「ふるさと納税」と 地方の内的発展について 2012/07/ C 赤澤彩香
概要 「ふるさと納税」とは ①理念 ②「ふるさと」の定義 ③しくみ ④自己負担 ⑤意義 地方自治体の現状 山口県上関町の事例 企業誘致の賛否の理由 「ふるさと納税」の可能性 政策提言
「ふるさと納税」とは①理念 地方団体ごとの税収格差を是正すること なぜ、税収格差がおこるのか? 個人住民税:住所地の地方団体から行政サービスを受けている者 が負担すべきもの、いわば「地域社会の会費」 → 収入は人口構成で左右される では、自分の「ふるさと」に個人住民税の一部を移譲し たらどうか! 子供時代 地方(ふるさと)に 居住 働き盛り 都市に居住 老後 再び地方に居住
「ふるさと納税」とは②「ふるさと」の 定義 自分が「ふるさと」だと思うところが「ふ るさと」 自分の生まれ育った場所にとどまらず、二地域居住先の 地域、ボランティア活動を通じて縁ができた地域、来自 分のふるさとにしたいと思う地域 etc… また、都道府県か市町村かも問わない
「ふるさと納税」とは③しくみ 受益と負担の直接一致しない者に、課税すること はできるのか? 寄付金税制 任意の「ふるさと」の地方自治体に対して、任意の価格を設定す る、寄付のかたちをとる (下限額を超えたもののみ、)個人住民税・所得税から、自治体 に払った金額のほぼ全額(一部自己負担額あり)を控除する
「ふるさと納税」とは④自己負担 なぜ「税」なのに自己負担が発生するのか Ex. <年収 700 万円 夫婦+子ども 2 人 所得税率 10% 住 民税率 10% 4 万円寄付>の場合、 4700 円の自己負担 ①寄付にかかる納税者の姿勢の真剣さに影響を及ぼす懸 念があるため ②寄付者の住所地の地方団体には税収の減少に加え事務 量の増加という負担を強いることになり、当該団体の理 解を得にくくなる恐れがあるため
「ふるさと納税」とは⑤意義 総務省「ふるさと納税研究会報告書」より 1. 納税者の選択: 国民にとって税を自分のこととして考え、納税 の大切さを自覚する貴重な機会 2. 「ふるさと」の大切さ: 美しい郷土を愛し、育ててくれた「ふ るさと」の恩に感謝する本来の人間性への回帰の貴重な景気 3. 自治意識の進化: 「納税」を受けたい全国各地の地方団体は、 その魅力をおおいにアピールする必要が出てくる。自治体間競争 が刺激され、この切磋琢磨は、「ふるさと」の地方団体と住民に、 納税をしてもらうにふさわしい地域のあり方をあらためて考えて もらう重要な機会
地方自治体の現状 ― 山口県上関町の事例 人口: 3195 人 ( 2012 年 4 月 1 日) 基盤産業:漁業、農業 発電所の立地をめぐっ て、賛成派(推進派) と反対派で断絶してし まっている(現在は小 康状態)
地方自治体の現状 ― 企業誘致の賛否の理由 賛成派:過疎が進み、基 盤産業が弱いため、税収 も少なく雇用もない。外 の企業を誘致して発展さ せなければ、人は集まら ず、町はなくなってしま う。 反対派:この町の自然を 壊したくないし、そもそ も危険なものを受け入れ たくない。
「ふるさと納税」の可能性 企業誘致、工場・発電所建設などの外部の力によ る発展の問題点 反対派/賛成派に分かれることによる地域コミュニティ の分断 その地域の個性や自然環境が失われてしまう危険性 税収が少ないために、危ないものを引き受けざるを得な い地方/それによって利益を受ける都市となってしまう 危険性 「ふるさと納税」は地方自身の魅力をうったえ、それに 応じた「税」を得られるチャンスであり、地方の内部の 力による発展を促進する可能性があるのではないか
政策提言 「ふるさと納税」が地域の発展を促す緊急の必要がある 政策とみて、利用者をより広くのばすことを第一条件と する。 寄付・控除申請を自分で行う代わりに自己負担額 0 円にす るか、現行制度のまま手続きが簡素であるが自己負担を 負うかを選択できる制度にする 利用した者に対し、控除だけでなく何らかの利点を与え る