V. 遺伝的浮動(genetic drift) 遺伝子あるいは遺伝子型の頻度が,ランダムに変化すること。自然選択とともに進化を引き起こす大きな要因である。 小集団で起こりやすいが,大集団でも,交配に関与する個体が少ないとき(ハレム,性比の片寄り),あるいは,局所的な小集団内で交配が起こる時は,同じように遺伝的浮動が起こりやすい。
ビン首効果(Bottle neck effect) 創始者効果(founder effect) 個体数 黒い個体頻度高い たまたま色の黒い個体が多かった Time
自然選択における制限 (自然選択は万能ではない) 歴史的な制限 (historical constraints)
歴史的な制限。 物理化学法則による制限 真猿亜目 原猿亜目
共進化(Coevolution) 競争,食う食われる等の利害関係を持つ2種以上の生物が互いの進化に影響を及ぼしあうことを言う。 1対1共進化(one-on-one coevolution) 拡散共進化(diffuse coevolution) 共進化では,双方の利害が一致する時は,より緊密な関係が生じるが,双方の利害が異なる時は軍拡競争(arms race)が生じる。軍拡競争の結果は,さまざまである。一方が滅びるかもしれない。平衡状態(形質置換,寄生から片利共生,あるいは相利共生への変化), あるいはどちらが優勢になるかが周期的に変化するかもしれない。どの結果になるかは,系統による制約(採ることが期待される選択肢すべてを採ることはできない)、軍拡競争に関係した形質を発達させるためにかかるコストとその利益によって左右されると考えられる。
(Red Queen hypothesis) 赤の女王仮説 (Red Queen hypothesis) 一方が他方に悪影響を与える種間関係において,進化的に到達されると考えられる状況を説明するために出された仮説
赤の女王仮説(Red Queen hypothesis) 鏡の国のアリス(ルイス・キャロル)より
...[the Red Queen and Alice] were running hand in hand, and the Queen went so fast that it was all she could do to keep up with her...however fast they went, they never seemed to pass anything...just as Alice was getting quite exhausted, they stopped... Alice looked round her in great surprise. 'Why, I do believe we've been under this tree the whole time! Everything's just as it was!' 'Of course it is,' said the Queen...'here, you see, it takes all the running you can do, to keep in the same place.' レポートは,e-mailでyamada-y@bio.mie-u.ac.jpに1週間後までにお送り下さい。件名は,report(半角)+レポート番号+学籍番号(半角)+名前(必ず半角ローマ字)として下さい。例えば,安藤君(501234)がレポート1を送る時は,report1501234andoとしてください。第1行の右に課題番号、学籍番号、名前を必ず書いてください。ワードでは送らないでください。report2以降はワードで送ってください
1対1の共進化の例 競争種の形質置換 (character displacement) タニシに似た巻き貝Hydrobia 1種だけ生息 2種が一緒に生息 タニシに似た巻き貝Hydrobia
ミュラー型擬態(Müllerian mimicry) ドクチョウ Heliconius erato と H. melpomene 参考: ベイツ型擬態(Batesian mimicry)
アリと アカシア の 真性相利 共生 托葉 ベルシャン体 花外蜜腺
b.花と送粉者 現在の被子植物と昆虫の種の多様性は,主に両者の共進化の結果もたらされたと考えられている。両者の共進化は拡散共進化であることが多いが,1対1の共進化であることもある。
イヌビワと イヌビワコバチ の真性相利 共生
雌株 雄株 中性花
イヌビワコバチ ♂
共生(symbiosis):2種の生物が生理的あるいは生態的に緊密な関係もちながら一緒に生活すること,あるいはその関係を言う。寄生(parasitism,一方が得をするが他方は損をする), 片利共生(commensalism,一方は得をし他方は得も損もしない),相利共生(mutualism,双方が得をする)に分けられる。 共生という生活様式しかない場合を、真性共生(obligate mutualism)といい、一方、共生以外の生活様式も可能な場合を任意(条件的)共生(facultative mutualism)と言う。 狭義に,共生が相利共生の意味で用いられることもある。