になるためのパワポ Vol.② 信州大学総合診療科 田村謙太郎

Slides:



Advertisements
Similar presentations
馬伝染性子宮炎 馬科動物の生殖器感染症. 馬伝染性子宮炎(届出伝染病) 馬:軽種馬、重種馬、ろばなどの馬科の動物が感染。 1977 年に英国で初めて発生が確認され、日本では 1980 年に北海 道で、有症状馬から原因菌が分離された。 感染部位は生殖器で、雌馬の陰核洞、雄馬の尿道洞、亀頭窩、 包皮の皺内に垢とともに長期間生残し、無症状保菌馬となり、
Advertisements

Copyright © 2005 GIDEON Informatics, Inc. All rights reserved The Premier Global Infectious Disease Knowledge Management System
微生物が体内に侵入する などして、引き起こす病気 病原体 感染症とは 細菌・ウイルス・寄生虫 など 9.感染症とその予 防 インフルエンザウィルス 「福岡県保健環境研究所H P」 タミフル「中村内科日記」よ り 素材集-感染症.
米国の外来呼吸器感染症での抗菌薬投与状況 抗菌薬投与率 普通感冒 5 1% 急性上気道炎 52% 気管支炎 6 6% 年間抗菌薬総消費量 21% 【 Gonzales R et al : JAMA 278 : ,1997 】
抗酸菌染色 (チール・ネルゼン) Ziehl-Neelsen method for acid fast bacteria.
動物咬傷 ~噛みなやな 犬猫どもが ゆめの痕~ 研修医.com.
扁桃腺炎・咽頭炎.
第8回細胞治療セミナ-.
になるためのパワポ Vol.① 信州大学総合診療科 田村謙太郎
御薬辞典2 炎症・免疫関連.
天然物薬品学 微生物が生み出す医薬品1.
インフルエンザ 20班 19、加来 43、白井 67、中谷 91、藤川 115、山本
つちだ小児科  土田晋也
MRSA感染を伴う難治性慢性中耳・外耳炎治療のための 新規院内製剤の開発とその製剤学的・薬理学的評価
健康管理上の注意点(デング熱) どんな病気? どんな症状?いつごろ治るの? 診察後, 自宅に帰る場合の注意点
感染症・がんの治療薬 抗菌薬1.
浅間総合病院小児科の紹介 浅間病院小児科は、一般(病院)小児科として機能しています。
市中肺炎.
当施設における       尿路感染の現状報告 介護老人保健施設 恵仁荘    看護師 木下 孝一.
全身倦怠感 全身倦怠感はさまざまな病気にみられます 疲れやすい… だるい…
医政指発1219第1号 平成26年12月19日 「医療機関における院内感染対策について」 概要と0617号からの変更点
12 化学療法薬(悪性腫瘍治療薬を含む)  病原微生物に対して選択毒性を有する化学物質を用いた疾病の治療を”化学療法(chemotherapy)という。また、悪性腫瘍に対して抑制的に作用する薬剤も化学療法薬と呼ばれている。このような化学物質のなかで、微生物が産生し他の微生物や細胞の増殖を抑制する物質を”抗生物質(antibiotics)”と呼ぶが、広義にはサルファ剤やニュ−キノロン系薬剤のような微生物の生産物でない合成抗菌薬を含めて、抗生物質あるいは抗生剤と呼ばれることもある。本編では、病原微生物に対する
感染症・がんの治療薬 抗菌薬2.
感染症・がんの治療薬 抗菌薬3.
微生物学1 抗菌薬.
飲酒による人体への影響 市村 将 参考・引用文献:Yahoo!ニュース 未成年の飲酒問題
輸血の適応/適正使用 新鮮凍結血漿 福井大学輸血部 浦崎芳正.
馬パラチフス 馬科動物の生殖器感染症.
1. 病気になると血糖値が 高くなりやすくなります 2. 最も注意が必要なのは 糖尿病の「急性合併症」 3. シックデイの対応
