第12回: 心の病気とその治療 臨床心理学と精神医学.

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第8章 心の病気 生徒の心の問題に対処するために (1) 道案内  なぜ教育心理学を学ぶのか 1  効果的な授業をするために 2記憶 3学習 4動機づけ  生徒を正しく評価するために 5評価  生徒の心を理解するために 6性格 7性格検査  生徒の心の問題に対処するために 9治療 10.
34-2 今 日 の ポ イ ン ト今 日 の ポ イ ン ト 現代社会とストレスと糖尿 病 1.1. ストレスによる 血糖コントロールへの影響 2.2. QOL障害によるストレ ス 3.3. 糖尿病とうつ 4.4. ひとことアドバイス 5.5.
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第4回病院祭 「ゆず春まつり」 家族・地域公開講座
広義の自閉症と考えてよい。 知的障害のある「自閉症」「非定型自閉症」と、知的障害のない「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などがある。
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第5章 子どもは心をどのように理解するか?.
生活習慣病の予防.
体重減少 ◎食欲があるのに体重が減る ⇒糖尿病、甲状腺機能亢進症、吸収不良症候群などを疑う ◎食欲がなくて体重が減る ⇒その他の疾患を疑う
体重増加 短期間で 急に太った いつもと同じ食生活をしているのに… 定期的に運動をしているのに…
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動悸にはこんな種類があります 心臓の動きが 考えられる病気 動悸とは、心臓の動き(心拍)がいつもと違って不快に感じることをいいます。
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本章の学習目標 1.精神に障害のある対象者への援助を進めるにあたり,援助の特徴と,なぜそのようにするのかがわかったうえで,具体的な方法を考えられること. 2.精神に障害のある対象者は,病的な体験のために部分的に日常生活に支障を来たす場合が少なくない.生活を通じて,自己のあり方や生活スキルの見直しが求められる.日常の生活が治療的な環境として大きな意味をもち,またそこで援助を行う看護師も治療的な環境の一つであることを理解する.
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高血圧 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 二次性高血圧を除外 合併症 臓器障害 を評価 危険因子 生活習慣の改善
第4章 子供はものごとを どう理解するか?.
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糖尿病 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 検査 診断 治療
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作業療法の効果を目指す アセスメントと治療操作の考え方
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感染症集団発生事例に対する基本的対応 大山 卓昭 感染症情報センター 国立感染症研究所.
臨床研究への参加のお願い  病気の原因を調べたり、予防、診断、治療などが進歩、発展していくために人を対象として行う、複数の臨床研究が必要となります。  船橋市立医療センターでは臨床研究を開始するにあたり、倫理委員会おいて、研究内容について医学的な面だけでなく患者さんの人権、個人情報、安全に対する配慮も十分検討したうえで、問題がないと考えられた研究のみを行っております。
心理科学・保健医療行動科学の視点に基づく
フロイト あるいは自我心理学を通して 妙木 浩之
我が国の自殺死亡の推移 率を実数で見ると: 出典:警察庁「自殺の概要」
【研究題目】 視線不安からの脱却に 影響を与える要因について
双極性(感情)障害の薬物療法.
2.介護に必要な「時間」に置き換えて「要介護度」を判定します。 聞き取った「心身の状況(5項目の得点)」から直接、「要介護度」を求めることはできません。病気の重さと必要な介護量は必ずしも一致しないからです。 そこで、調査結果をコンピュータに入力し、その人の介助にどのくらいの「時間」が必要なのかを推計することで、介護の必要量の目安としています。この「要介護認定基準時間」を用いて要介護度を判定します。
第5章 性格とは何か?.
緩和ケアチームの立ち上げ (精神科医として)
南魚沼市民病院 リハビリテーション科 大西康史
不安感情の要因 高木 翔平.
*:「自己理解・自己成長プログラム」を含む B:ベーシックコース、E:エキスパートコース、P:プロフェッショナルコース
33事件 精神障害者の自殺 (東京高判平13・7・19) 事実概要
浜松医科大学附属病院・磐田市立総合病院 チャイルド・ライフ・スペシャリスト 山田 絵莉子
発育と栄養について ● 子どもの発育には個人差がある
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第12回: 心の病気とその治療 臨床心理学と精神医学

1 心の病気 定義 その障害により、本人または 周囲の人間が社会生活上の 困難を被ること

3大精神疾患 精神分裂病 (躁) うつ病 神経症

精神分裂病(統合失調症) 精神症状:幻覚、幻聴、関係妄想、被害妄想、 作為体験、まとまりのない思考 身体症状:表情の貧困、独り言、空笑       作為体験、まとまりのない思考 身体症状:表情の貧困、独り言、空笑 初期症状:不眠、不安、緊張、集中力の低下、       倦怠感、離人症 特記事項:病識のないことが多い 有病率:約 0.8% 好発年齢:20〜30歳 治療:薬物療法が中心。開放病棟では社会復帰に向けて生活訓練が行われる。

