里山資本主義と日本経済 藻谷浩介 kosuke@motani.com 2015年4月24日 株式会社 日本総合研究所 主席研究員 株式会社 日本政策投資銀行 地域企画部 特任顧問 も た に 藻谷浩介 kosuke@motani.com (株)日本総合研究所 藻谷浩介
何を根拠に判断するか? ステップ1. 統計と実例から帰納し、 確実に事実と言えることを押さえる ステップ2. 統計と実例から帰納し、 里山資本主義と日本経済 何を根拠に判断するか? ①②③④、いずれも判断ミスの 山を築く結果に終わる、愚かな選択。 ステップ1. 統計と実例から帰納し、 確実に事実と言えることを押さえる ↓ ステップ2. 統計と実例から帰納し、 確実に間違いと言えることを押さえる ステップ3. どちらとも言えない領域 について、仮説を元に仮判断を 下し、後日検証する ① 学校で学んだ学術・理論、書物などで得る知見をもとに、学問的に正しい判断を行う。 ② 理屈をこね回しても現実には役に立たない! これまでの人生経験、これまでの学習の中で、自分の確立した信念・思いを元に判断する。 ③ 学問も、己の思い込みも、正しいとは限らない!この人なら正しい判断をするだろう、という人物を見抜き、その人物の意見を傾聴する。 ④ 世の流れに逆らうと結局は損をする! テレビやネットで拾える、最新の世の中のトレンドに従う。 ⑤ 上記いずれもよろしくない。(←この答えの人はではご自分はどうしているのかお考えください) (株)日本総合研究所 藻谷浩介
? 国際競争で勝ち続けるのが難しい。 ? デフレが続き物価が上がらない。 ◎ エネルギーの使い捨てに限界が来た。 里山資本主義と日本経済 日本の足を引っ張る限界とは? ? 国際競争で勝ち続けるのが難しい。 ? 経済の潜在成長率が低すぎる。 ? デフレが続き物価が上がらない。 そういう「マネー」に換算された話は 結果として出てきている現象であって、 まったくもって問題の本質ではない。 問題の本質は、循環・再生の不全 ① 子供の減少 → 人口の循環・再生の失敗 ② 再生できない化石燃料・核燃料への依存 ③ 貯金が「内臓脂肪化」して世間を循環しない ④ 空き不動産増加でまちが「骨粗しょう症」に ◎ 子供の減少で社会の縮小が続く。 ◎ エネルギーの使い捨てに限界が来た。 ◎ 貯金が消費に回らず循環しない。 ◎ 土地建物が再利用されず空いていく。 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
地域活性化って何ですか? 「里山資本主義」こそ これらを進めるための カギとなる発想 ? これ以上交通を便利にするよりも 里山資本主義と日本経済 地域活性化って何ですか? ? これ以上交通を便利にするよりも ? これ以上工場を増やそうとするよりも ? 好景気・不景気と騒ぐのでもなく ◎ 若者が戻り、子供が増え、人口が安定すること ◎ エネルギーと食糧の自給率が上がり、生活が安定すること ◎ 貯金が消費に回って経済が安定すること ◎ コンパクトなまちと広い農林地が共存すること 「里山資本主義」こそ これらを進めるための カギとなる発想 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
“里山資本主義”とは何か? 里山資本主義的発想法: 「マネー資本主義」の欠陥を補うサブシステム (保険) 妄想から自由になる 里山資本主義的発想法: ① お金と資源の奪い合いに狂奔せずとも、 「里山を食い物にする」ことで、豊かに生きて行ける ② 里山は多くの人口は養えないけれど、金と地位に 釣られた人が出て行く分、新規参入は大歓迎 ③ 自然相手に、人間同士の勝ち負けは無意味 → お金より人の絆、学術より生活術 里山資本主義と日本経済 “里山資本主義”とは何か? 「マネー資本主義」の欠陥を補うサブシステム (保険) 資源+お金+善意を循環させ、経済を元気にする ! 里山や離島に眠る、金銭換算すると無価値の資源 ①耕作放棄地、②立木、③半端モノ農産品、④退職者、⑤野獣… ! でもそれを資本として活かすと、水/食料/燃料+αを自給+物々交換できる (←農山漁村では常識ですが…) ① 食糧+エネルギーの自給率向上で、外に出て行くお金が減る ② 物々交換で絆が強まる ③ 自給+絆で、天災に強い地域となる ! 無価値の資源を資本として活かすと、工夫次第で外からもっとお金を稼げ、そのお金を地域内で回せる ④ 6次産業がしみじみと外貨を稼ぐ ⑤ 地消地産(=地元民と 観光客が、地元産を消費すること)で、その外貨が地域内で回る ⑥ 地元産自然エネルギーを都会に売る ⑦ 若者の雇用が増える 里山資本主義で 循環・再生へ ① 絆と里山の恵みが、子育て負担をやわらげる ② エネルギー自給の拡大で化石燃料依存症を緩和 ③ 自給による安心感が消費と実物投資を拡大 ④ 空家と耕作放棄地を再利用 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
循環・再生が可能な範囲でほどほどに稼ぎ、使う 里山資本主義と日本経済 マネー資本主義と里山資本主義 マネー資本主義 里山資本主義 動機 自分が、いま、一番になる 社会が滅びずに続いていく 目標 お金儲けの一番を目指して 際限なく稼ぎ、貯め込む 代わりのない中継者になる = 稼いでは回しバトンをつなぐ 戦略 粗暴バージョン: 他者/他集団から奪い取る 素朴バージョン: 何でも自給自足する 知能バージョン: 未来/次世代から搾取する ←簿外資産を浪費して蓄財する (地下資源、水、土壌、大気、子供、絆...) ←借金や汚染物質を後世に残す 成熟バージョン: 循環・再生が可能な範囲でほどほどに稼ぎ、使う ← 使ったものは元に返す ← インフラと清浄な環境を残す 手法 等価交換 / 金融投資 自由競争 / リスクの個人化 物々交換・贈与 / 実物投資 協働 / リスクの社会化 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
