身につく ・人間として向上したい ・よりよい 仕事をしたい メンバーの能力向上・自己実現 ・QCの考え方 ・QC手法の勉強 ・勉強したこと   の活用 小集団改善活動 ・能力向上 ・自己実現 ・実務について の充分な知識 と経験 ・お互いによく 知合った仲間 ・十分な話し合い ・チームワーク ・相互に啓発する ・第一線の職場の人の集まり 明るく活力に満ちた生きがいの ある職場 ・達成感  の共有 ・職場の中のいろいろな 問題・課題 ・取り上 げる テーマ の決定 ・問題・課 題の明 確化 ・要因の解析 ・対策の検討と実施 ・問題・課題の解決 お客様満足の 向上および 社会への貢献 出典:QCサークル本部「QCサークルの基本」、一部加筆

JHS部門とは 広くとらえると、設計、研究、販売、マーケティング、購買、物流、人事、経理などの部門 職場 特徴 製造 系 ※○○系の部分のカタカナを半角に変更させて頂きました JHS部門とは 広くとらえると、設計、研究、販売、マーケティング、購買、物流、人事、経理などの部門          職場 特徴 製造 系 JHS部門(広い意味) 開発系 営業 サービス系 本社 スタッフ系 役割・責任が明確 ○ × プロセスが明確 質(成果)が明確 数値化が容易

JHS部門の小集団改善活動の困難さ(1) 困難さ 質問の例(ただいま出動 QCサークル119番より) テーマの選定が難しい 質問の例(ただいま出動 QCサークル119番より) テーマの選定が難しい 全員で活動できる共通のテーマがありません みんなが困っていることを取り上げて改善したいのですが(経理部) 大きな改善テーマの見つけ方は?(総務部) 私たちのお客様は誰?(設計部門の支援業務) 顧客満足度の視点から改善テーマを見つけるには? 営業におけるテーマの選定の仕方や活動の進め方は? 設計・開発ではどうテーマの選定や活動を進めたらよいか サービス業でテーマを見つけるには? テーマ(○○業務をPCに移行)を決めましたが,進め方がわかりません

JHS部門の小集団改善活動の困難さ(2) 困難さ 質問の例(ただいま出動 QCサークル119番より) 現状把握・目標設定が難しい ※『困難さ』の部分の幅を少し広げさせて頂き、段落(改行)を調整させて頂きました JHS部門の小集団改善活動の困難さ(2) 困難さ 質問の例(ただいま出動 QCサークル119番より) 現状把握・目標設定が難しい 現状把握をどうすればいいの? 仕事の忙しさの状況を把握し改善するには? 整理整頓の状況を数値化するには? 利用者の満足度(不満足度)をデータで把握するには? マンネリ化の度合いを数値化するには? 連絡漏れの現状をデータで把握するには? 危険を数値化するには? アンケートに答えていただくためには? 現場に行くのがコワイ! 売上げにおける問題を明らかにするには? 営業部門での現状把握や目標設定の指標化は   どうすればいいでしょうか?

JHS部門の小集団改善活動の困難さ(3) 困難さ 質問の例(ただいま出動 QCサークル119番より) 要因の解析が難しい ※『困難さ』の部分の幅を少し広げさせて頂き、段落(改行)を調整させて頂きました JHS部門の小集団改善活動の困難さ(3) 困難さ 質問の例(ただいま出動 QCサークル119番より) 要因の解析が難しい 人数を増やすのは「仕事のプロセス」の改善ではないの 原因追究をうまくやるには?(不登校者をなくそう) 要因からすぐに対策に入ってもいいのかな? トラブルを最初から起こさないようにするには? トラブル・事故の未然防止に取り組むには? 原因追究の仕方がわかりません 対策の 検討・実施 対策のアイデアが出てきません 対策案をうまく絞り込む方法は? 自分たちで行える対策が限られる 社内情報システムと関連した改善はどうすればいい? 標準化と 管理の定着が難しい 標準化と管理の定着は標準書をつくること? 改善したことが定着しない 対策を継続するにはどうすればいいでしょうか。

2.JHS部門における 改善活動の進め方 未然防止型QCストーリーを中心にして

テーマの選定に対するアドバイス みんながその重要性を理解でき,「共感」できるテーマを選ぶ 自職場の目的を考える,目的の達成のために行っている業務のアウトプットやプロセスかを考える 自職場が後工程にかけている迷惑に着目する 身近なお客様(後工程)がバリバリ仕事できるために自分たちができることは何か,さらには,自社の製品・サービスを使ってくれる・利用してくれるお客様,お客様を取り巻く社会へと視野を広げる 自分たちの行っている業務について,期待通りになっていない結果を取り上げる 職場の重要課題を取り上げる テーマを絞り込む工夫として「なぜなぜ5回」を用いてみる 客様の声を聞くことから始める,自分たちの仕事の流れ全体をみんなの協力を得ながら図にする 品質表(期待・要望とプロセスの特性の関係)を活用する

