体育活動時等における 事故対応テキスト ~ASUKAモデル~ 解説

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1 はじめに 2 防災主任配置に至る経緯 3 防災主任の役割 4 具体的な業務の例 5 教職員の連携・役割分担 6 おわりに
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自由席にしています。 資料のある席へお座りください.
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体育活動時等における 事故対応テキスト ~ASUKAモデル~ 解説 研修用資料 このスライドは、ASUKAモデルを活用した校内研修の参加者用テキストとして作成した「体育活動時等における事故対応テキスト~ASUKAモデル~解説」に沿っている。 救命現場で起きたことをできる限り客観的に検討し作成した。 ※各ページの説明記述の左上<解説  ページ>は、「体育活動   時等における事故対応テキスト~ASUKAモデル~解説」の、 どのページの説明にあたるかを示している。 ※各ページの説明記述の「 ゴッシック太字 」 は 読み原稿、 「明朝体」は指導者への解説である。

ASUKAモデル を活用した校内研修 危機管理対応マニュアルに基づく 傷病者発生時対応訓練 さいたま市立○○学校 ASUKAモデル を活用した校内研修 危機管理対応マニュアルに基づく 傷病者発生時対応訓練 さいたま市立○○学校 研修会の前に、ASUKAモデル解説の4ページ、5ページを読むように指示しておくとよい。 「これから校内研修を始めます。今日はASUKAモデルを使って、傷病者発生から医療機関への搬送までを想定した傷病者発生時対応訓練を行います。お手元にASUKAモデル解説の冊子をお配りしました。」 さいたま市教育員会学校教育部健康教育課作成

研修会次第(例) ○あいさつ ○ASUKAモデルについて (研修の意義) Ⅰ 日常における重大事故の未然防止 (1)教職員等の危機管理に関する意識や資質の向上 (2)危機管理体制の整備 (3)自己の健康管理に関する指導 Ⅱ 体育活動時における重大事故の未然防止 (1)ブリーフィング Ⅲ 重大事故発生時における対応 (1)第一発見者としての対応 (2)応援者としての対応 ①リードバック・ヒアバック ②119番通報 ③保護者連絡 Ⅳ 事故発生後の対応 ○傷病者発生時対応訓練 ○まとめ ○あいさつ 等 これは進行例。各校の設定時間に応じて変更することができる。 訓練事例は校種、実施時期、行事等に合わせ、選択する。 受講者が習熟してきたら、管理職不在や養護教諭不在などの設定を追加して難易度をあげながら行うとよい。 「今日は、このような内容で研修会を行います。」

平成23年9月29日 16:04頃 平成23年9月29日 16:15 平成23年9月29日 16:37 平成23年9月30日 21:48 事故の概要 平成23年9月29日 16:04頃  ○市立小学校6年生の桐田明日香さんが、駅伝の課外練習中に倒れる。 ○現場で指導していた教員等は「脈がある」「呼吸がある」ととらえ、心肺蘇生及    びAED装着を行わない。 平成23年9月29日 16:15  ○到着した救急隊がCPA(心肺停止)であることを確認する。心肺蘇生を開始   する。 平成23年9月29日 16:37  <解説4・5ページ>はじめに、本事故に関する分析から 「まずは解説4ページ、5ページの『はじめに』と『本事故に関する分析から』をお読みください。」 読み終わった頃を見計らって 「アイムセイファーという事例分析方法は、『なぜこの行動をとったのか?』をブレインストーミングのようにその可能性を考えだし、さらに『なぜ?』と考える『なぜなぜ分析』と呼ばれる分析方法で行います。可能性を考え出してその対策を考えているので、この事例の原因を追究しているものではありません。 ○救急隊から医師に引き継ぐ。 平成23年9月30日 21:48  ○死亡が確認される。

○運動強度の高い活動の際に児童生徒の情報を共有する体制の整備不足 これらは学校だけでなく 、 一般に広く見られる状況 学校の対応の背景 組織的な対応力の問題 ○危機管理マニュアルの不徹底    ・事故発生時の命令系統が不明確    ・傷病者に関する情報の管理不足    ・危機管理マニュアルに基づく事故発生時の組織的な対応訓練の不足 ○養護教諭への依存 現場の判断力と実行力の問題  ○心肺蘇生に関する研修が不十分   ・心肺蘇生に関する知識の不足(死戦期呼吸やAEDの心電図解析機能など)     ・傷病の状況及び進行に関する判断力の不足    これまでの取組では、非医療従事者に、呼吸停止状態を短時間で判断し、    直ちに心肺蘇生の開始を期待することはかなり厳しい。 <解説4・5ページ> 「この事故の検証委員会の報告を受け、ASUKAモデルのプロジェクトチームでは、学校の安全度を高めるため事故の経過を分析しました。その中から、『組織的な対応力の問題』『現場の判断と実行力の問題』『児童生徒の健康状態等の情報共有の問題』をとり上げました。これは学校だけでなく広く一般的にみられる状況と考えられます。」 児童生徒の健康状態等の情報共有の問題 ○運動強度の高い活動の際に児童生徒の情報を共有する体制の整備不足

研修の目的 心臓突然死 年間6万人 ○完璧でなくても勇気をもって ○できることをみんなで声に出して協力して行う。 <解説4・5ページ> 「心臓突然死は何の前触れもなく、いつでも、どこでも、誰にでも起こりうることであり、日本で毎年、年間6万人、1日平均164人が心臓突然死で亡くなっています。これは交通事故の10倍以上の人数です。一人でも多く救うためには、この救命の連鎖が必要です。『心停止の予防』『早期認識と通報』『心肺蘇生とAED』『二次救命処置と心拍再開後の集中治療』です。しかし、心臓突然死の現場に居合わせた市民が心肺蘇生を行う割合は40%に届きません。日本はAEDの設置は急速に普及し、設置台数に関しては世界一と言われていますが、使える人がまだまだ少ない現状がありますので、この研修で学んでいきたいと思います。」 「心肺蘇生(CPR)」とは、呼吸がないか、異常な呼吸が認められる傷病者に対し、胸骨圧迫と人工呼吸を行い、循環と呼吸の機能を代行して救命する手当てを言う。