20年間横ばいのままの小売販売額 物価と違って、内需型企業の売上に直結する指標 外需と内需を一緒にしたGDPと違って、内需のみを反映した指標 里山資本主義と日本経済 20年間横ばいのままの小売販売額 物価と違って、内需型企業の売上に直結する指標 外需と内需を一緒にしたGDPと違って、内需のみを反映した指標 減っているわけではなく、ここ5年間は微増 震災も消費税増税も増減には影響なし (株)日本総合研究所 藻谷浩介
個人所得はバブル期を上回ったのに、物販は盛り上がらなかった 里山資本主義と日本経済 20年間横ばいのままの個人所得 個人所得はバブル期を上回ったのに、物販は盛り上がらなかった いわゆる「実感なき景気回復」 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 輸出増でも増えない所得と消費 輸出が増減しても内需は変動せず (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 金融緩和に無反応な所得と消費 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 所得と消費は就業者数に連動 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
実物経済と金融市場は別のもの 雇用の支える実態経済の世界と マネーゲーマーの儲けの上下は まったく関係がない 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
就業者数は生産年齢人口に連動 なぜ70%? 日本の生産年齢人口の 30%は働いていないから。 学生が8%、失業者が5%、 里山資本主義と日本経済 就業者数は生産年齢人口に連動 なぜ70%? 日本の生産年齢人口の 30%は働いていないから。 学生が8%、失業者が5%、 家事専業が12%、その他が5%。 日本では15-64歳女性の25%が 家事専業で現金収入がない。 ちなみに男性は1%。 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 現役減少→就業者数減少 過去の実績 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 現役減少→就業者数減少 過去の実績 今後の予測 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 現役減少→就業者数減少 過去の実績 今後の予測 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
日本では、現役世代の減少が 生産ではなく消費を下げている ☆ 現役世代が減っているので、労働者も減っている 里山資本主義と日本経済 日本では、現役世代の減少が 生産ではなく消費を下げている ☆ 現役世代が減っているので、労働者も減っている → ところが日本は世界で一番、工場の機械化・自動化が進んでいるので、労働者が減っても生産は落ちない ★ 現役世代が減っているので、労働者も減っている → その分、企業が払う人件費の総額(雇用者報酬)も減る → その分、現役世代を顧客にした商品の売り上げも減る … 車、住宅、衣類、家具、食品、いろんなものが頭打ちに ☆ それでも生産を落とさない商品は、値崩れしていく → そのことを「デフレ」と呼んで日銀のせいにする ★ 実は一部の高齢者には貯金がたくさんあるのだが、そうした人に限って死ぬまでお金を使おうとしない… (株)日本総合研究所 藻谷浩介
(震災前のトレンドを伸ばした、国立社会保障・人口問題研究所予測) 里山資本主義と日本経済 東京都で今起きていること (震災前のトレンドを伸ばした、国立社会保障・人口問題研究所予測) 都内在住者(外国人含む):2010年→20年 +15.6万人 0-14歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2010年 149万人→2020年 142万人 △6.5万人 △4% 15-64歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2010年 899万人→2020年 865万人 △34.1万人 △4% 65歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2010年 268万人→2020年 324万人 +56.2万人 +21% ↑その中の75歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2010年 123万人→2020年 171万人 +47.8万人 +39% 2000→2010年の +110万人から、大幅なペースダウン 250年続けば現役世代がゼロ!になるペースの、不意打ちのような減少 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
(戸籍のない人口も推計した、国際連合人口部の予測) 里山資本主義と日本経済 中華人民共和国で今起きていること (戸籍のない人口も推計した、国際連合人口部の予測) 中国在住者(外国人含む):2010年→20年 +73百万人 0-14歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2010年 2.5億人→2020年 2.6億人 +15百万人 +6% 15-64歳人口の増減: ↓絶対数 ↓増減 2010年 10.0億人→2020年 10.0億人 +4百万人 +0% 65歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2010年 1.1億人→2020年 1.7億人 +54百万人 +48% ↑その中の75歳以上の人口: ↓絶対数 ↓増減 2010年 0.4億人→2020年 0.5億人 +10百万人 +24% 17年間で日本が一個増えるというペースの増加 2000→2010年の +135百万人から、突然の増加終了へ (株)日本総合研究所 藻谷浩介
