「職場のメンタルヘルス」 ~当院における離職について~

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「職場のメンタルヘルス」 ~当院における離職について~    医療法人社団 新虎の門会      新浦安虎の門クリニック     ○金子仁美 大前利道 大前由美       沼本美由紀 堀内純  「職場のメンタルヘルス~当院における離職について~」 発表させて頂きます。 宜しくお願いします。

目的   医療の現場において、その業務内容からみても女性職員は重要な存在である。現在、社会問題ともなっている離職を減少すべく、当院での女性職員の退職原因の分析、職場環境の改善の前段階として、現職者に対し探索的調査、試行を行ったのでその報告を行う。 ★医療の現場において、その業務内容からみても女性職員は重要な存在です。 現在、社会問題となっている離職を減少させるため、当院での女性職員の退職原因の分析、 職場環境改善の前段階として、現職者に対し探索的調査、試行を行いましたので、ご報告致します。

方法1 退職原因の分析 期間: 2005年4月~2006年10月 対象: 退職した女性職員 28名 (男性職員は今回対象外とした) 方法1 退職原因の分析   期間: 2005年4月~2006年10月 対象: 退職した女性職員 28名          (男性職員は今回対象外とした) 退職原因を6つのカテゴリーに分類 退職要因を2つに分類      ★方法1として 退職原因の分析をしました。 2005年4月~2006年10月に 退職した女性職員 28名を対象として 退職原因を6つのカテゴリーに、 退職要因を2つに分類  ・・しました。    

退職原因の分析 女性退職者の退職理由 を6つのカテゴリーに分類 1~4 外的要因 5 内的要因 6 その他 カテゴリー 1.結婚・離婚  退職原因の分析 女性退職者の退職理由 を6つのカテゴリーに分類  1~4  外的要因   5    内的要因  6    その他 要因 カテゴリー 外的要因 1.結婚・離婚 2.出産・育児 3.家族の転勤 4.家族の介護 内的要因 5.身体的・精神的理由 その他 6.その他 ★まず女性退職者の理由をスライドの表にあるように、6つのカテゴリーに分類しました。 そして、1~4を外的要因、5を内的要因、6をその他の要因に分けました。 ****************************************** 退職理由のカテゴリー分類(図1) (1、結婚・離婚 2、出産・育児 3、家族の転勤 4、家族の介護 5、本人の身体的・精神的理由 6、その他 )

結果1 退職原因の分析 各カテゴリー別退職者数 結果です スライドにありますように、各カテゴリー別の退職者数を棒グラフで示しました。   結果1 退職原因の分析     各カテゴリー別退職者数 結果です スライドにありますように、各カテゴリー別の退職者数を棒グラフで示しました。 外的要因が全体の64% 内的要因が29%    全体の約3分の2が女性特有の外的要因であり、 中でも出産・育児、家族の介護が多数でした。 当院は首都圏の新興住宅地にあり、比較的若い家族が多いことも、一要因に挙げられるかもしれません。 ***************************************** 1、結婚・離婚2名、7% 2、出産・育児8名、29% 3、家族の転勤2名、7% 4、家族の介護6名、21% 5、身体的・精神的理由8名、29% 6、その他2名、7%

方法2 退職者の分析 期間: 2005年4月~2006年10月 対象: 退職した女性職員 28名 (男性職員は今回対象外とした) 方法2 退職者の分析 期間: 2005年4月~2006年10月 対象: 退職した女性職員 28名     (男性職員は今回対象外とした)  退職原因、要因と勤続年数の関係  退職原因、要因と属性の関係 方法2 退職者の分析です。 期間、対象は方法1と同様で、 退職原因、要因と勤続年数、属性の関係を調査しました。 *************************************************** 期間:2005年4月~2006年10月 対象:上記期間に退職した女性職員 28名(男性職員は今回対象外とした)

結果2 退職原因の分析 38% 18% 18% 4% 4% 11% 7% 結果 各要因と勤続年数をスライドに示しました。 結果2 退職原因の分析 38%  18%  18%  4%  4%  11%  7% 結果 各要因と勤続年数をスライドに示しました。 赤は外的要因、青が内的要因、白がその他です。   退職者の勤続年数を調査した結果 退職者の半数以上(56%)が2年未満で退職しており、 勤続年数が短い程、内的要因が強いことがわかりました。 ************************************************ (図3、退職者の勤続年数の割合→円グラフなし) 1、0~1年 11名、38% 2、1~2年 5名、18% 3、2~3年 5名、18% 4、3~4年 1名、4% 5、4~5年 1名、4% 6、5~6年 3名、11% 7、6年以上 2名、7%

結果2 退職原因の分析 退職者の年齢と勤続年数の散布図 年齢が若い程、勤続年数が短い傾向。 r≠0.518 つづいて、   結果2 退職原因の分析 退職者の年齢と勤続年数の散布図 年齢が若い程、勤続年数が短い傾向。 r≠0.518 つづいて、 退職者の年齢と勤続年数の散布図をスライドに示しました。 Ⅹ軸が退職者の年齢 Y軸が勤続年数です。 相関係数はr≠+0.518となり、正の相関がみられました。 当院の退職者において、年齢が若い程、勤続年数が短い傾向があると言えます。 また、平均年齢は退職者全体が36.3歳、2年未満が34.8歳、 2年以上が38.5歳でした。

