投資信託の役割とその仕組みについて② 獨協大学 経済学部 野村證券提供講座 平成17年12月7日 野村年金サポート&サービス(株) 獨協大学 経済学部 野村證券提供講座 投資信託の役割とその仕組みについて② 平成17年12月7日 野村年金サポート&サービス(株) 天野 健次郎
目次 1.投資信託の分類 3.投資信託の選択方法 4.投資信託の将来 日米の個人金融資産 2.投資信託の新しいバリエーション ①形態による分類及び商品例 ②カテゴリー別分類と残高 (参考)4市場のリターン実績(10年) ③運用スタイルの違い インデックス型とアクティブ型 バリュー投資とグロース投資 株式投資スタイルの違いによる影響 ボトムアップとトップダウン 3.投資信託の選択方法 資金性格や運用期間を考慮して 定量評価と定性評価 リスクとリターン 長期投資 分散投資 投資の効率 4.投資信託の将来 日米の個人金融資産 米国の投信残高の推移 米国の投信拡大の背景 2.投資信託の新しいバリエーション 特徴的な投資信託 ETF J-REIT 確定拠出年金とは 日本の年金制度 日本の年金制度の問題点 確定拠出年金(日本版401Kとは
投資信託の分類 主要投資対象別に ①形態(制度)による分類 外国投資信託 国内投資信託 株式投資信託 公社債投資信託 単位型 追加型 単位型 ■形態により分類してみよう 外国投資信託 国内投資信託 株式投資信託 公社債投資信託 株式等を組み入れて運用 株式を一切組み入れず、公社債を中心に運用 単位型 追加型 単位型 追加型 募集期間中のみ 購入可 いつでも購入可 募集期間中のみ 購入可 いつでも購入可 主要投資対象別に 例えば…国内株式型・国債株式型・バランス型・転換社債型・インデックス型 等 (出所)社団法人投資信託協会の定める商品分類より、野村證券投資情報部作成
投資信託の分類 ①形態による商品分類例 単位型 公社債投信 追加型 単位型 株式投信 追加型 金融情勢に応じた募集、設定 信託期間 : 1~5年が一般的 投資対象 : 国内債券、海外債券など 単位型 公社債投信 1.「流動性預金」類似型 ①MRF ②MMF ③中期国債ファンド 2.「短期定期性預金」類似型 ①短期決算型公社債投信 3.「ビッグ」類似型 ①長期公社債投信(1月号~12月号) 追加型 市況見通し等に応じた募集、設定 信託期間 : 5年程度が一般的 投資対象 : 国内株式、海外株式など 単位型 株式投信 1.値上がり益・利回り追求型 ①株式債券ミックス型 ②海外債券型など 2.値上がり益追求型 ①インデックス型 ②アクティブ運用型 ③グローバル投資型 3.積極値上がり追求型 ①ブル/ベア型 追加型 証券投資信託の仕組み上の分類
投資信託の分類 国内の追加型投資信託 ②カテゴリーによる分類 ■カテゴリー分類(国内の追加型投資信託) : 投資対象+運用スタイル+運用目的 ■カテゴリー分類(国内の追加型投資信託) : 投資対象+運用スタイル+運用目的 国内の追加型投資信託 国内株式 海外株式 国内債券 海外債券 国内 ハイブリッド 海外 ハイブリッド その他 一般 グローバル 一般 グローバル 転換社債 転換社債 ロングショート スタイル エマージング インデックス エマージング バランス バランス リスク限定 ・軽減等 業種 北米 国内債券その他 米ドル建て ターゲットイヤー ターゲットイヤー 上場投信 インデックス アジア・オセアニア 公社債投信 アジア・オセアニア 通貨建て アセットアロケーション アセットアロケーション ブル/ベア 国内株式その他 欧州 日々決算型等 欧州通貨建て 不動産投信 不動産投信 マネープール 中南米 インデックス 国内ハイブリッド その他 海外ハイブリッド その他 限定追加型等 業種 海外債券その他 その他 インデックス 公社債投信 海外株式その他 (出所)野村総合研究所「Fundmark」より野村證券投資情報部作成
投資信託の分類 <参考>カテゴリー別の資産残高 追加型株式投信 : カテゴリー別の資産残高 純資産(兆円) 2004年12月末 シェア 追加型株式投信 : カテゴリー別の資産残高 純資産(兆円) 2004年12月末 シェア 前年比増減 国 内 株 式 6.65 25.9% 0.52 海 外 株式 1.40 5.5% 0.48 国 内 債 券 0.21 0.8% 0.04 海 外 債 券 11.29 44.1% 3.42 国内ハイブリッド 0.89 3.5% 0.07 海外ハイブリッド 1.30 5.1% 0.65 そ の 他 3.87 15.1% 0.25 合 計 25.63 100.0% 5.45 (出所)NRI Fundmark/DL より野村アセット投信研究所作成