現状把握・目標設定につてのアドバイス 予めデータシートを用意して1週間程度記録を日報としてつけてもらう 最初はしっくりこなくても,データとしてある程度長期的にとってみる 対象とするものを,基準を決めてランクづけする 代用特性を工夫する 特定の行動をした回数,特定の場所や時間にいた人数,特定の物が使用された回数,特定の事象が発生した件数などを用いる ①起こる可能性,②起こった場合のひどさをそれぞれ4段階くらいで評価し,①と②を掛け合わせる みんなに,過去に経験した問題をできるだけたくさん思い出してもらう アンケートの目的がはっきり伝わるようにする,聞きたいことのポイントを絞って聞く,タイミングを工夫する “クッション効果”を活用する 問題とはあるべき姿と現状の差である ①より上位の目標をもとに決める,②業界や他職場と比較し,一番を目指して決める,③お客様のニーズや困り具合から決める

解析・対策・標準化につてのアドバイス プロセスに関するノウハウを見つけて蓄積・活用する プロセスフロー図を作成する 自分たちがコントロールできる内部要因に着目する 検証にアンケートや一定期間のトライアルを活用する “類似”の原因によるトラブルが発生しそうなところはないか,再発防止対策を活用できるところはないか探す FMEAを活用する RCA(根本原因分析)を活用する 顧客を含め,いろいろな人からのアイデアを集める 対策発想チェックリストを活用する 対策分析表を活用する お客様や他職種・他職場・他部署,他社・他団体などを巻き込む なぜそうする必要があるのかがわかるようにする,やる気・興味を持ち続けてもらうための工夫をする

最近のトラブル・事故を見ると 再発防止 が重要 ??? (a) 特定の問題が集中的に発生 (b) 様々な問題が散発的に発生

トラブル・事故の原因 ※『管理不良』の部分の段落(改行)を調整させて頂きました 悪意の無い ノウハウから の逸脱(失敗) 悪意のある ノウハウの 活用(犯罪) 意図しないエラー (うっかりミス) 知識不足 技能不足 意図的不順守 (まあ、いいか) ト ラ ブ ル ・ 事 故 の 原 因 管理不良 (ノウハウの 不適切な活用) 技術不良 不足)

なぜ未然防止が必要か 10-5 個々の発生率が非常に低い。 × あらゆるプロセスで起こる 可能性がある。 106 あらゆるプロセスで起こる 可能性がある。                         発生したものをいくら対策しても もぐらたたきにしかならない 10 残ったモグラは? 106 - 10=999990 未然防止が必要  

未然防止(予防処置)とは 実施にともなって発生すると考えられる問題を予め計画段階で洗い出し、それに対する修正や対策を講じておく。 類似の問題が別の場所で 繰り返し発生している 過去に経験した 問題の収集と 類型化 + 計画の事前の 体系的な見直し と改善

未然防止(予防処置)とは + 過去の 問題・失敗 失敗モード 一覧表 計画・設計 ・・・ 有効な対策 対策発想 チェックリスト 対策事例集 起こりそう な問題 有効な対策 対策発想 チェックリスト 対策事例集 対策が必要 +

未然防止型QCストーリー ステップ 活用できる手法 1.テーマの選定 2.現状の把握と目標の設定 3.活動計画の策定 4.改善機会の発見  □過去の失敗の収集と類型化  □起こりそうな失敗の洗い出し 失敗モード一覧表 プロセスフロー図/機能ブロック図 FMEA(失敗モード影響分析) RPN(危険優先指数) 5.対策の共有と水平展開  □対策案の作成(過去の有効な対策の活用)  □対策案の評価・選定・実施 対策発想チェックリスト 対策データベース(対策事例集) 対策分析表 6.効果の確認 7.標準化と管理の定着 8.反省と今後の課題

1.テーマの選定 顧客(後工程)のニーズや職場の方針を理解する。 職場が提供している製品・サービス、行っている業務を ※段落(改行)を調整させて頂きました 1.テーマの選定 顧客(後工程)のニーズや職場の方針を理解する。 職場が提供している製品・サービス、行っている業務を リストアップした上で、トラブル・事故の危険性や量を   点数付けする。 業務 トラブル・事故の危険性 量 総合評価 (順位) A製品の組立 中 大 2 B製品の組立 小 4 設備の始業前点検 1 ○○不良の修正 3 ・・・

2.現状の把握と目標の設定 事例を集め、問題の種類を明確にする(管理不良か技術不良か、人の行動か設備の故障か、知識・スキル不足/意図的な不順守/意図しないエラーのいずれかなど)。 目標を設定(何を、いつまでに、どこまで改善するか)。