心肺蘇生の効果 心肺蘇生を行うと、心室細動を維持し、生存率を2~3倍上昇させることができる。 除細動が一分遅れるごとに救命率は 時間(分) 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 救命率(%) 心室細動による心停止後の退院にいたる救命の可能性(生存退院率)と心停止から除細動までの時間。 心肺蘇生を行うと、心室細動を維持し、生存率を2~3倍上昇させることができる。 除細動が一分遅れるごとに救命率は 7~10%低下 <解説4・5ページ>  「心室細動になってしまった場合、電気ショックが1分遅れると救命率が10%低下すると言われており、校内の、どこで人が倒れても5分以内に電気ショックを行うことが目標です。『秒』単位で救命処置を開始できることが最重要であり、「現場」で応急処置を始めます。反応の確認、呼吸の確認で判断に迷ったら、次の処置として119番通報などの応援要請をすること、胸骨圧迫などの心肺蘇生の実施に進むことが、人の命を救います、また、社会復帰率も上がります。」  現在AEDが設置してある場所と、校地内の一番遠い場所が往復5分以内であることが望ましい。 「心室細動」とは、心臓が血液を全身に送り出すポンプの働きをしなくなる、きわめて危険な状態。 写真データ提供:京都大学環境安全保健機構附属健康科学センター 石見 拓准教授 

AEDだけで人は救えない AEDが有効(電気ショックの適応あり)な心室細動という状態は、時間とともに消失 (多くは5、6分で) (例) 6:02 心室細動、始まる。 6:07 心室細動、02分の時より     弱まる。 6:11 心室細動消失(電気     ショック適応なし) AEDが有効(電気ショックの適応あり)な心室細動という状態は、時間とともに消失 (多くは5、6分で) <解説4・5ページ> 「救命処置において胸骨圧迫が一番大事です。AEDが有効な『心室細動』という心臓の状態は、時間とともに(多くは5,6分で)消失していくので、1秒でも早く行動することが重要です。胸骨圧迫を行うと、この『心室細動』の状態を『長持ち』させることができるので、胸骨圧迫が最も大切です。心臓が停止しても、心室細動が起こらない場合、また、この図のように発見が遅く心室細動が消失してしまった場合、AEDが電気ショックは不要と判断しますが、胸骨圧迫は必要です。胸骨圧迫を正常に動いている心臓に行っても問題ないと言われています。勇気をもって胸骨圧迫を行い、AED、そして救急隊へと命を繋いでください。」 情報:救急隊が来てからAEDを実施するより、倒れた現場にいる人間が    AEDを実施する方が社会復帰率が上がるという統計がある。   :心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)を行うと、生存率を2~3倍上昇    させる効果がある。 電気ショックの適応なし・・・ (N Engl J Med. 2004;351:632-4) 写真データ提供:京都大学環境安全保健機構附属健康科学センター 石見 拓准教授 

絶え間ない胸骨圧迫の重要性 Standard CPR 血圧 = chest compression MICR 血圧 時間 MICR <解説4・5ページ> 「絶え間ない胸骨圧迫によって救命に必要な血圧を保つことができます。1~2秒の中断で血圧が下がってしまうことが、動物実験で分かっています。絶え間ない胸骨圧迫を心がけましょう。」 「なお、普段どおりの呼吸がある場合は、気道確保または回復体位で呼吸や意識を常に注意し、いつでも胸骨圧迫やAEDの使用等ができる体制をつくります。意識や呼吸の状態は不安定のため、本人から目を離さないようにします。また、第一発見者は最初に来た人に指揮命令者になるよう要請します。そして、できるだけ多くの応援者を集めることも重要です。」 「この研修会は、教職員が誰でも、ここに示す一つ一つの判断・行動について、いつでも、どの立場でもできるようになること、いざという時に子どもの命を救うことができるようになることを目指します。」 血圧 Berg et al, 2001 時間 写真データ提供:京都大学環境安全保健機構附属健康科学センター 石見 拓准教授 

(1)教職員等の危機管理に関する意識や資質の向上 Ⅰ 日常における重大事故の未然防止  (1)教職員等の危機管理に関する意識や資質の向上 研修会の根拠 学校保健安全法 第二十九条       (危険等発生時対処要領の作成等) 学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の実情に応じて、危険等発生時において当該学校の職員がとるべき措置の具体的内容及び手順を定めた対処要領(次項において「危険等発生時対処要領」という。)を作成するものとする。 2  校長は、危険等発生時対処要領の職員に対する周知、訓練の実施その他の危険等発生時において職員が適切に対処するために必要な措置を講ずるものとする。 <解説6ページ> 「それでは、ASUKAモデルの内容に入ります。日常における重大事故の未然防止について説明しますので、解説6ページを開いてください。」 「まずは、このページをみて、各自の受講状況等をチェック欄で確認し、チェック等をしてください。研修会の法的根拠は、学校保健安全法第29条にあります。」 (1分程度時間をとる。) 「普通救命講習1の受講が必要な者」と「応急手当普及員講習受講希望者」は、いつまでに、だれに報告するのか、明らかにしておくとよい。 「今年度、研修が必要な方は、___月___日までに、_____先生まで、申し出てください。また、普及員を希望する方も申し出てください。申し出がない場合は推薦することもありますので、その際はご協力ください。」 <解説7ページ> 「危機管理体制の整備について、解説7ページのチェック欄を確認していきます。本校の危機管理マニュアルと解説22ページの参考資料1、小中高等学校でのAEDの使用を含む心肺蘇生法の指導例は、研修会後に各自で読んでください。」 指導者が読み上げながら、各自がチェックするように促す。授業、AED設置場所等の情報提供については、自校の状況を確認する。 質問があった場合の情報  「具体的な意識状態の確認方法には、 自らの意志で手足が動かせるか、会話できるか、呼びかけや肩を軽くたたいたときに反応があるかなどがある。救急隊到着時にその経過を伝えます。」 現場に多くの教職員を集める方法について、案を出し合い、全員で確認するとよい。 例:不審者対策と同様に、緊急時に放送する文言を決めておく  など