(参考)市場別のリターン実績:4市場 243.71 234.24 145.39 69.89 国内株、国内債券、外国株、外国債券 国内株式 外国株式 国内債券 243.71 234.24 145.39 69.89
インデックス型/アクティブ型 バリュー投資/グロース投資 ボトムアップ/トップダウン 等.. 投資信託の分類 ③運用スタイルの違いによる分類 ■運用スタイルにより分類してみよう インデックス型/アクティブ型 バリュー投資/グロース投資 ボトムアップ/トップダウン 等.. (出所)野村證券投資情報部作成
※上記のグラフはあくまでイメージ図です。実際はインデックス(指数)を下回るリスクもあります。 投資信託の分類 インデックス型とアクティブ型の違い (イメージ図) インデックス・ファンド アクティブ・ファンド <パッシブ運用> <アクティブ運用> インデックス(指数)に連動する 運用成果をめざします インデックス(指数)を上回る 運用成果をめざします インデックス(ベンチマーク) インデックス(ベンチマーク) インデックス・ファンド アクティブ運用のファンド ※上記のグラフはあくまでイメージ図です。実際はインデックス(指数)を下回るリスクもあります。 (出所)野村證券投資情報部作成
投資信託の分類 バリュー投資とグロース投資 大型バリュー 小型バリュー 割安 (Value) 成長 (Growth) 大型グロース ■株式投資スタイル 大型バリュー 小型バリュー 割安 (Value) 成長 (Growth) 大型グロース 小型グロース 大型 (Large) 小型 (Small) 時価総額 株価純資産倍率 等 大 小 株価収益率 (出所)野村證券金融研究所資料より野村證券投資情報部作成
トップダウン・アプローチ ボトムアップ・アプローチ 投資信託の分類 ボトムアップとトップダウン(銘柄選択方法) ■投資する銘柄の選択には主に2つのアプローチ方法があります トップダウン・アプローチ マクロ分析からどの産業セクターが好調であるかを予測します。そのうえで、好調な産業の中から投資対象として魅力的な企業を選択します。 経済環境の見通し 有望産業の見通し 個別銘柄 収益性、成長性 などを勘案 個別企業の調査、分析から投資対象となる魅力的な銘柄を発掘しポートフォリオを構築していきます。 個別企業に対する調査分析 ボトムアップ・アプローチ (出所)野村證券投資情報部作成
投資信託の新しいバリエーション 特徴的な投資信託 ■ 特徴的な投資信託 など ETF(上場投資信託) J-REIT(不動産投資信託) ■ 特徴的な投資信託 など 取引所に上場され、特定の株価指数に連動することを目的に運用する投資信託。 従来の投資信託と異なり、株式のように取引所で取引されるため、時価で売買したり、値段を指定したりできる。 ETF(上場投資信託) 不動産への間接投資を可能にする金融商品で、東京証券取引所に上場している。 不動産への直接投資と異なり、小口で分散できる、流動性が高い、税制メリットがあることなどから高利回りが期待される。 J-REIT(不動産投資信託) 株式や債券などの原資産ではなく、複数の投資信託に投資することで運用する投資信託のことで、運用会社も分散することができる。確定拠出年金でライフステージに合わせて資産が組みかえられる商品などに多く利用される。 FOFs (ファンド・オブ・ファンズ) 経済性、環境適合性、社会適合性の3つの観点から企業を評価し、銘柄選択を行う投資スタイルを持つファンド。 企業の成長性評価や財務分析など企業の経済的側面に加え、企業の社会的責任(CSR)の観点から評価した企業に投資。 SRI (社会的責任投資)ファンド 従来の確定給付年金を補う新しい年金として期待される。従業員自ら運用手段を選択する年金で、米国では投資信託が運用手段の主力商品になっている。 ※ 確定拠出年金 等 (出所)野村證券投資情報部作成
投資信託の新しいバリエーション 基 金 厚生年金 確定給付 企業年金 国民年金基金 確定拠出年金 日本の年金制度 職域年金 職域年金 基 金 厚生年金 確定給付 企業年金 確定拠出年金 (企業型) 確定拠出年金 (個人型) 職域年金 職域年金 三 階部分 国民年金基金 確定拠出年金 厚生年金 (給与比例部分) (代行部分) 共済年金 二 階部分 公的年金 一 階部分 国民年金(基礎年金) 自営業者 サラリーマン 公務員 専業主婦
