10M501 合澤憲陵 大分大学 工学部 都市計画学研究室 大分大学 工学部 都市計画学研究室 ソウルの地形データについて ソウルの地形データについて説明いたします。
三角形ポリゴンによって三次元モデルを作成 1.地形データの概要 メッシュデータシステムを採用 メッシュサイズは50m×50m ソウル市全域を242,702メッシュで構成 三角形ポリゴンによって三次元モデルを作成 メッシュと三角形ポリゴン 連続した三角形ポリゴンによって 三次元地形モデルを作成 50m まず、地形データの概要ですが、 メッシュデータシステムを採用して作成しました。 1つのメッシュの大きさは南北方向、東西方向とも50mで ソウル市全体は242,702個のメッシュで構成されます。 また、それぞれのメッシュを2分割した三角形ポリゴンを用いて 3次元地形モデルを作成しています。 三角形ポリゴン 50m メッシュ
2.標高分布 これは、メッシュデータによってソウル市の標高分布を示したもので、 緑の部分が標高の低い地域、赤い部分が標高の高い地域となっています。 番号がついている名前は25の区を示しています。 黒い線が区の境界です。 ハンガンの北には14の区が、ハンガンの南には11の区が位置しています。 斜体で示したものは主要な山です。 大まかにソウルの地形を観察すると、 北部にはプカンサン、南部にはクァナクサンを中心とした大きな山地が展開して、 その間をハンガンが東西に流れ、平野を形成しています。 また中央部にはナムサンが独立した形で存在していることが分かります。 ソウルの中心市街地は、北部の山地とナムサンとの間の盆地に広がっています。
3-1.地形状況~標高 この表は地形状況、特に標高について、区別にまとめたものです。 まず、ソウル全体では平均標高65.07mで、最高標高値は702.14m これは、カンブクグにあるプカンサンに当たります。 標高値の度数分布をみると、ソウル全体では標高25m未満のメッシュが4割を占め、 100m未満までの累計で8割を超えることが分かります。 特徴的な区をいくつか挙げると もっとも平均標高が高い区は9番のカンブククで、平均標高163.24m、 度数分布では100m以上のメッシュが5割を超えて存在しています。 その他1番のチョンノグや21番のクァナクグなども比較的標高が高いといえます。 逆にもっとも平均標高が低い区は19番のヨンドンポグで平均標高20.46m、 度数分布では25m未満のメッシュが97.08%と大部分を占めています。 このほか比較的標高が低いのは14番のマッポグや16番のカンソグなどです。
3-2.地形状況~標高変化 続いて、標高変化ですが、 ここでは、1つのメッシュにおける4頂点のうちの最高標高点と最低標高点の差を標高変化と呼んでいます。標高変化の値が大きいほど、地表面の傾斜が大きいといえます。 ソウル市全体では、標高変化の平均は5.76mで 度数分布をみると標高変化2.5m未満のメッシュが6割を占めています。 区別には、先ほどの平均標高が高い区ほど平均標高変化も大きいという傾向が強くなっています。
(参考)面積と人口 平均標高と人口密度の関係 相関係数-0.307 散布図 次は、地形状況ではありませんが、 各区の面積、人口および人口密度を示した表です。 もっとも面積が広い区は22番のソッチョグで47.14km2、 最も狭い区は2番のチュングで9.97km2です。 ハンガンの南にある15番以降の区のほうが面積が広い傾向にあります。 また、もっとも人口密度が高い区は、6番のトンデームングで1km2あたり28,079人、 もっとも人口密度が低い区は1番のチョンノグで1km2あたり8,339人、 もっとも低いチョンノグともっとも高いトンデームングでは3.37倍の違いがあります。 ソウル全体の人口密度は1km2あたり17,287人です。 ここで、標高と人口密度との関係を観察してみたものが、右の散布図で x軸が平均標高、y軸が人口密度、青い点が1つ1つの区になります。 一般的にいって、標高が高い区ほど人口密度が低下する傾向が予想されますが、 ソウル市の場合、平均標高と人口密度の相関係数は-0.307であまり強い相関はありません。 比較的分散の大きい標高の低い区を個別に観察すると 人口密度の低い22番のソッチョグや3番のヨンサング、16番のカンソグは、 区内に多くの緑地・公園を含むのに対して、 人口密度の高い6番のトンデームングや15番のヤンチョングは、 ほとんど緑地・公園を含まないということがわかります。 区の人口密度は緑地・公園の広さに大きく左右されていることが推察されます。