(2)危機管理体制の整備:傷病者発生時における判断・行動チャート Ⅰ 日常における重大事故の未然防止  (2)危機管理体制の整備:傷病者発生時における判断・行動チャート ○ 傷病の状況把握  ○ 応援の要請  ○ 心肺蘇生の実施 <解説8ページ> 「解説8ページを開いてください。第一発見者の行動について確認します。」 「まず、傷病者の周囲の安全を確認します。1秒でも早く救命処置を開始するために「現場」が基本ですが、車道上など、周囲が安全でない場合は、首が動かないように注意しながら安全な場所に移動します。」 「次に、傷病者の反応、意識の確認をします。この時、反応の確認に時間を取られてはいけません。わからなければ「わからない」と判断して、すぐに応援要請、119番通報とAEDの手配をします。」 「そして、普段通りの呼吸がないまたはわからない場合(普通救命講習でも呼吸の確認は10秒以内とされている)は、直ちに心肺蘇生を開始します。胸骨圧迫は『強く、速く、絶え間なく』です。そして、疲れる前に交代することが重要です。それでは、8ページのチェック欄をチェックしてください。」 (1分ほど待つ) 質問があった場合の情報 「倒れた様子を見た人がいるかどうか素早く、大きな声で周りに聞き、様子を把握します。頭を強く打ったか、高い所から落ちたか、出血があるか、突然一人で倒れたのか、などです。頭を打っていたり、高いところから落ちていたりしていた場合は骨折や内臓損傷などを疑い、なるべく体を動かさないようにします。大出血があれば、出血部にハンカチなどを当て、骨に向かって強く圧迫する直接圧迫止血などを行います。(保健室に止血パッドがある。)」

(2)危機管理体制の整備 (3)自己の健康管理に関する指導 Ⅰ 日常における重大事故の未然防止 (2)危機管理体制の整備 (3)自己の健康管理に関する指導 (2)・口頭指導に対応する記録用紙の活用 ・児童生徒の健康に関する情報の把握及び共通理解 ・保健室環境の整備 ・重大事故発生時携行機材等のパッケージ化 ・携帯電話等の所持 ・救急搬送にかかわるスペースの確保 (3)・自己の健康観察 (健康観察簿の提出) <解説9・10ページ> 「9・10ページを見てください。119番の通報では、指令センター員から傷病者にとって有効な口頭指導を受けるためには、正確な情報を伝えることが必要です。119番通報をするよう連絡を受けたら、携帯電話やコードレス電話などで119番通報を行いながら、現場に向かってください。後ほどシミュレーションします。」 「1秒でも早く、医療機関へつなぐためには、緊急時に備えて事前に環境整備を行うことが重要です。日々の生活の中で緊急時をイメージして、現実的な環境整備を進めることが大切です。チェックボックスにチェックしながら確認していきます。」 「本校では、保健調査票と緊急連絡カードは      にあります。医療機関やタクシー会社の連絡先は        にあります。」  必要な情報(近隣医療機関連絡先、主治医の連絡先、タクシー会社℡など)がどこにあるのか全教職員で確認する。 「救急車は    から入ります。救急車の駐車スペースは     です。これらのスペースは、いつもあけておいてください。また、ストレッチャーによる搬出入路を確保するために、廊下や出入口などにはものを置かないようにしてください。」  救急車の進入経路、駐車スペース等の確認をする。 「パッケージ化した重大事故発生時携行機材等は       に置いてあります。中身は        です。」  重大事故発生時携行機材のパッケージの内容、使い方を全教職員で確認する。 「携帯電話は         とします。」  携帯電話の扱いについて、管理職指導のもと共通理解する。各学校の体育活動等を行う場所と固定電話との位置関係などから、どのような場合にだれが持つかなどを具体的に確認するとよい。 「健康観察簿は、朝必ず担任が記録し、     までに      に提出します。変更があった場合は、保健室に報告してください。」  健康観察簿の提出(いつ実施し、いつまでに、どこに提出するのか)について確認する。

Ⅱ 体育活動時等における重大事故の未然防止 Ⅱ 体育活動時等における重大事故の未然防止        ブリーフィングとは 最終打ち合わせのことを言う。 指導者全員が集まりチェックリストを用いて行う。 互いに声に出しながら行う。基本的であり、重要な事項のみに絞り、長くても1分以内とする。 チェックリストは、5から9項目がよい。 指導の開始前と終了後に行う。 <解説11ページ> 「解説11ページを見てください。ブリーフィングとは指導開始前などに緊急対応等を全員で確認して共有化する打合せ、つまり最終打ち合わせのことを言います。指導者全員が集まりチェックリストを用いて行います。互いに声に出しながら行うのが基本で、重要な事項のみに絞り、長くても1分以内で実施できる内容にします。ブリーフィングの際のチェックリストは、5から9項目がよいとされています。体育活動等の指導の開始前と終了後の両方で行います。」

