児童の「メディア創造力」の育成 ~国語科の年間の学習活動に位置づけた取り組みを通して~ 都城市立山之口小学校 教諭 渡邊 叔子
メディア創造力とは・・・・ ・自分なりの発想 や創造力を発揮 し,柔軟な思考を 働かせる。 ・感性と理論を併 映像と言語 の往復を促す 本年度、国語の授業で取り組んでいる メディア創造力とは・・・・ これらを通じて ・自分なりの発想 や創造力を発揮 し,柔軟な思考を 働かせる。 ・感性と理論を併 せ持つメディアの 特徴に迫り,豊か な感性と理論的思 考力を相乗的に 高める。 映像と言語 の往復を促す ようなメディア 表現活動 を通して, 自己を見つめ, 切り拓いていく 力を育む。 メディア教育開発センター 中川 一史 教授
Ⅰ 「メディア創造力」育成のための 学習サイクル Ⅰ 「メディア創造力」育成のための 学習サイクル ① 相手意識・ 目的意識をもつ ④ 「振り返る」活動 ②「見る」活動 ③ 「見せる・作る」活動
Ⅱ 「メディア創造力」育成に不可欠な 4つの方法 Ⅱ 「メディア創造力」育成に不可欠な 4つの方法 差異やズレを比較し,実感させる。 「見る目」を養う。 「部分」と「全体」を往復して、目を配る。 相手意識と目的意識を明確に。
以上のことを受けて,自分なりに国語科での取り組みを考えてみました!!
Ⅲ 本学級の児童に身につけさせたい 「メディア創造力」とは・・・ Ⅲ 本学級の児童に身につけさせたい 「メディア創造力」とは・・・ ・ 作業を行う上で、誰に・何のためにということをほとんど意識す ることなく活動行っている。 ・ 人前で話すことに自信がなく、伝えたいことをわかりやすくまと めて話すことが、苦手である。 ・ 「書く」活動では、個人差が大きく、書き始めるまでにとても時間 がかかる児童がいる。 ・ 自分の考えや答えに自信が持てない子どもが多く見られる。 本学級の児童の実態・・・・ 児童の実態を受けて
Ⅲ 本学級の児童に身につけさせたい 「メディア創造力」とは・・・ Ⅲ 本学級の児童に身につけさせたい 「メディア創造力」とは・・・ 国語科において 必然性のある相手意識・目的意識を持たせることにより, 活動に意欲的に取り組み、自分の考えや伝えたいことを、 相手にわかりやすく伝える力(「話す・書く」力) ホンモノを「見る」活動において、ホンモノの「良さ」を見る 目を養い、それを自分の表現に生かす力 メディア創造力 ホンモノと自分の作品とを比べて「違い」に気づき、よりホン モノに近づけていこうと修正する力 相互評価を生かし、更によりよいモノを作り上げていく力
Ⅳ 国語科における「メディア創造力」育成に関わる学習活動 Ⅳ 国語科における「メディア創造力」育成に関わる学習活動 「メディア創造力」を児童に身につけさせるために ↓ 「学習サイクル」を年間の学習活動の中に 繰り返し取り入れていくことが大切 そのためには 「学習サイクル」をそのまま学習活動の中に取り入れ られる単元以外に,学習サイクルの中のいずれかの 活動を取り入れることのできる単元にも目をむけ,そ れぞれの学習活動の中で,児童の「メディア創造力」 の育成を目指すことにした。
年間の学習活動の中に実践を取り入れていこうと考えて!!