日米開戦前夜の日本在住者 15-64歳 4,295万人 75歳以上 89万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
戦後復興の頃の日本在住者 15-64歳 4,966万人 75歳以上 106万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
所得倍増計画の頃の日本在住者 15-64歳 6,000万人 75歳以上 163万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
大阪万博の頃の日本在住者 15-64歳 7,157万人 75歳以上 221万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
安定成長移行期の日本在住者 15-64歳 7,883万人 75歳以上 366万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
バブル最盛期の日本在住者 15-64歳 8,590万人 75歳以上 597万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
阪神大震災の頃の日本在住者 15-64歳 8,716万人 75歳以上 717万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
2000年問題の頃の日本在住者 15-64歳 8,622万人 75歳以上 900万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
現在の日本在住者 15-64歳 8,174万人 75歳以上 1,419万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
10年後の日本在住者 15-64歳 7,341万人 75歳以上 1,879万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
20年後の日本在住者 15-64歳 6,773万人 75歳以上 2,278万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
30年後の日本在住者 15-64歳 5,787万人 75歳以上 2,233万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
40年後の日本在住者 15-64歳 5,002万人 75歳以上 2,385万人 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
50年後の日本在住者 15-64歳 4,418万人 75歳以上 2,336万人 こんなに減らないようにできれば… 在日外国人を含む数字 里山資本主義と日本経済 50年後の日本在住者 75歳以上 2,336万人 15-64歳 4,418万人 在日外国人を含む数字 こんなに減らないようにできれば… (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 安定を実現した長野県下條村 数字には居住外国人を含む (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 高齢者が増え現役は減る東京都 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 高齢者が増え現役は減る中国 数字には居住外国人を含む (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 現役世代の減少と高齢者の増加 高齢者が急増 ここに空白あり 現役世代が減少 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 現役世代の減少と高齢者の増加 高齢者が急増 ここに空白あり 現役世代が減少 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 現役世代の減少と高齢者の増加 現役世代が減少 高齢者が急増 ここに空白あり (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 現役世代の減少と高齢者の増加 現役世代が減少 高齢者が急増 ここに空白あり (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 現役世代の減少と高齢者の増加 現役世代が減少 高齢者が急増 ここに空白あり (株)日本総合研究所 藻谷浩介
現役世代の減少と高齢者の増加 若者受け入れ 子育て支援で 右方向へ動ける 現役世代が減少 高齢者が急増 里山資本主義と日本経済 若者受け入れ 子育て支援で 右方向へ動ける (株)日本総合研究所 藻谷浩介
同じグラフで世界を比較すると… バックスピンをかけよう 里山資本主義と日本経済 横浜市 小田原市 下條村 別府市 箱根町 バックスピンをかけよう (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 人口減少で急増した空き家 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 空き家の圧倒的多数は 地方ではなく大都市圏に存在 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
買い手・借り手がない空き家は圧倒的に大都市圏に集中 里山資本主義と日本経済 買い手・借り手がない空き家は圧倒的に大都市圏に集中 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 どこから稼いでどこに貢いでいるのか 日本が黒字 日本が赤字 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