平成23年4月2日 浜松がん薬物療法セミナー - 処方解説 -
壊死桿菌感染による牛に肝膿瘍など 感染局所の化膿性病変を主徴とする疾病
3.膿性鼻汁や膿性痰や 咽頭発赤腫脹の強い場合
牛の尿路コリネバクテリウムによる 血尿を主徴とする感染症
になるためのパワポ 信州大学総合診療科 田村謙太郎
CASE HISTORY Case 1 4日間下記の症状が続き、STD Clinic に紹介される。 患者ー30歳男性
SSCG 2012.
外科手術と輸血 大阪大学輸血部 倉田義之.
若いあなたが 性感染症に ならないために.
DCC エボラウイルス病(EVD, エボラ出血熱) 対応フローチャート(テンプレート)
胃腸炎.
顔の湿疹様病変 を  治すに あたって 鳴海クリニック院長 鳴 海 淳 郎.
ご注意 ホームページに掲載される際は、下記枠内の注意書きをご記載ください。
第一回勉強会 ~風邪を正しく診断する~.
御薬辞典.
8章 食と健康 今日のポイント 1.食べるとは 何のために食べるのか? 食べたものはどうなるのか? 2.消化と吸収 3.代謝の基本経路
Epidemic cerebrospinal meningitis Meningococcal meningitis
肝臓の機能(摂食時).
高齢者の肺炎による死亡率. 高齢者の肺炎による死亡率 誤嚥のメカニズム 誤嚥は、脳卒中や全身麻痺、あるいは麻痺などの症状のない脳梗塞で、神経伝達物質の欠乏によって、咳(せき)反射や、物を飲み下す嚥下(えんげ)反射の神経活動が低下して起こる。
エイズとその予防.
「小児急性中耳炎診療指針」 利用上の注意点
マンニット食塩寒天培地 番号と名前 この印はつけないこと、(指を押しつける場所) 消毒前 消毒後.
「国内の小児における肺炎球菌莢膜血清型の疫学的検討」 に参加しています。
グラム染色 (Gram staining).
薬に関係することわざ 「良薬は口ににがし」 他にどんなものがあるかな?
供血者の選択・採血 琉球大学輸血部 佐久川 廣.
当院における 急性中耳炎の 起炎菌とその臨床像 (インフルエンザ菌vs肺炎球菌)
よく分かるかも PK/PD(・ω・).
グリフィスの実験 フレデリック・グリフィス(英:1879 – 1941).
従来の感染症法では、感染症患者の治療及び感染症の予防を行うための法律内容であった。
血栓性血小板減少性紫斑病 TTP 溶血性尿毒素症候群 HUS
新型感染症 2004.11.28.
肺炎診断の最新知見と ガイドラインに基づく治療戦略 ~カルバペネム系抗菌薬を中心に~
利用規約 役に立つ薬の情報~専門薬学 : 提供している資料は「同じ会社内、施設内での研修」や「高校生・大学生のプレゼンテーション参考資料」、「市民向けの教材をボランティアで作成するため」などを想定しています。つまり、当サイトの資料の利用は「教育に対して、無償で貢献するために使用すること」が大前提です。
*講演会終了後、情報交換会を予定しております。
NSAIDsの使い方.
「お薬手帳」推奨会話 事例集! ~安全な薬物治療を目指して~
新興感染症の病原体 再興感染症の病原体 病原体の種類 病原体名 ウイルス ロタウイルス、エボラウイルス、T細胞性白血病ウイルス
合成抗菌薬 (サルファ剤、ピリドンカルボン酸系)
溶連菌感染症 1.急性咽頭炎・急性扁桃腺炎 2.伝染性膿痂疹
インフルエンザウィルスA型及びB型検出用試薬
Presentation transcript:

になるためのパワポ Vol.② 信州大学総合診療科 田村謙太郎 ペニシリン大好き! になるためのパワポ   Vol.② 信州大学総合診療科 田村謙太郎

ここから本題です(笑) ペニシリン大好き! になるためのパワポ(本編)