Ⅳ 国語科における「メディア創造力」育成に 関わる学習活動 (1学期) Ⅳ 国語科における「メディア創造力」育成に 関わる学習活動 (1学期) 【基礎・基本を身につける1学期の取り組み】 5月【話す・聞く活動】 出来事をしょうかいするスピーチをしよう 「知らせたい,あんなことこんなこと」 主に取り扱う活動は・・・ ① 相手意識・目的意識を持つ ④ 振り返る 6月【書く】(手紙) お礼の手紙を書こう 主に取り扱う活動は・・・ ① 相手意識・目的意識を持つ ② 見る ③ 作る・見せる 7月【書く】(紹介文) 自分新聞を作ろう ここでは,すべての「学習サイクル」を取り扱うこと にする。
Ⅴ 1学期の取り組み(5月) 明確な相手意識・目的意識を 持ち伝えたいこ との中心をはっ ○ 相手意識(クラスのみんな きりさせたスピー Ⅴ 1学期の取り組み(5月) 5月【話す・聞く活動】 出来事をしょうかいするスピーチをしよう 「知らせたい,あんなことこんなこと」 主に取り扱う活動は・・・ ① 相手意識・目的意識を持つ ④ 振り返る 学習のゴール 身につけさせたい力 (メディア創造力に関するもの) 明確な相手意識・目的意識を 持ち伝えたいこ との中心をはっ きりさせたスピー チを、教室での 振り返りを生かし て、家族の前で 行う。 ○ 相手意識(クラスのみんな や家族)・目的意識を明確にし 話の中心(山になる部分)をわ かりやすく話す。 ○ 1度目のスピーチの振り返 りやアドバイス(教師・友達か ら)を生かした2度目のスピー チをする。
Ⅴ 1学期の取り組み(5月) 指 導 計 画 5月【話す・聞く活動】 出来事をしょうかいするスピーチをしよう Ⅴ 1学期の取り組み(5月) 5月【話す・聞く活動】 出来事をしょうかいするスピーチをしよう 「知らせたい,あんなことこんなこと」 時 間 主 な 学 習 活 動 1 学習の流れを把握し、題材収集の方法を知る。 2 身の回りで起こった出来事を書き出し、相手意識・目的意識を持ってスピーチする題材を一つ選ぶ。 ※ 相手意識・目的意識を持つ 3 相手意識・目的意識をもって、スピーチメモを作成する。 4 自分のスピーチメモを見ながら、スピーチの練習をする。 5・6 ・わくわくタイム 聞き手にわかりやすくスピーチをし、振り返りをして、家族へのスピーチの準備をする。 ※ 振り返る (自宅) 振り返りを生かしたスピーチをする。 指 導 計 画 (6時間)
Ⅴ 1学期の取り組み(5月) わかりやすいスピーチ 相手意識・目的意識を持たせる活動 Ⅴ 1学期の取り組み(5月) 5月【話す・聞く活動】 出来事をしょうかいするスピーチをしよう 「知らせたい,あんなことこんなこと」 相手意識・目的意識を持たせる活動 教師が常に子ども達に意識させるため、活動の最初に「大切な2 つのこと」として提示することに「より 児童はよりわかりやすく伝えることを心がけ わかりやすいスピーチ ・ 絵を書く。 ・ 実物を持ってくる。 ・ プロジェクターを使った大きく映す。
Ⅴ 1学期の取り組み(5月) 振り返る活動 2回目のスピーチで気をつけること 今後の課題・・・・・・ Ⅴ 1学期の取り組み(5月) 5月【話す・聞く活動】 出来事をしょうかいするスピーチをしよう 「知らせたい,あんなことこんなこと」 振り返る活動 ワークシートや短冊・付箋紙を使った取組 ・ 聞く側の児童・・・・・よいところと改善点を短冊に ・ 簡単に感想を書く児童には・・・・ 「どこが」「どうだったのか」と言うことが、スピーチをした相手に伝わるように 2回目のスピーチで気をつけること 今後の課題・・・・・・ 「声の大きさや読み方」がキチンとできていれば、 上手なスピーチになっていると考えている児童が多い。 相手に何を伝えたいのか、自分のスピーチのどの内容を変えていけばよりわかり やすいスピーチになるのかという部分を、もっと児童に意識付けて行くこと
Ⅴ 1学期の取り組み(6月) 教科書の例文を参考にして 手紙の書き方を知り、お世 ○ 相手意識・目的意識を明 話になった方へお礼の気持 Ⅴ 1学期の取り組み(6月) 6月【書く】(手紙) お礼の手紙を書こう 主に取り扱う活動は・・・ ① 相手意識・目的意識を持つ ② 見る ③ 作る・見せる 学習のゴール 身につけさせたい力 (メディア創造力に関するもの) 教科書の例文を参考にして 手紙の書き方を知り、お世 話になった方へお礼の気持 ちが伝わる手紙を書く 。 ○ 相手意識・目的意識を明 確にし、感謝の気持ちが伝 わるような文章を書く。 ○ 自分の書いた文章と例文 を比べ、足りない分などを補 って、文章を書き直す。
Ⅴ 1学期の取り組み(5月) 6月【書く】(手紙) お礼の手紙を書こう 時間 ねらい 1 Ⅴ 1学期の取り組み(5月) 6月【書く】(手紙) お礼の手紙を書こう 時間 ねらい 1 お礼の手紙を出す相手と書く内容を決め、下書きをする。 ※ 相手意識・目的意識を持つ 2 書いた手紙と例文を比べて、手紙文の下書きを訂正する。 ※ 見る・作る 3 前文・後文などの部分を書き、手紙の下書きを表現に注意して推敲する。 ※ 見せる 4 手紙を清書して、封筒の書き方を理解する。 指 導 計 画 (4時間)
Ⅴ 1学期の取り組み(6月) 6月【書く】(手紙) お礼の手紙を書こう 相手意識・目的意識を持たせる活動 今までにお世話になった人へ手紙を書く活動は、子ども達にとって身近なこと 相手意識・目的意識を持たせや すく活動への取組も意欲的 このことから 活動の最初に相手意識・目的意識を子ども達にしっかり持たせることは、子ども達にとってその後の単元を通した活動の見通しがたち、学習活動に対する意欲や集中力を更に高める。