Ⅱ 体育活動時等における重大事故の未然防止 (1)指導開始前のブリーフィング Ⅱ 体育活動時等における重大事故の未然防止      (1)指導開始前のブリーフィング <解説11ページ> ブリーフィングの訓練を行う。低、中、高学年など参加人数によりグループを調整する。 「各グループで、この研修会終了後、最初に行う体育活動時を想定してブリーフィングをします。今日は、グループの体育指導部の先生が中心に行ってください。」 「ブリーフィングの進行は当番制にします。」 「進行担当者は当日の天候、管理職、養護教諭の所在、AEDや携行機材の場所について事前に調べておきます。」 「活動の主担当者は当日の指導計画を全員に伝えます。」 「担任や指導者は、健康上配慮を要する児童生徒の基礎疾患や既往症 、当日の健康状態と配慮事項 を確認して伝えます。」 「訓練では、実際のクラスの児童生徒を思い浮かべて行ってください。」 <解説13ページ> ‐ グループごとの活動前のブリーフィング訓練の実施 ‐ 訓練実施後、解説13ページの【資料1】「体育活動時等ブリーフィング実施予定」の説明をする。  「この資料は、今年度行う体育活動時等について、学年ごとに書き出し、各活動時のブリーフィング担当者を決めるための用紙です。」

Ⅱ 体育活動時等における重大事故の未然防止 (2)指導終了後のブリーフィング Ⅱ 体育活動時等における重大事故の未然防止      (2)指導終了後のブリーフィング <解説12ページ> 「解説12ページにあるように、指導終了後にもブリーフィングを行う必要があります。」 「今と同じように、活動後のブリーフィングの訓練をグループごとに行います。」 「体育活動等の指導が終わった後、配慮を要した児童生徒の様子を指導者全員に伝え、もし事後の連絡等が必要な場合には、その後の対応を全教職員で共有し、確実に実行します。」 実行した措置を担任に伝える、養護教諭に伝える、管理職に報告する、保護者に連絡する、翌日の健康観察につなげる等、学校でどう扱っていくか、確認しておくとよい。 ‐ グループごとの活動後のブリーフィングの訓練の実施 ‐ <解説11・12ページ> 「それでは11・12ページのチェック表で各自確認してください。」 「なお、授業や部活動など一人で体育活動等の指導を行う際にも、ブリーフィングのチェックリストにある天候や健康状態などに配慮が必要です。」 1分ほど時間をとる。

Ⅲ 重大事故発生時における対応 (1)第一発見者としての対応 Ⅲ 重大事故発生時における対応  (1)第一発見者としての対応  反応と呼吸の確認 心肺蘇生(胸骨圧迫・人工呼吸)は、一刻も早く、AED到着前から開始。AED通電の必要なしでも、続ける。 <解説14ページ> 「次に解説14ページを開いてください。事故発生時における対応を確認していきます。まず、第一発見者の対応ですが、解説8ページの『傷病者発見時の判断行動チャート』の説明が記されています。『傷病者の状況把握』『応援の要請』『心肺蘇生の実施』の3つのことを行います。気をつけたいポイントは、反応と普段どおりの呼吸が「わからない」場合は、応援要請や心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)を開始することです。」 「市内では、現場にAEDが届くまで、何もしないで待ってしまった事例があります。AED到着前から胸骨圧迫を開始してください。AEDが到着したら、まず、AEDの電源を入れ、音声ガイドに従ってください。」 「市内AED使用事例については、解説26ページの≪参考資料2≫に記載されていますので、研修終了後、各自で確認してください。」 「それでは、解説14ページのチェックボックスにチェックしてください。」

Ⅲ 重大事故発生時における対応 (2)応援者としての対応 : 指揮命令者 ~ リードバック・ヒアバック ~ Ⅲ 重大事故発生時における対応  (2)応援者としての対応 : 指揮命令者 ~ リードバック・ヒアバック ~ <解説15ページ> 「次に、解説15ページを見てください。応援者としての対応は、指揮命令者と後から到着した応援者の対応にわかれます。」 「重大事故発生時における対応として、全員に行っていただきたいことがあります。それは、しっかり言葉で指示等を復唱して指示内容を確認し合うことです。それがリードバック、ヒアバックです。」 「これらを行うことにより指揮命令者と応援者が相互に指示を理解したか、正しく伝わったかを確認することができるとともに、周囲で聞いている人たちにも何が行われているのかが明確になります。事故発生後の対応で、とても重要になります。救急車の到着は通報から平均8分です。休み時間よりも短いです。周囲にいる児童生徒は、児童生徒の誘導を指示された応援者に任せ、第一発見者やその他の応援者は傷病者の対応をしてください。また、時間の記録に際して、誰の時計を基準にするのか、確認が必要です。」 「指揮命令者は、この指揮命令内容チェックシートを使って、後から来た応援者に指示をしてください。」 解説17ページに【資料2】「リードバック、ヒアバック(復唱確認)の訓練例」を掲載している。 これを使って役割分担(登場人物9人)をして、訓練を行うとリードバック、ヒアバックを理解できる。 また、解説28、29ページの≪参考資料4≫に「訓練時における対応確認表として『第一発見者』用と『応援者(指揮命令者)』用 を掲載してあり、このあとの「事故発生時の対応訓練」の際に、周囲で見ている人のチェック表として活用できる。

Ⅲ 重大事故発生時における対応 (2)応援者としての対応 : 119番通報 Ⅲ 重大事故発生時における対応  (2)応援者としての対応 : 119番通報 <解説16ページ> 「解説16ページには、指揮命令を受けた応援者の役割があります。役割は、『救急車の要請』や『保護者への連絡』『児童生徒の状況及び対応の記録』など6つあります。」 <解説17ページ> 「それでは、解説17ページを見てください。リードバック、ヒアバックの訓練を行います。」 配役を決めて、読み合わせのように行い、雰囲気をつかむ。 <解説18ページ> 「次に、119番通報訓練を行います。解説18ページを開いてください。指令センター員から適切な口頭指導を受けるためには、正確な情報を伝える必要があります。119番通報するように連絡を受けた人は、携帯電話やコードレス電話等で119番通報しながら、現場に向かいます。現場に向かいながら住所や通報者の氏名など先に伝えられることを伝え、現場に到着したら、指揮命令者や第一発見者からの情報を伝えます。」 指導者(司会進行者)が指令センター員役となり、教職員全員で一斉に訓練する。 119番通報の基本の訓練に習熟している場合は、27ページ≪参考資料3≫「119番通報の訓練例(応用)」を行ってもよい。

