~知っておけば安心・知らなければ怖い相続の話~ 誰も教えてくれない相続問題の論点 ~知っておけば安心・知らなければ怖い相続の話~ 制作:エフピーマトリックス株式会社
最初に踏まえておきたい相続の基本事項 山田太郎 妻・花子 子A 仮に山田太郎さんが1億円の相続財産を遺して亡くなった場合、その財産を相続するのは誰か? 山田太郎 妻・花子 子A (相続税法) ・相続税額 ・相続税対策 ・納税資金対策 (民法) ・法定相続分 ・遺言 ・遺産分割協議
相続実務の出発点は「相続順位の確定」から 2 父 母 弟 山田太郎 妻・花子 子A 3 1 第1順位:子 第2順位:直系尊属 第3順位:兄弟姉妹 配偶者は常に相続人となる!
相続の基本① ~法定相続分~ 父 母 1/3 父 母 弟 山田太郎 妻・花子 弟 山田太郎 妻・花子 2/3 1/2 子A 1/2 2/3 相続の基本① ~法定相続分~ 父 母 1/3 1/6 父 母 1/6 弟 山田太郎 妻・花子 弟 山田太郎 妻・花子 1/2 2/3 1/2 子A 1/2 2/3 子A 1/2 相続放棄 父(既に死亡) 母(既に死亡) 弟 山田太郎 妻・花子 1/4 3/4 3/4 1/4 子A 相続放棄
相続の基本② ~実際に計算してみましょう!~ 相続の基本② ~実際に計算してみましょう!~ (設例) 山田太郎さんは弟と株式会社山田商事を営んでいた。山田さんは、もし自分に万一のことが あった場合は、後継者に弟の二郎さんと考えている。 この場合の各人の法定相続分は・・・? 父 母 弟 妻 山田太郎 妻・花子 前夫 X 1/2 甥S 子A 子Y (山田さんと普通養子縁組) 1/4 1/4
「遺言」は厳格な法律行為 ~遺言は法定相続分よりも優先される!~ <遺言の方式> ○普通方式遺言 ( 自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言 ) ○特別方式遺言 (普通方式遺言の特徴) 自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言 記入者 本人 公証人(口述筆記) 本人(代筆も可) 記述内容 遺言内容全文、日付、氏名 証人 不要 2人以上の証人 検認の要否 要 長所 ・遺言書の存在を秘密にできる ・費用が安い ・遺言書の存在と内容が確実 ・公証役場で保管されるので安心 ・遺言内容を秘密にできる 短所 法律上の不備があると無効になる可能性がある 手間と費用がかかり、手続きが煩雑 (秘密証書遺言に関しては、遺言書の存在を隠せない) 署名・押印 本人・公証人・証人 留意点 (ワープロ、テープ録音)不可 (代筆、ワープロ)可 (テープ録音)不可
遺留分について その1 ~遺留分権利者と遺留分割合~ 遺留分について その1 ~遺留分権利者と遺留分割合~ (遺留分の事例) 遺産総額 : 6,000万円 左記において、各人の遺留分および遺留分権利者 とその減殺請求できる額はいくらか? ・各人の遺留分 妻・花子:6,000万円×1/4=1,500万円 子A:6,000万円×1/8=750万円 子B:6,000万円×1/8=750万円 ・子Bが侵害された額 750万円-500万円=250万円 甲 妻・花子 遺言:4,000万円 遺留分割合:1/4 子A 子B 遺言;1,500万円 遺留分割合:1/8 遺言:500万円 遺留分割合:1/8 子Bは、250万円を花子と子Aへ遺留分侵害として、遺留分減殺請求することができる!
