2015.10.27 第3回コロイド実用技術講座 「分散と凝集のすべて」 粒子の表面エネルギーと表面改質 首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 分子応用化学域 武井 孝

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(d) ギブズ - デュエムの式 2成分混合物の全ギブスエネルギー: 化学ポテンシャルは組成に依存
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第3回コロイド実用技術講座 「分散と凝集のすべて」 粒子の表面エネルギーと表面改質 首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 分子応用化学域 武井 孝

界面活性剤や 高分子の吸着 粒子の帯電 粒子径 イオン濃度 水系における分散・凝集 有機溶媒や固体ポリマー系に おける分散・凝集 有機修飾基による改質 有機修飾基

1.固体の表面エネルギーとは 〜液体の表面張力との比較から〜 2.固体の表面エネルギーをはかる 3.表面改質と表面エネルギー 〜シリカ粒子を中心に〜 4.ぬれやすさの評価 〜分散嗜好性と浸漬熱〜

1.固体の表面エネルギーとは 〜液体の表面張力との比較から〜

表面自由エネルギー(表面張力)の起源 表面 表面にある分子 内部にある分子 液体内部の分子は周囲のすべての分子と相互作用を有するが,表 面上の分子は配位状態の違いから,液体内部に向かう力を受ける。 表面上の分子は内部に引き込まれる力に逆らうために過剰のエネ ルギーをもつ。 表面自由エネルギーの起源は分子間の凝集力である

表面自由エネルギー いま液体(固体)Aをdで引き離して新 しく生成される表面の大きさをΔAとす ると一定温度下でその仕事量Wは次式 で表される 。 W= γΔ A γ を単位面積あたりの表面自由エネルギー と定義する。 表面を新しく生成する過程を等温的に行 うためには、外から熱を与えなければな らないため、単位面積あたりの表面全自 由エネルギー(一般的に表面エネルギー と呼ばれる):Esは次式で表される。 Es = γ - T(d γ /dT) したがって、絶対零度:T=0KでEs= γ となり、表面自由エネルギーは表面 エネルギーと等しくなる。 表面自由エネルギーの温度変化がわ かれば,表面全エネルギーは計算が できる。 相A W

表 いくつかの固体(液体)の表面(自由)エネルギーの値

固体表面の液滴と接触角 固気界面張力≈固体の表面張力(表面自由エネルギー) θ 気液界面張力≈液体の表面張力 γ LG γ SG γ SL 固液界面張力

2.固体の表面エネルギーをはかる

方法原理・特徴 理論的に求め る方法 理論計算から求める方法 原子間ポテンシャルやMD法を用いてエ ネルギーを計算 固体の物性値から推算する方法格子エネルギー、溶解熱など 実験的に求め る方法 劈開法 単結晶の劈開による新表面を形成する ための変形の弾性エネルギーから算出。 クリープ法 金属でよく用いられる。細線の加熱に よる応力とひずみ速度の関係から算出。 インバースガスクロマトグラフ (IGC)法 固体試料をガスクロマトグラフの固定 相とする。粒子に適用可。 接触角法 2種の液体の接触角測定から算出する。 表面の粗さや測定雰囲気に注意が必要。 表 固体の表面エネルギー測定法

IGC(インバースガスクロマトグラフィー)による表面エネルギー評価 プローブ分子として直鎖アルカン(C n H 2n+2 )を 用いると固体表面との相互作用は分散成分の みとなり、表面自由エネルギーの分散成分を 求めることができる。 市販のIGC装置 ( Surface Measurement System, UK) 時間 測定固体試料をガスクロマトグラフィーのカラムに充填し、注入したプローブ分子 と固体表面との相互作用(吸着挙動)から固体の表面自由エネルギーを評価する。 プローブ 分子注入 検出器 キャリアーガス 固定相カラム (測定試料充填) 分散成分 極性成分 C. R. Hegedus, I. L. Kamel, J. Coating Tecnology, 65, (1993)

プローブ分子として直鎖アルカン(C n H 2n+2 )を用いると固体表面との相互作用は 分散力成分のみが働き、そのときの付着仕事:W a は次式で表される。 W a = 2( γ dsds γ d CH 2 ) 1/2 直鎖アルカン分子1モルが吸着したときの自由エネルギー変化は次式で表される。 ΔG A = -RTlnV n + C 直鎖アルカン分子の炭素数を1つ増やすことによる自由エネルギー変化は次式で 表される。 ΔG CH2 = -RTln(V n+1 / V n ) ΔG CH2 はCH 2 基と吸着相表面に働く付着仕事に相当するのでNをアボガドロ数として ΔG CH2 = N σ W a = N σ 2( CH 2 γ dsds γ d CH 2 ) 1/2 CH2 CH 2 基の占有面積 CH 2 基の表面自由エネルギー PE の値を常用 35.6mJ/m nm 2

