・買い物難民 ・地域住民のライフライン危機 ・交通弱者 ・無医村民 ・地域経済の衰退 ・少子高齢化 ・ゴーストタウン etc…

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私たちの生活を支える ライフラインの強化を目指して ~過疎地域におけるガソリンスタンド経営の新提案~ 2014年 12月6日 私たちの生活を支える ライフラインの強化を目指して ~過疎地域におけるガソリンスタンド経営の新提案~ 2014年 12月6日 赤井亜澄 秋元美咲 伊東亜耶花 加藤充汰 松下奈加 南山大学 寳多康弘研究会

・買い物難民 ・地域住民のライフライン危機 ・交通弱者 ・無医村民 ・地域経済の衰退 ・少子高齢化 ・ゴーストタウン etc… 動機・背景(1/5) 過疎化によって起こる問題 ・買い物難民 ・地域住民のライフライン危機 ・交通弱者 ・無医村民 ・地域経済の衰退 ・少子高齢化 ・ゴーストタウン   etc… 交通網の 不十分さが原因

動機・背景(2/5) 地域別車両保有台数(世帯あたり) 平成12年度以降の全国廃止路線長の推移 全国33路線 634kmが 廃線 (世帯数) (年度) 平成12年度以降の全国廃止路線長の推移 (㎞) 全国33路線 634kmが 廃線 (年度)

動機・背景(3/5) 過疎地の住民の生活を守るためには、交通の確保が重要 公共交通機関が減少し続けている過疎地域にて、       残された交通手段は車のみ 過疎地域の住民の生活を守るためガソリンが必要不可欠であり、ガソリンスタンド(Service Station, SS)の維持が課題

動機・背景(4/5) SS数・ SS事業者数推移 平成6年 60421件 平成25年 34706件 -25715件 SS数ピーク 平成6年  60421件 平成25年 34706件       -25715件   42.5% 減少 SS数ピーク SS数・ SS事業者数推移 出典:経済産業省資源エネルギー庁HP「揮発油販売業者数及び給油所数の推移(登録ベース)」平成25年 をもとに筆者作成

出典:経済産業省資源エネルギー庁委託調査事業「平成22年度石油産業体制等調査研究(石油製品供給不安地域調査)」 動機・背景(5/5) ガソリンスタンド過疎地域 現在、資源エネルギー庁が定める 域内のSS数が3ヶ所以下の市町村 市町村内SS数  3ヶ所以下 ⇒全市町村中約16% 絶対数だけの 定義 不十分! 出典:経済産業省資源エネルギー庁委託調査事業「平成22年度石油産業体制等調査研究(石油製品供給不安地域調査)」

本稿の目的 ガソリンスタンド過疎地域、 分析により、ガソリンスタンドが不足している 将来的にガソリンスタンド不足に成り得る 地域の精確な抽出・把握 ガソリンスタンド過疎地域、 将来的にガソリンスタンド不足に成り得る 地域にも対応できる政策の実現

先行研究(1/2) ①日本建築学会計画系論文集77巻 讃岐・吉川(2011)「ガソリンスタンドのアクセシビリティ評価と施設 撤退の影響評価-岩手県を分析対象にして-」 ■ガソリンスタンドの立地について、 地域住民のアクセシビリティの観点からGISを用いて分析 ②資源エネルギー庁報告書 「平成22年度石油産業体制等調査研究」 ■経営が困難となったガソリンスタンドを維持するための 安定供給対策案

先行研究(2/2) 【本稿の貢献】 ①居住地から最寄りガソリンスタンドの距離を求め、ガソリンスタンドが不足している地域を分析により精確に割り出す ②どのような地域に施行すればよいかが明確ではないため、地域・ガソリンスタンド双方の特徴を考慮した政策の提言

予備的分析 SS過疎地域数の将来推移分析 独自の分析により著者作成

分析GIS分析(1/4) 目的 精確なガソリンスタンド不足地域の抽出 直線距離を重視したSS過疎地域 分析GIS分析(1/4) 目的 精確なガソリンスタンド不足地域の抽出 直線距離を重視したSS過疎地域 GIS(Geographic Information System)について 給油所データ: iタウンページ 人口データ 500mメッシュデータ 町丁字データ E-Stat

分析GIS分析(2/4)分析対象県の絞り込み 《各県の合計得点結果》 順位 (得点) 都道府県名 1位 28点 秋田県 2位 23点 高知県 3位 21点 岩手県 4位 20点 島根県 SS減少要因 ・人口密度 ・高齢化率 ・人口減少率 得点の定義 1.各要素ごとに順位づけ 2.1位10点,2位9点…   10位1点と配点する 3.各県の合計得点を求める +愛知県:SS減少要因が見られにくい地域

分析GIS分析(3/4) 距離の定義 ①→ ②→ ③→ ②可住地面積10k㎡当たり ③SS過疎地域と認識している市町村 →11㎞ 資源エネルギー庁報告書より ①給油所間の道路移動距離→5㎞ ②可住地面積10k㎡当たり     SS8ヶ所未満の市町村→5.6㎞ ③SS過疎地域と認識している市町村            →11㎞ ※②、③は自宅-最近隣SSまでの平均移動距離 ①→ ②→ ③→ 0m 5000m 5600m 11000m

分析GIS分析(4/4) GIS結果       GIS分析 -秋田県-       GIS分析 -高知県-       GIS分析 -島根県-      GIS分析 -愛知県-

