岡山県高等学校工業教育協会 工業系高校の活性化と社会的評価 の向上を目指す方策について 工業教育基本問題研究委員会 報告書のタイトル ― 工業系高校の一層の飛躍を目指して! ―

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岡山県高等学校工業教育協会 工業系高校の活性化と社会的評価 の向上を目指す方策について 工業教育基本問題研究委員会 報告書のタイトル ― 工業系高校の一層の飛躍を目指して! ―

本研究と報告の概要 1 工業系高校を取り巻く現状 分析 2 今後予想される課題3 取り組みが求められる事柄4 委員会の活動方針5 アンケートの分析6 本委員会からの提案7 おわりに

本委員会の組織 岡山県高等学校工業教育協会 工業教育基本問題研究委員会(13名) 理事長(事務局) 教育研究委員長 管理運営委員長 企画広報委員長 委 員 長 研究主査 委員 (機械,電子機械,工業化学,土木,建築,デザ インの中から) 平成 17 年12月にスタート 13名

1 工業系高校を取り巻 く現状分析 工業系高校は追い風の中にある。 (1)景気の回復・ 2007 年問題 → 企業の工業系高校への依存度が高まる (2)離職率 岡山県工業系高校の場合は平均 25.5 % → 企業からの信頼や期待 ( 3)工業系高校の存在意義は産業界の要請に応える 人材の育成 → 一定の自負と自信

現状に 満足していて よいのか?

2 今後予想される課 題 こういったことに目を向ける必要が ある (1) 社会の仕組みの変化・混沌とした時代 (2) 2007 年問題収拾後、企業が求める人材は 今と同じか? (3) これまでの教育実践で充分か? とくに,生徒がその時代に応じた、充分な技 術・技能を身につけているか? また、教員は充分な力量を持っているか?

3 取り組みが求められ る事柄 (1) 企業の求める人材育成の現状分析 (2) 工業系教員の基礎的・基本的な技術 技能と指導力の向上 (3) 工業系教員の高齢化による後継者育成 (4) 産業界に工業系高校を支えてもらう 仕組み作りの研究

4 委員会の活動方針 (1) イメージではなく、客観的数値 で判断 (2) 工業系高校教育の入口、中身、 出口、 に対応するデータ収集 (3) データを整理・分析・提案 1)協会として 2)各学校とし て 3)各教員とし て 4)行政との折 衝 (研究成果の活用)

アンケート実施  中学校3年生  中学校3年生保護者  中学校教員  工業系高校1・2年 生  工業系高校3年生  就職先  進学先(大学・短大 等)  就職した卒業生  進学した卒業生 入り口 中 身 出 口

5 アンケートの分析 9種類の アンケートから 見えてきた もの 中学校関係者 工業系高校在校生 進路先・卒業生

(1) アンケートの分析 ① 工業系高校の希望者は多い ・工業系高校在籍者の全高校 生に占める割合は11.4% ・工業系高校を希望しても入学 できなかった生徒が約5% ・県下中学校3年生の工業系高 校進学希望者は全体の16%

(1) アンケートの分析 ② 学科の認知度について 中学生の認知度は予想以上に低い 機械科で 58 %,電気科で 52 % 保護者においても同程度 中学校の教員は平均的に高い

高校進学の情報収集について ①中学校 3 年生の情報収集方法 オープンスクール,各校のパンフレット ,先輩・知人やホームページを活用 (1) アンケートの分析 ③ ②保護者の情報収集方法 保護者については,生徒と同じ 4 項目 と「中学校の先生から」。しかし,低い ③教員の情報収集方法 中学校の教員は,パンフレットが 84 % と飛び抜けて多い

(1) アンケートの分析 ④ 在校生・卒業生の満足度は高い 約70%の生徒が高校生活に対して「十 分満足」または「まあまあ満足」 1・2年生よりも3年生の方が高校生活に 対して満足度が高い 「ものづくり」「資格取得」「部活動」 などに意欲的に取り組んでいる 卒業生も在校生と同様満足度が高い

(1) アンケートの分析 ⑤ 企業の期待が大きい 採用予定は,今後数年間は現状維持 または増加傾向 10年後についても73%の企業が同様 景気が回復傾向にあることや団塊の世 代の大量退職が始まる2007年問題や 技能の伝承といったことが背景

( 2 ) 見えてきた問題点 ① 在校生の 33 %は工業系高校への 進学を希望していなかった。 工業系高校を志望している中学校3年 生は 16 % 実際に入学した生徒のうち, 17 %の生 徒が他学科を志望し, 16 %の生徒が どこでもよかった 33%の生徒は工業系高校への進学を 希望していなかった