Ⅲ 重大事故発生時における対応 (2)応援者としての対応 :保護者への連絡 Ⅲ 重大事故発生時における対応  (2)応援者としての対応 :保護者への連絡 ポイント ①119番通報やAEDの手配など命をつなぐ現場の指揮命令が終わり次第、早急に連絡する。(全ての情報が把握できてからの連絡では遅い。 ) ②不用意に憶測で言わずに、慎重に、 誠意をもって、分かっている事実を 正確に伝える。 ③落ち着いて、保護者に「今後  の動き」等を伝える。 すぐ、来て ください! <解説19ページ>  「解説19ページを開いてください。保護者への連絡をする訓練例です。ポイントは、3つです。1つ目は、全ての情報が把握できてからの連絡では遅いので、119番通報やAEDの手配など命をつなぐ現場の指揮命令が終わり次第、早急に連絡することです。2つ目は、不用意に憶測で言わずに、慎重に、誠意をもって、「わかっている事実」を正確に伝えることです。3つ目は、落ち着いて、保護者に「今後の動き」等を明確に伝えることです。」  2人1組で、役割を交代して1回ずつ、19ページの訓練内容で行う。実際には訓練と同じ内容にはならないが、定型を1度実施すれば、応用できることを期待している。 「それでは、各自で解説15、16ページのチェックを行ってください。」読み上げてもよい。 質問があった場合の情報  口頭指導とは、119番通報時に指令センターから電話を通して心肺蘇生などについて受ける指導。

Ⅳ 事故発生後の対応 事実確認と分析 傷病者の保護者等への対応 発生から遅くとも3日以内に事故関係者に対して事実確認を個別に行う。 Ⅳ 事故発生後の対応 事実確認と分析 発生から遅くとも3日以内に事故関係者に対して事実確認を個別に行う。 確認した事実を、時系列に整理し、事故原因分析をする。 傷病者の保護者等への対応 事実を正確に伝える。 病院から得た情報について、御提供いただくよう依頼する。 報道発表、保護者会等で情報を提供することの了解を得るとともに、その内容を確認する。 <解説20ページ> 「事故発生後の対応について、解説20ページを開いてください。」 「事故発生後の報告等の体制は『さいたま市学校児童生徒事故等危機管理対応マニュアル作成指針』に示されています。指導2課に一報を入れ、健康教育課にはAED使用状況報告をすることになっています。」 「重大事故発生後は、発生から3日以内に事実確認を行います。情報は時間の経過とともに、事実と離れていきます。『こうあってほしい』 『こうあるべき』 『こうしたかった」など、無意識にいろいろな気持ちが働くためです。」 「また、情報を公にする際には、保護者の了解を得て、内容を確認しながら、慎重に行います。」 「なお、ページの下部にある掲示物については、①_________ 、 ②________ 、 ③___________ 、④_________ 、 ⑤__________ 、 ⑥____________ 、⑦__________ にあります。各自記入してください。」

傷病者発生時対応訓練 1 役割の確認 2 観察者には、「訓練時における対応確認表」の第一 発見者用と応援者(指揮命令者)用いずれか1枚を  【実施手順】      1 役割の確認 2 観察者には、「訓練時における対応確認表」の第一      発見者用と応援者(指揮命令者)用いずれか1枚を   渡す。観察者は訓練を見ながら確認をする。 3 訓練の実施 4 訓練後の振り返り  (1)第一発見者・指揮命令者・応援者の振り返り    (2)観察者の振り返り <解説21ページ> 「それでは、ここまでの研修内容を基に、傷病者発生から医療機関への搬送までを想定した傷病者発生時対応訓練を実施します。」 「解説21ページにも記載がありますが、実施手順をここに示しました。役割を確認します。」 傷病者役は研修の目的を達成できないので、訓練人形などを用いるとよい。 「観察者は2グループに分かれ、解説28ページと29ページの確認表でそれぞれ、訓練を見ながら、確認していきます。」 「1例終わるごとに、  (1)第一発見者・指揮命令者・応援者の振り返り   (2)観察者の振り返り を行い、共通理解を図りたい部分について確認していきます。」 ※解説28、29ページ≪参考資料4≫「訓練時における対応確認表」の「第一発見者」と「応援者(指揮命令者)」を、観察者のチェック表として活用する。

例1)持久走後の心肺停止 ・傷病者 小5男子、半そで半ズボン、既往症なし ・指導者 小5・6年担任(6名)、担任外1名、教頭 養護教諭1名(保健室待機) ・天候 曇り、5℃ ・活動内容 持久走大会 ・場所 校庭 ・AED設置場所 校庭の朝礼台前 ・事故状況 ○持久走は1000m(200m×5周) ○ゴール地点で計測係をしていた6年担任が、当 該男児がゴール後倒れるところを目撃する。他 の教員は目撃をしていない。 ○校庭には200名の児童、100名ほどの保護者 ○指導者以外の教職員は校舎内で授業中 5つの訓練例を掲載している。時間や季節に応じて選んで実施する。 訓練例を読み上げ、役割分担を確認し、訓練を行う。 ①第一発見者・指揮命令者・応援者の振り返り   ②観察者の振り返り  振り返りの時、受講者は正解を求める傾向がある。講師は、正解は受講者全員で、その学校の施設や起こり得る状況を想起させ、確認するというスタンスで実技を進めていくことで、受講者全員が、自分のこととしてとらえ考えるようになる。 学校として、確認しておくことを話し合う 情報:胸骨圧迫は質が重要である。連続した圧迫を実施することで、有効な圧力が維持される。動物実験では1~2秒の中断で圧力が     下がることが分かっている。    :心停止直後に死線期呼吸が現れる頻度は40%

