4. 統計的検定 ( ダイジェスト版 ) 保健統計 2014 年度
Ⅰ 仮説検定の考え方 次のような問題を考える。 2014 年のセンター試験、英語の平均点は 119 点であった。 T 高校では 3 年生全員がセンター試験を受験したが、受験生の中から 25 人を選んで調査したところ、その平均点は 130 点であった。 T 高校の生徒の英語の試験の成績は、全受験者平均より良いといえ るだろうか。 ⇒ この疑問に対し、統計的に答える方法が統計的検定 × × × × × ×× × × × 母集団( T 高校 3 年生全 員) 標本 ( n=25 ) 検定 (119 点より良いかどう か ) 母平均 μ 標本平均 x=130
a) 仮説の設定 1) 検定仮説、対立仮説 この問題において、 「 T 高校の生徒の英語の成績は全受験者平均と変わらない」 のか、 「 T 高校の生徒の英語の成績は全受験者平均より高い」 のかが知りたいことである。 T 高校の受験生全体の英語の平均点を μ とあらわすと、 H 0 : μ=119 H 1 : μ>119 という二者択一の仮説を考え、標本の情報によっていず れか一方の仮説を採択する。
検定仮説( H 0 ) 検定したい状況を表したもの。否定 されることを目的とした仮説の設定をおこなうことがある ので、帰無仮説といわれることもある。(この場合、 T 高 校としては「全受験者平均より良い」という結論を出した いので、この仮説は否定してほしい) 対立仮説( H 1 ) 検定仮説と反対の状況をあらわした もの。 検定仮説と対立仮説は、同時に成り立つことは なく、その 2 つですべての状況をあらわしている。
b) 仮説検定の手順 仮説検定は次のような手順をとる。 仮説の設定 仮説検定に適当な統計量を選ぶ 検定仮説の採択域と棄却域を設定す る H 0 を採択 H 1 を採択 統計量が 採択域 統計量が 棄却域 <ステップ1 > <ステップ2 > <ステップ3 > <ステップ4 >
標準化 → z の分布
z がここだったら検定 仮説を棄却し、対立 仮説を採択する。
両側検定 片側検定 採択域 棄却域 採択域棄却域
Ⅱ 1 つの標本にもとづく検定 a) 母分散が既知の場合の母平均の検定 次のような問題を考える。 (例) ある工場では直径 5mm のねじを標準偏差 0.04mm におさまる ような管理体制で製造している。製造機械の劣化によって、品質に 変化が生じたかどうかを検討するために、 9 本を標本として選んだ ところ、その平均が 4.97mm であった。これは品質管理上異常なし と考えて良いだろうか。 解) 1.仮説の設定 この例の場合、 「品質管理上異常がない」か、「品質管理上異常 がある」かを検定するので、 H 0 : μ=5 vs. H 1 : μ≠5 と表すことができる。この場合、対立仮説は検定仮説の両側をと る(「異常がある」には、大きすぎると小さすぎるの両方が含まれ、 「異常がない」という検定仮説の両側の範囲をとる)。
z がここだったら 検定仮説が正しい が z がここだったら検定 仮説は誤りで、 このような分布が正 しいと考える。
採択域 棄却域