三菱自動車・ふそうの一連の不祥事 と経営再建計画について 大磯毅
不祥事の概要 (1)ハブの欠陥隠し 五月三日、神奈川県警が 2002 年の横浜の 死亡事故に関してふそう前会長らを強制 捜査すると決定(業務上過失致死傷、道 路運送車両法違反の容疑) その後、組織的なハブの欠陥隠しが明ら かに。また、問題となった D 型ハブが、実 車実験を経ずに開発されていたことも発 覚
(2)クラッチ系統の欠陥 2002 年に起こった山口でのトラック事故 (運転手が死亡)の原因がふそう製のト ラックのクラッチ系統の欠陥であったこと が発覚。経営陣は 96 年段階で欠陥で事故 が起こる可能性を認識していたにも拘らず、 国土交通省に届け出ず、ヤミ改修を続けて いた。(ヤミ改修は、 2000 年のクレーム 隠し問題によりストップ) このクラッチ系統の欠陥でふそうは、16 万台あまりの大型トラックのリコールを届 け出
(3)その他 乗用車17種(後に 19車種に訂正)1 6万3千台について、 93~97年にリ コール隠しがあった ことを公表 新たに10車種11 万6千台をリコール
(4)まとめ 長期に及ぶ大量のリ コール隠しが発覚 事故等により欠陥が 判明した後も、組織 的な隠蔽工作がなさ れるなど、きわめて 悪質であり、当時の 経営陣の罪は非常に 重い
三菱自の経営再建計画について (1)不祥事発覚前 筆頭株主であるダイムラークライスラー 及び三菱グループ各社による増資引き受 け等による7000億円規模の資金調達 と、ダイムラー主導の事業再編成計画 (日産をモデル) しかし、ダイムラーの監査役会でこの計 画が承認されず、計画は白紙に その後、三菱グループ主導による経営再 建が模索
(2)不祥事発覚後 5月14日、経営再建の 中長期計画が発表 三菱グループや投資ファ ンドを引き受け先とする 増資等で4500億円規 模の資金調達、社内から の新社長登用、世界人員 の22%にあたる1万1 000人の人員削減 本社の京都市移転計画
(3)今後の展望 各都道府県などが買い控えの方針 ブランドイメージの低下は必至であり、 事実5月の新車販売は激減 今後も売り上げは減少すると予想され、 05年度の経常黒字という目標は達成困 難か? さらに、ダイムラー側から補償請求も
論点 今回の一件で回復不可能な損害が三菱自 に生じたにも拘らず、三菱グループは支 援継続の方針 ブランドイメージの回復を含めた三菱自 の再生は果たして可能か 本社移転は京都市にとってメリットがあ るのか