売り上げUPにつながる 売り場作りの研究 on コンビニ

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 Waseda University SOC INOUE Seminar M.Takeuchi & Y. Ohono 井上ゼミ学習内容 ― 事業システムと競争戦略 ― Presenter Motoi Takeuchi / Yurie Ohno.
Advertisements

インクジェットプリ ンター業界 における競合2社の比較分析 7期 からあげ. インクジェットプリンターと は? インクジェットプリン ター ・主に家庭用 ・小型 ・インクを吹きつけて定着さ せる レーザープリンター ・主に業務用 ・大型 ・レーザーを感光に利用する 8 3% (2007年ガードナー調べ)
中間報告 ボトルネック社 2009/10/291 システム分析・演習 代表 : 緑川 達也 PM : 堀内 知弥 猿山 美彌 水田 賢志 八木 太一.
通信販売の成長と未来           MR9068 吉村勇輝.
通信販売における リピート率の重要性と戦略
第1章 金融の基本的要素 Q.4~Q /5/6 棚倉 彩香.
第17章ケース紹介 かっしー.
商品に対して効果的な POP広告の研究と提案
スプリームシステムコンサルティング株式会社
小樽観光アンケートの分析について まず、基本情報について
視覚的に印象を与えるロゴの提案の研究 藤本 修司.
卒業論文 スマートフォンのプロモーションの 提案と分析
コンセプトをより伝えられる広告の研究 卒業論文 経営学部 経営学科  竹田 智惠.
M.E.ポーターの競争戦略論 M.E.ポーターの競争戦略論は、「競争優位」に関する理論的フレームワークを提示した基本的理論である。SCPパラダイムという考えをもとに持続的な競争優位を確立するための戦略である。 SCPとは、市場構造(structure)、企業行動(conduct)、業績(performance)の略語であり、市場構造と企業行動が業績を決めるという考えである。
経済入門 ④ 西山 茂.
ヘアケアシャンプーの 製品特徴分析            上原千佳              本谷裕美子.
三越参入と大丸増床に対する 阪神・阪急百貨店の生き残り策の提案
100円ショップの マーケティング戦略 2003r071.
動画投稿サイトによる広告 宣伝効果の研究 本多 俊元.
入場規制を用いた効果的な 買い上げ率アップの研究
プロ野球観客動員数の 要因分析.
「売れる」飲食店の店頭&店内改善 開催報告
メニューの数学 Lauren Bartlett.
●○●化粧品会社様WEBサイト企画書 -新規顧客獲得―.
5秒以上見続けたくなるYouTubeの動画広告に関する研究
テスト段階.
4.「血液透析看護共通転院サマリーVer.2」 の説明
消費税増税後による 節約意識の変化 100円ショップは本当に安いのか❕❔ 名古屋学院大学 16E0126 古賀翔平         16E0702 川島涼.
山梨大学 (中村・丸石・鈴木・常盤・武川・土屋・原・瞿)
女性下着広告の 購買意思決定への影響  山本 和菜.
商品陳列の売り場への影響 めぐ.
行動経済学による分析 ~なぜ人は「タダ」に翻弄されてしまうのか~ 古川ゼミ
営業プロセス (帳票サンプル案) 営業 プロセス 準備活動 接触活動 調査活動 提案活動 契約活動 継続活動 キー・マイルストーン
2017/3/16 コンビニエンスストアについて 7AGC4123 東海 太郎.
競合店対策 MR1178 渡部圭一郎 .
お客様モニター調査(覆面顧客満足度調査)概要
まず、率直に言うと、具体的にどうしたらいいのかというノウハウの密度が高いです。
~ドラッグストア業界~           経営戦略班 西・鬼沢・渡辺.
中級日本語 第 2 課 スーパーマーケット 本文 吉林華橋外国語学院 日本語学部 製作.
女子学生が化粧品を購入する際の 顧客満足度を高めるための提案
新しい環境行動のスタイル 環境市民「グリーンコンシューマーガイド」から
経営学部 経営学科 ITビジネスコース 菊地真実子
フットサルシューズの最適化 ~コンジョイント分析を用いて~
K-POPCD販売に効果的な広告の作成.
「ビジネスで成功する人たちは“本当に良いトレーニング法”を知っている?
手軽におしゃれ、ディップ式ポテトチップス
おすすめPOPの分析 越智 大介.
自動車レビューにおける検索と分析 H208032 松岡 智也 H208060 中西 潤 H208082 松井泰介.
Net de sample 茉莉花茶.
食事バランスガイド 1日に「何を」 「どれだけ」 食べたら良いか 「料理」で示していている
ケータイの使い道に関心を 子どもがケータイをどのように使っているかご存知ですか?
中央大学松橋ゼミCチーム 渡邉洋介 本松惟敬 真勢遼介
コンビニのカウンターコーヒーの 課題と新しいサービスの提案
居酒屋の接客に関する研究 西林 愛華.
情報処理技法(リテラシ)I 第10回:Excel (1/2)
近畿大学 経営学部 2014年度卒業論文 題目 個人経営飲食店のアプリ取得率を上げる研究
緑茶の興味向上のためのキャッチフレーズの提案
新しいSNSの提案 島本 尋史.
高級ブランドメーカーの 広告戦略 経営学部 経営学科  中山 航.
実空間における関連本アウェアネス 支援システム
1.目的 サプライチェーンにおいて重要なこと ・商品のコスト ・商品の充填率 需要が予測できれば、 充填率を下げずに在庫が減らせる 在庫
AIDMAの法則とは。 商品やサービスの購入における購買決定の心理的プロセスを、その頭文字をとって表したもの。 そのプロセスを、
SA:石井 チーム:地底人 メンバー:大嶽・青山・野口
女子大生に向けた 健康志向のお菓子の パッケージの提案について
今日は広告のポスターを調べます。.
問題 あなたはポケモンGOをやっています. これから5か所のポケモンの巣(ポケモンがよく出る場所)を回って レアポケモンを捕まえに行こうと思っています. しかし,持ち物を見たらハイパーボール1つしかありませんでした. なるべくCPが高い(強い)レアポケモンを 捕まえたいのですが, 何か所目で捕まえれば.
プレゼンテーション資料の事例紹介 事例紹介 アニメーションの作り方.
車内広告の現状と効果を 高めるための研究 森本 早貴.
or-8. ゲーム理論 (オペレーションズリサーチを Excel で実習するシリーズ)
トマトケチャップA 鈴木理華 内藤航平 ホーバーケント
Presentation transcript:

売り上げUPにつながる 売り場作りの研究 on コンビニ 売り上げUPにつながる 売り場作りの研究 on コンビニ 07-1-018-0108 小松 愛友

 はじめに 1.目的     忙しい現代人の頼れる存在となったコンビニ。皆さんも頻繁に利用していると思います。買い物だけでなく、待ち合わせ、雑誌の立ち読み、暇つぶし、様々な用途があると思いますが、売り場に注目したことがありますか?実は売り場は店舗ごとに大きく違っています。どの店舗も売り上げを上げるための工夫を取り入れているのです。この売り上げUPにつながる工夫・要因に着目し、良い売り場のあり方を追及していくことを目的とします。 2.概要     店全体の売り上げは、客層や店の立地条件だけでなく、売り場を手がける人のセンス等にも影響されます。そのために、売り上げUPにつながる工夫・要因を提案・考察し、それらをアルバイト先のコンビニの売り場で実際に取り入れて、商品単品や売り場全体の売り上げ結果を分析します。 3.方法     ①自店で取り入れている工夫が本当に効果があるのか、実際の売り場の売り上げから分析、また、お客様の反応等から調べます。     ②他店の売り場見学を行って、自店に足りない工夫や改善点を見つけ出します。     ③売り込みたい商品を決め、①・②から得たアイデアを取り入れた売り場作りをし、1週間の売り上げ動向を分析します。 4.意義     過剰出店による競争激化、客単価の低下、利益率の悪化等いろいろな問題を抱えるコンビニ業界ですが、この研究により出た結果が自店の売り上げUPにつながり、また自店の色をより濃くできるのではないかと思います。