日本人は化石燃料代・ウラン代を払うために働いているようなもの。 里山資本主義と日本経済 アジアと米国から稼ぎ中東に貢ぐ日本 日本が黒字 日本人は化石燃料代・ウラン代を払うために働いているようなもの。 せっかくの原油安も円安で相殺。 日本が赤字 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 化石燃料輸入額増加の原因は 原発停止ではなく、輸入単価の上昇 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 アメリカから稼ぎ続ける日本 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 韓国からの稼ぎも減っていない (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 しかし円安で12年ぶりの対中赤字 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 円安で対中東の赤字も史上最高 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 対ロシアの赤字も急拡大 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
化石燃料利用の少ない社会への脱皮が必要。 里山資本主義と日本経済 日本の「国際競争」の現実 × 日本の国際競争力は、バブル崩壊以降低下の一途。 → 日本の輸出額は、震災・超円高・ユーロショックの昨年でも、バブル期の1.5倍以上の高水準。 × 日本はアジア新興国との競争に負けている。 → 中国(+香港)、韓国、インド、台湾、シンガポール、 米国等に対し、日本は貿易黒字+経常収支黒字。 × 円安に戻れば輸出が増えて、日本経済は再生する。 → 輸入燃料の高騰で、日本の貿易は逆ザヤ。 → 輸出(=売上)が増えれば増えるほど赤字が増大。 → 円安に戻れば、燃料代増加で赤字がなお拡大。 化石燃料利用の少ない社会への脱皮が必要。 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
“里山資本主義”とは何か? 「マネー資本主義」の欠陥を補うサブシステム (保険) 資源+お金+善意を循環させ、社会を未来に続ける 里山資本主義と日本経済 “里山資本主義”とは何か? 「マネー資本主義」の欠陥を補うサブシステム (保険) 資源+お金+善意を循環させ、社会を未来に続ける ! 里山や離島に眠る、金銭換算すると無価値の資源 ①耕作放棄地、②立木、③半端モノ農産品、④退職者、⑤野獣… ! でもそれを資本として活かすと、水/食料/燃料+αを自給+物々交換できる (←農山漁村では常識ですが…) ① 食糧+エネルギーの自給率向上で、外に出て行くお金が減る ② 物々交換で絆が強まる ③ 自給+絆で、天災に強い地域となる ! 無価値の資源を資本として活かすと、工夫次第で外からもっとお金を稼げ、そのお金を地域内で回せる ④ 6次産業がしみじみと外貨を稼ぐ ⑤ 地消地産(=地元民と 観光客が、地元産を消費すること)で、その外貨が地域内で回る ⑥ 地元産自然エネルギーを都会に売る ⑦ 若者の雇用が増える (株)日本総合研究所 藻谷浩介
循環・再生が可能な範囲でほどほどに稼ぎ、使う 里山資本主義と日本経済 マネー資本主義と里山資本主義 マネー資本主義 里山資本主義 動機 自分が、いま、一番になる 社会が滅びずに続いていく 目標 お金儲けの一番を目指して 際限なく稼ぎ、貯め込む 代わりのない中継者になる = 稼いでは回しバトンをつなぐ 戦略 粗暴バージョン: 他者/他集団から奪い取る 素朴バージョン: 何でも自給自足する 知能バージョン: 未来/次世代から搾取する ←簿外資産を浪費して蓄財する (地下資源、水、土壌、大気、子供、絆...) ←借金や汚染物質を後世に残す 成熟バージョン: 循環・再生が可能な範囲でほどほどに稼ぎ、使う ← 使ったものは元に返す ← インフラと清浄な環境を残す 手法 等価交換 / 金融投資 自由競争 / リスクの個人化 物々交換・贈与 / 実物投資 協働 / リスクの社会化 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 仏に対し年々赤字の増える日本 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 伊に対し年々赤字の増える日本 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
里山資本主義と日本経済 スイスに対しても年々赤字増大 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
地域外への売り上げを増やし、もっと「外貨」を獲得! 地域外に出て行くお金を減らそう 日本人1人当たりの 年間のモノ消費は110万円 → その1%=1万円 地元産品消費を増やせば 人口10万人なら +10億円が地元経済に回る → 給与+福利厚生500万円/人の 雇用を200人分増やせる 地域外への売り上げを増やし、もっと「外貨」を獲得! 売上 都会に預けず地域内に再投資! 地域から資金調達! 地域から資金調達! 地域の自然エネルギー活用! 地域内向けは安く! 地域の業者に発注! 地産地消物々交換を促進! 雇用増! 賃上げ! 兼業奨励! 儲け コスト 内部留保 配当 金利 光熱費 地代家賃 設備 費 原材料費 給料 日本人1人当たりの 年間のエネルギー支出を50万円とすると → その1%=5千円だけ省エネを進めれば 人口10万人なら +5億円が地元経済に回る → 給与+福利厚生500万円/人の 雇用を100人分増やせる 地域内の誰かの貯金に回る 地域外に出て行ってしまう 受け取った人が地域内でまた使う 多くは結局、地域内では使われないまま 地域内では循環せずに 都会や海外を活性化させる 地域内で循環し、雇用と若者人口を増やす!