3.活動計画の策定 目標を達成するまでの大まかな活動の進め方 (1.テーマの設定~8.反省と今後の課題)を、日程や 担当とともに示す。 ステップ 〇月 担当 1.テーマの選定 全員 2.現状の把握と目標の設定 内海・高橋・川井 3.活動計画の策定 4.改善機会の発見 山西・鎌田・田部井 5.対策の共有と水平展開 小村・大沢・会沢 6.効果の確認 7.標準化と管理の定着 本間・新開 8.反省と今後の課題

4.改善機会の発見 過去の事故・トラブルの原因となった失敗を収集・整理 し、失敗モード一覧表を作成する。 テーマとして取り上げたプロセスの設計・計画を、プロセスフロー図/機能ブロック図などを使って目に見える形 に書き出し、検討のしやすい大きさのサブプロセス/ サブコンポーネントに分解する。 FMEA(失敗モード影響分析)などを活用し、得られた サブプロセス/サブコンポーネントに失敗モード一覧表 を適用し、起こりそうな失敗を洗い出す。 洗い出された失敗についてRPN(危険優先指数)など を求め、対策の必要な失敗を明確にする

失敗モード一覧表の例(エラー防止) ①抜け ⑨認識間違い ②回数の間違い ⑩決定間違い ③順序の間違い ⑪動作位置・方向・ 量の間違い ④実施時間の間違い ⑤不要な作業の実施 ⑥選び間違い ⑦数え間違い・ 計算間違い ⑧見逃し ⑨認識間違い ⑩決定間違い ⑪動作位置・方向・ 量の間違い ⑫保持の間違い ⑬記入・入力の間違い ⑭不正確な動作 ⑮不確実な保持 ⑯不充分な回避

プロセスフロー図/機能ブロック図 全体を3~5のステップに分ける 各ステップをサブプロセスに分ける ○○業務のプロセス ステップ:     ○○業務のプロセス サブプロセス:  ○○○○     ・・・ 全体を3~5のステップに分ける 各ステップをサブプロセスに分ける

適用例:出庫作業 注1)部品番号を入力すると  部品の入ったパレットが自  動的に正面にくる 注2)一つのパレットには複  数のトレーがのっている

失敗モードの適用 起こったものではなく、起こりそうなものをすべてあげる。 サブプロセス/ サブコンポーネント 起こりそうな問題 影響 原因 失敗モード一覧表 ① ・・・・       ② ・・・・       ③ ・・・・       起こったものではなく、起こりそうなものをすべてあげる。

FMEA (Failure Mode and Effects Analysis) ※手順1のスペースを調整させて頂き文字出だし位置を合わせさせて頂きました FMEA (Failure Mode and Effects Analysis) 手順1: 対象とするシステム(プロセス、設備等)をその流れ     に沿って書き下し、サブプロセス/サブコンポーネン     トに区分する。 手順2: サブプロセス/サブコンポーネント毎に「失敗モード      一覧表」を当てはめ、発生する可能性のある問題を      列挙する。 手順3: 列挙した各々の問題の発生の頻度・影響の厳しさ      などを評価し、対策が必要な失敗を絞り込む。

適用例:出庫作業 No サブプロセス エラー 1 部品番号を端末に入力する 番号欄の見間違い 入力間違い 2  サブプロセス              エラー 1 部品番号を端末に入力する 番号欄の見間違い 入力間違い 2 端末に表示されるトレー番号を見る       抜け 違う番号を見る 番号の見間違い  3 パレットから トレーを取る  パレット違い トレー取り違い 4 トレーの部品番号を照合する 相違に気づかない 5   部品を取る      数え間違い 6 出庫箱に入れる 一部入れ損なう 7 出庫済み欄に マークを付ける 別の欄に付ける 8 トレーをもとに 戻す 別の場所に戻す

RPN(Risk Priority Number) 発生度、致命度、検出度等を4~5段階で評点付けし、その積でリスクの大きさを見積もる。 発 生 度:失敗の発生頻度 致 命 度:失敗によって引き起こされる       影響の大きさ 検 出 度:失敗が影響を引き起こさないよ (波及防止度) 取られている対策の程度   発生度 致命度   失敗 影響   検出度

適用例:出庫作業 ※表の幅を広げさせて頂きました。また、サブプロセスの部分の改行を調整させて頂きました No サブプロセス エラー 影 響  サブプロセス              エラー      影 響  発 生 原 因      発生の可能性 影響の致命度 波及の防止度 R P N 1 部品番号を端末に入力する 番号欄の見間違い 欠品 1枚に複数部品が記載 2 3 12 入力間違い 異品出庫 入力桁が多い 4 36 端末に表示されるトレー番号を見る       抜け 付随的作業 違う番号を見る   番号の見間違い  数字が小さい 24 パレットから トレーを取る  中断が入る場合がある パレット違い 複数のパレットがある トレー取り違い トレー位置がよく見えない トレーの部品番号を照合する 相違に気づかない 桁数が多い 5 部品を取る      数え間違い 員数不足/余り 6 出庫箱に入れる 一部入れ損なう 員数不足 7 出庫済み欄に マークを付ける 重複出庫 別の欄に付ける 重複出庫/欠品 8 トレーをもとに 戻す 16 別の場所に戻す トレーが複数ある、動く

