大学院講義 研究ストラテジー (組織細胞生物学 荒木) 形態学・組織細胞化学 アップデート どんなことができるか なにがわかるか
形態学の流れ Descriptive morphology 構造を詳細に観察し、正確に記載する Functional morphology 構造を詳細に観察し、正確に記載する Functional morphology 形態と機能の関連を探る 形態の有する機能的意義を追究する
形態学栄枯盛衰 光学顕微鏡 染色法の開発 組織細胞化学技術の発展 酵素組織化学 70年代全盛 免疫組織化学 80年代全盛 道具 技術 光学顕微鏡 染色法の開発 組織細胞化学技術の発展 酵素組織化学 70年代全盛 免疫組織化学 80年代全盛 In situ hybridyzation 90年代 デジタル光学顕微鏡 GFP融合蛋白の発現 近年 CCDカメラ光学顕微鏡 レーザー顕微鏡 Bioimaging 電子顕微鏡
形態学のトレンド Bioimaging 生きた細胞組織内で機能を可視化する 形態学のみではストーリーを完結できない 生きた細胞組織内で機能を可視化する 形態学のみではストーリーを完結できない 分子生物学 生化学との連携
形態学で使われる道具と技術 光学顕微鏡 (分解能:0.2μm) パラフィン切片・凍結切片 電子顕微鏡 (分解能:0.1nm) 光学顕微鏡 (分解能:0.2μm) パラフィン切片・凍結切片 電子顕微鏡 (分解能:0.1nm) 透過型(細胞内構造観察) エポン樹脂超薄切片 走査型(表面観察) 臨界点乾燥標本
透過型電子顕微鏡 (日本電子JEOL1200 EX)
透過型電子顕微鏡 (日本電子JEOL1400 CCD) 2010年導入
超薄切片作成装置 Ultramicrotome (Reihert)
透過電顕像 (腎尿細管) 走査電顕像(内耳有毛細胞)
Scanning Electron Microscope (Hitachi S800) 走査型電子顕微鏡
SEM試料作製の機器類 【共同研5階】
電子顕微鏡全盛期 1980年代初め~中ごろ
電子顕微鏡は流行おくれ 電子顕微鏡を使った研究は珍しい=独創的 電顕学者の減少 (絶滅危惧種) 電顕学者の減少 (絶滅危惧種) 電子顕微鏡を使った研究は珍しい=独創的 研究手段は流行を追うのではなく、必然性によって選ぶべき
Effect of PI3K Inhibitor on FcR-mediated phagocytosis in macrophages control wortmannin
“Actinin-4 is preferentially involved in circular ruffling and macropinocytosis in mouse macrophages: analysis by fluorescence ratio imaging” Araki et al . J. Cell Sci. 113 (18) 3329-3340, 2000
PI3K-independent contractile activities associated with Fc -receptor-mediated phagocytosis and macropinocytosis in macrophages Araki et al. J Cell Sci 116(2) 2003
Copyright Nobukazu Araki
光学顕微鏡の種類 通常の光学顕微鏡 (正立型・倒立型) 位相差顕微鏡 微分干渉顕微鏡 蛍光顕微鏡 レーザー顕微鏡 全反射顕微鏡 その他
共焦点レーザー顕微鏡(倒立型) BioRad
2光子レーザー顕微鏡 Carl Zeiss LSM710 NLO 正立型 2010年導入
倒立型デジタル顕微鏡+共焦点レーザー顕微鏡 Carl Zeiss LSM700 2010年導入
蛍光顕微鏡
レーザー顕微鏡像
蛍光画像 微分干渉像 BioRad Confocal Microscope Radiance 2100
全反射顕微鏡
Epifluorescence TIRF
Confocal laser microscopy
組織細胞化学とは 組織・細胞中の特異な化学反応基群を検出すること 組織・細胞内で生化学的諸活性を検出し、構造と機能を結びつける 特定分子の組織・細胞内での局在を示し、 機能部位を同定する 「どこで」、「なにが」、「どのように」
組織化学染色のいろいろ 特殊染色 Siff反応 --- アルデヒド基 Feulgen反応 --- DNA PAS反応 --- 多糖類など ズダン染色 --- 脂質
凍結切片を酵素基質と反応させ、その反応産物を可視化する 酵素組織化学 「組織内の酵素活性を見る」 凍結切片を酵素基質と反応させ、その反応産物を可視化する Phosphatase活性の検出例 基質(ATP) → 反応産物(ADP + Pi) ATPase Pbで捕捉し組織内に沈着 鉛を見る(可視化)
DAB法 oxidase, HRP反応(酸化還元酵素) テトラゾリウム塩法 dehydrogenase (酸化還元酵素) 金属塩法 (鉛法 セリウム法) phosphatase (加水分解酵素)
肝細胞膜に局在する Alkaline phosphatase 鉛法で検出 TEM像
問題点 検出できる酵素の種類は限られる 固定による影響、人工産物の問題 技術的難度
免疫組織化学 抗原抗体反応を利用 (抗原性分子ならば何でも検出できる) 1.抗原の精製 2.特異抗体の作製 「生体分子の局在を見る」 免疫組織化学 抗原抗体反応を利用 (抗原性分子ならば何でも検出できる) 1.抗原の精製 2.特異抗体の作製 polyclonal, monoclonal 抗体の質が最も重要
直接法 特異抗体を直接標識 間接法 特異(一次)抗体 二次抗体を標識(市販抗体を利用) 間接法が一般的 感度か高い 市販抗体が利用できる
抗体の標識法 酵素抗体法 HRP、アルカリ性ホスファターゼなどの酵素を標識とする。 光学顕微鏡、電子顕微鏡の両方で観察可能 PAP法、ABC法、ストレプトアビジン法などの増感法がある 組織レベルでの観察に適する。
蛍光抗体法 多種の蛍光色素 (FITC、Rhodamine,Alexa) 多重染色可能 蛍光(レーザー)顕微鏡でのみ観察 分解能が高い 細胞内の局在・細胞小器官レベルの観察
電顕超薄切片上で反応する(Post-embeding法) 金コロイド法 免疫電顕 電顕超薄切片上で反応する(Post-embeding法) 微細形態、局在性解像力は優れる 抗原性が樹脂包埋後保存されるかどうかが問題 凍結超薄切片の利用
Combination of immuogold and enzyme cytochemistry Cathepsin D + Acid phosphatase
これまでの形態学 より精細に観察 固定・包埋しなくてはならない=死んでる? 定量的でない これからの形態学 生きた細胞組織での観察 デジタル画像による定量化 バイオイメージング
研究に関する相談・方法論の質問は anatomy2@med.kagawa-u.ac.jp 研究等5F 組織細胞生物学(解剖2) PowerPoint fileはホームページから http://www.kms.ac.jp/~anatomy2/index.html
次回 明日(金) 18:00から 免疫蛍光法と蛍光画像の取得 バイオイメージング技術の実際 関連する大学院開講科目 次回 明日(金) 18:00から 免疫蛍光法と蛍光画像の取得 バイオイメージング技術の実際 関連する大学院開講科目 バイオイメージング学 6単位 超微細機能形態学 6単位