売り場について 1.商品の陳列 皆さんは普段何気なく売り場から商品を見つけ、手に取っていると思いますが、その売り場にはただ単に商品が陳列されているだけではありません。お客様が商品を探しやすいように、種類・メーカー・値段・形・大きさ等、様々な分類を基に商品が陳列されているのです。また、売り上げUPにつながる工夫・要因がたくさん隠れています。 2.目的買いと衝動買い 買い物の仕方にはこの2つがあります。「目的買い」とは、買うものを決めて来店することを言います。一方「衝動買い」とは、来店してから買うものを決めるという買い方です。実際、買うものを決めて入店するお客様は30%、入店してから買うものを決めるというお客様は70%だと言われています。 「目当ての商品や買う気がないのにプラス何か…」と考える「衝動買い」のお客様に、あと一品でも多く買って頂けるような売り場が、売り上げUPにつながる理想的な売り場なのです。 3.売り上げをUPさせるには 「目的買い」のお客様には目当ての商品が見つけやすい売り場、「衝動買い」のお客様にはいろんな商品が目に入りやすい売り場が、売り上げUPにつながります。 前者に挙げた売り場とは、商品が種類・メーカーをはじめとする、様々な基準に基づいて整理整頓された売り場ではないかと思います。一方、後者に挙げた売り場とは、お客様の興味を引き、店内でいろんな商品の情報が得られ、思わず商品を手にとって買ってしまうような売り場であると思います。

売り場レイアウトの工夫 1.フェイス数 商品名が印刷されている面、もしくは商品を陳列した際の列数のことを「フェイス」と呼びます。売り上げUPに最も効果の高まるフェイス数は3フェイスから5フェイスだと言われています。5フェイス以上ではあまり変化がありません。 フェイス数が拡大するほど 売り上げの伸びは鈍くなる。 ※5フェイス以上ではあまり変わらない フェイス数 1 2 3 4 5 6 7 8 売上指数 1.00 1.18 1.29 1.38 1.45 1.49 1.50 1.51

2.ゴールデンゾーン     コンビニの棚は日本人女性の平均身長155cmを基準に設計されていますが(ドリンク、チルド棚等を除く)、お客様は「水平よりやや下方10~30度」の範囲を見ています。その結果何段もある棚の中で商品が自然と目に入る高さで、販売数が多いゾーンを「ゴールデンゾーン」と呼びます。棚の最上段及び二段目がそうだと言われています(参考サイト(2)参照)。     このゾーンに売り込みたい商品を陳列することで売り上げUPが図れます。また、人間の視線はまず「中央」に集まり、その後徐々に「右方向」へ移動します。そのため、「左端」は見過ごされる可能性が高くなります。このことから、最も売り込みたい商品は左よりも真ん中~右に陳列する方が効果を狙うことができます。 100% 76% 96% 売り込みたい! 見過ごされがち…

3.新商品・類似定番商品の位置    毎週大量の新商品が納品されてきますが、新商品は値入率(商品の販売価格と仕入れ原価の差額の販売価格に対する比率を表したもの)が比較的良いため、売り込みたい商品となります。そのためそれらの商品は通常ゴールデンゾーンに陳列します。しかしそうすると元々ある類似定番商品が見落とされることが多くなり、売れ上げが落ち込みがちです。    これを改善するには、新商品と類似定番商品を近くに陳列することが必要なのです。お客様にどちらかが見落とされることを防ぎ、両方ともに注目がいくようにするためです。    新商品をたくさん売り上げるとともに、類似定番商品もそれまでの販売数を保つことが、売り場全体の売り上げUPにつながるのです。つまり、新商品だけが好売り上げ=良い売り場というわけではないのです。 今週の新商品! 近 く に 陳 列 ! 定番類似商品!