5.対策の共有と水平展開 過去に成功した対策を収集・整理し、 対策発想チェックリストや対策事例集にまとめる。 ※改行を調整させて頂きました 5.対策の共有と水平展開 過去に成功した対策を収集・整理し、 対策発想チェックリストや対策事例集にまとめる。 対策の必要な“起こりそうな問題”に対して対策発想 チェックリストや対策事例集を適用し、対策案をできる だけ多く作成する。 対策分析表などを活用し、作成した対策案について、 有効そうなものとそうでないものを振り分ける。 有効そうな対策案を組み合わせて最終的な案にまとめ、実施する。

対策案を思い付かないのは 自分の経験に基づく対策       有効な対策 対策 N 対策 N-1 対策 3 対策 2 対策 1 問題

対策発想チェックリストの例(エラー防止) <排除> 作業を取り除けないか? 危険な物・性質を取り除けないか? <代替化> 自動化できないか? 指示、基準、ガイド等の支援を与えられ ないか? <容易化> 変化・相違を少なくできないか? (標準化・単純化できないか、似たもの・関連するものをまとめられないか?) 変化・相違を明確にできないか? (色の利用、特殊な形にできないか?) 人間の能力に合ったものにできないか? <異常検出> 異常な動作を検知できないか? 異常な動作が行えないようにできないか? 異常な物・状態を検知できないか? <影響緩和> 影響が生じないよう作業を並列にできないか、物を冗長にできないか? 危険な状態にならないようにできないか? 危険な状態になっても損傷が発生しないよう保護を設けられないか?

対策事例集の例(エラー防止)

ブレンストーミングの4つのルール  1. 批判禁止  2. 自由奔放(滑稽・奇抜なものを歓迎)  3. 量を求める  4. 便乗歓迎

適用例:出庫作業でのトレーの取り間違い 発想チェッ クリスト 対策案 自動化でき ないか トレーの前にランプを取り付けて品名を入力すると 対応するトレーのランプが点灯するようにする 変化・相違 を明確にで きないか パレットのそれぞれのトレーに対応する位置に番 号のラベルを貼る 異常な物・ 状態を検知 できないか トレーにチェック用の1桁の数字を付けるとともに 品名を入力するとこの数字が表示されるようにし ておき両者を確認する 物を冗長に 品名が違う部品を出庫しても後工程で気付いた時 にすぐに取り替えられるように、予備の部品を用 意しておく

対策案の評価・選定が難しいのは 1次元的な見方 多次元的な見方 論理的な評価 声の大きさの勝負 ※『多次元的な見方』の対策の見出し部分の改行を調整させて頂きました 対策案の評価・選定が難しいのは 1次元的な見方 多次元的な見方 論理的な評価 メンバー  主張 理由 Aさん 対策1が よい 効果が ある Bさん 対策2が コストが安い Cさん 対策3が 継続が 容易 対策 効果が ある コストが安い 継続が 容易 対策1   3 1 対策2 2 対策3 声の大きさの勝負

適用例:出庫作業でのトレーの取り違い 採用 エラープルーフ化の対策案 効果 コスト 実施 SPN トレーの前にランプを取り付けて 品名を入力すると対応するトレー のランプが点灯する 3 1 9 パレットのそれぞれのトレーの対応 する位置に番号のラベルを貼る 2 18 トレーにチェック用の1桁の数字を 付けておき確認する 4 後工程に予備の部品を用意して おく 6 採用

6.効果の確認 対策を実施した後に、適切なデータを収集・分析し、 その効果を確認する。 RPNなどを用いて効果を予想する。 N=250 N-250 (a) トラブル・事故の件数による効果の確認      (b) RPNによる効果の確認

適用例:出庫作業でのトレーの取り間違い サブプロセス :パレットからトレーを取る(サブプロセス3) 起こり得るエラー :トレーの取り間違い サブプロセス :パレットからトレーを取る(サブプロセス3) 起こり得るエラー :トレーの取り間違い 対策前のリスク :発生度3×致命度4×検出度3=RPN36 エラープルーフ化 :パレットのそれぞれのトレーに対応する位置  に番号のラベルを貼る 対策後のリスク :発生度2×致命度4×検出度3=RPN24 エラープルーフ化 :部品番号の色をトレーによって変える 対策後のリスク :発生度2×致命度4×検出度2=RPN16 注:RPNが基準より低くならないものは、継続的な監視・検討が必要なものとする。