4-1.三次元CG~上空から その1 ソウル市全体を南西方向、上空5000mから望む 次に、三次元地形モデルによるコンピュータグラッフィクス画像を いくつか紹介いたします。 これは、ソウル市全体を南西方向の上空5000mから展望したシミュレーション画像です。 こちらの方向が北方向、こちらの方向が南方向、こちらが東、こちらが西になります。 これも、さきほどの標高分布図と同様に標高値で色分けをしていますが、赤い部分が標高の高い地域です。 北部のプカンサンを中心とした山地、 南部のクァナクサンを中心とした山地、 中央部のナムサンなどの起伏の状態が良く分かると思います。
4-2.三次元CG~上空から その2 ソウル市中心市街地を、Ichon上空1000mから望む この場所にあたる中心市街地を挟んで 手前にナムサン、向こう側にプガクサン、 遠くにプカンサンを見ることが出来ます。
4-3.三次元CG~ソウル各所から その1 Chongnoから Pukansan方面を見る Sonsuから Namsan方面を見る 次はソウル市内の各所における 地表面上2mの高さの位置からの展望です。 右の地図上に示す三角形の最も鋭角の頂点が視点場の位置、 その頂点から伸びる2辺が展望の方向を示しています。 一番上の画像はチョンノからプカンサン方面を見たものです。 中央にプカンサン左手方向にプガクサンにつづく山嶺が見えます。 中ほどはソンスからナムサン方面を見たもので 手前の台地の向こうに、わずかにナムサンを望むことができます。 一番下はナムサン山頂からクァナクサン、ウミョンサン方面を見たものです。 手前のナムサンの山すそから、ハンガンの流れる平野部を挟んで クァナクサン、ウミョンサンを連続して望むことが出来ます。 Namsanから Kwanaksan,Umyonsan方面を見る
4-4.三次元CG~ソウル各所から その2 Apkujongから Namsan方面を見る Yoidoから Namsan方面を見る 次の3つの画像は、それぞれアプクジョン、ヨイド、イチョンから ナムサン方面をみたものです。 いずれもナムサンを大きく望むことが出来ますが、 イチョンからの画像では、ナムサンの向こうにプカンサンも見ることができます。 Ichonから Namsan方面を見る
4-5.三次元CG~ソウル各所から その3 Chamsil から Pukansan方面を見る Poramae Parkから Kwanaksan方面を見る 続いて、チャムシルからプカンサン方面を見た画像です。 プカンサンからプガクサン、インワンサンと続く山嶺を遠方に望むことが出来ます。 その下はポラメパークからクァナクサン方面を見たものです。 手前の平野部から連続してクァナクサンの山頂まで望むことが出来ることが分かります。 一番下の画像はウミョンからウミョンサン方面を見た画像です。 間近にウミョンサンを大きく望むことが出来ます。 Umyonから Umyonsan方面を見る
5-1.三次元CGの応用例 その1 地形モデルと建築物モデルによる市街地景観シミュレーション 別府市 まず、3次元地形モデルの上に建築物モデルを構築した例です。 上の画像は別府市における市街地景観シミュレーション、 下は佐賀関町における景観シミュレーションです。 地形モデルと建築物モデルを併用することで、 建築物が景観に与える影響を、現実の地形状況に即したかたちで把握することができます。 佐賀関町
5-2.三次元CGの応用例 その2 景観ゾーンの見え方(大分市) 霊山展望台からの可視領域 景観ゾーンの分布 つぎは、大分市における例です。 左上の画像は、黄色の点で示した霊山展望台から見ることが出来る領域を示したものです。 水色・紫色の領域が可視領域、緑色・茶色の領域が不可視領域です。 下の画像は、同じ視点場から、 右上にしめす景観ゾーンがどのように見えるかをシミュレートしたものです。 手前には、丘陵地型住宅地12や平野型農地52が大きくみえます。 また、遠方には北西方向に自然山林82を、 東方向に自然山林81を望むことが出来るということが分かります。 3DCGによる景観ゾーンの見え方
5-3.三次元CGの応用例 その3 LANDSAT TMデータによる土地被覆分類図の 3D地形モデルに対するマッピング(熊本市) 最後に、人工衛星からのリモートセンシングデータによる土地被覆分類図と 3次元地形モデルを組み合わせた例です。 利用したリモートセンシングデータはランドサットTMデータです。 灰色の領域は市街地、水色の領域は水田、 緑色の領域は緑地になります。 これらを3次元地形モデルの上にマッピングすることによって 土地被覆状況を景観と関連付けて論じることが出来ます。 このように、3次元地形モデルは、 他の様々なデータやモデルと組み合わせることによって いろいろな方向に活用できる可能性を持っているといえます。 以上