ペニシリン系 4つに分類 1) ペニシリンG: 天然ペニシリン 2) アミノペニシリン:アミノ基をつけたペニシリン 1) ペニシリンG: 天然ペニシリン 2) アミノペニシリン:アミノ基をつけたペニシリン グラム陽性菌に加えて、一部のグラム陰性菌にも効く 消化管からの吸収率(bioavailability)がアップ! 3) 抗緑膿菌用ペニシリン 4) 抗MSSA用ペニシリン: 日本にはない涙 [  5) βラクタマーゼ阻害剤の合剤   ]

ペニシリン系 ① ペニシリンG: 注射:PCGカリウム、(経口:バイシリンG®:経口吸収不安定) ② アミノペニシリン: ① ペニシリンG:  注射:PCGカリウム、(経口:バイシリンG®:経口吸収不安定) ② アミノペニシリン:  経口 AMPCアモキシシリン (サワシリン®):経口吸収良好 AMPC/CVA アモキシシリン/クラブラン酸 (オーグメンチン®) 点滴 ABPCアンピシリン (ビクシリン®)     ABPC/SBT アンピシリン/スルバクタム (ユナシン®) ③ 抗緑膿菌用ペニシリン  点滴 PIPC ピペラシリン (ペントシリン®)     PIPC/TAZ ピペラシリン/タゾバクタム (®ゾシン) ④ 抗MSSA用ペニシリン:日本にはない      ナフシリン、オキサシリンなど

ペニシリン系 ① ペニシリンG: 注射:PCGカリウム ② アミノペニシリン: 経口 AMPCアモキシシリン (サワシリン®) ① ペニシリンG:  注射:PCGカリウム ② アミノペニシリン:  経口 AMPCアモキシシリン (サワシリン®) AMPC/CVA アモキシシリン/クラブラン酸 (オーグメンチン®) 点滴 ABPCアンピシリン (ビクシリン®)     ABPC/SBT アンピシリン/スルバクタム (ユナシン®) ③ 抗緑膿菌用ペニシリン  点滴 PIPC ピペラシリン (ペントシリン®)     PIPC/TAZ ピペラシリン/タゾバクタム (®ゾシン) ④ 抗MSSA用ペニシリン:日本にはない      ナフシリン、オキサシリンなど

ペニシリンG:天然ペニシリン ペニシリン系の基本スペクトラムはペニシリンG ⇒ GPC + Anaerobes 細胞壁阻害剤 : 時間依存性なので頻回投与 *GPC: Gram Positive Coccus :グラム陽性球菌 *Anaerobes: 嫌気性菌

スペクトラム図 (Dr.忽那提供)

ペニシリンG:グラム陽性、嫌気性菌 ペニシリンGがカバーするのは、 ⇒ GPC(グラム陽性球菌)と ⇒ GPC(グラム陽性球菌)と ⇒ Anaerobes(横隔膜より上、口腔内の嫌気性菌)

ペニシリンG ⇒ GPC と 嫌気性菌 PCG: 今でもStreptococcus属の感染症治療の第1選択薬 ・肺炎球菌性肺炎 ⇒ GPC と 嫌気性菌 PCG: 今でもStreptococcus属の感染症治療の第1選択薬 ・肺炎球菌性肺炎 ・Streptococcus IE (感染性心内膜炎) ・スピロヘータ感染症  (梅毒と言えばPCG!)

ペニシリン開発の歴史 ↓ ↓ 天然ペニシリン(ペニシリンG)の実用化1940年代        ↓ アミノ基をつけてグラム陰性菌にも少し効くようになったアミノペニシリン(“広域ペニシリン”) 大腸菌、クレブシエラ、インフルエンザ桿菌、モラキセラ・ カタラーリス βラクタマーゼで耐性化 βラクタマーゼ阻害薬入りペニシリンの開発      ↓ ペニシリナーゼ蔓延 ペニシリナーゼに分解されない ペニシリンを半合成(メチシリン)                    MRSAの出現 → βラクタマーゼ以外の機序での耐性化      インフルエンザ桿菌:BLNARなど

