信州型総合医指導医のための研修会 松本協立病院 村山 恒峻
1980 年 初期研修医受け入れ開始。 2004 年 卒後臨床研修必修化。長野中央病院 が基幹型臨床研修指定病院認定。 2010 年 松本協立病院が基幹型臨床研修指定 病院認定。 これまでに 108 名が研修終了(必修化以降は 35 名)。現在の初期研修医が 10 名。
長野中央病院と松本協立病院を基幹型、他の 4 病院 1 診療所および外部施設を協力型として ローテーションを行う。 初期の 3 か月は導入期研修として、全ての研 修医が同一病棟で一般的な内科管理を学ぶ。 その後、各科ローテーションへ。 2 年目は他院所へのローテーションも含まれ るため、同期がバラバラになる時期がある。
オリエン導入期循環器・救急麻酔外科消化器 長野中央 消化器産婦整形小児精神地域総診神経・リハ小児 長野中央栗田塩尻協立松本協立健和会
メリット 多くの Common disease を 経験し、対応する力を身 に付けることができる。 一般的な感染症やその他 の慢性疾患管理など、各 科共通の内容についての 知識が比較的統一されて おり、横断的な学習がし やすい。 デメリット 専門医の数が少ないため、 各科の専門的な知識にな ると、一人の上級医の意 見が絶対的となりやすい。 研修医の数が少ない場合 は、研修内容が個人の学 習・経験によるところが 大きくなりがちであるた め、内容が安定しない可 能性がある。
専門医の少ない科では知識が偏る恐れが ある。 ローテーションなどのために同期がバラ バラになることがあり、研修医同士の知 識共有や研鑽し合う環境を損なうことが ある。
平成 9 年から旧 TV 会議システムを導入。 月 1 回、研修医ミーティングと症例カンファ レンスを行っていた。 当時は回線スピードが遅く( 8Mb/s )、カル テや画像の提示などは不可能であった。 臨場感のあるカンファレンスやコンサルテー ションを行うことはシステム上困難であった。
2012 年に通信速度を大幅に改善 ( 100Mb/s )した新 TV 会議システムおよび 70 インチの液晶モニタを導入した。 初期投資額は 6 病院 1 診療所で約 900 万円。 月々の回線使用料は約 130 万円。
研修医カンファレンス 総診カンファレンス コンサルテーション
毎週土曜日朝に約 1 時間。 参加者は初期研修医。上級医は自由参加。 症例提示と司会は毎回持ち回り。 症例提示方法は自由。多くは Clinical problem solving 方式。 1,2年目が主体となって全てを行う。基本 的には上級医は発言を控える。
他院所に分散した研修医 の経験共有を日常的に行 うことができる。 他の研修医の経験を疑似 体験することで習得度を 上げることができる。 ディスカッションや ティーチングによってよ り定着しやすい学習がで きる。 学習定着率を表す ラーニング・ピラミッド
毎週水曜日に約 1 時間。 3 病院の総合診療科・一般内科で行っている。 教訓的な症例、相談症例などをディスカッションす る。 上級医の思考過程が表に出てくる場であり、研修医 がそれを目の当たりにすることができる。 指導医の診療レベル向上・知識のアップデートとし ての役割もある。
6 病院 1 診療所に導入している。 症例コンサルテーションに使用している。 高解像度で動画もリアルに表示できる。
中小規模の病院では Common disease を学ぶ環境とし て優れる。 地域密着型の小規模病院は、研修医の数が少ない。ま た各科の専門医の数が少ない。グループ化することで 専門医へのコンサルトをしやすくなり、医療の質を上 げることができる。 TV 会議システムは中小規模病院での研修のデメリッ トを補完するシステムになり得る。システムの向上に より、臨場感を損なうことなくカンファレンスを共有 できる。 研修のみならず病院全体のレベル向上にもつながる。
長野県に求められる人材を共同で育成するこ とを目指す時に有用なツールになり得る。 互いの売り、各病院の取り組みを、それぞれ の病院に居ながらにして共有できる。 診断困難例に対する Grand-MLA(Dr. 志水太郎 ) 群星沖縄などのようなグループ形成
長野中央病院の利点/欠点 各科の専門的な内容/最新の知識についてよく学ぶことがで きる 反面、一般的な感染症やその他の慢性疾患管理など、各科共 通の内容については統一された教えがない 他職種が研修医(という立場?)について一定の理解を持っ ている 健和会病院の利点/欠点 一般内科の知識については医局内で比較的統一されている (特に若手医師では)ため、混乱することがない 各科の専門的な知識になると、一人の上級医の意見が絶対的 となりやすいため、こちらは偏りのある知識が身につくかも しれない 他職種は「研修医って何なの?」と思っている印象を受ける
各科の専門的な内容/最新の知識につい てよく学ぶことができる 研修医同士が知識・経験の共有を図りや すい。 反面、一般的な感染症やその他の慢性疾 患管理など、各科共通の内容については 統一された教えがない
研修内容・指導レベルが統一されづら かった。 研修医がバラバラになることにより、互 いに高めあう環境が損なわれる時期が存 在した。