例2)給食後のアナフィラキシー ・傷病者 小5女子(Sさん、ぜん息、食物アレルギー:エピペン®を 所持して登校) ・指導者 担任1名、隣のクラス担任、校長、養護教諭 ・発生場所 3階教室 ・AED設置 1階 ・事故状況 12:50頃、Sさんはお代わりを食べた。13:22頃(給食終了後)、担任に気持ちが悪いと訴え、自分でぜん息の薬剤を吸入。13:24頃、担任は、顔が紅潮し、呼吸が苦しそうで、いつもよりつらそうであったため、D君に養護教諭を呼ぶよう指示。13:28頃、教室に来た養護教諭が担任に救急車要請を指示。13:31 Sさんが「トイレに行きたい」と言ったが立てない状態のため、養護教諭が背負ってトイレに連れて行った。便器に座らせて声をかけたが、返事はなく、顔面蒼白。13:33AED要請。13:35 校長が現場に到着。呼吸している様子がなく、顔面蒼白。13:36 校長がエピペン®注射。AED使用も、通電の必要なし。胸骨圧迫継続。13:45 救急隊員から、心肺停止と聞く。 「訓練例2は、アナフィラキシーの急激な症状の変化について、事例を通して全員で確認します。」 訓練例2を読み上げる。 次の3枚のスライドで、食物アレルギー対応について解説する。 補足説明用(質問など必要に応じて)   ・献立の「ジャガイモのチヂミ」は、除去食対応されており、当該児童用は別の形   に焼かれ、別の色の皿に入っていた。  ・チーフ調理員がSさんに直接給食を手渡したが、何が除去食か伝えたかどうか   は不明。  ・担任は残ったジャガイモのチヂミ4枚を各4等分(計26枚)にし、お代わりを募る。  ・Sさんは念のため持っていたチェック表(母がピンクのマーカーで除去食に印を   つけていた)を確認。  ・担任は、栄養士に渡されていた除去食一覧表を職員室に置いてあり確認できな   かった。  ・養護教諭は、Sさんが除去食を食べたことを知らない、しかし、苦しそうで、吸入   もうまくできていなかったことから、担任に119番要請した。  ・担任は、救急車要請後、栄養士に確認し、チヂミが除去食だったと聞いた。 参考:「調布市立学校児童死亡事故検証結果報告書」調布市立学校児童死亡事故検証委員会(H25.3)

「このマニュアルは、平成25年2学期より、各教室に掲示していただいているものです。」 「食物アレルギー対応マニュアル」(A4 表裏)プリントを用意するとよい。 食物アレルギー対応について読み上げる。

「教室に常時掲示しておく対応マニュアルです。症状と対応が分かりやすく書いてあります。『注意』から『受診』に症状が進むか、落ち着くかを注意深く観察し、遅れないで適切に対応します。『注意』から『受診』、『受診』から『緊急』へと、症状が急激に進むことがあるので、絶対に目を離せません。」 「このような児童生徒がでたら、本人から目を離さないで、まず、近くの教職員をできるだけ多く、集めます。保健室へ移動させる際は、必ず大人が付き添い、抱きかかえるか、担架を使って移動させます。なぜなら、体を動かすことで症状が重くなったり、途中で血圧が下がり、吐き気が強くなったり、おう吐、頭痛がひどくなったり、移動中に意識がなくなったりすることがあるためです。」 本人から目を離さないで、近くの教職員を集める方法を児童生徒の発達段階などを加味して、確認するよう促してもよい。

例2) 給食後のアナフィラキシー 事故状況 12:50頃 Sさんはお代わりを食べた。 13:22頃 担任に気持ちが悪いと訴え、自分でぜん息の薬剤を吸入 13:24頃 担任は、顔が紅潮し、呼吸が苦しそうで、いつもよりつらそうであった ため、D君に養護教諭を呼ぶよう指示。 13:28頃 教室に来た養護教諭が担任へ救急車要請を指示。 13:31 Sさんが「トイレに行きたい」と言ったが立てない状態のため、養護教 諭が背負ってトイレに連れて行った。便器に座らせて声をかけたが、 返事はなく、顔面蒼白。 13:35 校長が現場に到着。呼吸している様子がなく、顔面蒼白。 13:36 校長がエピペン注射。AED使用も、通電の必要なし。胸骨圧迫継続。 13:45 救急隊員から、心肺停止と聞く。 「先ほどの事例の事故状況だけ抜き出しました。時刻と症状についての記述を赤で太字(ゴッシック体)にしました。お代わりにアレルギーを発症する原因食材が入っていることを確認できず、12時50分に、一人分の4分の1の量を食べました。その後30分ほどたった13時22分に、『気持ちが悪い』という症状を本人が訴えました。担任が見たところ、『顔が紅潮』し、『呼吸がくるしそう』でした。これらの症状は、『食物アレルギー対応マニュアル』における対応は何でしょう?(少し間を置く)」 『緊急』です。『呼吸が苦しそう』という、呼吸器の症状が出ています。『緊急』の対応はそこにある通り①直ちにエピペン®注射②119番通報③その場で安静を保ち、歩かせない。④その場で救急隊を待つ ⑤可能なら内服(飲み薬を飲む) ⑥仰向けにして足を上げる、です。」 「13時31分、気持ちが悪いと訴えてから10分足らずで、Sさんは『トイレに行きたい』と言います。これは、消化器の症状です。そして、トイレに連れて行こうとしても『立てない』状態は何の症状でしょうか?(各自に確認させる。)」 「これは『全身症状』です。そして、13時36分に、エピペン®、AEDなどを施しましたが、救急隊員到着後13時45分、心肺停止が確認されました。お代わりを食べてから30分ほどで呼吸器症状が発症し、発症から20分程度で『心肺停止』状態です。食物アレルギーがあるかないかにかかわらず、呼吸困難、ショック症状があったら、一刻も早く次の行動に進むことの必要性を、Sさんは私たちに教えてくれています。」 補足説明用(質問など必要に応じて)  ・Sさんのアレルギー原因物質はチーズ ・献立のジャガイモのチヂミは、除去食対応(チーズ除去)されており、当該児童用  は別の形に焼かれ、別の色の皿に入っていた。 ・チーフ調理員がSさんに直接給食を手渡したが、何が除去食か伝えたかは不明。 ・担任は残ったジャガイモのチヂミ4枚を各4等分(計16枚)にし、お代わりを募った。 ・Sさんは念のため持っていたチェック表(母がマーカーで除去食に印)を確認した。 ・担任は、栄養士に渡されていた除去食一覧表を職員室に置いてあり確認できな  かった。 ・養護教諭は、Sさんが除去食を食べたことを知らない、しかし、苦しそうで、ぜん息  の薬剤吸入も、うまくできていなかったことから、担任に119番要請した。 ・担任は救急車要請後、栄養士に確認してジャガイモのチヂミが除去食だと聞いた。  どの時点で、何ができたのかを考え対応訓練を行う。

