1990年代に入って、ようやく、 視聴の効果研究とは別の、 テレビメディア文化論が台頭してきた。 テレビ 〜生活の中の映像社会〜 1990年代に入って、ようやく、 視聴の効果研究とは別の、 テレビメディア文化論が台頭してきた。
テレビの発明 前史:映像送信への欲望は以前からあった 戦前:1920年代に実用化されていた。 1936年のベルリンオリンピックの中継 1936年のベルリンオリンピックの中継 1950〜60年代(戦後一気に) アメリカ・欧州・日本で爆発的に普及 ※メディアの普及の中では特筆すべき出来事
日本での定着 1953:NHK(2.1)と日本テレビ(8.28)がスタート 街頭テレビ:民放テレビ(1953)の市場戦略 皇太子のご成婚(1959.4) 沿道50万人、テレビ1500万人視聴 各局40台、120台のカメラで中継 クローズアップ→大衆天皇制のはじまり 1958.4で100万台→1959.4で200万台→1959.4で300万台
“家電“としてのテレビ ■電気テクノロジーの家庭内化(モダーン化) (1)ラジオとモダニズム “家電“としてのテレビ ■電気テクノロジーの家庭内化(モダーン化) (1)ラジオとモダニズム ラジオは都市のモダニズムの象徴→1920年代に電 化製品はあった。でも、国民全体のアイデンティティ ではなかった ▽ (2)1950年代に広告に「家庭電化」 「三種の神器」の家電 ①テレビ・②電気冷蔵庫・③電気洗濯機
テレビとは:ナショナルなメディア リビングルームの時間割り装置 =ナショナルな時間割を誕生させる装置 ゴールデンアワーの誕生 =ナショナルな時間割を誕生させる装置 ※1953年頃は昼のみの放送→1960年代に全日放送 ゴールデンアワーの誕生 =ナショナルで大衆的な性格をもつプログラム
ナショナルなプログラムの誕生 ▼ 国民生活時間の形成 今日に続く、ナショナルなプログラム(50年以上続いてきた) ドラマ『東芝劇場』1961 バラエティ『シャボン玉ホリデー』1961 バラエティ『夢で会いましょう』1961 連続テレビ小説『娘と私』→6作『おはなはん』45.8% ドラマ『大河ドラマ』1963/『紅白歌合戦』1963に81.4% 『水戸黄門』『大岡越前』1960年代 ▼ 国民生活時間の形成 ※家電としてのテレビが、私たちの 身体を飼い慣らしていく(馴致)=モダン化
テレビ視聴の変化:社会的変化 変遷 時期 視聴スタイル 1955〜60 非日常と日常の間 1960〜65 テレビ視聴の定着化:朝のプログラムの確立(以後50年) 1965〜70 安定化 1970〜 対話的コミュニケーション(それまでは鑑賞・見物的コミュニケーション) 〜85 停滞期:野外レジャー、テレビ批判、VCR 1990〜 回副・堅調期:漠然視聴+対話と裏読み
テレビ視聴の変化:個人的変化 ライフコースと視聴の変化 時期 年齢 視聴内容 独身青春期 25歳未満 個人視聴・エンターテインメント系の番組・民放 〃 25歳以上 青春物 結婚期 子供なし 家族視聴・ニュース・社会教養番組 真面目な情報番組・ワイドショー 子育て期 子供あり 結婚期の延長〜視聴時間短い〜 引退期 60歳以上 個人視聴、NHK、堅めの情報番組
テレビ研究:ワイドショーの形式 『有名性という文化装置』(1998)石田佐恵子 有名性を作り出す装置 〜生成と消滅の自己完結型システム〜 〜生成と消滅の自己完結型システム〜 3つの表現形式 (1)同時多元性〜どの局でも同じ (2)VTR映像 (3)挿話(トピック)の寄せ集め →リアルのテクノロジー
テレビ研究:クイズ番組の形式 『クイズ文化の社会学』(2003)石田佐恵子・小川博司 放送ジャンルとしてのクイズ 日本でのタイプ1:知識人解答型 日本でのタイプ2:視聴者解答型 1960年代〜80年代 日本でのタイプ3:タレント解答型 視聴者解答型の衰退→視聴者参加は別の番組へ (例:あいのり) テレビとクイズ形式の本質的な親和性?〈問い〉→〈答 える〉
テレビ研究:1970年代への注目 『テレビだョ! 全員集合』(2007) 自作自演の1970年代 視点:テレビの面白さ=「自作自演」 『テレビだョ! 全員集合』(2007) 自作自演の1970年代 視点:テレビの面白さ=「自作自演」 テレビカメラが入ることで、ある雰囲気を自らつくり 出す。魅力的な人物、面白さ。それを、知らないふ りをして(演じて)伝えていく。 テレビ取材という事実によって生じた出来事を他 人事のように映し立す。→「自作自演」性
テレビ研究:1970年代への注目 80年代以降の・・「自作自演」の遊戯空間 それを視聴者が批評的に面白がる(ツッコミ) シニカルな面白がり方 ▽ 70年代:(狙っていない。狙いすぎていない) 誰かの意図や戦略には回収されない、不透明な出 来事としての「自作自演」性があった。 制作している側も、批評的に自覚化していない、真 摯なテレビとの対話(ツッコミ入れないまま放置)
テレビ研究:テレビ的教養 『テレビ的教養』(2008)佐藤卓己 「一億総白痴化」論 →「一億総博知化」 メディアは文化的細分化をもたらす 「一億総白痴化」論 →「一億総博知化」 メディアは文化的細分化をもたらす (メディアがコミュニケーションを豊にする、連帯を 促進する、というのは教育的幻想) ▽ しかし 教養のセイフティ・ネットとしてのテレビ エンター・エディケーションの公共性
テレビ研究:カルチュラル・スタディーズ① 『テレビジョンカルチャー』フィスク(1987=1996) 〜ポピュラー文化の政治学〜 テレビの「現実」=ある支配的イデオロギー =文化的価値・規範の再生産 文化(番組)は、中立ではない。 政治性(立場性)を帯びている
テレビ研究:カルチュラル・スタディーズ② ある特定の“まなざし”による現実の構成 =他の言説は排除 例:ジェンダーの固定化・差別、 階級的利害対立の回避と隠蔽、 人種に対する不当な社会的差別 ①権力・支配・服従が組み込まれた「文化装置」 ②優先的読み取り(こう解釈しなさい)が構造化 ③抵抗・オルタナティブの実践の重要性
■ミニ課題:国民的人気番組分析 ドリフターズ 8時だよ全員集合
■ワイドショーニュースの分析 ●映像:カメラの特徴(どうしたイメージをつ くろうとしているのか/臨場感はどうか?) 〈参考技法〉 ハイアングル(上から) ローアングル(下から) ロングショット(遠方から) クローズ・アップ(拡大) パン(右から左を動かす) ドリー(走って近づく)