兵庫県南部地震 02T3023G 久保田慶太
Ⅰ・地震の概要 発生日時・・・・ 1995 年 1 月 17 日午前 5 時 46 分 震源地・・・・・・北緯 34 度36.06 分 東経 135 度 分 マグニチュード・・・7.2 死者・・・・・・・ 5500 人
各地の震度 震度7 注)のとおり 震度6 神戸、洲本 震度5 京都、彦根、豊岡 震度4 岐阜、四日市、上野、福井、敦賀、津、 和歌山、姫路、舞鶴、大阪、高松、岡山、徳島、 津山、多度津、鳥取、福山、高知、境、呉、奈 良 震度3 山口、萩、尾鷲、伊良湖、富山、飯田、 諏訪、金沢、潮岬、松江、米子、室戸岬、松山、 広島、西郷、輪島、名古屋、大分 震度2 佐賀、三島、浜松、高山、伏木、河口湖、 宇和島、宿毛、松本、御前崎、静岡、甲府、長 野、横浜、熊本、日田、都城、軽井沢、高田、 下関、宮崎、人吉
注)気象庁が地震機動観測班を派遣し現 地調査を実施した結果、以下の地域は震 度7であった。 神戸市須磨区鷹取・長田区大橋・兵庫区 大開・中央区三宮・灘区六甲道・東灘区 住吉、芦屋市芦屋駅付近、西宮市夙川等、 宝塚市の一部、淡路島北部の北淡町、一 宮町、津名町の一部 津波この地震による津波はなし
発災が冬季の未明であったことから、多くの人々が就寝中であった。 強烈な地震動により老朽木造住宅が全壊あるいは 1 階部分が完全に潰 れたり、また固定されていない家具類の転倒により、多くの圧死者を 出した。鉄筋コンクリート造の建物でも、中層階が潰れ、死傷者を出 した。
建築物等の被害 (1) 建築物 震災後の管内対象物の被災状況を確認したところ,ポートアイラン ド,六甲アイランドでは目立った被害は確認されていないが,摩耶 埠頭,小野浜町,薪港町,波止場町,築地町では大きな被害が確認 された。特に大きな被害は,第 4 突堤から第 8 突堤までの小野浜町の 突堤に集中していた。第 4 突堤ではポートターミナルが傾き,第 5 突堤では突堤先端が完全に水没,第 6 突堤では港島トンネル工事現 場が一部水没,第 7 突堤では 1 階が一部覇壊している業所があった。 第 8 突堤西岸壁でも 1 階部分が崩壊と激しい被害を受けている。ま た,兵庫突堤も第 1 ,第 2 突堤の先端が完全に水没しており,同突 堤先端付近の倉庫も数棟水没していた。 またポートアイランドを含む港湾地域全般において護岸の崩壊に伴 い,地盤に引きずられるように平屋の倉庫が多数傾いていた。比較 的被害の少なかったポートアイランド,六甲アイランドの建築物に ついても,壁面等にクラックが生じたり,建物の基礎以外の周辺部 で数十センチ程度陥没している所も確認された。
港湾施設 ( 岸壁等 ) コンテナ取扱個数が国内全体の 30 %,世界でも有数の貿易港である 「神戸港」のほとんどの岸壁が崩壊し着岸不能の状態となっていた。 埋立地の一部では,液状化現象により殆どが陥没し,ガントリーク レーンも例外ではなく, 239 あるバースのうち無傷は僅か 7 か所で, 35 のコンテナバースは全て使用不能となった。 (3/4 神戸 ) 神戸港の 場合,岸壁はケーソン工法というコンクリートの立法方体 (10m 四 方 ) を積み重ねる工法をとっている。この場合埋め立て工事の進捗 に伴ってケーソンを積み重ねていけるという利点がある。 一方,東京港では桟橋工法という工法で築造されており神戸港では 摩耶第一突堤東側と三井桟橋の 2 か所のみとなっている。桟橋工法 は海底の地盤に杭を打って上部にコンクリートの壁を築造するもの で,震災での被害はほとんど無かった。 なお,神戸市では壊滅的な被害を受けた 35 か所のコンテナ岸壁のう ちの 8 か所を 3 か月間の間に優先的に復旧し,輸出業務を再開する。 しかし,神戸港の完全復旧には, 2 ~ 3 年かかる見込みとなってい る。
道路・交通機関 ・道路 管内の主要道路として,ハーバーハイウェイ,国道 2 号線浜手バイ パス,摩耶大橋そして人工島とをつなぐ六甲大橋,神戸大橋さらに 阪神高速湾岸線などがあり,これらの全ての道路の高架部分の橋脚 が地震により損傷を受けている。また,ポートアイランド内の各道 路も「液状化」と陥没・隆起あるいは亀裂のため,当初は通行でき ない箇所が多数あった。 ・神戸大橋 神戸市の調査結果によると,橋脚や基礎の部分に被害が集中し, 8 か所のうち 6 か所が損傷,特に第 4 突堤側の 2 か所は,上部と下部が 60cm ずれ,橋全体が北側に引っ張られた状態となっている。また 高架部分の損傷も大きく,橋脚 10 本の鉄筋が露出したり,上下に 変形する「座折現象」が見られた。現在の対向 1 車線通行規制は 4 月ごろまで続き,その後上下道路それぞれ 2 車線に緩和され,通常 の上下 4 車線の通行は来年以降に持ち越される。 ・六甲アイランド大橋 ( 阪神高速道路 5 号湾岸線 ) 1992 年に架設された六甲アイランド大橋 ( 全長 270m) は,アーチ橋 で,上,下各 3 車線が 2 階建になっている。地震の激しい揺れで, 橋南端の橋げたと台座の連結部が壊れ,下部の上り線が東側へ 3m ずり落ち,上部の上り線も全体が傾いた。公団側は,橋の南端部分 を補修すれば再使用しても安全性に問題はないと判断し, 10 月の 全面復旧に向けて改修中である。
・神戸新交通~ポートライナー 1981 年に開業したポートライナーの橋脚のうち,新港第 4 突堤の 12 基が,基礎 地盤に安定させる杭の打ち込みがなかったために全て傾いた。地下 6 ~ 14m に厚 さ約 8m の石積み層があるため,地盤に直接基礎を置く「べた基 礎」とよばれる工法 を採用したが,今回の地震で石積み層の状態が変化し,橋脚の傾斜 につながった 可能性が強い。 (
・神戸新交通~ポートライナー 1981 年に開業したポートライナーの橋脚のうち,新港第 4 突堤の 12 基が,基礎 地盤に安定させる杭の打ち込みがなかったために全て傾いた。地下 6 ~ 14m に厚 さ約 8m の石積み層があるため,地盤に直接基礎を置く「べた基礎」と よばれる工法 を採用したが,今回の地震で石積み層の状態が変化し,橋脚の傾斜に つながった 可能性が強い。