ΔGCH2ΔGCH2 図 Al 2 O 3 への直鎖アルカンの吸着による自由エネルギー変化 E.Papiper, et al., J. Colloid and Interface Sci., 144, (1991). ΔG CH2 = N σ W a = N σ 2 ( CH 2 γ dsds γ d CH 2 ) 1/2 CH 2 傾きからΔG CH2 を求め,上式から を求めると = 100 mJ/m 2 γ dsds γ dsds

接触角法(2液法) 表面張力( )と表面張力の分散成分( ),極性成分( )が既知 の液体2種以上を用い接触角を測定して,固体の表面自由エネル ギーの分散成分( ),極性成分( )を評価する。 計算には,下記の(1)式あるいは(2)式が用いられる。 γ dLdL γ L γ pLpL γ dSdS γ pSpS (1) (2) Ref) 鈴木孝臣,表面,43, (2005)

接触角法(2液法) 液体 ジエチレングリコール エチレングリコール ジヨードメタン ホルムアミド 水 γ dLdL 表 測定に用いられる液体の表面張力( )とその 分散成分( ),極性成分( )の値の例(20℃) γ pLpL γ dLdL γ L γ L γ pLpL R. N. Shimizu, et. al., J. Appl. Polym. Sci., 76, (2000).

接触角から求められた固体の表面自由エネルギー 材料使用液体,適用式Ref. ポリプロピレン 水ージヨードメタン, (2)式 1 ポリスチレン 水ージヨードメタン, (2)式 1 NaCl ホルムアミドーエチレングリコール,(1)式 2 SiO γ dSdS γ S γ pSpS 表 2種の液体の接触角から求められた固体の表面自由エネルギーの例 1) R. N. Shimizu, et. al., J. Appl. Polym. Sci., 76, (2000). 2) T. Suzuki, et. al., J. Crystallization Process and Technology, 5, (2015).

固体表面の特徴 液体 (H 2 O) <3ms 平均滞在時間 固体 欠陥 表面は不飽和な結合状態 流動性なし 表面の均一化不可 結晶面で原子配列が違う。 表面の再構成や緩和が起こる。 実在表面では、吸着が起こる。 不飽和結合 van der Waals力 高い流動性 van der Waals結合 イオン結合・金属結合・共有結合 表面 表面エネルギーが小さくなる ように再配列可能

3.表面改質と表面エネルギー 〜シリカ粒子を中心に〜

有機溶媒・ポリマー 無機粒子 ポリマーと無機粒子界面のなじみ 表面エネルギー値 SiO 2 :130~250mJ/m 2 ポリエチレン:31.0mJ/m 2 有機溶媒や有機固体高分子に無機粒子を分散させる系

θ γ LG γ SG γ SL 相コントロール方法 液体 表面張力の変更 界面活性剤の添加(固体への吸着) 液体の変更 2液混合 固体 表面の改質 高分子材料 低エネルギー表面 化学処理 グラフト化 紫外線照射処理 プラズマ処理 セラミックス材料 高エネルギー表面 化学組成の制御(カップリング剤) 表面粗さ 光(酸化チタン、光応答性感応基) 固体のぬれを変えるためには

改質の目的ポイント改質剤注意事項 疎水性付与 有機溶媒への分散 高分子との複合 アルキル鎖長 官能基数 副生成物 ROH官能基の加水分解 R x Si(OR) y 多官能性は重合物生成 R x SiCl y 多官能性は重合物生成、HCl発生 HMDSNH 3 発生 特定官能基の導入 結合形成サイト 官能基の機能 APS多官能性は重合物生成 HSiCl x R y 多官能性は重合物生成、HCl発生 第2金属種の導入 触媒能の付与、封止 ゼータ電位調節 金属種 加水分解性 TiCl 4 加水分解性高く、取り扱い注意 AlCl 3 常温で固体、昇華性 M(OR) x 金属種で反応性が異なる 表 シリカの表面改質に使用される改質剤 HMDS: (CH 3 ) 3 SiNHSi(CH 3 ) 3 APS: H 2 N(CH 2 ) 3 Si(OC 2 H 5 ) 3

図 3種類のアルキルシラン類で処理した炭酸カルシウム の表面自由エネルギー変化 プロピルトリ エトキシシラン アミノプロピル トリエトキシシラン ジフェニル ジメトキシシラン A. Calhoun, et.al., J. Vinyl & Additive Technology, (2006)

