兵庫県南部地震 02T3041E 當摩 忠之
震源 北緯34度36.06分 東経135度01.98分 震源の深さ 約18km 発震日時 1月17日午前5時46分5 1.6秒 地震の大きさ マグニチュード7.2
震度 ・震度7 : 神戸市須磨区鷹取・長田区大橋・兵庫区大開・中央区三宮・灘区六甲道・ 東灘区住吉、芦屋市芦屋駅付近、西宮市夙川等、宝塚市の一部、 淡路島北部の北淡町、一宮町、津名町の一部 ・震度6 : 神戸、洲本 ・震度5 : 京都、彦根、豊岡 ・震度4 : 岐阜、四日市、上野、福井、敦賀、津、和歌山、姫路、舞鶴、大阪、高松、 岡山、徳島、津山、多度津、鳥取、福山、高知、境、呉、奈良 ・震度3 : 山口、萩、尾鷲、伊良湖、富山、飯田、諏訪、金沢、潮岬、松江、米子、 室戸岬、松山、広島、西郷、輪島、名古屋、大分 ・震度2 : 佐賀、三島、浜松、高山、伏木、河口湖、宇和島、宿毛、松本、御前崎、 静岡、甲府、長野、横浜、熊本、日田、都城、軽井沢、高田、下関、 宮崎、人吉 ・震度1 : 福岡、熊谷、東京、水戸、網代、浜田、新潟、足摺、宇都宮、前橋、 小名浜、延岡、平戸、鹿児島、館山、千葉、秩父、阿蘇山、柿岡
被害状況 死者: 5502 名 負傷者: 名 行方不明者: 2 名
死者の死因別、年齢別の状況 死亡者の死因について性別、年齢別死亡者数
建築物の被災状況
住家被害 老朽木造家屋の全壊及び 1 階部分が倒壊した事例が多く、一方、外見上の 損傷が無くとも基礎部分を含む主要構造部が致命的な損傷を受けている。 家屋の倒壊は、神戸市から海岸に沿って東側に集中しており、人的被害の 発生と地域をほぼ同じくしている 府県別住家被害状況
非住家被害 倒壊建物は、神戸市の須磨海岸から西宮市 に至る約 25km の間の幅約 200 ~ 300m の 帯状の地域に集中している。 昭和 56 年 (1981 年 ) 以前の旧耐震基準で 建築された鉄筋コンクリート造の建築物は、 中層階及びピロティ階の崩壊が著しく、 兵庫県内では、多くの公共建物についても 被害を受けている。特に神戸市役所 2 号館 では 6 階部分が潰れ、神戸市西市民病院 では 5 階が潰れるなどした。 また、 1 階部分の間口が大きかったり、 店舗としている場合に押し潰されている例が多い。 一方、昭和 56 年 (1981 年 ) の新耐震基準以降に 建築された建物については、軽微な被害にとどまっ た。 神戸市役所
ライフライン関係の被害 ライフライン関係の被害状況は、ピーク時には、兵庫県及び大阪府で約 260 万戸 が停電し、ガスの供給停止が約 84 万 5,000 戸、また兵庫県をはじめ大阪府等の 9 府県 68 市町村において水道の断水は約 127 万戸、下水道においては総延長約 260km の管渠に被害がおよび、通信網の基幹である NTT 回線は神戸、大阪を中心 に約 30 万回線が不通になった。
火災について 市区別の出火件数と出火率
液状化による被害 ポートアイランドや六甲アイランドの埋め立て地においてかなりの範囲で液状化に 伴う噴砂現象が発生した。これは、道路舗装の継ぎ目部分や、亀裂などから砂分を 含んだ泥水が噴き出し広がったものである。 ポートアイランドでは、被害の大部分は外周の港湾道路や埠頭関連用地であった が、中央部の住宅や業務ビルなどが立地する都市機能用地においても、小学校の グラウンドなどで噴砂現象が発生した。 また、六甲アイランドでも、北側の港湾関連用地を中心に噴砂が発生したが、 ポートアイランドに比べると噴砂の発生はかなり少なかった。 1、地下埋設物の被害 液状化に伴う噴砂の発生区域において雨水管やマンホールなど に土砂が流入する被害があった。しかし、液状化現象が発生する と、一般的に、マンホールや、地下埋設物の浮き上がりなどの被 害が起きるが、ポートアイランドや六甲アイランドでは、このよ うな地下埋設物の被害は確認されていない。
2、建築物の被害 ポートアイランドのほぼ中央に位置する神戸市立中央市民病院では、 開放部のある地下階において、噴き出した泥水が地下階の飲食店などに 侵入する被害があった。 泥水は、最大で地下階の床面から約 1.2m の高さまで達していた。 しかし、ポートアイランドや六甲アイランド中央部の都市機能用地では、 噴砂の発生は確認されたが、液状化による建築物の倒壊などの大きな被 害は確認されていない。 3、地盤の沈下 液状化に伴う噴砂の発生とともに、地盤の沈下が確認されている。 沈下量は、場所によって差はあるがポートアイランド中央 部の 都市機能用地では、平均 30 ㎝の沈下が、また、六甲アイラ ンドの中央部の都市機能用地では、平均 10 ㎝の沈下があっ た。 沈下による道路の不陸などの大きな被害はほとんどなかった が、歩道橋や建築物などの杭構造物の基礎部分における段差 により通行に支障が出るなどの被害があった。
なぜ構造物の被害が大きかったのか? 構造物はそれぞれ揺れやすい振動の周期を持っている。この周期をその構造物の 固有周期と言う。 構造物は地震波のなかに含まれている固有周期の波と共振し大きく揺れるため、 構造物の被害はその地震波の中にその構造物の固有周期の波がどれだけ 入っているかによる。 一般に構造物は短い周期の地震波では壊れないが、長い周期の波では壊れる。 つまり、兵庫県南部地震は長い周期の地震はであったために、構造物の被害が 大きかったといえる。