少子高齢化・低成長経済・財政赤字・運用難 給付の削減 → 自助努力による資産形成の必要性 投資信託の新しいバリエーション わが国の年金制度の問題点 公的年金 企業年金 現役の保険料を年金支払い にあてる世代間扶養 → 賦課方式 企業による積立方式 将来の年金給付を掛金と 資産の運用収益で賄う。 仕組み 問題の生じる背景 少子高齢化・低成長経済・財政赤字・運用難 現役世代の負担増加 退職世代の給付抑制 退職給付債務の存在 企業財務への圧迫 問題点 給付の削減 → 自助努力による資産形成の必要性
投資信託の新しいバリエーション 確定拠出年金(日本版401K)とは 確定拠出年金法が施行され、わが国において確定拠出年金制度がスタート 2001年10月 確定拠出年金制度 ・従来の年金は確定給付型年金。企業が加入者の年金資産をまとめて運用していた ・確定拠出年金は、加入者ごとの専用口座によって、加入者個人が自分の年金資産を運用する制度 ・年金の受取額は、運用の結果次第によって異なる ・離、転職時には年金資産を移換できる 確定拠出年金導入の背景 1.退職給付債務への対策(企業の財務リスクの軽減) 2.雇用流動化への対応(流動性の高い従業員への報酬体系の整備) 3.福利厚生の一環として、従業員への資産形成スキルの体得機会の提供 4.従業員の意識改革
投資信託の選択方法 資産配分診断 資産配分診断
投資信託の選択方法 リスクとリターン リターン 高い 低い リスク リスクとリターン 期待するリターンが高ければ リスク(ブレ幅)も高くなります リターン 成功した時の利益は大きくなります 高い 期待するリターンが低くければ リクス(ブレ幅)も低くなります 低い リスク 失敗した時の損失は大きくなります
投資信託の選択方法 リターン B C A 期間 AからBの 期間 大きな値上り BからCの 期間 大きな値下り AからCへ長期的に投資 長期投資 リターン AからBの 期間 大きな値上り BからCの 期間 大きな値下り B C A AからCへ長期的に投資 安定的な値上り 期間
投資信託の選択方法 分散投資 リターン A + A B B 期間
投資信託の選択方法 定量評価 定性評価 定量評価と定性評価 今まで良いパフォーマンスを あげている投資信託 今後も良いパフォーマンスを ■良い投資信託とは 今まで良いパフォーマンスを あげている投資信託 今後も良いパフォーマンスを 上げる可能性が高い投資信託 かつ 定量評価 定性評価 「過去の運用実績について、競合ファンドと比べるとどれくらいの位置にあるか?」 同種の投資信託の中で、取っているリスクに見合ったリターンをあげているかを順位付け 過去のデータによる検証(相対評価) 「今後の信頼性・安定性について、期待通りの運用成果を上げる可能性が高いといえるか?」 運用体制・運用プロセス・情報開示をインタビューなどを通じて分析 質による検証(絶対評価) (出所)野村證券投資情報部作成
投資信託の将来 日本1.426兆円 米国3.381兆円 日米の個人金融資産 ■日米の個人金融資産比較。 (2004年6月末現在) 金融資産とは、現金・預金、株式・債券その他有価証券、信託、保険等。 日本1.426兆円 米国3.381兆円 (出所は日銀、FRB)
投資信託の将来 米国の投信残高の推移 ■米国NYダウと投資信託の関係。 1981年から1986年の5年間で 株式投信は、4倍 「出所」ICI ほか ( 単位:億ドル) 1981年から1986年の5年間で 株式投信は、4倍 (ダウ平均は約2倍) 1981年から1999年の18年間で 株式投信は、100倍 (ダウ平均は約12倍)
投資信託の将来 米国の投信拡大の背景 1970年代 1980年代 1990年代 (5.9% ) (6.3%) (17.6%) ( 8.9%) ■米国の投資信託拡大の背景。 (制度、商品、金融環境等) MMF販売(1972) IRA(個人退職勘定)発足(1974) 株式手数料自由化(1977)→日本:99年10月 401k発足(1978) 1970年代 株式 < 預金金利 (5.9% ) (6.3%) 401k制度確立、IRAの対象者拡大(1981) 金利完全自由。金融機関の倒産増加 銀行の投信販売の本格化→日本:98年12月 投信業界のファンド・ファミリー推進 株式 > 預金金利 (17.6%) ( 8.9%) 1980年代 401k資産急増と投信のシェアアップ FPによる投信販売増加 変額年金保険の人気上昇 投信ラップアカウント始まる 1990年代 株式 > 預金金利 (18.2%) (5.1%)