Ⅴ 1学期の取り組み(6月) 6月【書く】(手紙) お礼の手紙を書こう 作る・見る活動 見せる活動 ○ 自分の思うように書かせることにより、 Ⅴ 1学期の取り組み(6月) 6月【書く】(手紙) お礼の手紙を書こう 作る・見る活動 ○ 自分の思うように書かせることにより、 ↓ 児童にとって例文と「比べる」という活動が興味深いもの 自分の手紙との「違い」をより感じる どの子どもも意欲的に手紙文を訂正する活動に取り組む 見せる活動 自分自身の手紙を訂正してきているので、友達の手紙を読むときの視点をしっかり持つことができ、お互いの訂正箇所も上手に伝えることができた。 自分では気づかないわかりにくい表現や、誤字・脱字などを友達からチェック
Ⅴ 1学期の取り組み(7月) ホンモノの新聞の形式や構成 を参考にして,クラスの友達に 伝えたい自分の「よさ」や「みん Ⅴ 1学期の取り組み(7月) 7月【書く】(紹介文) 自分新聞を作ろう 身につけさせたい力 (メディア創造力に関するもの) 学習のゴール ○ めざすクラス実現のために,相 手意識(クラスのみんな)・目的意識 (もっと仲のいいクラスにするため に自分の「よさ」やみんなの知らな い自分の「こと」を伝える)をしっかり もって、新聞の作成を行う。 ○ ホンモノ(新聞)を見る目を養い, 自分なりの視点を持って自分の新 聞作りに生かす。 ○ ホンモノの新聞の表現の仕方を 手本にし、クラスのみんなに伝えた い事柄を収集・選択する。 ホンモノの新聞の形式や構成 を参考にして,クラスの友達に 伝えたい自分の「よさ」や「みん なの知らない自分のこと」を新 聞の形にしてわかりやすく表す ことにより、クラスのみんなが お互いの良さに気づく。
Ⅴ 1学期の取り組み(7月) 国語科だけではなく、「学級活動」と「道徳」の時間で、 子ども達みんなのめざす学級作りとも関連づけること Ⅴ 1学期の取り組み(7月) 7月【書く】(紹介文) 自分新聞を作ろう 身につけさせたい力 (メディア創造力に関するもの) 学習のゴール ○ めざすクラス実現のために,相 手意識(クラスのみんな)・目的意識 (もっと仲のいいクラスにするため に自分の「よさ」やみんなの知らな い自分の「こと」を伝える)をしっかり もって、新聞の作成を行う。 ○ ホンモノ(新聞)を見る目を養い, 自分なりの視点を持って自分の新 聞作りに生かす。 ○ ホンモノの新聞の表現の仕方を 手本にし、クラスのみんなに伝えた い事柄を収集・選択する。 ホンモノの新聞の形式や構成 を参考にして,クラスの友達に 伝えたい自分の「よさ」や「みん なの知らない自分のこと」を新 聞の形にしてわかりやすく表す ことにより、クラスのみんなが お互いの良さに気づく。 国語科だけではなく、「学級活動」と「道徳」の時間で、 子ども達みんなのめざす学級作りとも関連づけること により、「より必然性のある相手意識・目的意識」を子 ども達にもたせることをねらった。
ホンモノを「見る」ことで身につけたい力 (「書くこと」に関する伝える力) 読む人に内容のあらましがわかるような見出しを付ける力 読む人にわかりやすい文章を書く力 読む人が見やすい構成(記事の配置・見出しや写真の使い方)を考える力
Ⅴ 1学期の取り組み(7月) 指 導 計 画 7月【書く】(紹介文) 自分新聞を作ろう (9時間) 教 科 主な学習活動 学級活動 Ⅴ 1学期の取り組み(7月) 7月【書く】(紹介文) 自分新聞を作ろう 教 科 時間 主な学習活動 学級活動 「学級の問題」(1時間) 1 クラスのみんなが仲良くなるために,これからどうすればいいか話し合う。 ※ 相手意識・目的意識を持つ 道 徳 「自分のよさ」 (1時間) 今までの自分を振り返り,みんなに伝えたい自分のよさ・ことを考える。 (2-(3)友情・信頼・助け合い) ※ 相手意識・目的意識を持つ (事前準備) 道徳の時間に書いた伝えたいことの中から,実際に新聞に伝えたいことを選ばせ,記事として書くときに使う写真や具体物を準備しておく。 国 語 (7時間) 「自分新聞を作ろう」 1 ホンモノの新聞を見て,どんな表現の仕方がしてあるのか気付き。 ※ 見る ホンモノの良さを生かした新聞作りのポイントを決める。※ 見る 2 新聞に載せる写真や絵を選び小見出しを書き、その中から新聞の中心になるものを選ぶ。 ※ 作る 新聞に載せる内容を整理して,記事を書き仕上げる。 ※ 作る・見せる・振り返る いままで知らなかった友達のこと・よさに気付き、相手に伝える。 ※ 見せる・振り返る 指 導 計 画 (9時間)
Ⅴ 1学期の取り組み(7月) 相手意識・目的意識を持たせる活動 学級活動「学級の問題」 子どもたちのめざすクラスと現状(学級の問題)とのずれ Ⅴ 1学期の取り組み(7月) 7月【書く】(紹介文) 自分新聞を作ろう 相手意識・目的意識を持たせる活動 学級活動「学級の問題」 子どもたちのめざすクラスと現状(学級の問題)とのずれ 自分たちのめざすクラスに近づくために、自分の良さを伝えよう! 道徳「自分のよさ」 ・相手意識と目的意識を明 確にすることにより ・自分を振り返る良い機会 自分のよさを探すと言う活動が、児童にとって、とても真剣な活動 必然性!