①ペニシリンGカリウム BPCGベンジルペニシリンベンザシン ⇒ グラム陽性菌、梅毒治療に バイシリン® 100万単位!? ⇒ グラム陽性菌、梅毒治療に バイシリン® 100万単位!? =約0.6g (ペニシリン600万単位=アンピシリン4g相当) 肺炎球菌性“肺炎”に 100~200万単位を1日に4時間おき(~6時間おき) 感受性があれば髄膜炎治療に (*髄液移行性良好!) 300~400万単位を4時間おき 筋注製剤のカリウム (注:海外では点滴製剤はPCGナトリウム) ⇒① 高カリウム血症に注意 (100万単位にカリウム1.7mEq) ⇒② 血管痛に注意

ペニシリンG ⇒ GPC と 嫌気性菌 PCG: 今でもStreptococcus属の感染症治療の第1選択薬 ・肺炎球菌性肺炎 ⇒ GPC と 嫌気性菌 PCG: 今でもStreptococcus属の感染症治療の第1選択薬 ・肺炎球菌性肺炎 ・Streptococcus IE (感染性心内膜炎) ・スピロヘータ感染症  (梅毒と言えばPCG!)

ペニシリン系 ① ペニシリンG: 注射:PCGカリウム ② アミノペニシリン: 経口 AMPCアモキシシリン (サワシリン®)、 ① ペニシリンG:  注射:PCGカリウム ② アミノペニシリン:  経口 AMPCアモキシシリン (サワシリン®)、 AMPC/CVA アモキシシリン/クラブラン酸 (オーグメンチン®) 点滴 ABPCアンピシリン (ビクシリン®)、     ABPC/SBT アンピシリン/スルバクタム (ユナシン®) ③ 抗緑膿菌用ペニシリン  点滴 PIPC ピペラシリン (ペントシリン®)、     PIPC/TAZ ピペラシリン/タゾバクタム (®ゾシン) ④ 抗MSSA用ペニシリン:日本にはない      ナフシリン、オキサシリンなど

②アミノペニシリン アミノペニシリン:アミノ基をつけたペニシリン ⇒ グラム陽性菌に加えて、グラム陰性菌も少しカバー ⇒ グラム陽性菌に加えて、グラム陰性菌も少しカバー ⇒ ① リステリアと腸球菌(E.faecalis)には第1選択! ⇒ ② グラム陰性菌にも少し活性    例、感受性があれば大腸菌やインフルエンザ桿菌に ⇒ ③ 経口吸収が良い(bioavailability良好)    例、A群β溶連菌性扁桃腺炎に       AMPCアモキシシリン(サワシリン®)250㎎を        1回2カプセル 1日3回 10日間

アンピシリンのスペクトラム ABPC(アンピシリン)のスペクトラムは PCGのスペクトラム + 腸球菌、リステリア ペニシリンは世代が進むと GNRにも活性を広げていく ABPC(アンピシリン)のスペクトラムは PCGのスペクトラム + 腸球菌、リステリア +大腸菌(βラクタマーゼ非産生) *EB:腸内細菌群 ⇒感受性があれば   大腸菌にも効く

小児の溶連菌性扁桃腺炎 必ず!アモキシシリンで10日間治療!その理由は!? ⇒ 合併症の予防 ⇒ 合併症の予防    リウマチ熱:交差抗体が心臓の弁膜を破壊してしまう ただし、同じ合併症でも糸球体性腎炎は予防できない *熱も痛みも抗生剤を飲んだ翌日には良くなってしまうが、            必ず10日間治療を完遂することを親に説得しておくこと! *最初の抗生剤投与後24時間で感染性はなくなる   ⇒ 薬を飲んでから24時間以上たてば登校可

A群β溶連菌性 扁桃腺炎 Center criteria センター基準 ① 扁桃腺の滲出性炎症 ② 前頸部リンパ節腫脹 ③ 発熱 ① 扁桃腺の滲出性炎症 ② 前頸部リンパ節腫脹 ③ 発熱 ④ 咳がない ⇒ 現実には迅速検査が有用 検査が陰性であれば非溶連菌性の扁桃腺炎の可能性を考えてアミノペニシリンは使用を避ける(理由は次のスライドで) ⇒ 抗菌薬を使用するなら、代用として CLDMクリンダマイシン(ダラシン®)150㎎  2カプセルを1日3回内服        