® 誤注射の防止 ・注射針は安全キャップと反対側の、オレンジ色のカバーの中にある。 エピペン®の使用手順を読み上げる。 「写真では起立して、打っていますが、いすに座っていても、寝ていても構いません。服の上からでも大丈夫です。足を支え、太ももの筋肉にしっかり押し付けます。 支援者がエピペン®を打つ際は、エピペン®の持ち方に注意が必要です。親指と人差し指をくっつけるように持って、誤って自分に打ってしまうことを避けます。万が一、自分に打ってしまったら、患者に打てなくなります。また、自分自身も救急搬送対象になります。」 ※青い安全キャップの下に針があるものと勘違いして、誤注射する可能性がある。 ・注射針は安全キャップと反対側の、オレンジ色のカバーの中にある。 ・逆さまに持ってしまった場合の誤注射を避けるために、常にペンを持つ  手の親指と人差し指をつける。 誤注射の防止

例3)水泳中の心肺停止 ・傷病者 小6男子、既往症なし ・指導者 小6担任(4名)、担任外1名、教頭 養護教諭1名(保健室待機) ・天 候 曇り、25℃ ・活動内容 50mタイム測定中 ・場所 プール ・AED設置場所 職員玄関前 ・事故状況 準備運動、水慣れなどを行った後、50mの泳力調 査を行った。スタート後、10m付近で突然動かな くなり、沈みだした。事故発生に気付いた教員が、 プールサイドに引き上げ た。男児に反応はなく正 常な呼吸が見られなかった。 訓練例を読み上げ、役割を確認し、訓練を行う。 ①第一発見者・指揮命令者・応援者の振り返り   ②観察者の振り返り  全体で確認しておきたいことを出し合って確認する。

例4)運動会練習中の熱中症 ・傷病者 中2男子、半そで半ズボン、既往症なし ・指導者 中2担任(4名)、支援員1名 ・天候 晴れ、29℃ ・活動内容 運動会練習中 ・場所 校庭 ・AED設置場所 2階職員室前 ・事故状況 ダンス練習の休憩後、集合を指示したが、うずくまってい て、整列に来ない。声をかけたが、「頭が痛い、気持ち悪 い」と言い、錯乱状態で、自分では立ち上がれない。自力 で水を飲めない。汗は乾いており、腕や首を触ると熱い。 訓練例を読み上げ、次の2枚のスライドの説明をしてから訓練を行う。 ①第一発見者・指揮命令者・応援者の振り返り   ②観察者の振り返り

熱中症対策、まずは予防 1 「熱中症環境保健マニュアル」(S-netライブラリに掲載)を再確認してくだ さい。 2 屋外活動をする場合は、帽子の着用、涼しい服装に留意し、必要な場合を 除き極力日なたを避けて日陰を活用してください。 3 児童生徒が体調の異変を訴えた場合は、直ちに氷水等で首、脇の下、足 の付け根等を冷やし、冷所で休養させてください。 4 室内(体育館)でも発生することが多いことから、ドアや窓を開け、風通しを 良くしてください。 5 活動前に健康状態を確認すると共に、定期的に水分の補給をするよう指 導をしてください。こまめな水分補給にあたっては、各学校の実情や必要に 応じて、水筒持参について臨機応変に対応してください。 6 体温の調節能力は、児童生徒の体格や体力などの個人差や、その日の体 調による違いがありますので、一人ひとりの健康観察を十分に行ってくださ い。 読み上げる。または、後で確認するよう促す。

めまい・立ちくらみ・ こむら返り・大量の汗 熱中症の分類と対処方法について 重症度 症 状 対  処 医療機関への受診 めまい・立ちくらみ・  こむら返り・大量の汗 涼しい場所へ移動・安静・水分補給 軽 症状が改善すれば受診の必要なし。 頭痛・吐き気・体がだるい・力が入らない・集中力や判断力の低下 涼しい場所へ移動・体を冷やす・安静・十分な水分と塩分の補給 口から飲めない場合や症状の改善が見られない場合は、受診が必要 読み上げる。または、後で確認するよう促す。 意識障害(呼びかけに対して反応や会話がおかしい)けいれん・運動障害(普段通りに歩けないなど) 涼しい場所へ移動・安静・体が熱ければ保冷材などで冷やす。 ためらうことなく救急車を要請(119) 重 引用:熱中症に関するリーフレット(さいたま市消防局警防部救急課作成)一部改変