分析 ヒアリング調査(1/3) SS経営者への経営状況ヒアリング 調査1 資源エネルギー庁が公表しているSS過疎地域へのヒアリング 調査2 分析 ヒアリング調査(1/3) SS経営者への経営状況ヒアリング 調査1 資源エネルギー庁が公表しているSS過疎地域へのヒアリング 調査2 GISで求めた、SSが不足している地域へのヒアリング

〈定義されているSS過疎地域へのヒアリング〉 分析 ヒアリング調査①(2/3) 〈定義されているSS過疎地域へのヒアリング〉 対象:愛知県A村 【ヒアリング項目】 出資元 SS経営の採算・赤字について 灯油及び軽油の移動販売 顧客層 最も利用の多い車種 周辺地域住民とのつながり 地域住民の認識度 将来の経営の見通し 地域情報 人口(人) 1336人(H22) 面積(k㎡) 155.91k㎡ SS数(ヶ所) 3ヶ所 車両保有台数(台) 1642台 公共交通機関 村営バス ヒアリング結果… SS不足と 感じていない 対策を行うべき地域が見つけられない GIS分析の必要性

分析 ヒアリング調査②(3/3) GIS分析の結果に妥当性が得られた 複数の出資型モデルが必要であると判断 分析 ヒアリング調査②(3/3) 〈分析結果を踏まえたSS不足地域〉 地域情報 秋田県 B町 高知県C町 愛知県 D町 人口(人) 6824人 25062人 8478人 面積(km²) 202km² 470km² 193km² SS数(ヶ所) 4ヶ所 11ヶ所 2ヶ所 車両保有台数(台) 273008台 情報公開なし 公共交通機関 鉄道・バス 【ヒアリング項目】 SS経営の採算 周辺地域住民との つながり 他事業展開 将来の経営見通し   ヒアリング結果… SS不足地域によって 状況や特徴の一貫性なし GIS分析の結果に妥当性が得られた 複数の出資型モデルが必要であると判断

分析のまとめ ひとつの対策を過疎地域のすべての ガソリンスタンドに施行することは有効ではない 持続性をもたせた経営の実現を目指す 予備的 分析 人口減少によりガソリンスタンド(SS)過疎地域は大幅な増加傾向 SSが不足している地域をより精確に明らかにした GIS分析 資源エネルギー庁が公表しているSS過疎地域の現状把握 →SS不足でない地域も存在 →各SSで異なる状況・特徴を確認 ヒアリング調査1 GIS分析で求めた、SSが不足している地域の現状把握 →SS不足 →各SSで異なる状況・特徴を確認 ヒアリング調査2 ひとつの対策を過疎地域のすべての ガソリンスタンドに施行することは有効ではない 持続性をもたせた経営の実現を目指す

「経営出資元の見直し」を提言 政策提言(1/5) 個々のガソリンスタンド過疎地域に適した 出資型モデルケースの選択が可能 SS出資型リストの作成 各出資型の成立条件を考察 SS出資型モデルケースの提言 個々のガソリンスタンド過疎地域に適した 出資型モデルケースの選択が可能

政策提言(2/5) ガソリンスタンド出資型リストの作成 既存の出資型 新たな出資型 加藤・福本(2005) から改変 新たな出資型 出典:第31回土木計画学研究 福本・加藤(2005)「役割分担に着目した地域公共交通運営方式の分類と各方式の有効性検討」より筆者作成

出資型ごとの成立条件の考案 政策提言(3/5) 成立条件…以下4つの担い手はどこか ・SSの経営者 ・SSの店舗責任者 ・資金負担

政策提言(4/5) =出資型モデルケース SS出資型モデルケースの提言 SS経営の担い手を ヒアリングから明らかにし、表を作成 担当比重度 ガソスタ経営者 店舗責任者 資金負担 意見反映率 自治体 商工会企業 SS事業者 地域住民 担当比重度 ◎:大いに該当 ○該当 △:場合により該当 ―:該当なし

政策提言(5/5) 既存の出資型 既存の出資型 新たな出資型 C-① JA主導型 B-② 地域住民主導+自治体協力型 経営者 責任者 資金 意見反映率 自治体 ー 商工会 事業者 JA ◎ ○ 住民 組合員 非組合員 B-① 地域住民主導型 経営者 責任者 資金 意見反映率 自治体 ー 商工会 前・事業者 △ 現・事業者 ◎ ○ 住民 B-① 地域住民主導型 経営者 責任者 資金 意見反映率 自治体 ー 商工会 前・事業者 △ 現・事業者 ◎ ○ 住民 A-① 自治体主導+商工会企業協力型 経営者 責任者 資金 意見反映率 自治体 ー ○ 商工会 △ 事業者 ◎ 住民 加藤・福本(2005)から改変 既存の出資型 加藤・福本(2005)から改変 既存の出資型 新たな出資型 B-② 地域住民主導+自治体協力型 経営者 責任者 資金 意見反映率 自治体 ー ○ 商工会 前・事業者 △ 現・事業者 ◎ 住民 B-② 地域住民主導+自治体協力型 経営者 責任者 資金 意見反映率 自治体 ー ○ 商工会 前・事業者 △ 現・事業者 ◎ 住民 C-② JA主導+事業者協力型 経営者 責任者 資金 意見反映率 自治体 ー 商工会 事業者 ○ JA ◎ 住民 組合員 非組合員 A-② 自治体主導+事業者協力型 経営者 責任者 資金 意見反映率 自治体 ー ◎ ○ 商工会 事業者 住民

今後の課題 ・GIS分析の全国展開 ・各機関の連携支援の実現を目指す 本稿で提言した最適な出資型の選択を行うための、自治体・SS事業者・企業など各機関の連携支援を目指す

御清聴ありがとうございました。