方法3 現職者のストレスチェック OSI 職業ストレス検査を施行 (雇用問題研究所のものを使用) 期間: 2006年4月 方法3 現職者のストレスチェック OSI 職業ストレス検査を施行   (雇用問題研究所のものを使用)  期間: 2006年4月 対象: 在職中の職員 19名 ★方法3 現職者のストレスチェックとして、 2006年4月に 在職中の職員 19名を対象とし OSI 職業ストレス検査を行いました。

結果3 現職者のストレスチェック (OSI) A B C OSIの結果です 結果3 現職者のストレスチェック (OSI) A B C OSIの結果です ★勤続年数を2年未満と2年以上に分け、各平均値をスライドに示しました。 ★青が女性標準値データ 、 ★緑が全体の平均値、 ★黄色が2年未満の平均値  ★ピンクが2年以上の平均値です。 Aの項目は職業役割検査  Bの項目はストレス反応検査  Cの項目はストレス対処検査です。 A,B項目は得点が低い程、ストレス度が低く、望ましい状態です。 逆にCの項目は得点が高い程、ストレスへの対処法を十分身につけ、望ましい状態といえます。 全体的な結果では、標準値との差がー3.14~+1,47でした。 特にストレスが強いといった傾向はありませんでした。

現職者のストレスチェック OSI A 職業役割検査 B ストレス反応検査 ★しかし、 勤続年数が2年未満の職員と2年以上の職員を比較すると、 現職者のストレスチェック OSI ★しかし、 勤続年数が2年未満の職員と2年以上の職員を比較すると、 ★2年未満の職員の方が、役割不十分感、曖昧感、不明瞭感が高く、身体的、心理的、対人的、職業的ストレス得点が高く、 ★2年以上の職員は、役割過重感、責任感が高く、ストレス対処では健康管理、ソーシャルサポート、論理的対処の項目が高得点でした。 全体的な平均値を取った場合、標準値とあまり変わらない結果でしたが、勤続年数によって上位群と下位群にわけた場合、上記のような差が生じる結果となりました。 A 職業役割検査 B ストレス反応検査

考察 働く女性には周囲の環境を整えるなどサポートが必要。 当院の退職者は、年齢が若い程、勤続年数が短い傾向がある。   現代社会で問題となっている若年者、新卒者の離職率が高いことと一致。 勤続年数の短い職員程、ストレスを感じており、またストレスへの対処法を身につけていない。 仕事に充実感が得られるようにサポートしていくことが必要。 ★考察  結果1から退職要因は女性特有の外的要因が強く、特に出産・育児、家族の介護という理由が多いことがわかりました。 そのため、働く女性には周囲の環境と整えるといったサポートが必要です。 男性の場合、カテゴリー1~4の理由で退職に至ることは極めて少ないため、女性特有の外的要因としました。 結果2からは、当院における退職者は、年齢が若い程、勤続年数が短い傾向があることがわかりました。現代社会で問題となっている若年者、新卒者の離職率が高いことと一致する結果となりました。 結果3から、今回の調査の結果では、 現職者は、身体的、精神的健康度は特に問題なかったが、勤続年数の短い職員程、ストレスを感じており、またストレスへの対処法を身につけていないということがわかりました。仕事に充実感が得られるようにサポートしていくことが必要だと思います。

考察からの試行 1、職員の登録制度 一度退職した職員が短期間でもパートとして仕事ができるシステム。   一度退職した職員が短期間でもパートとして仕事ができるシステム。 →登録はあるが、現段階では利用者がいない。 2、在宅勤務の導入   在宅で報告書の作成などの仕事が出来るシステム。 →現在適用中。勤続時間(12h/1w)の増加。 3、各職員への面接   GHQ、OSIの結果を元に、仕事や私生活へのストレスなどのインタビューを行った。 →再面接の希望が出ている。 ★考察からの試行 以上の結果から検討し、当院では、3つの試みを行いました。 1、職員の登録制度 転勤、介護などで退職した職員に適用可能です。 ⇒登録している職員はいますが、現段階ではこの制度を利用している職員は残念ながらいません。 2、在宅勤務の導入 出産・育児、結婚・離婚、転勤、介護などの外的要因のある職員に適用可能です。 ⇒現在、パート職員である看護師 1名に適用中です。勤務時間が 週12時間増加 になりました。 3、各職員への面接 ⇒スクリーニングとして多数の職員に行いましたが、その後 再度面接を希望する職員が出ています。

まとめ   今回、離職について分析したことは当院において初の試みであり、職員の立場から仕事を考える点で有用であった。ストレスフルな現代社会において、受診者に快く健診を受けて頂くには、ゆとりを持って応対することが望まれる。医療従事者である私たちも、検討課題は多数残されているが、今後試行を繰り返しながら、職場環境向上のシステムを構築できるように努めたい。 ★今回、離職について分析したことは当院において初の試みであり、職員の立場から仕事を考える点で有用でした。 ストレスフルな現代社会において、受診者に快く健診を受けて頂くには、ゆとりを持って応対することが望まれます。 医療従事者である私たちも、検討課題は多数残されていますが、今後試行を繰り返しながら、職場環境向上のシステムを構築できるように努めたいと思います。

 ご静聴ありがとうございました。 ご静聴ありがとうございました。