( 2 ) 見えてきた問題点 ② 電気系,建築系などに入学者の定員割 れ が起こっている。 工業系高校を志望している中学校3 年生が16%で,定員以上である。そ のまま工業系高校を受験すれば募集定 員を大きく上回るはずであるが,全体 の志願者数とは裏腹に,ここ数年,電 気系,建築系などの志願者の減少傾向 が見られ,定員割れを生じている。

( 3 ) その理由は ① 高学歴志向による根強い普通科希望傾向 今,大学は少子化により大学全入時代を 迎え,高学歴志向に拍車がかかり,普通科 志向には依然として根強いものがある。 ただ,工業系高校から進むことの難しい 大学や就職先もあるわけであるが,中には, 進路決定を先延ばしにしている者もいるの ではないかと思います 。

( 3 ) その理由は ② ものづくり体験の不足 時代が変わって,子ども達が遊び の中や生活の場でものづくりに親し む機会が減り,ものづくりの楽しさ やおもしろさを知らない状況が進ん でいるのではないかと推測される。

( 3 ) その理由は ③ 情報提供の不足 中3とその保護者,工業系高校のイメ ージ,約 40 %が「わからない」 中3の約 40 %,工業系高校からの大 学進学,知らない。また,国公立大へ の進学, 70 %が知らない 広報活動を見直し,周知を図ることに よって改善できる

以上のことから広報(活動・方法) の 再 検討が必要 ここまでのまと め (1)中学校関係者とのきめ細かいコミュニケーション (2)保護者に向けての直接的な広報活動の必要性 (3)報道機関への情報提供の在り方など様々な工夫

6 本委員会からの提案 工業系高校の活性化と社会的評価の向上の ために,各学校等で協議し実践してもらいたい 視点として,次の3点提案したい (1)よりよい生徒を迎えるためにはどうすればよいか (2)よりよい生徒を育てるためにはどうすればよいか (3)よりよい進路を確保するためにはどうすればよいか

よりよい生徒を迎えるためには よりよい生徒を育てるためには よりよい進路確保のためには 協議検討実践 よりよい生徒を迎えるためには入学したい入学させたい入学を勧めたいそのような学校にするためには、次のような視点で現状を振り返る必要がある 1. よりよい生徒とは 2. 中学生は工業系高校を理解しているか 3. 中学生保護者は工業系高校を理解しているか 4. 中学校教員は工業系高校を理解しているか 5. 中学生は工業系高校に何を期待しているか 6. 十分,適切な方法で情報提供ができているか (魅力,設置学科,学習内容,進路状況) 7. 現在の入試選抜の重視すべき点は適切か 8. 中学校の情報を我々は積極的に入手しているか 9. 中学校教員との連携はとれているか 提 案 ①

提 案 ② よりよい生徒を迎えるためには よりよい生徒を育てるためには よりよい進路確保のためには 協議検討実践 より良い生徒を育てるためには生徒・保護者の要望に応える企業・進学先の要望に応える地域の要望に応えるそのような学校にするためには、次のような視点で現状を振り返る必要がある 1. よりよい生徒を育てる授業とは 2. 生徒・保護者が学校に要望しているものとは 3. 企業・進路先が学校に要望しているものとは 4. 企業が学校に求めている即戦力とは 5. 地域が学校に要望しているものとは 6. 生徒を育てる目標が明確化されているか 7. 人間性とは 8. 勤労観とは 9. 生涯学習を支える基礎学力とは 10. 生徒とのコミュニケーションはとれているか

提 案 ③ よりよい生徒を迎えるためには よりよい生徒を育てるためには よりよい進路確保のためには 協議検討実践 よりよい進路を確保するためには就職先に信頼される進学先に信頼される卒業生に信頼されるそのような学校にするためには、次のような視点で現状を振り返る必要がある 1. 就職先に信頼されるためには 2. 進学先に信頼されるためには 3. 就職先との連携で得られることとは 4. 進学先との連携で得られることとは 5. 学校と就職先との連携はとれているか 6. 学校と進学先との連携はとれているか 7. 学校と卒業生とのコミュニケーションはとれている か

7 おわりに ~今、私達が取組むこと~ 本委員会では, 先ほど説明した ように,9種類の多方面にわた るアンケート調査を実施してき た。その中からは, 多くの成果や 課題を把握することができた。 そして,工業教育が地域の期 待に応えて一層飛躍するために 必要な具体的取り組みの視点と して3点を示した。 各学校において,数々のデー タとともに議論を深めていただ き,学校の活性化に活用してい ただければ幸いです 。