扁桃腺炎でも・・・ 伝染性単核球症IM:infectious mononucleousisに注意! ウイルス性の扁桃腺炎、主にEBV:Ebstein-Barr ウイルス ⇒ ① アミノペニシリンを投与すると全身性に発疹!      “ペニシリンアレルギー”と誤認されてしまう       その後の人生でペニシリンが使えないのは困る ⇒ ② 肝脾腫に注意!       コンタクトスポーツの一時的な禁止       激しいコンタクトで肝臓破裂、脾臓破裂のリスク *急性HIV症候群でもIM様の症状で受診することがある

*βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン ① ペニシリンG: 注射:PCGカリウム、(経口:バイシリンG®:経口吸収不安定) ① ペニシリンG:  注射:PCGカリウム、(経口:バイシリンG®:経口吸収不安定) ② アミノペニシリン:  経口 AMPCアモキシシリン (サワシリン®)、 AMPC/CVA アモキシシリン/クラブラン酸 (オーグメンチン®) 点滴 ABPCアンピシリン (ビクシリン®)、     ABPC/SBT アンピシリン/スルバクタム (ユナシン®) ③ 抗緑膿菌用ペニシリン  点滴 PIPC ピペラシリン (ペントシリン®)、     PIPC/TAZ ピペラシリン/タゾバクタム (®ゾシン) ④ 抗MSSA用ペニシリン:日本にはない      ナフシリン、オキサシリンなど

*ベータラクタマーゼ阻害剤入り βラクタマーゼ阻害剤との合剤 ⇒ 嫌気性菌カバー、グラム陰性菌カバーがアップ! βラクタマーゼ阻害剤との合剤 ⇒  嫌気性菌カバー、グラム陰性菌カバーがアップ! ①オーグメンチン®(AMPC/CVAアモキシシリン/クラブラン酸)375㎎錠 AMPC250㎎ + CVA125㎎  経口のみ。使うときはオグサワで! ⇒ オグ1錠+サワ2錠を2回/日 朝夕食後 (クラブラン酸の量が多いと、腹痛や嘔気が増えるので。) ②ユナシン®(ABPC/SBT アンピシリン/スルバクタム) 注射剤 (経口薬もあるが味が不味いので使わない。) ⇒経口剤にスイッチするときは、オグサワで代用 ③PIPC/TAZ ピペラシリン/タゾバクタム (®ゾシン) 注射剤 (緑膿菌を含めた重症のグラム陰性菌による院内感染に使用する) ⇒ 経口剤にスイッチするときはシプロフロキサシン(ニューキノロン)で代用

ABPC/SBT(アンピシリン・スルバクタム)   + 嫌気性菌   + βラクタマーゼ産生菌 ・ブドウ球菌(MSSA)に効く ・モラキセラ・カタラーリスに効く ・インフルエンザ桿菌に効く  (ただしBLNAR, BLPARは除く) ・大腸菌やクレブシエラといった  腸内細菌に効く ・横隔膜上下の嫌気性菌に効く 腹腔内感染症(胆嚢炎、虫垂炎など) 誤嚥性肺炎に使える

③ 抗緑膿菌用 ペニシリン ① ペニシリンG: 注射:PCGカリウム ② アミノペニシリン: ③ 抗緑膿菌用 ペニシリン ① ペニシリンG:  注射:PCGカリウム ② アミノペニシリン:  経口 AMPCアモキシシリン (サワシリン®)、 AMPC/CVA アモキシシリン/クラブラン酸 (オーグメンチン®) 点滴 ABPCアンピシリン (ビクシリン®)、     ABPC/SBT アンピシリン/スルバクタム (ユナシン®) ③ 抗緑膿菌用ペニシリン  点滴 PIPC ピペラシリン (ペントシリン®)、     PIPC/TAZ ピペラシリン/タゾバクタム (®ゾシン) ④ 抗MSSA用ペニシリン:日本にはない      ナフシリン、オキサシリンなど