遺留分について その2 ~遺留分権利者と遺留分割合~ 遺留分について その2 ~遺留分権利者と遺留分割合~ <遺留分権利者> ①配偶者 ②子(子の代襲相続人を含む) ③直系尊属となる。 兄弟姉妹には遺留分は認められていない! <遺留分の割合> (総体的遺留分) 相続人が直系尊属のみの場合:被相続人の財産の3分の1 その他の場合:被相続人の財産の2分の1となる。 (個別的遺留分) 個別的遺留分=総体的遺留分×法定相続分
相続の最重要ポイント「遺産分割」 ~相続は「遺産分割に始まり」、「遺産分割で終わる」~ <遺産分割の方法> ○指定分割と協議分割 ・指定分割・・・指定分割は、被相続人が遺言で分割方法 ・協議分割・・・協議分割は、共同相続人全員の協議によって分割する方法 ※遺言が存在する場合であっても、共同相続人全員の協議によって遺言と異なる合意 が成立したときには、協議分割が優先される。 ○調停分割と審判分割 ・調停分割・・・調停分割とは、家庭裁判所において裁判官と共に調停委員2名が当事者に加わり、 話し合いによって意見調整を図り遺産分割を成立させる方法 ・審判分割・・・調停が不成立となった場合、家庭裁判所の審判により遺産分割を成立させる方法 ○現物分割、換価分割、代償分割 ・現物分割・・・現物分割とは、個別財産について相続する数量、金額、割合を定めて分割する方法 ・換価分割・・・換価分割とは、共同相続人が相続する財産の一部または全部を金銭に換価し、 その代金を分割する方法 ・代償分割・・・代償分割とは、共同相続人のうち特定の相続人が現物財産の一部または全部を取得し、 その代償(債務)としてその者が自己の固有財産を他の相続人に支払うことにより分 割する方法
必ず知っておきたい代償分割の重要論点(その1) ~「後継ぎ問題」と代償分割~ <事例> 遺産総額 : 9千万円 (遺産内容:自宅建物、土地) 甲 後継 子A 子B 子C 1/3 1/3 1/3 子A 子B 子C 3千万円代償 子Aは子Bと子Cに対して3千万円ずつ代償しなければならなくなる。
必ず知っておきたい代償分割の重要論点(その2) ~代償分割における生命保険の活用術~ <事例> 甲 遺産総額 : 9千万円 (遺産内容:自社株、事業用不動産) 子A 子B 子C 後継者 1/3 1/3 1/3 子Aはどのようにして6千万円を用意すべきか・・・ 契約者 被保険者 保険金受取人 課税関係 甲 子A 相続税 所得税(一時所得)
意外と知られていない争族問題の火種原因 その1 ~特別受益と寄与分~ 意外と知られていない争族問題の火種原因 その1 ~特別受益と寄与分~ (特別受益の場合) 遺産総額 : 1億円 甲 妻・花子 (具体的相続分の計算) ①生前贈与財産を持ち戻す 1億円+2,000万円=1億2,000万円 ②法定相続分で按分 妻 :6,000万円 子A:3,000万円 子B:3,000万円 ③帳尻を合わせる 子A:3,000万円-2,000万円 =1,000万円 1/2 特別受益者 生前にマンション購入資金として2,000万円の贈与を受けている 子A 子B 1/4 1/4
意外と知られていない争族問題の火種原因 その2 ~特別受益と寄与分~ 意外と知られていない争族問題の火種原因 その2 ~特別受益と寄与分~ (寄与分の事例) 遺産総額 : 1億円 甲 妻・花子 (具体的相続分の計算) ①生前贈与財産を持ち戻す 1億円-2,000万円=8,000万円 ②法定相続分で按分 妻 :4,000万円 子A:2,000万円 子B:2,000万円 ③帳尻を合わせる 子A:2,000万円+2,000万円 =4,000万円 1/2 寄与分権者 子Aは10年間に渡り甲の療養介護をしてきたことを理由として、 2,000万円の寄与分を主張した。 子A 妻 子B 1/4 1/4 孫C
相続が抱える不合理・不条理からの解放に向けて! ~相続対象財産を削る その1~ 相続が抱える不合理・不条理からの解放に向けて! ~相続対象財産を削る その1~ 相続対象財産 遺言書の活用、遺産分割対策、 生命保険の活用、 生前贈与 事業承継対策 など 土地・家屋 その他不動産 土地・家屋 その他不動産 その他財産 現金・預貯金 その他財産 現金 預貯金
相続が抱える不合理・不条理からの解放に向けて! ~相続対象財産を削る その2~ 相続が抱える不合理・不条理からの解放に向けて! ~相続対象財産を削る その2~ 相続対策に生命保険の加入検討は必須! (理由1) 被相続人が保有している財産(現金)、いわゆる相続対象財産を保険会社へ移すことができる。 → 結果、相続対象財産を減少させることができ、遺留分、特別受益・寄与分、代償分割などが 抱える問題解決に繋がる。 (理由2) みなし相続財産として受け取った生命保険金は、 500万円×「法定相続人の数」 という非課税限度額がある!