適用例:出庫作業 出庫間違い(ppm) エラープルーフ化

十分な効果が得られていない場合

7.標準化と管理の定着 効果のあった対策については、継続的に実施される よう、作業標準書の改訂を行う。 改行を調整させて頂きました 7.標準化と管理の定着 効果のあった対策については、継続的に実施される よう、作業標準書の改訂を行う。 自職場や他職場の製品・サービスについても当該の 対策が確実に実施されるよう、技術標準書(作業や 設備を設計・計画するための標準書)に反映する。 作成した失敗モード一覧表、対策発想チェックリスト、 対策事例集などは、他の人たちが将来の活動で活用 できるように職場の共有財産にしておく。 対策の継続的な実施を確実にするために、継続できて いるかどうかを確認するための計画を定めておく。

作業標準書の改訂 ○○作業標準書SOP-XXX ・・・ ○○を行う場合 には、・・・する 改訂履歴 ○○改善報告書PIR-XXX     ・・・  ○○を行う場合  には、・・・する  改訂履歴 ○○改善報告書PIR-XXX  1.テーマの選定  2.現状の把握と目標の設定       ・・・  7.標準化と管理の定着   (1) 作業標準書SOP-XXXの改訂   (2) 技術標準書ES-XXXの改訂  8.反省と今後の課題 関連トラブル・ リスク ・・・ 年月日 理由 備考 ・・・制定 ・・・ 改善報告書PIR-XXX ・・・改訂

技術標準書の改訂 設計部門 生産技術部門 技術標準書 上司(管理者)の巻き込み データに基づく議論 ○○製品・サービス ○○設備 ○○作業 対策 対策 対策

8.反省と今後の課題 活動を通して自分たちの能力がどのくらい向上したの かを評価する。 改善活動の進め方やQCサークルの運営の仕方を振り返って良かった点、悪かった点を振り返る。 取り組んだ問題について達成できたこと、まだ取り組め ていないこと問題について、少し距離を置いて広い視点 から振り返る。

能力の向上を評価する 改行を調整させて頂きました 組織の一員としての基本的な能力(コミュニケーション力、プレゼンテーション力など) 固有技術・技能に関する能力(扱っている製品・サービスやプロセス・設備の 知識、業務の遂行に必要となる技能など) 管理技術・技能に関する能力(問題解決力、QC手法の知識・活用力、チームを運営する力など) 注) 1:経験なし、2:助けを借りてできる、 3:単独でできる、 4:指導や標準化ができる、 5:課題を見つけ改革できる

活動の進め方を反省する ステップ 良かった点 悪かった点 今後の課題 テーマの選定 具体例を議論する中で未然防止の必要性に気づけた 対象プロセスを選ぶ基準が曖昧だった 危険性の高さ、職場方針などを考慮して選ぶ 現状の把握と目標設定 4Mによる分類を行い、問題の種類を絞り込めた 目標値を合理的に設定できなかった 目標値の根拠についてしっかり議論する 活動計画の 策定 勉強会を行い、各ステップで行うことを理解できた 改善機会の洗い出しに時間がかかった 範囲を絞って短期間で行う工夫をする 改善機会の 発見 過去事例から失敗モード一覧表を作成・活用できた FMEAを作成するのに苦労した 簡便に行える方法を工夫する 対策の共有と水平展開 若手からも多くの対策のアイデアが出た 対策案を評価選定する基準が曖昧だった 対策分析表の各項目の評価基準を作る 効果の確認 RPNを用いて定量的に効果を確認できた トラブル0を実現できなかった なぜ未然に防げなかったのかを分析する 標準化と管理の定着 未対策の問題をリスクマップにまとめた 他の作業や設備への水平展開が不十分 設計部門の技術標準に反映してもらう

未然防止型が適用できる場合 いつも行っている作業で散発的に発生する意図しないエラー 新しい状況で発生する人の不適切な行動(意図しないエラー、意図的な不遵守、知識・スキル不足) やりにくい作業を改善する(生産性の向上) 危険な作業・場所を改善する(安全の確保) 設備・機器の故障によるトラブル・事故を防ぐ 自然災害に対して備える

実践例1:顧客対応の業務のトラブル 開発・営業・生産管理を担当している。 日頃抱えている問題・課題を話し合いった結果、「受発注のトラブルを防ごう」というテーマに取り組むことになった。 過去に経験した失敗をみんなで出し合い、①標準を知っていたか、②標準通りに作業できるか、③標準を守るつもりだったかの3つの質問によって分けたところ、うっかりミスとスキル不足が全体の7割と多かった。 出典:「QCサークル」、No.586、p.33~35