4.POPの必要性    POPとは、小売店などで用いられる販売促進のための広告のことをいいます。「Point of purchase advertising」の略で、コンビニだけでなく、書店やCDショップなど小売業全般でも用いられています。絵や文字で気軽にお客様に情報を提供することができ、売り上げを左右する力を持っています。    POPには営業本部から支給されるものもありますが、それだけでは商品の情報やインパクトが足りない場合があります。そのような場合には私たち店員が自ら作る、自作POPを使用します。そうするとお客様の目を引くことができ、また他店、他売り場との差別化もでき、自店の売り場の色をより濃くすることができると思います。

新商品を使っての実践    これまで述べた売り場レイアウトの工夫やアイデアを基に、2010年12月7日の新商品「じゃがりこたらこバター」を使って実際に売り場を作り、単品・売り場全体の1週間の売り上げ動向を分析しました。     なぜこの商品を選んだのかというと、「じゃがりこ」はポテトチップス等の袋菓子やチョコレート菓子等に並ぶ定番商品で、知名度も高くファンも多い商品です。そのような商品の新商品にお客様の関心は強く、必ずといって良いほど好売り上げを記録します。ということは、どの店舗もこの商品を売り込もうとしてきます。その激しい競争の中、自分の研究を基に手がけた売り場がどの程度通用するのか勝負をかけようと思い、この商品を選びました。

私が手がけた売り場 最上段にピラミッド型に積み上げました。自然とお客様の目に入り、インパクトを与える作戦です。また、ボリューム感も持たせました。(図1) POPは自作のものも、営業本部から支給されるものも、フル活用しました。本部類似定番商品はすぐ下段に陳列し、売り上げDOWNを防ぎます。 またレジ前にも陳列し、W展開をしました。レジはお客様が買い物の際必ず通る場所なので、そこに商品を展開すれば100%目に入ります。レジの順番や袋詰めを待つ間、自然と目が行き、手に取るお客様が多いです。また、スタッフが近くにいるため、「新商品です、いかがですか?」等、声をかけたり売り込みがしやすくなります。(図2)

本部POP 自作POP 近 くに陳 列 (図1) (図2)

売り上げ結果分析 2010年12月7日~13日の 「じゃがりこたらこバター」のエリア売り上げランキング 売り上げ結果は表1の通り、エリア2位でした。1位の店には39個も差をつけられてしまいましたが、自店の売り場の売り上げは前週比210.4%増と、かなりの好成績でした。 店名 売り上げ個数 1 ○○○○○店 162 2 自店 123 3 △△△△△店 100 4 □□□□□店 61 5 ×××××店 59 6 ◎◎◎◎◎店 55

    紹介したアイデアや、たくさんの売り上げUPにつながる要素を盛り込んで作った売り場なので、エリア1位を獲得する自信があったのですが、1位の店との売り上げの差は非常に残念でした。なぜこのような結果になったのかと思い、売り場見学に行きました。するとじゃがりこ売り場の棚6段の上から下まですべてを「じゃがりこたらこバター」で埋め尽くすという、インパクト重視の売り場を展開していました。250個以上の「じゃがりこたらこバター」が陳列されていたと思われます。この店は常にランキング上位の店であるのですが、理由はインパクトある売り場にあるのではないかと思いました。上から下までピンクの棚が目に入れば、通り掛かったお客様は必ず足を止めるはずです。目的買い・衝動買いどちらのお客様にも買う機会を増やしているのではないかと思います。さらに店自体の認識にもつながり、客数UPにも関わっているかもしれません。ちなみに第四章の図13で紹介したインパクト大の売り場もこの店のものです。    この研究を通して、自分の売り場には「インパクト」がまだまだ不足していることに気づけました。それと共に、この「インパクト」こそが売り場に最も必要なものなのではないかという結論に達しました。売り場、店自体に「インパクト」を持たせることで、お客様の記憶に残り、商品の購入や再来店へとつながるのです。     つまり売り上げUPにつながる売り場を作る際には、お客様の「視線のマネジメント」が必要となってきます。「インパクト」によってお客様の目・興味を引き、「記憶→連想→反応」という購入プロセスをよりはっきりと、確実なものにしなければなりません。もちろん第2、3、4章で述べたことも重要ですが、それに加えて「インパクト」が大きければ大きいほど、お客様の反応も大きくなるようです。「インパクト」を念頭に置いて売り場レイアウトを考えると、商品単品の売り上げ、さらに店全体の売り上げがUPしていくのです。