知っておきたい相続税の増税論点① <相続税の基礎控除> <相続税の速算表> (平成26年まで) 5,000万円+1,000万円×「法定相続人の数」 (平成27年以降) 3,000万円+600万円×「法定相続人の数」 <相続税の速算表> 現在 平成27年1月1日~ 課税標準 税率 控除額 1千万円以下 10% 0円 1千万円超 ~ 3千万円以下 15% 50,000円 3千万円超 ~ 5千万円以下 20% 2,000,000円 5千万円超 ~ 1億円以下 30% 7,000,000円 1億円超 ~ 3億円以下 40% 17,000,000円 3億円超 50% 47,000,000円 課税標準 税率 控除額 1千万円以下 10% 0円 1千万円超 ~ 3千万円以下 15% 50,000円 3千万円超 ~ 5千万円以下 20% 2,000,000円 5千万円超 ~ 1億円以下 30% 7,000,000円 1億円超 ~ 2億円以下 40% 17,000,000円 2億円超 ~ 3億円以下 45% 27,000,000円 3億円超 ~ 6億円以下 50% 42,000,000円 6億円超 55% 72,000,000円
知っておきたい相続税の増税論点① <改正後の税額比較> 相続人:配偶者+子2人の場合 H26年まで H26年税額
宅地の財産評価(小規模宅地等の評価減の特例について) <小規模宅地等の評価減の特例について> 甲さん 妻 子 宅地の相続税評価額:5千万円 ↓ (小規模宅地等の評価減の特例を適用) 宅地の相続税評価額:1千万円
「小規模宅地等の評価減の特例」の適用要件 特定居住用宅地等(措法69の4③二) 被相続人の居住の用に供されていた宅地等で、被相続人の配偶者または次に掲げる要件のいずれかを満 たす被相続人の親族が取得したものを「特定居住用宅地等」として、330㎡を限度として80%減額となる。 (適用要件) ①その宅地に被相続人と同居していた親族が、相続開始時から相続税の申告期限まで引続き 所有し、かつ居住し続ける。 ②被相続人の配偶者及び同居相続人がなく、かつ、相続開始前3年以内に自己または自己の 配偶者の持家に居住したことがない親族が、被相続人の居住の用に供されていた宅地等を取 得し、かつ、相続開始時から相続税の申告期限まで引続き所有し続ける。 ③被相続人と生計を一にしていた親族の居住の用に供されていた宅地について、相続税の申告 期限まで引続き所有し、かつ居住し続ける。
ポイントは同居していること! (特定居住宅地の具体例) 申告期限まで 申告期限まで引き続き所有し、相続開始時から申告期限まで居住し続ける。 申告期限まで引き続き所有し、相続開始時から申告期限まで居住し続ける。 申告期限まで 同居親族 山田太郎さん 配偶者:花子さん 長男:一郎さん 同居親族 山田太郎さん(被相続人) 配偶者:花子さん 長男:一郎さん(相続人) 相続発生 居住継続 山田太郎さん所有 山田太郎さん所有 保有継続 ポイントは同居していること!
そこで、2世帯住宅について考えてみよう! 平成27年より次のような住居が完全に分離構造になっている建物でも適用が受けられます。
貸家建付地の相続税評価額について <貸家建付地の計算> 更地 【相続税評価額:1億円】 ①アパート建築 ②貸家建付地 例えば・・・ 「借地権割合:70%」 「借家権割合:30%」 「賃貸割合:100%」 であった場合 貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) =7,900万円
贈与税について <贈与税の計算方法> {課税価格-基礎控除(110万円)}×税率 一般贈与財産(一般税率) 区分 税率 控除額 200万円 以下 300万円 400万円 600万円 1000万円 1500万円 3000万円 超 税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55% 控除額 - 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 特例贈与財産(特例税率) 4500万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円
そこで生前贈与と相続対策についての検証① (直系尊属からの住宅資金等贈与の特例について) (1)住宅用家屋の取得等に係る対価の額または費用の額に含まれる消費税等の 税率が10%である場合 平成28年10月~平成29年9月 3,000万円(2,500万円) 平成29年10月~平成30年9月 1,500万円(1,000万円) 平成30年10月~平成31年6月 1,200万円( 700万円) ()内は良質な住宅用家屋以外の住宅用家屋の場合 (2)上記以外の場合 ~平成27年12月 1,500万円(1,000万円) 平成28年10月~平成29年9月 1,200万円(700万円) 平成29年10月~平成30年9月 1,000万円(500万円) 平成30年10月~平成31年6月 800万円(300万円)
そこで生前贈与と相続対策についての検証② (贈与税の配偶者控除について) 下記要件のもと、配偶者から居住用不動産または居住用不動産の購入資金の贈与を受けたときは、贈与税の課税価格から最高2,000万円を控除することができます。 婚姻期間20年以上の夫婦の間で居住用不動産の贈与が行われ、一定の条件に当てはまる 場合には贈与税の配偶者控除が受けられます。 この居住用家屋の敷地のみの贈与について配偶者控除を適用する場合には、次のいずれかに当てはまることが必要です。 (1)夫又は妻が居住用家屋を所有していること。 (2)贈与を受けた配偶者と同居する親族が居住用家屋を所有していること。 <具体的な事例> イ 妻が居住用家屋を所有していて、その夫が敷地を所有しているときに妻が夫からその敷地の贈与を受ける場合 ロ 夫婦と子供が同居していて、その居住用家屋の所有者が子供で敷地の所有者が夫であるときに、妻が夫からそ の敷地の贈与を受ける場合 また、居住用家屋の敷地の一部の贈与であっても、配偶者控除を適用できます。 なお、居住用家屋の敷地が借地権のときに金銭の贈与を受けて、地主から底地を購入した場合も、 居住用不動産を取得したことになり、配偶者控除を適用できます。
現在の税制トレンドは・・・ 所得税・相続税は増税傾向に! 法人税は減税傾向にあります! 知らなければ損する「法人成り」の世界 知っておきたい「所得税」と「法人税」と「相続税」の密接な関係 現在の税制トレンドは・・・ 所得税・相続税は増税傾向に! 法人税は減税傾向にあります! 知らなければ損する「法人成り」の世界
収益物件を法人所有にした場合のイメージ図 建物のみを売却 建物は法人所有 個人所有 (土地) (土地) 土地は個人所有 賃料収入は役員報酬として親族に支払う ちなみに・・・オーナー(被相続人)を株主にしないことにより(役員になることはOK)、相続税対策に繋げることが可能となる。 (理由)法人化は、相続税対策として被相続人の財産を分散させるためでもあるから! 27