No Yes 標準を 知っていたか 標準どおりに 作業できるか 標準を守る つもりだったか 標準と異なる作業をした D 教育・訓練・動機づけが役にたたない (エラープルーフ化が有効) 標準を知らなかった (教育が有効) 標準通りにできな かった(訓練が有効) 標準を守る気がなか った(動機づけが有効) Yes No 問題の切り分けフロー図 D 意図しないエラー 発送確認問い合わせ 送り先ミスで製品が届かない 製品が届かない (発送手配モレ) 情報を知らない 案件についてTEL回答出来ない 受注手配をかけたか分からない ので納期回答できない 発注忘れでモノがない 連絡忘れで納品書がない 納品書の付け忘れ (作業ミス) 42.1% 8件 A 標準知らない リードタイムを知らない ので納期回答できない 注文を受けているか分からない ので納期回答できない。 システム理解不足。 知らなかった。 (納品書がない) 15.8% 3件 C 意図的不遵守 外注遅れで欠品 担当者不在でREFAX の時間がかかる 試作持ち出しでモノがない。 15.8% 3件 B 技能不足 自信がない 経験不足で納期回答できない。 在庫状況を知らないので 納期回答できない。 仕様の可否判断できない のでREFAXできない。 自信がないので(経験不足) REFAXしない。 在庫管理ミスでモノがない。 26.3% 5件

改善機会の発見 全部で起こしそうな失敗が42個あり、そのうち18点以上のものが20項目 プロセス サブ 起こしそうな失敗 影響 原因 発生度 重要度 検出度 リスク お客様からの注文を受ける お客様の受付内容を確認する  紛失 失注 中断 2 4 32 見落とし 納期遅れ 忙しい 3 24 見間違える 時間がない 48 過去の 実績を確認する 間違った情報を あたえる 勘違い 8 見間違え 無駄な工数かかる 別張り一覧の確認を する  一覧表が紛らわしい 認識不足 カタログ見間違い 全部で起こしそうな失敗が42個あり、そのうち18点以上のものが20項目

対策案の作成、評価・選定・実施 対策発想チェックリストを用いて22個の対策案を作成→5つの対策 サブプロセス 失敗 対策案 お客様の 受付内容を確認する 紛失 見落とし 見間違える FAXの一時保管場所、掲示場所を明確にする 受注処理確認集中タイムを設け、その時間に必ず確認する 第三者に確認してもらう 過去の実績を確認する 過去の実績一覧表の作成と誰でもいつでも利用できる化(パソコンの共有フォルダに保存) 別張り一覧の確認をする 別張り一覧表の作成と誰でもいつでも利用できる化 (パソコンの共有フォルダに保存) 技術と確認をする 抜かす 誤回答 実績のないものを確認しないで(予測で)回答することをしない。 上張り変更 調整する できない 張地を回答 実績のないものを確認しないで(予測で)回答することをしない 在庫を確認する 数量数え間違い データ上の在庫数と実在在庫の差異をなくす 対策発想チェックリストを用いて22個の対策案を作成→5つの対策

¥800 FAXは一時保管箱へ入れ整理した。 注文書は誰でも見れるように壁に張りだした。 FAXの紛失等 RPN48点→24点 一時保管箱の設置 FAXの紛失等 RPN48点→24点 ¥800 FAXは一時保管箱へ入れ整理した。 注文書は誰でも見れるように壁に張りだした。 注文書FAXの掲示 対策にかかる費用

効果の確認 N=44 N=44 (a) 対策前               (b) 対策後 RPN18以上の失敗がまだ12個あったため、追加の対策を実施。それでも18未満にならなかった7個については、標準書にそのような失敗の危険があることを明記。 対策後6ヶ月間のトラブル件数は、目標としていた半減を達成。

実践例2:スーパーマーケットでの切傷 材料を加工して商品を用意し、陳列・販売を行っている。 ヒヤリハットが分析したところ、切傷が約50%を占める。 ヒューマンエラーによるものが多い。 出典:「Axial Retailing 第94~97回TQM発表大会 変革への挑戦」、pp.18~21

改善機会の発見 ステップ1 ステップ2 ステップ3 ステップ4 ステップ5 保管庫の商品をカット台に移す 売場の陳列棚まで移動する 陳列する 保管庫に戻る 段ボールを捨てる サブプロセス 1a. 補充する商品を確認する 1b.商品をカット台に移動させる 2a.カット台を押して売場まで移動する 2b.周囲に注意しながら移動する 3a.段ボール箱を開ける 3b.段ボールをカットする 3c.商品を並べるまたは箱を置く 3d.出し終わった箱をたたむ 4a.カット台を押して保管庫に戻る 5a.段ボールをつぶす 5b.段ボール置き場に捨てる 作業FMEAを用いて、起こりえる、切傷などにつながるエラーを洗い出した。 発生度等を4段階で評価し、RPNが18点以上のものをピックアップした結果、段ボール箱開けた時に「留め具で腕を切る」「留め具が飛び顔に当たる」、段ボールをカットする時に「カッターの刃で手を切る」など、対策の必要な6つのヒューマンエラーが明らかになった。