Ⅴ 1学期の取り組み(7月) ホンモノを生かした新聞作りのポイント ホンモノを見る活動 Ⅴ 1学期の取り組み(7月) 7月【書く】(紹介文) 自分新聞を作ろう ホンモノを見る活動 普段じっくりと、「ホンモノ」の新聞を 見る機会のない児童に、「じっくり 見る」時間を確保 「ホンモノ」の新聞の表現の仕方の特徴を子ども達だけでしっかりと見つけることができた。 ホンモノを生かした新聞作りのポイント 子どもたちはじっくり見ることは、「ホンモノ」の 新聞をお手本にして、よりわかりやすく自分の事 を伝えたいという子どもたちの思いを大切にする ことにつながったと考える。
ホンモノを生かした新聞作りのポイント ① 文しょうはたて書きと横書きの組み合わせ ② 題(見出し)は大きく、きょうみをもつようなものを書く。 ① 文しょうはたて書きと横書きの組み合わせ ② 題(見出し)は大きく、きょうみをもつようなものを書く。 ③ わかりやすくするために、文字の色 や大きさが変えてある。 ④ わかりやすいように絵やグラフ・写真・吹き出しが使ってある。 ⑤ いくつもの記事をきれいにまとめて 。 ⑥ 中心になる記事は、写真や題の文字が大きくしてある。 ⑦ 読みやすいように線などを使ったり間がとってあったりする。 ⑧ どれもその日の日にちが書いてある。 ⑨ 新聞の名前を入れる。
Ⅴ 1学期の取り組み(7月) 作る活動 7月【書く】(紹介文) 自分新聞を作ろう Ⅴ 1学期の取り組み(7月) 7月【書く】(紹介文) 自分新聞を作ろう 作る活動 活動の「ゴール」が児童にしっかり見え、知らせたいことや自分の「よさ」が伝わる意欲的な新聞作り 相手意識・目的意識を常に意識させていくことにより 手本を示したり、「ホンモノ」の新聞を見るという活動を、取り入れることにより活動がスムーズに 活動がスムーズに流れなかった小見出し作りでは 載せる記事のレイアウトを考える 部分を作った後に、全体のバランスを見ることの大切さ
児童の作品 (自分新聞)
Ⅴ 1学期の取り組み(7月) 7月【書く】(紹介文) 自分新聞を作ろう 振り返る活動
Ⅳ 国語科における「メディア創造力」育成に 関わる学習活動 (2学期) Ⅳ 国語科における「メディア創造力」育成に 関わる学習活動 (2学期) 【身につけた力を生かしたり、更に伸ばしたりする2・3学期の取り組み】 ① 「学習サイクル」を部分的に取り入れて,更に児童の力を伸ばす単元 9月【話す・聞く活動】(説明・報告) すじ道を立てて説明しよう 「くらしの百科」の時間です」 主に取り扱う活動は・・・ ① 相手意識・目的意識を持つ ② 見る ③ 作る・見せる ② 「学習サイクル」をすべて取り入れる単元 10月【読む+書く】(説明文) いろいろな「環境を守るくふう」について調べよう 「ウミガメのはまを守る」 (パンフレット作成) 3月【書く】(学年のまとめ) 伝えたいことを選んで書こう 1年間の思い出をしょうかいしよう (グループ新聞作成)
ごめんなさい! この後の2学期分は まとめていません!!!