③ 抗緑膿菌用ペニシリン PIPC ピペラシリン (ペントシリン®) PIPC/TAZ ピペラシリン・タゾバクタム (ゾシン®) ③ 抗緑膿菌用ペニシリン PIPC ピペラシリン (ペントシリン®) PIPC/TAZ ピペラシリン・タゾバクタム (ゾシン®) *緑膿菌を疑った時だけ! ⇒ 好中球減少時の発熱、院内の重症肺炎など *日本のお粗末な保険適応 ピペラシリンの最大投与量は8g/日⇔欧米では12~18g ⇒仕方がないのでトブラマイシンなどのアミノグリコシドを併用 ⇒PIPC/TAZ(ゾシン®)登場! ⇒1バイアルに4gのPIPCで1日3~4回投与可 ⇒PIPC換算で12~16g投与可 しかし本来、緑膿菌にはβラクタマーゼは不要・・・ムダムダ涙

ピペラシリンのスペクトラム PIPCを使うのは 緑膿菌感染症のときだけ! PIPC(ピペラシリン)の スペクトラムは ⇒ ABPCのスペクトラム    + 緑膿菌 PIPCを使うのは 緑膿菌感染症のときだけ!

PIPC/TAZ(ピペラシリン・タゾバクタム)   + βラクタマーゼ産生菌 または ⇒ABPC/SBTのスペクトラム  + SPACE *SPACEとは   院内感染で問題になる   グラム陰性桿菌 病院内での重症感染症、 腹腔内感染症など

④ 抗MSSA用ペニシリン(日本にない) ペニシリンG ⇒ ブ菌:ペニシリナーゼ獲得による耐性化 しかし、ブドウ球菌はあっという間にペニシリナーゼ(ペニシリンを分解する酵素)を産生するようになり、この遺伝子がプラスミドによって世界中に  広がってしまいました。 ペニシリンG ⇒ ブ菌:ペニシリナーゼ獲得による耐性化 これに対してペニシリンを半合成し、  ペニシリナーゼに分解されないペニシリンが作られました。 【ペニシリナーゼ耐性ペニシリン】 MSSAに使用 点滴: オキサシリン、ナフシリン 内服: クロキサシリン、ジクロキサシリン (メチシリンは副作用があり、現在は臨床的に使われない) *現在日本にはなく、仕方なくMSSAに第1世代セフェム   (セファゾリン)を使っているのが現状。

なぜ抗MSSA用ペニシリンがないと困るのか? 第1世代セフェムはその特徴として、髄膜移行性がありません。 つまり、日本におけるMSSAの治療薬セファゾリンでは    MSSAによる脳膿瘍の治療が出来ないのです。 ブドウ球菌が感染性心内膜炎を作った時(MSSAであっても)            脳に疣贅が飛んでいき、脳膿瘍を作ってしまうと・・・        日本では治療抵抗性の恐ろしい感染症になってしまいます。

お疲れ様でした! ペニシリン大好き!になったかな??? ① ペニシリンG: 注射:PCGカリウム ② アミノペニシリン: ① ペニシリンG: 注射:PCGカリウム ② アミノペニシリン:  経口 AMPCアモキシシリン (サワシリン®) AMPC/CVA アモキシシリン/クラブラン酸 (オーグメンチン®)* 点滴 ABPCアンピシリン (ビクシリン®)     ABPC/SBT アンピシリン/スルバクタム (ユナシン®)* ③ 抗緑膿菌用ペニシリン  点滴 PIPC ピペラシリン (ペントシリン®)     PIPC/TAZ ピペラシリン/タゾバクタム (®ゾシン)* ④ 抗MSSA用ペニシリン:日本にはない(涙) [  ⑤ βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン*印  ] ペニシリン大好き!になったかな???

Special thanks to Dr. Kutsuna, DCC 抗菌薬のスペクトラム図は 国立国際医療研究センターの忽那先生のご好意で 使用させて頂きました。 有難う御座います。 【NGCM感染症レビュー】 e-learning で学べる無料の感染症コース。 2015年も開催される(予定)とのこと。