うつ病 感情の沈滞、思考の停滞、意欲の低下、孤独観や劣等感。身体面では不眠、食欲不振、疲労感、頭痛、性欲減退など 初期症状:睡眠障害、朝の憂うつ感 うつ状態時には自殺企図の可能性 反応性うつ病と内因性うつ病 治療:薬物療法とカウンセリングの併用

うつ病の禁忌事項 励ます 重要な決定をさせる 旅行に連れ出す

神経症 不安神経症:対象のはっきりしない不安 パニック障害なども含む 強迫神経症:強迫観念と強迫行動を主とする        パニック障害なども含む 強迫神経症:強迫観念と強迫行動を主とする 恐怖症:対象がはっきりしている恐怖。 心気神経症:疲れやすく、集中力や記憶力の低下、不眠、頭痛、めまい、便秘、下痢などの身体的不全感を訴える

対人恐怖 通常誰もが感じる対人場面での羞恥・困惑感情を極端に恐れ、それに囚われる 赤面恐怖、表情恐怖、視線恐怖、醜形恐怖、自己臭恐怖など

心身症 身体症状を主とするが、その診断や治療に心理的因子に対する配慮が重要な意味を持つ病態。 ストレス性潰瘍、過喚起症候群、過敏性腸症候群、偏頭痛、高血圧、摂食障害など。

神経性食欲不振症

神経性食欲不振症 標準体重の−20%以上の体重減少 食行動の異常(不食、大食、隠れ食いなど) 体重や体型についての歪んだ認識 <診断基準> 標準体重の−20%以上の体重減少 食行動の異常(不食、大食、隠れ食いなど) 体重や体型についての歪んだ認識 (女性の場合)無月経 痩せの原因と考えられる器質性疾患がない

摂食障害の原因 成熟拒否(「子供のままでいたい」) 女性性獲得拒否(性に対する嫌悪) アイデンティティ獲得の失敗

人格障害 乖離性同一性障害 いわゆる多重人格。幼児期の虐待経験が原因との説もある。 妄想性人格障害  いわゆる多重人格。幼児期の虐待経験が原因との説もある。 妄想性人格障害  主に被害妄想が原因で、不全感を訴え、周囲との摩擦を起こす。

自閉症 生後30ヵ月未満の発症 他者に対する反応性の全般的な欠如 言語発達における粗大な欠陥 特異な会話パターン 変化への抵抗 ある対象への特異な興味または愛着

1 精神医療の実際 (1) 治療者 臨床心理士 精神科医   違い:薬を処方できるか

1 精神医療の実際 (2) 薬物療法  抗精神病剤:強い鎮静作用  抗不安剤  抗うつ剤(プロザック他)

心理療法 カウンセリング(来談者中心療法)  クライエントの悩みや訴えに、共感的な態度で耳を傾ける。  「〜しなさい」という指示は行わない。

行動療法 問題行動を学習されたものと捉え、 その行動が維持されている原因を 探して取り除く 古典的条件づけ 条件刺激 オペラント条件づけ 強化子

系統的脱感作 不安階層表(学校恐怖の場合) 第1段階 学校に行く準備をする 第2段階 学校に行くため玄関を出る 第1段階 学校に行く準備をする 第2段階 学校に行くため玄関を出る 第3段階 学校への道を友達と歩く 第4段階 校門を入る 第5段階 教室へ入る 第6段階 教室で授業を受ける

認知療法 出来事に対する認知スタイルを 変えることで問題解決を図る。 <例> 内的帰属 → 外的帰属

家族療法 クライエントだけでなく、家族全体のバランスを修正する

精神分析 現在ある問題を、過去の問題が 無意識領域に抑圧されたものと 考える。 箱庭療法、絵画療法、遊戯療法など

入院治療 任意入院:精神障害者本人の同意に基づいて入院する制度 医療保護入院:精神保健指定の診察の結果、精神障害者と診断された者で医療及び保護のため入院の必要が認められ、入院について保護者の同意があったもの。

入院治療 措置入院:入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれのある精神障害者を強制的に国又は都道府県の設置した精神病院又は指定病院に入院させる制度

精神病院での入院治療 閉鎖病棟 解放病棟 社会復帰病棟

まとめ 「心の病気」に対する理解 「心の病気」に対する差別の解消