対策案の作成 「箱を足で潰す時に滑って転倒する」に対する対策案 改行を調整させて頂きました 原理 質問 対策案 作業・危険を 排除する 作業を取り除けないか ・足で潰さない(手で潰す) 危険物・性質を取り除けないか ・箱を重ねて潰さない (一箱ずつ潰す) エラーしやすい人の作業を置き換える 自動化できないのか ・機械で潰す 指示・基準・ガイド等の支援を 与えられないか ・カゴテナーにつかまって身体  を安定させる 人の作業を容易にする 変化・相違を少なくできないか ・同じ大きさの箱を続けて潰す ・力のある人がまとめて潰す 変化・相違を明確にできないか ・滑りやすい場所で行わない 人間の能力に合ったものに できないか ・潰すのに大きな力がいらない  箱にする 注)6つのエラーに対して発想チェックリストを用いて対策案を考えた。

対策案の評価・選定・実施、効果の確認 「箱を足で潰す時に滑って転倒する」に対する対策案 対策案 効果 コスト 継続 SPN ・足で潰さない(手で潰す)。 2 3 12 ・箱を重ねて潰さない(一箱ずつ潰す) 27 ・機械で潰す 1 9 ・カゴテナーにつかまって身体を安定させる 18 ・同じ大きさの箱を続けて潰す ・力のある人がまとめて潰す 4 ・滑りやすい場所で行わない 6 ・潰すのに大きな力がいらない箱にする 6つのエラーともRPNが目標としていた18点未満となり、切傷事故のリスクを 低減することがでた。 1ヶ月間のヒヤリハット件数、切傷事故件数とも0を達成することができた。

反省と今後の課題 改行を調整させて頂きました ステップ 良かった点 悪かった点 今後の課題 テーマ選定 勉強を重ねて労災をテーマに取り上げた リーダーが主導して テーマを決めた メンバーとよく相談して決める 現状把握 手法を活用できた 労災データを活用しきれなかった 労災データを活用した 分析も行う 目標の設定 0件を目標値にした 効果確認期間を明確にしていなかった 期間を決めて確認する 活動計画 計画通り期日までに終えることができた 対策実施が時間不足で駆け足になった 全員で役割分担する 改善機会の発見 FMEAなどの手法を活用して進めた RPNの高いエラーを 見落とした RPNが16点以上は要対策とする 対策の共有と 水平展開 SPNを用いて対策案を選定できた 対策案がなかなか出なかった メンバーから多く意見を集める 対策実施 画像を使うことで やり方を共有できた 作業性が少し悪化した メンバーが実施しやすいように工夫する 効果の確認 グラフで表した 全体効果、無形効果の検証が少なかった メンバーからの感想も 反映する 標準化と管理の定着 メンバーが継続できる方法を考えた 新人等への周知の方法が曖昧であった 「どうする」を具体的に まとめる

3.JHS部門における 小集団改善活動の 推進

小集団改善活動の推進 小集団改善活動 TQM コミュニケーションの基盤を作る 業務プロセスと質を見える化する 職場に合ったテーマを選ぶ 職場・継続型と横断・時限型を併用する 改善のステップやツールを活用する 改善能力・運営能力を評価・向上する ノウハウの共有と一体にして進める 相 互 学 習 に よ り 活 動 を 性 化 す る 組 織 内 で の 位 置 付 け を 明 確 に す る TQM

職場に合ったテーマを選ぶ 方針展開表 組織方針 期末の反省 ボトムアップ トップダウン 方針展開表 部方針 期末の反省 方針展開表 課方針 1.顧客の視点に立つ 2.新しい技術を学ぶ  3.他の組織、部門との連携 4.プロセスに潜在するリスク ・・・ 部方針 期末の反省 方針展開表 課方針 テーマ設定 の指針 期末の反省 関連職場 職場問題・課題 検討会 小集団または個人 小集団または個人 小集団または個人 小集団または個人 問題・課題 一覧表 管理職 スタッフ 一般職 共有

複数のタイプのチームを組み合わせる 職場型 横断型 継続型 時限型 Yes No Yes No Yes No テーマ 同一職場の 既存チームで 解決可能か 同一職場で 既存の 横断型チームで 職場型・継続型チーム 職場型・時限型チーム 横断型・継続型チーム 横断型・時限型チーム 職場型 横断型 継続型 同一職場で働く人がチームを編成。解決後もチームを維持。 (QCサークル等) 複数職場で働く人がチームを編成。解決後もチームを維持。 (委員会等) 時限型 同一職場で働く人がチームを編成。解決後はチームを解散。 (部門ごとのプロジェクトチーム等) 複数職場で働く人がチームを編成。解決後はチームを解散。 (CFT等) Yes No Yes No Yes No