図 n-アルカン同族体の液体によるテフロンの 接触角とアルカン液体の表面張力の関係 cosθ=1すなわちθ=0(完全に固体をぬらす)の ときの液体の表面張力を臨界表面張力( γ C )とよぶ。 対象となる固体表面は,その臨界 表面張力よりも小さい表面張力を 持つ液体によって完全にぬれる。 臨界表面張力は,固体表面の ぬれやすさの指標となる。

材 料 臨界表面張力 (mN/m) テフロン(ポリ四フッ化エチレン)18〜18.5 飽和脂肪酸単分子膜24 ポリエチレン31 ポリスチレン33〜44 ポリメチルメタクリレート39 ポリ塩化ビニル39 ナイロン6641〜46 ポリエチレンテレフタレート43 表 いくつかの材料の臨界表面張力の値 例えば,ポリ塩化ビニルは,表面張力が39 mN/mよりも小さな表面張力を持つ 液体によって完全にぬれることが予想される。

4.ぬれやすさの評価 〜分散嗜好性と浸漬熱〜

水ヘキサン 分散嗜好性 図 疎水性粉体のヘキサンおよび 水への投入

H2OH2O 0%0% EtOH 100 % γ (dyn/cm) 図 種々の割合で混合した水+エタノール溶媒に対する 改質シリカ粉体の分散嗜好性 (水+エタノール溶媒の混合比は表と対応している) 図 混合溶媒の表面張力 武井 昇ら、塗装工学、 32, (1997). 表 種々の割合で混合した水+エタノール溶媒の表面張力

液体 固 固 固 固 固 蒸気 H L : 液化熱 h L : 液体の表面エンタルピー Q’ : 正味の吸着 熱 浸漬過程の状態変化と熱変化の模式図 hihi 浸漬熱 H L : 液化熱 (a) (b) (c) (d) (e) (a)→(d)→(e) = (a)→(b)→(c)→(e) Q’=h i − h L

ΔT = T s - T r 試料側 基準側 撹拌 羽根 浸漬 液体 ガラス アンプル アンプル破壊棒 感熱体 恒温体(ヒートシンク) Tr 基準側温度 Ts 試料側温度 図 双子型熱量計の構造 時間 (t) 温度差 ΔT (mV)

図 アルキル鎖長の異なる改質基を導入したシリカ粉体の水に対する浸漬熱と 改質基密度の関係 (右記の文献データから作図) M.Fuji, et al., Colloids Surf. A., 154, (1999) 未改質 炭素鎖の長い改質基ほど改質機基密 度が低くても疎水性が発現する。 -Si-O-(CH 2 ) n-1 CH 3

図 トリメチルシリル化したシリカ粉体の水に対する浸漬熱 シリカ:Aerosil 380 改質剤:トリメチルクロロシラン HMDS (ヘキサメチルシラザン) K.Tsutsumi, et al., Colloid & Polym. Sci., 263, (1985). H 3 C-Si-CH 3 CH 3 O Si

図 ゴムに添加した有機修飾無機フィラー(CaCO 3 )の疎水化率と引っ張り強度の関係 (フィラー添 加率:2wt%,下記の文献データから作図,有機修飾化合物:金属ステアリン酸、オレイン酸、 SDS、各種有機シラン、他) 無修飾フィラー 引っ張り 強度 疎水化率 (%) ゴムに添加したCaCO 3 フィラーの疎水化が引っ張り強度に及ぼす影響 疎水化率(%) (H−H 0 ) / H×100 H : 有機修飾したフィラーのベンゼン に対する浸漬熱 H 0 : 無修飾のフィラーのベンゼンに 対する浸漬熱 L. Domka, Colloid & Polym. Sci., (1994)

図 SiO 2 の結晶化度と水に対する浸漬熱の関係 T. Takei, et al., Thermochimica Acta, 308, (1998). 図 SiO 2 の結晶化度と水蒸気吸着等温線 0% 14% 結晶化度=61% 31% シリカの結晶化にともなう水に対する浸漬熱の変化

まとめ 1. 固体の表面エネルギーは固体を構成するイオンや原子・分子の凝 集力に起因する。 2. 固体の表面エネルギーは、表面の原子配列、雰囲気、測定法など に大きく依存する。 3. 固体の表面エネルギー測定により、表面改質による表面の変化を数 値化することができる。 4. 浸漬熱測定によって、固体と液体のぬれやすさ、相互作用を数値化 することができる。