現役世代が増えているニセコ町 「地域でお金が回っている」から ① 客数ではなく滞在日数=客単価の拡大 ② 単価のうち地元に落ちる部分の拡大 里山資本主義と日本経済 現役世代が増えているニセコ町 外国人観光客の増えるニセコで 現役世代人口が増えているのは 「地域でお金が回っている」から ① 客数ではなく滞在日数=客単価の拡大 ② 単価のうち地元に落ちる部分の拡大 = 地元原材料使用、地元民給与アップ ③ 貯金の地域内への再投資 ④ 工事の地域内への発注 数字には居住外国人を含む 8%増! 7%減?? (株)日本総合研究所 藻谷浩介
「里山資本主義」的地域活性化を ① 安さでは勝負せず高品質の商品で外貨獲得: ② お金と遊休資産をもっと地域内でぐるぐる回す: 里山資本主義と日本経済 「里山資本主義」的地域活性化を ① 安さでは勝負せず高品質の商品で外貨獲得: 当地独自の生活文化に支えられた、ハイセンス・少量・高単価の「地域ブランド商品」「生活文化観光」で外から稼ぐ(=「いま」「ここ」にしかないものを売る)。 ② お金と遊休資産をもっと地域内でぐるぐる回す: 地域内産の食材、建材、人材の質を上げて地元で使い倒し 、未就労女性や障碍者を雇用し、時短で「時給」を高め、兼業を奨励し、空き不動産は安く賃貸する。 ③ 省エネ・新エネ投資でエネルギー代を大幅削減: 建物の改築・断熱改修を進めて大幅な省エネを実現。建材にはなるべく地元産材を使い、木屑を燃料利用。小水力・風力・地中熱・廃油・廃熱を余さず使う。 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
⇒ 他者との交わり、他者からの 絶対評価なしでは達成できない 欲求7段階(2×3+1)説(藻谷説) 里山資本主義と日本経済 点数化できる優越ではなく、比較できないかけがえのなさ(=代りがいない自分、代わりがいない相手、満ち足りた人間関係)を目指す欲求 ⇒ 他者との交わり、他者からの 絶対評価なしでは達成できない かけがえのない人生への欲求 自他の比較にこだわらず、自分に自然体で満ち足り、その上で他者と自然体で認め合いたいとの欲求 “個体”としての欲求 人間関係の中での欲求 個我確立 欲求 自然や社会に対峙する確固とした自分を確立したいという欲求 優劣がつく指標 での優越欲求 金・地位・学歴など、優劣がつく(と思われている)指標で勝りたいとの欲求 お守り欲求 シンボル(小物/衣服など)を身に着けることで己を補強したいという欲求 被認知欲求 属した集団のメンバーに己の存在を気づかせたいとの欲求 生存欲求 食べて生きて生殖したいという最も本能的・基本的な欲求 帰属欲求 何かの集団に属したい仲間に紛れ込みたいという欲求 (株)日本総合研究所 藻谷浩介
これからの価値観 新: 以下の3種類の指向への分化が進む 里山資本主義と日本経済 これからの価値観 旧: 人の生は、徒党(国/企業/部族)を組んで有限な価値(燃料/食料/地位/金)を奪い合う競争であり、有利な徒党に属した人間が勝ち残る 新: 以下の3種類の指向への分化が進む ① 優越追求者: 比較可能な指標での”優越”を ひたすら目指す (マネーゲーマー、資格マニア、貯金道老人など) ② 個我確立追求者: 他人と交われずネットに浸る ③ かけがえのなさ追求者: かけがえのない人たちとの人間関係の中で、かけがえない自分を生きる (=己の欲するところに従いて則を超えず) 旧: 人にとっての価値は、すべて貨幣に換算できる (金で買えぬものはない ) 新:貨幣と交換できない“かけがえのない人間関係”を構築することで、長い人生終盤の充足があり、生きた証が得られる (貨幣に交換できない自分になれる) (株)日本総合研究所 藻谷浩介