参考:QCサークル活動の進め方 出典:QCサークル本部「QCサークル運営の基本」

参考:“時限型”の小集団改善活動の進め方 出典:JSQC-Std 31-001:2015 「小集団改善活動の指針」

改善のステップやツールを活用する

改善能力・運営能力を評価・育成する 年度方針 能力 評価票 人材育成 計画 階層別・分野 別教育体系 能力評価 上司との面談 能力目標 研修 能力評価票 固有技術の能力  ・基本能力   (理解力など)  ・商品知識と   その活用力  ・専門能力  ・ ・・・ 管理技術の能力  ・基本能力   (IT活用力等)  ・改善力  ・チーム運営力  ・組織運営力  ・方針の理解と   展開力 仕組みの 見直し 年度方針 能力 評価票 人材育成 計画 階層別・分野 別教育体系 能力評価 上司との面談 能力目標 研修 能力評価(資格認定) 上司との面談 テーマ 小集団 改善活動 (実践の場)

ノウハウの共有化と一体にして進める

TQMの実践における経営者の役割 自組織の置かれた経営環境に応じた、積極的な顧客指向の経営目標・戦略の策定においてリーダシップを発揮する。 経営目標・戦略や環境変化に対する識見を持つ。組織能力の向上・人材の育成・組織の社会責任の重要性を理解する。 経営におけるTQMの役割を理解し、自分自身の行動および資源の配分を通して、TQMを推進・支援する意志を伝える。 顧客重視、プロセス改善、全員参加など、TQMの基本となる価値観が、組織の全員に理解され、納得されるようにする。 全員がTQMに参画できる、活躍できるしくみを構築する。 一人ひとりの能力向上や組織としてのノウハウの蓄積・活用を奨励する。 TQM活動の成果が組織の全員によって評価され、認められるようにする。

TQMの実践における管理者の役割 経営情報を部下と共有し、仕事の目的・目標を明確に伝える。 方針管理・日常管理のしくみ等を利用し、問題・課題の設定・検討のための会合の機会を作るとともに、必要に応じて設定した問題・課題を担当する人やチームを決める。 自由に発言できる雰囲気、対立や葛藤のない話し合いができる環境を作る。 部下の適性・能力を評価し、人事部門と協力して適切な教育・研修を計画・実施するとともに、取り組んでいる問題・課題及び能力に応じたコーチングを行う。 得られたノウハウの上流部門の標準への反映や他部門への水平展開に責任を持つ。

TQMの実践における推進者の役割 経営目標・戦略を検討するプロセスに積極的に関わる。 顧客・社会のニーズを満たすこと、プロセス/システムを改善・管理すること、一人ひとりの能力を高めることの大切さを理解 し、その実現にはTQMが最も有効な方法論であると確信する。 品質保証、方針管理、日常管理、小集団改善活動および人材育成の推進を担当する部門と密接な連携を図り、これらの活動が組織の中で一体のものとして展開されるよう、調整役としての役割を果たす。 TQMが、経営目標・戦略を達成するために必要となる活動や組織の状況と合ったものになるよう、推進方法を工夫する。そのために、TQMの実践状況、経営目標・戦略やそれらを支える活動への寄与の状況を把握し、十分効果を発揮できていない点を見つけて見直しを行う。

まとめ TQMは変化に対応できる、変化できる組織能力を構築するための方法論、小集団改善活動はその中核。 JHS部門の特徴は、役割・責任、プロセス、質(成果)が曖昧で、数値化が難しいこと。 改善活動に当たって、テーマの選定、現状把握・目標設定、解析・対策・標準化の進め方を工夫することが大切。 最近のトラブル・事故の大半は技術的に既にわかっている問題の取りこぼし。過去の経験済みの問題を類型化し、自分のプロセスに系統的に当てはめて起こりそうな問題を洗い出し、事前に対策することが大切。未然防止型QCストーリーをうまく活用するのがよい。 JHS部門・自組織に合った推進を工夫することが必要。

参考文献 日本品質管理学会・標準委員会編(2006):「TQMの基本」、日科 技連出版社。 改行を調整させて頂きました 参考文献 日本品質管理学会・標準委員会編(2006):「TQMの基本」、日科 技連出版社。 中條武志・松田啓寿編著(2017):「ただいま出動 QCサークル 119番」、日科技連出版社。 中條武志(2018):“こんなにやさしい 未然防止型QCストーリー”、 日科技連出版社。 日本品質管理学会・管理間接職場の 小集団改善活動研究会(2009): 「開発・営業・スタッフのための 小集団プロセス改善活動 -全員参加による経営革新」、 日科技連出版社。