虫垂炎をさがせ!
【参考文献】 画像診断に絶対強くなる ワンポイントレッスン ~病態を見抜き, サインに気づく読影のコツ Lesson14 ワンポイントレッスン ~病態を見抜き, サインに気づく読影のコツ 扇 和之 (編集),堀田 昌利 (著),土井下 怜 (著) 羊土社 2012 Lesson14 基本中の基本,急性虫垂炎をマスターする (p143-151)
まずは虫垂をみつけよう 後腹膜の右側に固定されている上行結腸を同定しよう そこから尾側にたどって回盲部(回盲弁)を同定しよう 回盲弁から3cmほど尾側の盲腸の後内側壁あたりから出る 管状構造を見つけよう。 その管状構造を先端までたどって,盲端に終わることを 確認しよう(間違いなく虫垂であることを確認しよう)
正常回盲部(造影CT) 頭側から尾側に向かってA~Fの順. ➔上行結腸~盲腸 ➔回腸末端 ➔回盲弁 ➔虫垂 ➔上行結腸~盲腸 ➔回腸末端 ➔回盲弁 ➔虫垂 ①が虫垂起始部.②でいったん尾側に下がってから③~⑦で頭側へ向かう.
虫垂の起始部は変異が少ないが、 その先の走行はバリエーションに富んでいる 虫垂の起始部は変異が少ないが、 その先の走行はバリエーションに富んでいる 頻度が多く,同定もしやすい ①盲腸後 ②盲腸下 ③骨盤性 頻度少ないが,同定しにくい ④回腸前 ⑤回腸後
虫垂を見つけやすくするポイント 造影をすると腸管壁が見やすくなる ウィンドウレベルを調整する (脂肪 – 空気 – 軟部組織 のコントラストの差が よくわかるように) MPR (multiplanar reconstruction)の作成を依頼する (水平断以外にも,冠状断や矢状断などを活用する)
虫垂壁の肥厚 一般に壁厚2~3 mm以上 特に急性炎症では造影効果を伴う 虫垂炎のCT所見 虫垂の腫大 一般に最大径6~7 mm以上 虫垂壁の肥厚 一般に壁厚2~3 mm以上 特に急性炎症では造影効果を伴う 虫垂周囲の脂肪織濃度上昇 いわゆるdirty fat sign 副所見として 虫垂結石(糞石) 隣接した盲腸壁や回腸壁の肥厚
炎症の進行 虫垂根部の閉塞 カタル性虫垂炎 蜂窩織炎性虫垂炎 壊疽性虫垂炎 粘膜下リンパ節の過形成,糞石,腫瘍など 粘液が貯留して,虫垂内圧が上がる 虫垂壁の静脈・リンパの灌流が止まり,虫垂壁に浮腫が起こる 虫垂根部の閉塞 カタル性虫垂炎 炎症が虫垂壁の粘膜および粘膜下に留まっている 蜂窩織炎性虫垂炎 細菌感染が虫垂壁に波及し,虫垂壁の全層性炎症となる 壊疽性虫垂炎 虫垂の動脈血流の障害や穿孔が起こる
カタル性虫垂炎(造影CT) 頭側から尾側に向かってA~Eの順. ➔盲腸 ➔回腸末端 ➔虫垂 ➔盲腸 ➔回腸末端 ➔虫垂 ①が虫垂起始部.②でいったん頭側に上がってから③~⑤で尾側へ向かう.
蜂窩織炎虫垂炎(造影CT) 頭側から尾側に向かってA~Eの順. ➔盲腸 ➔回腸末端 ➔虫垂 ➔周囲の脂肪織濃度上昇 ➔盲腸 ➔回腸末端 ➔虫垂 ➔周囲の脂肪織濃度上昇 ①が虫垂起始部.②~⑤で尾側へと伸びている.
壊疽炎虫垂炎(造影CT) 頭側から尾側に向かってA~Eの順.➔虫垂起始部~盲端へ①~⑦の順. ➔上行結腸~盲腸 ➔腹水 ➔壊死,穿孔部 ―リンパ節腫大 周囲腸管の液体貯留と壁肥厚がみられ,麻痺性イレウスの状態.
とにかく大事なこと まずは虫垂の起始部を見つけ出そう! 起始部から丁寧に走行を追いかけよう!