2007.7.15 港勤労福祉会館 原子力資料情報室 共同代表 山口幸夫 地震と原発研究 中間報告.

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港勤労福祉会館 原子力資料情報室 共同代表 山口幸夫 地震と原発研究 中間報告

I. なぜ「地震と原発」か 2

3 ① 原子力施設の耐震設計審査指針検討会の進 行状 況に重大な関心 → 傍聴へ ② 志賀原発2号機建設差止請求事件の判決、 2006 年 3 月 24 日、於・金沢地裁 ③ 宮城県沖地震( 05 ・ 8 、 M7.2 ) ④ 新指針案(案)に対する一般意見公募 ( 06 ・ 5 ・ 24 ~ 6 ・ 22 ) ⑤ 宍道断層(鹿島断層)と島根3号機審査問 題

志賀原発 3.24 判決 4 主文 被告は、・・・、平成11年4月14日付通商産業大臣に係る 志賀原子力発電所2号原子炉を運転してはならない。 まとめ ・・・、本件原子炉敷地に、被告が想定した基準地震動S1、 S 2 を超える地震動を生じさせる地震が発生する具体的可能性がある というべきであり、・・・ ・・・、本件原子炉の耐震設計が上記安全審査に合格しているか らといって、本件原子炉の耐 k 設計に妥当性に欠けるところがないと は即断できない。 ・・・被告の耐震設計は、地震によって予想される本件原発周 辺住民が受ける被害の内容や規模に照らして相当と評価し得る対策 を講じたものとは認め難い。 よって、人格権侵害の具体的危険が認められる原告らについて、 その本件原子炉運転差止め請求を認容すべきことになる。

宮城県沖地震( )のはぎとり波 と設計用地震動の応答スペクトル 5 原子力市民年鑑 2007 、 P220

中国電力と中田らの調査および 活断層範囲のちがい 6 活断層詳細デジタルマップ(西日本編)中田高、今泉俊文編 東京大学出版会 2002 より作成 島根原発

II. 旧指針から新指針へ 7

8 旧指針 (1978年9月策定、81年7月一部修正) ただし、地震関係は変わりなし。 1995年9月、兵庫県南部地震による見直し → 耐震指針 の妥当性は損なわれない 新指針 ( 2001 年7月~ 06 年4月の最終案とりまとめ) 案にたいして意見の一般公募を経て、06年8月 28日の第48回で、ほぼ決定。石橋委員、辞任。 2006年9月、正式決定。28年ぶりの改訂。

日本列島に起こる地震、 4 つのタイプ 9 地震のタイプ具体的事例 ①内陸地殻内 地震 95 兵庫県南部(M 7.3 )、 00 鳥取県西 部(M 7.3 )、 04 新潟県中越(M 6.8 )、 00 福岡県西方沖(M 7.3 ) 07 能登半島 ( M6.9 ) ②プレート間 地 震 03 十勝沖( M8.0 )、 05 宮城県沖 ( M7.2 ) 想定東海・東南海・南海(いずれも M 8 級) ③スラブ内地 震 93 釧路沖( M7.5 )、 01 芸予( M6.7 )、 03 三陸南( M7.1 ) ④沈み込み海 洋プレート内地 震 04 紀伊半島南東沖( M7.4 )

地震のタイプの模式図 10 地震調査研究推進本部 Web より

日本列島と プレート、 原発・核施設 地震観測地域 11

III. 新指針の問題点 12

13 原子力学会社会・環境部会主催シンポジウム「原子力の耐震指針はどうかわったのか?」資料より

耐震設計審査指針の新旧比較のポイント 14 新指針旧指針 基本方針 ・剛構造の規定を廃止 ・建物・構築物は十分な支持性能をもつ 地盤に ・建物・構築物は剛構造 ・重要な建物・構築物は原則 として岩盤に支持 重要度分類 A を As に統合 As,A,B,C の 4 クラス 基準地震動 S s(基準地震動)に 1 本化 S 1 (最強地震動) と S 2 (限界地震動) の 2 本立て、 S 1 が基本 弾性設計用 地震動 S 1 が果たしてきた役割の一部を担うもの として S d (弾性設計用地震動)を設定 S d /Ss の値は 0.5 を下回らないような値で求 められることが望ましい ・ S 1 (最強地震動) 震源を特定して 策定する地震動 ・応答スペクトルと断層モデルによる手 法を併用 ・策定過程に伴なう不確かさを考慮 ・考慮する活断層は 12 ~ 13 万年前までの 活動が否定できないもの ・いわゆる「大崎の方法」 (応答スペクトルによる) ・対象とする活断層の活動年 代は S 1 で 1 万年、 S 2 で 5 万年 震源を特定せず に策定する地震 動 内陸地殻内地震の震源近傍における観測 記録による マグにチュード 6.5 の直下地震 原子力市民年鑑 2007 、p.213

一般公募へおよそ 700 件の意見 一般公募へおよそ 700 件の意見。 15 私たちの主張は・・・主張した人々 旧指針の「建物・構築物は剛構造とする」を削 除せずに残すべきだ 湯浅欽史、伴英幸、西尾漠、 上澤千尋ら 「残余のリスク」は認められない。撤回すべき だ。もしそれが残るなら原発の安全性が保証さ れないので原発を停止すべきである 山田耕作、長沢啓行、伴英 幸、武本和幸、湯浅欽史、 山口幸夫ら 旧指針と新指針とでは、耐震設計は「同等の考 え方」ではない。だからこそ、「残余のリス ク」が新指針で導入されたのだ 橋本真佐男、山口幸夫ら Sdの考え方に反対である。基準があいまいで、 設計基準緩和のおそれがある 山田耕作、武本和幸、長沢 啓行ら 「地形・リニアメント調査」を「断層変位地形 をはじめとする変動地形調査」に改め、かつ、 「トレンチ掘削調査」を追加せよ 中田高、渡辺満久、鈴木康 弘ら 火山に対する規定を設けよ。日本は地震列島で あり、火山列島でもある 武本和幸 基準地震動の策定について多数

IV. これまでの情報発信 16 タイトル執筆者 1 柏崎刈羽原発の地震地盤論争と新指針 武本 和幸 2 「宍道断層」調査で明らかになった問題は何か 芦原 康江 3 東海地震の震源域真上に浜岡原発が 塚本千代子 4 女川原発は新たな想定地震に耐えられるか? 石川 徳春 5 志賀(能登)原発訴訟 奥村 回 6 耐震性が疑われる若狭の原発 橋本真佐男 7 福島原発は地震に耐えられるのか 斉藤 春光

V. 今日の報告会 17 (1) (1)新指針をめぐる経過とポイント ・・・山口幸夫(原子力資料情報室) (2) (2)基準地震動と応答スペクトル ・・・山田耕作(若狭連帯行動ネットワ-ク) (3) (3)浜岡原発裁判の論点 ・・・只野靖(浜岡原発差し止め訴訟弁護団) 休憩 (4) (4)下北半島の地層・地盤に関する現地調査報告 ・・・武本和幸(原発反対刈羽村を守る会)