事例5)給食中の窒息 ・傷病者 小3女子、既往症なし ・指導者 担任 ・天候 曇り、25℃ ・内容 給食中 ・場所 教室 ・AED設置場所 保健室前 ・事故状況 ○給食中、白玉団子をのどに詰まらせたらしいと、 当該女子の隣席の児童が担任に知らせに来た。 女子はのどを両手でつかみ、苦しそうにしていた。 担任は声をかけ、吐くように言ったが、女児は首 を横に振り、吐けないとサインを送ってきた。やが て、はっきりとした応答がなくなってきた。 事例を読み上げ、次の2枚のスライドの説明をしてからシミュレーションを行う。 ①第一発見者・指揮命令者・応援者の振り返り   ②観察者の振り返り

気道異物除去 ・背部叩打(こうだ)法 ・腹部突き上げ法 自分で強く咳をさせる 異物除去できない 異物除去できた 気道異物除去 ・背部叩打(こうだ)法 ・腹部突き上げ法 受診する 異物除去できない 心肺蘇生法 図の説明をする。  強い咳で、異物除去できなければ、早い段階で、119番通報し、状況を伝えながら、口頭指導を受ける。 救急隊に引き継ぐ

ま と め <解説20ページ> 「これは、訓練を行う直前に確認した、解説20ページの図です。」 ま と め <解説20ページ> 「これは、訓練を行う直前に確認した、解説20ページの図です。」 「目の前で誰かが突然倒れたら、迷わず落ち着いて、反応と普段どおりの呼吸の確認。なしまたは『わからない』場合には、応援要請・救急車要請・AEDの手配、そして、胸骨圧迫とAEDの電源を入れることです。その場にいるあなたにしか、私にしか救えない命があります。1秒でも早く心肺蘇生とAEDを行い、命をつないでいきましょう。これで、研修会を終了します。ご協力ありがとうございました。」 「傷病者発生時における判断・行動チャート」とともに、この掲示物は、校地内のあらゆる場所に掲示する。必要な時は、そこから、はがして使う等活用方法をブレインストーミングすることも有効である。

校内研修事例 【ヒヤリハット事例からリスクマネジメントを考える】 1件の 大事故 29件軽微な事故 300の微小事故 ハインリッヒの法則とは、大事故は突然起こるのではなく1件の大事故が起こる背景には29件の軽微の事故があり、300件の微小事故が存在しているということ。5000例の労災事故の分析から見出された法則。 <解説30ページ> 解説30ページ≪参考資料5≫「校内研修事例【ヒヤリハット事例からリスクマネジメントを考える】」 校内研修の事例であり、この資料を参考に校内研修を行うこともできる。 目的は、研修を通して明らかになった危険な場面を作らないよう環境を整え、事故を防止すること。 日常の学校生活に潜む危険について、具体的な場面を経験等から挙げ、ハインリッヒの法則やヒューマンエラーを知り、それらを予防するには、どのような、働きかけが必要か、お互いの経験などから学び合う内容となっている。 補足:人間を取り巻く広義の環境とは、学校で言うと、施設設備、教材教具、手順書やチェックリスト、研修制度にあたると考えられる。 ヒューマンエラーは、人間の本来持っている特性が、人間を取り巻く広義の環境とうまく合致しないために、結果として誘発されたものである。(河野、2005)

研修会の振り返り 1 本研修会の「あなたにとっての重要性」について伺います。研 修会前と研修会後では、どのような変化がありましたか。まった く重要でない(重要ではなかった)を0、とても重要である(重要で あった)を10として、○印をつけてください。 2 本研修会を実施して、あなたの「緊急時の対応ができる自信」 について伺います。研修会前と研修会後では、どのような変化が ありましたか。まったく自信がない(自信はなかった)を0、とても 自信がある(自信があった)を10として、それぞれに○印をつけ てください。 <解説31ページ> 31ページ≪参考資料6≫「研修会振り返り用紙」  「解説31ページを開いてください。本研修会の振り返りを 各自で行ってください。」 無記名でよいので回収する。健康教育課への提出を依頼する場合がある。年度末に処分する。 [研修を振り返る意義]  人は「ある行動が望ましい結果をもたらす」と思い、「その行動をうまくやることができる[自己効力感]自信がある」時に、その行動をとる可能性が高くなるという。 「本研修は望ましい結果をもたらす」すなわち「自分にとって重要な研修会である」。「緊急時に対応できる自信がある」この2点について研修会前後の自己評価を0~10のスケールで実施し、振り返るために作成した。重要性と自信それぞれ研修の前後で、数値が上がったのか、下がったのか、変わらなかったのかを振り返ることで、自己の学びを深めることができる。また、集約することで研修内容の適宜性を図ることができる。研修の評価し振り返ることが、児童生徒の生命にかかわる重大事故の未然防止につながると考えます。

作成協力者 ○「さいたま市児童生徒の健康・安全に関する検討委員会」委員(平成25年度) 峯 真人 医師 戸部 秀之 埼玉大学教授 野上 一昭 市PTA協議会理事 荒井 清司 市PTA協議会理事 高村 達夫 市小学校長会役員 山下 誠二 市中学校長会役員 笠原 芳美 市保健主事会会長 前川 ユミ子 養護教諭部会代表(小学校) 追立 真由美 養護教諭部会代表 (中学校) 大橋 文 安全教育主任代表 (小学校) 加藤 郁夫 安全教育主任代表 (中学校) 村瀬 修一 市教育委員会学校教育部長 ○資料提供 石見 拓 京都大学環境安全保健機構附属健康科学センター 西本 創 さいたま市民医療センター 「本研修会のテキストの作成協力者です。」 ※「体育活動時等における事故対応テキスト~ASUKAモデル~解説」研修用資料 ※解説32ページ≪参考資料7≫「『体育活動時等における事故対応テキスト~ASUKAモデル~』取組チェックシート」は、校内研修で確認する必要はないものの、ASUKAモデルに示されている方策について、自校の取組を確認する際に活用できる。